« 2018年10月 | トップページ | 2018年12月 »

2018年11月29日 (木)

多田圭佑「エデンの東」@MAHO KUBOTA GALLERY(2018/11/27)

今日の夕方はMAHO KUBOTA GALLERYに。現在開催中なのは多田圭佑氏の個展。

会場には「残欠の絵画」と「trace/wood」の二つのシリーズからの作品が展示されている。「残欠の絵画」のほうは積み上げられた本を描いた油絵。セピア色の古びた風合いになり所々が剥落した、いかにも由緒のありそうな、たとえて言えばクラシックホテルのバーの書棚のような雰囲気を漂わせているのだが、本のタイトルに目を凝らしてみるとゲームの攻略本や成年コミック誌などが混じっていてぎょっとする。他にもベストセラー小説や美術の専門書などが混じっていて、作家の手元にたまたまあった本を描いた、という趣向なのだろう。このギャップに気付いた時には「やられた!」と思った。バッドテイストものの現代アート、と言ってしまえばそうなんだけど、捻り方に一工夫あるなぁ。

もう一つの「trace/wood」の方は、木材をベースにしたアッセンブラージュに見える作品が、実は絵画に使われる素材のみで構成されているというもの。こちらは「そういうことか!」と驚くには予備知識が要るんじゃないかな。僕は解説を読んでも正直ピンと来なかった(いやコンセプトを読めば理屈は分かるんだけど)。

ともあれ、「残欠の絵画」シリーズだけでも見に来た価値は十分にあった。現代美術ってやっぱり面白いね。

01_kt0096_44710x697

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年11月28日 (水)

川島秀明 個展 [2001-2014]@8/ ART GALLERY/ Tomio Koyama Gallery(2018/11/25)

今日の午後は久しぶりにヒカリエのTomio Koyama Galleryに。現在開催中なのは川島秀明氏の個展。しばらく前に見たな、と思って確認してみたら4年半前のことだった。時間の経つのって早いな。

彼の個展は六本木の小山登美夫ギャラリーでも同時開催中で、ヒカリエで展示されているのはアーティスト活動を開始した2001年から2014年までの作品になる。目・鼻・口だけで体の無い初期の作品から、人間の姿をとるようになった2014年までの作品を一度に眺めることができる。

何というか、僕にとっては難しい作品で、きちんとしたコンセプトを持っていることや、それが言葉で説明可能な部分と感じるしかない部分が絡み合ったアートならではのものであることまではわかるんだけど、それが具体的にどういうものであるかを感じられない、そこに手が届かないというのがもどかしい。まぁ、現代美術なので、そういうモヤモヤを感じられるということだけで充分良い作品ということになるのだけれど。これは六本木の新作展にも行かないとだめかな。

Hideaki_kawashima_mainthumb960x5408

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年11月24日 (土)

起点としての80年代@高松市美術館(2018/11/22)

今日は仕事で高松に出張。無事一仕事終えて解放されたので高松市美術館に寄っていくことにした。19時までオープンしている美術館って有難いよね。

現在開催中だったのは開館30周年記念展という「起点としての80年代」という企画展で、タイトルの通り日本の80年代の現代美術をテーマとしたもの。大阪の国立国際美術館でも「ニュー・ウェイブ 現代美術の80年代」というやはり80年代をテーマとした企画展を開催中で、どうもこの年代が最近の美術史研究のなかで注目されはじめているらしい。1970年代までの「日本の戦後美術」(「具体」とか「もの派」とか)と、1990年代からは主流となったサブカル表現を巻き込んだ流れ(村上隆とか奈良美智とか)の間にある時代を見つめ直してみる必要がある、ということらしい。

僕はそのあたりの美術史的な知識は無く、80年代ってことは音楽やファッションみたいにバブリーでパヤパヤな感じの作品が多いのかな、みたいなつもりで眺めはじめたのだけれどまったくそんなことは無かった。僕が同時代の作家と認識しているアーティストのキャリア初期の作品が多く展示されていて、あまり30年前の作品という感じはしない、もちろん日比野克彦とか横尾忠則(当時の)とか、展示作品が時代の空気感を伝えてくる作品もあったんだけど。

そういう訳で普通に佳作が揃った現代美術展として楽しめたんだけど、80年代美術を振り返るという点では自分の知識の無さのために拍子抜けだった。「ニュー・ウェイブ 現代美術の80年代」は見に行くつもりでいるので、ちょっと予習をしておかないといけないな。

Ex_20181103_09

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年11月21日 (水)

「眠らない手」エルメスのアーティスト・レジデンシー展@銀座メゾンエルメス ル・フォーラム(2018/11/20)

今日の夕方は有楽町に出てきたついで銀座メゾンエルメスに寄り道。ル・フォーラムで開催しているのはアーティスト・レジデンシー展。現代美術のアーティストがエルメスの工房に滞在し、エルメスの職人と共同でシルク、皮革、銀、クリスタルといった普段は手の届きにくい素材を使って作品を制作するというもの。

個人的に好きか嫌いかというと、ピンと来ない展示だった。何というか、そのまま軽く塩コショウして焼くだけで最高に旨い素材をオモチャにして良さを殺してしまっている、と感じるのだ。そしてもちろん、アーティストもキュレーターもそんなことは百も承知だ、ということも頭では分かる。職人の伝統工芸から新たな価値を生み出すためには彼らの基準ではここまでやらなければならないのか、と溜息が出るような気分になる。

ゼロから価値を生み出す錬金術を操るハイブランドとは何なのかをまざまざと見せてくれる展示。普段はあまりアートに興味が無い人ほど、足を運んで何だこりゃと思い、アートの意味を考えるきっかけにすると良いのではないかと思った。

F2ff48b6c982e1d3e109fe0b2a94277d128

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年11月20日 (火)

2018年の風景画展@アートコンプレックス・センター(2018/11/18)

今日のお昼は信濃町のアートコンプレックス・センターに。今週は楽しい展示が多くて当たりだったんだけど、その中でも楽しかったのは風景画のグループ展。

この企画展は今回5回目ということだが僕が見つけたのは去年。風景画という平凡なテーマを、商業アニメーションなどでとてもリッチな風景表現が当たり前になった中で美術はどのような切り口を提示できるのか、という点で捉えなおした点がとても面白いなぁと感動したのを覚えている。

今回の展示もやっぱり面白かった。去年の展示で一番面白かった待井健一は、今年は作品のベースとなったスケッチも展示していて、このスケッチがどう広がって完成作品になるのか、その差はどこになるのか、という点が考えさせられる。今年初見で面白かったのは鳶田ハジメという作家。本業は漫画家だそうだが、精密な線で描き込まれた画面はそれぞれの対象物の質感と共に風景全体の空気感をヴィヴィッドに伝えていて、会場に並んでいるカラーの作品と遜色がない。漫画ってやっぱりすごい表現ジャンルなんだな、と再確認。

この企画展は今年が最後ということで、勿体ないし寂しいなぁと思う。出展していた作家さんたちは個展やグループ展で追いかけていこう。

Fukei2

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年11月18日 (日)

akiko with Tadataka Unno trio@六本木ヒルズアリーナ(2018/11/16)

Facebookを眺めていたらグレンモーレンジーというウイスキーのイベント情報が流れてきた。どんな内容かな、と思って眺めてみると、akikoのフリーライブがあるとのこと。へぇ、これはいい、と思って足を運んだ。

会場は六本木ヒルズアリーナ。ロックやポップスのイベントではさんざん足を運んだが、ストレートなジャズを聴くのは初めてじゃないかと思う。グレンモーレンジーのイベントなのでシグネットのトワイスアップと軽いおつまみのセットを購入し、ライブのステージに。椅子もいくつかあるけど全部埋まっていたのでスタンディングのテーブルに案内される。

今夜のライブはブルーノート東京プロデュースということで本格的。出演はakiko(Vo)、海野雅威(Pf)吉田豊(B)ジーン・ジャクソン(Ds)という、とってもちゃんとしたメンバーで、これぞお洒落なジャズ、という感じのライブを堪能した。こういう都会派のジャズを洒落たウイスキー片手にスタンディングで聴くって、なんだかニューヨーク時代を思い出すなー。

P_20181116_191151

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年11月17日 (土)

光嶋裕介新作展―幻想都市風景 GOLD@ときの忘れもの(2018/11/15)

今日の夕方はときの忘れものに。現在開催中なのは建築家の光嶋裕介氏の新作展。とは言っても建築スケッチや模型が並んでいるわけではなく、幻想の都市を描いた風景が展示されている。

絵の中の建物などはとても細かく書き込まれていて、ちょっと細密画っぽいテクスチャーもあるのだけど、ふつうの細密画と違うのは、何というか、一つ一つの建物の表現がとてもクリアなところ。建物ごとにテクスチャがきちんと描き分けられているし、たっぷりとられた余白がコントラストとなって建物を引き立てている。細密画って画面全体から湧き上がってくる情念のようなものを重視してるんだろうなと感じさせる作品も多いんだけど、光嶋氏の作品がそうなっていないのはやっぱり建築家だからなんだろうな。

地の部分を広く取っているからだろう、自ら漉いた和紙を使ったり、そこに墨を流して景色を作ったものを背景にしたり、野口琢郎氏が一部に箔を押したりと、キャンバスに独特の質感を入れているのも面白く、細かく書き込まれた建物とのコントラストを引き立てている。

今回も見ごたえがあり、また建築家の思考過程が想像させられるという意味でも楽しい展示だった。今後はどういう方向に展開していくのか期待。

10

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年11月11日 (日)

横山崋山展@東京ステーションギャラリー(2018/11/09)

今日の夕方は東京ステーションギャラリーに。現在開催中なのは横山崋山の展覧会。江戸時代の後期に京都で活躍した絵師で、没後も夏目漱石の『坊ちゃん』に登場するなどしばらくは名前が知られていたのだけれど、その後は長く名前が忘れられていたそう。どういう作家なんだろうと気になっていて、この展示は忘れずに見に行こうと思っていた。

会場で作品を見て思ったのは「漫画家の原画展みたい」ということ。僕は専門家では無いのでどこがどうとは指摘できないんだけど、画力が無茶苦茶に高い作家が書きたい対象を書きたいように描くためにハイアートとしての約束事を無視して様々なテクニックを自由に組み合わせて描いている、という感じなのだ。なので作品に登場する人物の表情なども驚くほどにモダンで、現代の作品と言われても全く違和感が無い。この自由さが美術史上での分類を困難にしたのが忘れられた原因だというのも皮肉な話だと思うが、現代の漫画家だってそうなっちゃうのかもしれないな。

出展されている作品は人物画、花鳥画、風俗画、山水画など多彩だが、中でも圧巻は《祇園祭礼図巻》。祇園祭の全貌を上下巻合わせて30メートルにわたって描いた作品で、一つ一つの山鉾だけではなく関連する行事の中の人々まで丁寧に描かれていて、すべての場所に引き込まれる。

こんなすごい作家がいたんだなー、というのが正直な感想。見に来て良かった。

83d7620

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年11月10日 (土)

細密展 13@アートコンプレックス・センター(2018/11/08)

今日の夕方は信濃町のアートコンプレックス・センターに。今回は楽しい展示が多く当たりだったんだけれど、その中でも特に良かったのは細密展。

細密「画」展ではないので版画も混じっているが、いずれも細かく書き込まれた濃密な作品が並ぶ。イラストレーション的な要素の強い作品からアーティスティックなものまでジャンルは幅広いが、新進作家が多いようでお値段はおおむね手頃。こういう作品が自分の部屋にあると結構空気が変わるんじゃないかな。

個人的に面白かったのは高草滋汰という作家さん。女性を描いた作品なんだけれどモデルは必ずしも絵にかいたような美人さんという訳ではなく独特の個性がある。それが細かく描き込まれた線が醸し出す雰囲気に良くマッチしていて引き込まれる。

キャッチーさと作品性、そして購入しやすい価格がバランスした、とてもこのギャラリーらしい展示。このギャラリーに興味を持っているなら最初に見る展示としてもふさわしいと思います。

Photo

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年11月 8日 (木)

TOSHIO YOSHIDA: SAKUHIN 1953–63@Fergus McCaffrey Tokyo(2018/11/06)

今日の夕方は表参道のギャラリー、Fergus McCaffreyへ。名前から分かる通りアメリカのギャラリーで、ニューヨークで2006年に設立され日本の戦後美術を欧米に発信してきたが、今年の3月に表参道に進出してきたもの(美術手帳:NYを代表するギャラリー「ファーガス・マカフリー」が東京に進出。その狙いを聞く)。青山通りの北側にあり、ギャラリーの前はしょっちゅう通るのだけれど中にはいるのは今回が初めて。展示スペースはさほど広くはないが障子をイメージした壁があったりととてもスタイリッシュ。

現在開催中なのは吉田稔郎の個展。彼は具体の初期メンバーの一人だが他のメンバーと比べて知名度が低い作家なのだそう。だが展示されている作品は強い印象を残すものばかり。なるほど具体の作家だ、という感じの抽象作品はもとより、木板に焼き痕をつけることで描いた作品、モノトーンに塗ったキャンパスにフックを取り付けた作品など、バラエティに富んでいる。作品から伝わってくる緊張感はルーチョ・フォンタナを思い起こさせる。

これからも具体の作品を中心とした展示を行っていくようで、とても楽しみ。アクセスの良い場所にあるので展示は毎回見逃さないようにしなくちゃ。

K6a0518_toshioyoshida_sm1024x683

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年11月 5日 (月)

荒木経惟 「片目」@RAT HOLE GALLERY(2018/11/04)

今日のお昼は渋谷の帰りに表参道のRAT HOLE GALLERYに。現在開催中なのは荒木経惟氏の個展。

「片目」というタイトルながら出展作品には視力を失った事を直接示唆するようなものはほとんどなく、淡々としたスナップ写真が並ぶ。静物やヌードのようないかにもアラーキーといった写真に混ざり、ドキッとさせられるのは新聞に掲載された有名人の訃報。若くして非業の死、というのではなく、寿命を全うしたという感じの方が多いのはそういう人を選んだんだろう。

一つだけ、すごく違和感があった写真が、IPAの「パスワード-もっと強く君を守りたい-」キャンペーンのポスター。少女マンガの図柄でイケメン君が「お前っ、自分のパスワードもっと大切にしろよ!」と叫んでる奴で、残りの写真からこの一枚だけが完全に浮いている。アラーキーはなぜこの写真を今回のシリーズに入れようと思ったのだろうか...。

Gallery7

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年11月 4日 (日)

オカダミカ「Texture」@スペースユイ(2018/11/03)

今日の夕方はスペースユイに。現在開催中なのはオカダミカ氏の個展。お洒落でスタイリッシュな女性を描くイラストレーターで、一目見たら忘れられない個性の作家さん。

前回の個展では東京の様々な場所を背景にした作品が展示されていたんだけれど、今回出展されていた作品は背景は無地で女性にフォーカスしている。興味深いのは作品に布や砂などの様々な素材を取り込んでいること。こういうアレンジもファッショナブルな作品には良く合う。砂を使った作品はアンディ・ウォーホルの《ダイヤモンド ダスト シューズ》をちょっと思い出した。

Okada_1 Okada_3

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年11月 3日 (土)

空会 8th@画廊くにまつ青山(2018/10/29)

今日の夕方は画廊くにまつ青山へ。現在開催中なのは「空会」というタイトルのグループ展。インド哲学で「空」は「ゼロ」を意味することにひっかけて、0号の作品を中心とした展示になっている(一部他のサイズの作品も混じっている)。

出展作家は岩田壮平、今川教子、藤原由葵、佐藤真美、前田和子、鈴木琢未の6人。いずれもこのギャラリーらしいスタイリッシュでモダンな日本画だった。特に気になったのは鈴木琢未という作家。おそらく出展作家の中では新進だと思うんだけど、女性画で口から吐いた息のようなものが顔の一部を隠しているのが不思議に想像をかき立てる。

これぐらいの作品だと飾るのに良いんだよな、買えるかな、どうしようかな、と悩みながら眺めるのは楽しいもんです。

2018i

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2018年10月 | トップページ | 2018年12月 »