2014/04/27

「ビッグデータ時代のビジネスアナリシス~RFIDを題材に」(2014年4月24日19時@新橋ばるーん)発表資料

2014年4月24日にIIBA日本支部BABOK-WGで発表した「ビッグデータ時代のビジネスアナリシス~RFIDを題材に」の資料をSlideShareにアップロードしました。SlideShareで見るとどうも書式が崩れてしまうようなので、ダウンロードしてご覧になって頂ければと思います

データ分析計の新技術は今まで見えなかったものを見せてくれますが、そこで見えたものは今まで業務プロセスに落とし込まれていなかったもので、分析結果をどうビジネス価値として実現するかは本来非常に難しい。特に「新技術を何とかものにしたい」というシーズ先行で臨む場合にはビジネス価値・ビジネスニーズを深く広く知っておく必要がある。そこにビジネスアナリシスのフレームワークを使い組織として対応しよう、というのがおおまかな内容です。

だいたい120分ほどの内容です。「面白そうだからうちで喋ってみないか」みたいなお話は歓迎ですので、コメントなりTwitterなりでご連絡くださいませ。

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2014/03/18

講演のご案内:ビッグデータ時代のビジネスアナリシス~RFIDを題材に(4月24日19時@新橋ばるーん)

IIBA日本支部というビジネスアナリシスの推進団体で4月24日の夜に講演をさせていただくことになりました。「ビッグデータ時代のビジネスアナリシス~RFIDを題材に」というテーマで、RFID(特にUHFパッシブ)のウォルマート時代からの成功と失敗を見てくると、結局は技術の問題ではなくビジネス上の問題だったよね、なら今後はどうしていこうか、といういことを、このブログに書いてきたような事例を使って説明していきます。説明文はこのような感じ↓です。

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10年ほど前に起きたRFIDブームは現在のビッグデータブームの先駆けでした。これは、商品にRFIDタグ(電子タグ)を取り付けてサプライチェーン全体での動静データを自動的に取得し、そのデータを解析して在庫の削減や品切れ防止などの効率化を行おうというもので、世界最大の小売業・ウォルマートが2003年に導入を発表して急速にブームが拡大、日本でも大きな話題となりました。

このウォルマートの取り組みは紆余曲折を経た末に挫折、その後は様々な業界・企業での試行錯誤が行われ、現在はアパレル業界を中心に大規模な導入が進みつつあります。

RFIDの挫折と復活の主な原因は、RFID機材の価格や性能などの技術的な問題ではなく、大量に収集した非定型データを使った意思決定をどのように導入していくかというビジネスアナリシスの問題でした。この問題にどのように対処するかは今後ビッグデータの活用に取り組む際に共通する課題となります。

今回は、過去10年間のRFID業界でのソリューション導入事例の成功と失敗について、ビジネスアナリシスに関する問題が何であったか、その解決策はどのようなものかをBABOK®のフレームワークを使ってご紹介します。RFID、BABOK®のどちらの事前知識も不要ですので、ビッグデータとビジネスアナリシスにご興味のある方に広くご参加いただければと思います。

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開催場所は新橋駅徒歩3分。どなたでも参加いただける無料の講演会ですので、興味のある方はぜひ足をお運び下さい。終了後には懇親会も予定しています。

お申し込みはこくちーずからお願いいたします(申し込みページ)。

それでは、会場でお会いできること楽しみにいたしております。

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2013/10/19

ナクシス 2013 BRAND SUPPORTER Conference

ナクシスは値札やブランドラベルなどの服飾資材のトップメーカー。今年の2月に店舗をイメージしたスペースにRFIDソリューションを展示した「RFIDモデリングラボ」をオープンしており、機会があればぜひ見学をと思っていたところ、「2013 BRAND SUPPORTER Conference」としてこのスペースでソリューションの説明会を行うという記事を見かけた。本来はアパレルブランド向けなのだが、趣旨を説明してお願いしたところ快く見学を受けていただいた。

今回の展示会のメインはプレス管理用貸し出しサポートサービス「Tapcode」と、展示会サポートサービス「PREVIEWS」。いずれもクラウドを利用し、NFC対応のスマートフォン、タブレットから利用できる導入の敷居の低いサービスとなっている。

Tapcodeの機能は、アイテムの登録と貸出・返却処理、そしてアイテムの所在地確認や、貸出履歴などの管理データの外部への書き出し(CSV経由)が行える。

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アイテムには大きめの缶バッヂサイズのNFCタグを付けて管理する。

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商品の登録時にはまずこのタグをNFC対応スマホで読み取り、登録情報を入力、そしてスマホのカメラで写真を撮影して紐付ける。

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一連の作業はSNSへの投稿などとまったく同じで、普段スマホを使っている人なら何の違和感も無く操作できるだろう。貸出や返却もアイテムのNFCタグをスマホにタッチした後に簡単な操作で行うことができる。

PREVIEWSの機能は、展示会ごとのオンラインカタログと、展示会での接客・オーダー支援からなる。

オンラインカタログではTapcodeよりも詳しい登録が行えるが(カラーやサイズ、複数の写真など)、NFCとスマホを使った簡便な操作性はTapcodeと変わらない。

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展示会場では来訪者にスマホを貸し出し、来訪者はスマホを商品のNFCタグにタッチするだけで、商品のカタログページを閲覧することができるほか、気に入った商品のリストを自分あてにメールで送信したり、そのまま発注をかけることもできる。

どちらのソリューションもカバーする業務範囲は限定されているが、その分他のシステムとの繋ぎなどを考えずに手軽に導入することができる。また、利用料金は最小構成でTapcodeで月額3,300円、PREVIEWSで月額10,000円であり、業種を限定した企業向けシステムとしては破格だと思う。

こういう現場の判断で導入できる入門版的なRFIDシステムは、特に日本では非常に重要なる。日本では店舗オペレーションのような業務の本丸は「欠品率を下げられます!販売ロスを減らせます!」といくらトップセールスをかけてもなかなか結果を出せない。まずは店舗・担当部署の人が、なるほどRFIDは確かに便利だ、と腹落ちしてくれることが欠かせないのだ。

そして、いわゆる入門・評価キットではなく、ホールプロダクトとしてカスタマイズ・追加開発無しに特定業務を改善してくれるシステムであれば、新技術への抵抗が強いメインストリームの顧客にもアプローチがしやすく、実績を積めば他の業界へも導入を広げていくこともできる。その意味でも非常に良く考えられた戦略商品と思う。

デモ終了後にラボの展示品をご説明頂いた。展示スペースは棚とハンガー、そしてテーブルと店内の一通りの什器が並べられており、常設スペースだけあって展示会のブースよりもリアリティがある。ハンディリーダーを使った棚卸を体験する際にも、「きちんと畳んである服を崩さないですむ点でもRFIDはバーコードより有利なんだ」ということは、こういう環境でないとなかなか体感できない。

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紙製のRFIDラベルや、スマートポスターの展示も。

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NFCだけではなく、UHFを用いたソリューションも視野に入れ、ブランドサポート全体をサポートするという意思がしっかり伝わってくる内容だった。アパレル分野向けのRFIDホールプロダクトの提供は世界的にもまだ始まったばかりで、決定版のソリューションは出てきていない。ぜひ成功して日本を代表するRFIDホールプロダクトを作り出してほしいな。

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2013/03/09

NFC & Smart WORLD 2013

3月8日の午後に東京ビッグサイトで開催されたNFC & Smart WORLD 2013を見に出かけてきた。

今年一番感じたことは展示会場全体の活気。NFC & Smart WORLDとしての展示ももちろんだが、隣接するリテールテックJAPANでもRFIDやNFCを使ったソリューションが多数展示されていた。特に大手ベンダーがトータルソリューションとして力を入れて展示しているものが目立ち、富士通でのビームスの事例、NECの蔦屋代官山店の事例など、現在の日本の代表事例が大きなパネルと説明員付きで展示されているのにはちょっと感動した。この分野でいよいよ勝負をかけられる、と多くのベンダーが考え始めたのだろうと思う。

もっとも、この活気はRFIDへの期待のみが理由ではないことには注意が必要だろう。店頭でのタブレットを用いた接客、顧客によるセルフオペレーション、O2Oなどへの動きなど顧客の現場で起きている大きな動きが背景にあるもので、当然RFID以外の技術要素を用いたソリューションも多数展示されていた。今後この分野で行うソリューション提案はRFID以外の技術要素との競合を意識することが必須になるし、さらに言えば複数の技術要素を組み合わせることで今まで導入に踏み切れなかった顧客に「刺さる」提案が可能になるという側面もある。

以下、個人的に気になったソリューションについて簡単にメモ

【Pastel Plus RFIDソリューション(富士通)】

リテールテックでのRFIDソリューション展示の中で一番目を引いたのは富士通によるビームス事例の紹介だった。ポスターやサンプルの展示だけではなく、多くのビームス側の関係者が出演するソリューション紹介ビデオはとても説得力のあるもので勉強になった。

もう一つ興味深かった点は、ビームス事例でPastel Plus RFIDソリューションという統合ソリューションを全面に出してきたこと。ビームズやユナイテッドアローズなどのセレクトショップ大手が軒並み導入に踏み切り、キャズム理論で言うアーリーマジョリティー層が傍観を止め導入を検討する段階に入っているとすれば、その鍵は実績のある統合ソリューションの存在になる。富士通がこれの横展開に成功できるかにも注目したい。

【NFC PLUG(DNP)】

大日本印刷が出展していたNFC PLUGはシリアルI/Fを持ったNFCインタフェースモジュール(プレスリリース)。名前からはFeliCa PlugのNFC版という印象があるが、FeliCa Plugと違って不揮発のユーザメモリを持っており、これを使ったオペレーションを考えるとImpinjのMonza Z Duraに近いのかもしれない。不揮発のユーザメモリを無線とシリアルI/Fの両方で読み書きできるタグはさまざまな用途が想定されており(参考:ディップスイッチのRFID化)、スマホからアクセスできることで従来よりさらに広範囲な応用が期待できる。会場には最初の対応製品という肌センサーが展示されていたが、ヘルスケアに用途を限らず設備管理などにも販路を広げていきたいとのことだった。

現時点ではISO 15693とISO 14443 TypeBにそれぞれ対応したモデルを用意。普及したときの価格は数百円になるだろうとのこと。

【SMARTICS-V(TOPPAN)】

凸版印刷のブースでに出展されていた製品の中で興味深かったのがSMARTICS-Vという製品。暗号ではなく製造誤差を意識的に利用してチップの偽造を検出するPUF(Physical Unclonable Function)という機能を搭載している。この製品はエアインタフェースはISO 14443 TypeAに準拠している(つまり普通のスマホで読み書きできる)が、アプリケーションレベルで読み書きできる特定のデータが一定の割合で製造誤差によるエラーを返すようになっている。この特定のデータの読み取りをパラメーター付きで行い、その読み取り結果の各ビットが理論値と異なる比率を使って真贋判定を行う。エラーの比率は製造時の設定から計算され、タグそれ自身はエラーの比率に関するデータを持たない。よって、低コストでの偽造はほぼ不可能だし、チャレンジ&レスポンスを用いた判定なのでエミュレーターを使った偽装も困難だ。

チップの物理的特性を使った偽造防止のアイデアは以前からある。例えばアメリカのVerayo社も2008年に同種のコンセプトを用いた製品を発表しており(RFID Journal: PUF Technology Catches Clones)、またNXPもPUFに対応した製品を2014年に投入すると発表している(プレスリリース)。 ただ説明員の方の話によると日本市場への投入はこの製品が最初になりそうだとのこと。チップ価格はセキュリティ機能を搭載しないMifare Ultralightと同等にできるということだが、課題はこの種の偽造防止ソリューションの市場をどのように開拓していくかになるのではないか。

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2012/12/22

Mojix Star System最新バージョン説明会

先日IBMの横浜北事業所でMojix Star Systemの最新バージョンの説明会が開催され、参加することが出来たので内容について簡単にメモ。

Mojix Star Systemはフェーズドアレイアンテナにより指向性の高いアンテナを用いることでUHFパッシブタグの所在を空間内でピンポイントで読み取るシステム。2008年にMojix社が開発した製品で、日本ではIBMが代理店になっている。製品の基本的な特性については以前に記事を書いた(参照:Mojix STAR System (超遠距離Gen2タグ読み取り+高精度位置情報)Mojix STAR System続報(RFID Journal LIVE! 2008製品発表))。

その後4年が経っているだけに製品もバージョンアップがなされており、9月に日本でリリースされた最新バージョンはMojix Star 3000という(IBMプレスリリース)。以前のバージョンからの変更点は、受信機と送信機の接続がワイヤレスに対応した以外は接続できるアンテナ数の増加や消費電力の削減、アンテナの耐環境製の増加などの地味なもので、興味深いことにシステムの基本的なスペックは最初のバージョンからほとんど変わっていない。システムの基本設計が優れていること、そして利用者からのフィードバックが着実に行われていることの反映だろう。製品スペックそのものではないが、日本市場の特性に合わせ小規模構成での価格の引き下げも行ったとのこと。

デモ環境は実際にサーバ製品の倉庫として使われているエリアの一角に設置されてあり、倉庫管理システムのデモ版が動作している。

これがタグからのデータを読み取る受信機。この中にフェーズドアレイアンテナが格納されている。以前のバージョンからちょっと小さくなっている。

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下の写真の右側がタグに電力を供給する送信機。以前のバージョンより劇的に軽くなった。ケースはおそらく厚紙だけど、屋内で使うのならこれで充分なのだろう。左側にあるのがケーブル分配器で、これを使って以前のバージョンより多くのアンテナを接続できるようになった。

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タグが特定の位置を通過したときに確実に読み取りができるようにセンサーとの連動機能も提供されている。一般的な工学センサーもあるのだが、これはカメラ。画像を分析して読み取りが必要になったことを検知する。

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デモとしては地味だが僕が注目した点は、Mojix Star SystemとIBMの倉庫管理システムSterling WMSとを自社のミドルウェアWebsphere Sensor Eventsで接続している点。Mojix Star Systemは一種のRTLSであり、ゲート式リーダーやハンディリーダーと比較するとゲート通過や棚卸などの処理が大幅に異なる。その処理の違いをWebsphere Sensor Eventsで抽象化・吸収することで、倉庫管理システムからは統一されたインタフェースで接続できるようにしているのだ(参照:モノとインターネットをつなぐミドルウェアの条件(IBM Websphere Sensor Events))。これは、既存システムとの統合や複数の入力デバイスを併用するシステムの構築にとって非常に重要な機能であり、それを自社の環境で実証してくれていることは大きな意義があると思う。

日本企業はプロセスの地道な改善を重視するので、エリア内のタグ(品物や機材・従業員など何にでも付けられる)すべての位置をリアルタイムで収集するMojix Star Systemの機能は、「凄いけどどう使ったらいいか分からない」と思われがちだったのかもしれない。だが、昨今のビッグデータのブームで、リアルタイムの位置情報を収集・分析することが業務のブレークスルーにつながりうる、という考え方が、日本企業にも徐々に広まってきているのではないかと思う。2013年には日本でもブレイクして欲しいな、Mojix Star System。

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2012/03/08

NFC & Smart WORLD 2012

3月6日から9日まで東京ビッグサイトで開催中のNFC & Smart WORLD 2012に出かけてきた。期末の慌しい時期だと思うのだが会場はかなりの混雑。会場はリテールテックJAPANやSecurity Showとの共催で、NFC & Smart WORLD 2012エリア自体はかなり狭かったのだが、実際にはリテールにせよセキュリティにせよRFIDやICカードを使った事例が多数。しかもタブレットやスマートフォンと組み合わせた事例が多く、このジャンルへの関心の強さが伺われた。一方で意外だったのがNFC機能が標準搭載されるWindows 8を使った事例をほとんど見かけなかったこと。Consumer Preview版が出たので、もうちょっと何かあってもいいかと思っていたのだが。

【セミナー】

今回見ることができたのはホール内開催の30分セミナー2本。ある意味好対照な内容で非常に興味深かった。

〔おサイフケータイの現状と今後/フェリカネットワークス〕

おサイフケータイの現状を手際よく説明したもの。現在携帯のNFC機能を決済用に利用した事例はNFC Timesによると世界で181個あるが、日本以外の国ではすべてトライアル止まりで実用化されたものは一つも無い。このため、海外勢は日本でおサイフケータイが成功した理由を学びたいと本気で考えるようになったという手ごたえを感じていると。ただ、キャリアが主導しての標準化がやりやすかった日本と違い、欧米ではキャリアも端末事業者も多く、それらを束ねていくのは大変だと。個人的にはこの壁を破る可能性が一番あるのはiPhoneだと考えているけど、さてどうなることか。

その他NFCとフェリカとの関係だとか今後のロードマップだとかは既出のものが多かったが現状をよく整理できていたと思う。2013年ごりにdocomoからフェリカとNFCの両方のアプリをサポートする「フェリカプラス」対応機が出るというのは今回知ったので楽しみ。

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〔GS1モバイル/流通システム開発センター〕

あまりNFCとは関係が無い、リテール系の発表だったのだが、GS1でリテールB2C向けのソリューション標準化を行っているというお話。モバイルサイトを使ったトレーサビリティーや表品情報提供、クーポンの発行などは日本は個別企業が対応しているが、欧米では多対多の企業間で利用するために標準化をコード・自動認識技術・メッセージ・業務プロセスについて行っているとのこと。作業メンバーにはWal-Martやメトロ、クラフトフーズ、ネスレ、ジョンソン&ジョンソンなどどこかの業界で馴染みのある名前が並んでいるのだが、GS1での活動だしある意味当然か。標準化作業では当初日本企業のノウハウが期待されていたが積極的な参加が見られなかったので見切りを付けられたと残念そうだったが、個人的にはこの面子の中に日本のスーパーなり食品メーカーなりが入っても全然旨みが無いのでやむをえないと思う。中国やASEANの企業が噛んでいるなら別だけどね。

【展示】

〔アパレル小売店向けソリューション(東芝テック)〕
先日IT'S internationalに導入されたソリューションをデモ用に展示していた。棚卸部分はタブレットを使うなどその後の技術の進歩を踏まえて改善したが、POS部分はほぼ同じものとのこと。かなり洗練されたアプリケーションだなという印象。

〔NFCリーダー搭載業務用Androidタブレット(パナソニック)〕
パナソニックシステムネットワークスが7インチと10.1インチの業務用タブレットを出展していた(関連記事: パナソニック、Android 3.2搭載の企業向け堅牢タブレット「JT-H580VT」「JT-H581VT」(ITmedia))。いずれもいかにも業務用という無骨な外観がいい感じで、ToughBookでこの分野の経験を積んだパナソニックらしい。リーダーはNFCIP-2(ISO-21841)準拠なのでFelicaのほかにType A・Type Bを読めるが通常のHFタグを読むことはできない。お値段は7インチモデルで5万~6万円、ロットがまとまれば大幅値引き可能ということ。どこかで小売しないかな(笑)

〔IPCS bluetooth RTLSシステム (9solutions)〕
Bluetooth Low Energy(Bluetooth 4.0)を利用したRTLSシステム。タグの読み取り距離は20~30mで、ボタン電池で電池寿命は5年間。リーダーは各部屋に配置しメッシュネットワークで相互通信するのでコンセントさえあればネットワーク配線不要。位置測定は三点測量ではなくリーダーとの近接を利用するので「どの部屋に存在するか」ぐらいの精度になる。
単純にRTLSとして見れば導入工数が低く価格も手ごろなシステムということになるが、このソリューションの意義は何といってもbluetoothを使っていることだと思う。NFCの例でも分かるように、携帯電話でタグを読めるということはものすごいビジネスチャンス。タグの検知というだけならWiFiも条件を満たすけど、タグと携帯の間で通信をしようとなるとやっぱりbluetoothになるだろう。今後どのように進化していくか、とても楽しみ。

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〔RFID/NFC Real Touch Shop〕
八重洲に1月にオープンしたRFID/NFC Real Touch Shop、予想以上に反響があり、しかもその場で買って帰る人がとても多いとのこと。日本のRFIDシーンにちょっと自信を持てる話。NFCは携帯との絡みで使う人はこれからどんどん増えていくだろうけど、システムを(簡単なものであっても、プライベートなものであっても)作った経験のある人が増えることはきっとビジネスの拡大に繋がるはず。

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2011/12/23

TRONSHOW 2012

先週東京ミッドタウンで開催されたTRONSHOW 2012を見てきた。今回は会社帰りに立ち寄ったので講演は聴けず、展示ブースをを見学して帰宅。去年と比べて出展者が減り、出展しているブースも展示の内容が去年と同じ所が多く正直かなり寂しい。それでもハードウェアを中心に幾つか面白い製品を見つけることができた。

【富士通フロンテック】

リネンタグが好調な同社が出展していたのは書類管理用のラベルタグと検体容器用のタグ。いずれもGen2製品。書類管理用のタグは以前から商業化されていたもので、今回はシェルフリーダーと組み合わせた展示が行われていた。興味深いソリューションだと思ったが、実際のところはハンドヘルドを使ったソリューションが多く、シェルフリーダーを使った事例はあまり無いのだとか。

もう一つの展示品は検体容器用のタグ。小型のタグがピペットを巻くように貼り付けられている。イメージとしてはペットボトルのラッピングに近く、作業現場ではなくピペットの工場出荷時に貼付されると思われる。血液などの検体が入った状態でピペットを150本入りのトレイにセットし、専用の読み取り台で一括読み取りが行えるというもの。デモを見た限りでは読み取りが確実にできていることに加え、ピペットへの貼付がとてもしっかりしていることが印象的だった。このあたりのモノとしての作りこみの確実さが日本メーカーの強みだと思う。リネンタグと同様に国内外で成功してほしい。

【日立化成】

日立化成は各種のGen2特殊タグを展示していた。特に印象に残ったのがネジ型タグと溶接対応の金属タグ。ネジ型タグは名前の通りM8(ネジ径8ミリ)サイズのネジの形をしたタグで、ネジ穴にねじ込んで使う。僕の知る範囲では世界で初めての製品だと思う。金属部品にタグを付けたい、だが突起が出るのは避けたいという場合に非常に有効だと思う。通信距離は近接となっているがハンドヘルドリーダーで10cmぐらい離れた距離でも充分に読み取りできていた。現在はサンプル出荷の段階で、量産時の目標価格は500円とのこと。

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もう一つの溶接対応の金属タグはステンレス製の外装のもの。海外メーカーにも類似の製品はあるが、過酷な環境で利用する製品だけに日本メーカーの製品は安心できると思う。通信距離は50cm程度。量産時の目標価格は300円という。

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【SATO】

SATOは独自仕様のバーコード2種類を出展していた。1つはカラービットコード。ビーコア社が開発した技術をSATOがソリューション販売しているもので、提携自体はかなり前から行っていた。当初は本棚の書籍の一括棚卸をソリューションの目玉にしていた記憶があるが、今回出展されていた展示では反物の管理のデモを行っていた。反物のロールの断面にカラービットコードを貼付し、それをAndroidスマートフォンのカメラで読み取ることで対応する反物の柄を表示するというもの。リアルタイムで表示させることが可能で、ちょっとセカイカメラのようなARの世界が実現されていた。

もう一つはデジタルマーク。アメリカのデジマーク社が開発した電子透かし技術で、英数字10桁のシンボルをイメージの中に埋め込むことができるもの。画像・デザインに目視では分からないように埋め込むことができるというのは電子透かしの性質上当然だが、欠損やゆがみ、汚れ。特に煤の付着や表面の炭化に耐えられるというのが非常に面白い。カタログには1000℃まで耐えられるという耐熱ラベルとの組み合わせで製鉄所で利用する事例が紹介されていた。

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2011/09/04

自動認識総合展2011

8月31日から9月1日まで東京ビッグサイトで自動認識総合展が開催され、初日の8月31日に出かけてきたのでその報告を。

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【セミナー】

初日のセミナーは特別講演として聴講無料(だからこの日に参加した)。かといって埋め草的なものではなく、特に午後のものは外国のUHF帯RFIDの動向をリアルに知ることが出来る良い講演だったと思う。

〔700/900MHz帯の周波数再編について〕

総務省の担当者によるUHF帯RFIDの再編動向に関する講演。このテーマは震災を挟んだこともあり半年ほど動向を知ることが出来なかったので有難かった。講演としては周波数再編の背景の比率が高く、RFID新規格の内容やその導入スケジュールをもっと話してくれたほうが良かったと思ったが、これは人それぞれで感想が違うかな。

パッシブの新チャネルプランは免許局が4チャンネル(916.8、918、919.2、920.4MHz)と、周波数自体は少しずらしたものの欧州の新プランと互換性の高い形に落ち着いた様子(参考エントリ:ヨーロッパにおけるUHF帯RFIDパッシブ周波数変更議論)。ミラーサブキャリア方式をフル活用できるので通信速度が90kbpsから270kbpsへと向上した。この部分別途エントリを立ててフォローしたい。

〔災害非常時におけるRFIDの利活用〕

信州大学の先生による総務省の実証実験の報告。主なテーマは「瓦礫の下に埋もれた人間の位置をRFIDタグを用いてピンポイントで測定できるか」というもので、各種の瓦礫素材を通過してGen2タグがどの程度読めるかという実験の結果が発表のメインだった。大切なテーマだとは思うし、東日本大震災を受けたタイムリーなトピックだが、ちょっと内容が薄めだったかなとは思う、

〔UHF Gen2 RFID: Current use cases and future opportunities〕

ImpinjのCTOによる講演で、マーケット概況、利用アプリケーション、技術的な議論の3点からGen2の現状を説明する内容。この講演だけ聴けば世界でGen2が本格的に普及を始めていることが理解できるのではないだろうか。

マーケット概況としては、UHF Gen2は"Tipping Point"(製品が爆発的な普及に向かう転換点)を超えたと認識を示し、Gen2タグの出荷量が2007年の2億枚から2010年に15億枚に増加。その後2011年には28億枚、2012年に56億枚、2013年に112億枚と毎年倍々ゲームで増えていくことが見込まれているというVDCの調査結果、そのマーケットを牽引するのが個品レベルでのトラッキングであり、RFIDシステムとしての売り上げが2010年から2016年まで毎年30%で市場が拡大、2016年には8.2億ドルに達することが見込まれているというABI Researchの調査結果を紹介した。

利用アプリケーションについては、以下のようなものが紹介された。ほとんどはRFID Journalなどで公開済みの事例で、多くは当サイトのRFID World Watcher Monthlyで紹介している。これだけ数があるので一つ一つ特徴を説明していくと言うよりも幅広いアプリケーションで使われているということを事例全体を通して紹介しようとしたもの。

  • 宝飾店の店頭在庫管理(CLEOR)
  • レンタルパレット管理(日本パレットレンタル)
  • 医薬品向けスマートシェルフ(Terso)
  • 薬剤トレーサビリティ(Hanmi)
  • アパレルインベントリー(Galeria Kaufhof、トライアル?)
  • e-Seal(台湾税関)
  • マラソンタイム測定(ChronoTrack)
  • ビール自動サーバー(DraftServ)
  • 高機能ドリンク自動販売機(Coca Cola Freestyle)
  • 工具管理(CribMaster)
  • クリーニング
  • アイスクリーム店顧客向け在庫表示(Izzy's)
  • 食品トレーサビリティ(Metro)
  • 贈答品詰め合わせ(Gripo Disber)

最後の技術的な議論の紹介では、なんとUHF Gen2 V2.0という新企画の制定が進んでいるというという話が。それも可能性の議論ではなく、今年の10月にワーキングドラフトを公開して年内に最初のIPレビューを終了、2012年の6月には批准というスケジュールで動いているらしい。個人的にはそのような動きがあることを全く知らず、非常に興味深かった。現在のUHF Gen2と互換性を保ちつつ下記の機能が追加されるとのこと。

  • EAS機能 - EASとしてのデータ項目を追加
  • セキュリティ - 真正性の確認、データ読み書きのアクセス制限、データの暗号化をAESを用いて実装
  • ファイル管理 - ユーザデータを分割してファイルとして管理し、アクセス権を個別に付与する。

以前はEPC Gen3として少し噂が出てその後話を聞かなくなった話がこういう形で進んでいたのか。ファイル管理やAES対応の暗号化には相当の処理能力が必要なはずだが技術の進歩で対応できるようになったのだろう。すぐに対応製品が出てくるかどうかは分からないが楽しみだ。

〔欧米/APECでのUHF帯RFID導入最新動向〕

UPM RFIDのアジア担当MDによる講演。Wal-Martの導入プログラム、アパレル個品タグ付け、産業向けタグ、NFCタグの4つの分野のトピックが紹介された。

まずWal-Martの導入プログラムについて。アパレルでの成功を踏まえて他の商品への展開が計画され、ベンダーもそれに合わせて供給能力を拡張していたが、現状は景気の悪化により展開が足踏みしているとのこと。但し、展開計画は放棄・縮小されてしまったわけではなく、今年の第4四半期に電気製品のタグ付けが開始するなど、近いうちに再開されオリジナルの計画に追いつくと判断していると。

アパレル個品タグ付けに関しては、アパレルで使うタグとして紐で結わえるタグとハンガーに取り付けるタグ、そして商品に貼り付けるラベルと3タイプのタグが存在すること、そしてUPM RFIDはその3種類のタグのすべてに対応しているという話があった。

産業向けタグのパートで出てきたのが金属製の商品の個品管理。従来金属製品の管理には専用の金属タグを利用してきたが再利用しなければ中々コストが合わない。そこで、通常のラベルタグでタグ部分を折り曲げて浮かせたFlagタグを適用することで安価に管理が行えるという内容。正しいアプローチであり、またアイデアさえあれば必ずしも特殊・高度な技術は不要なので日本でもこの種のタグは展示会などで多数発表されているのだが、それがまとまって「金属タグでなくてもいいよね」という認識にはなっていないんだよなぁ。事例としては韓国の製鉄会社POSCOのものを紹介。薄板ロールなどすべての製品を対象に年間200万個のタグを貼付しているとのこと。

NFCについては、携帯電話にリーダーが内蔵され一般の消費者と直接繋がれる新しい市場が生まれるというのが主張の中心。2014年までにスマートフォンの20%、3億台がNFC対応になるとの見通しを示した。事例紹介はコンセプト的なものが中心だったが、Angry Birdsという携帯ゲームで関連商品のぬいぐるみにNFCタグを入れる事例が紹介された。

【展示】

今回は展示スペースは一部屋になった。スペースが年々減っていくのは淋しいが、出展している企業はしっかりした展示をしていたので残念と言う感じはしない。全般的にハードをそのまま出展している企業は少なくソリューションと絡めての展示、特にスマートフォンを使った展示が多かった印象。

Touch to Start KIT(クレスコ・アイディー)〕

個人的には今回の出展品の中で一番注目したのがこれ。USB接続NFCリーダーとNFCタグ10枚(EdyやSUICAもタグとして使える)、そしてExcelで開発が可能な可能なミドルウェアManica Excel Toolのセットで4,980円。個別のコンポーネントは従来から存在したものだが、これらを組み合わせてパッケージソリューションにした意義は凄く大きい。RFID業界の外にいる人にはコンポーネントを集めてきて動作検証して…ということ自体が相当の手間がかかるからだ。専用タグやSUICAをかざしてタグに応じたExcelマクロや外部プログラムを起動させるなんてことはノンプログラミングで出来るので、ユーザーの手持ちのSUICAを使ってタイムレコーダーやスタンプカードの置き換えなんていうのはすぐにでも出来るし、タブレットPCに接続すればインテリジェントなデジタルサイネージの出来上がり。個人的に特に使ってほしいと思うのはSNSとRFIDの連携が何か出来ないかと考えているSNS畑の人。SUICAとExcelを使うことで実用環境でのシステムが組めるんだから、アイデアを検証してRFID畑の人にフィードバックしてほしいなぁ。

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なお、パッケージされているミドルウェアManica Excel Toolは他のRFIDリーダーでも利用できる。デモ用のシステムを作ったりするのに非常に便利なので、使ったことが無い方はこちらもぜひ試してみてほしい。

レーザーピッキング(インスピーディア)〕

これはRFIDではなく画像認識システムとレーザーポインタを使った物品管理システム。棚に格納する箱やケースに二次元バーコードを貼付し、天井などに固定したネットワークカメラで棚を読み取ることで箱の位置を認識・記憶、特定の貨物の位置を知りたい場合には同じく天井などにコピーしたレーザーポインタで箱をピンポイント照射する。電子棚札と違って棚に配線を這わせたり棚タグの電池を交換したりといった手間が無いのが素晴らしい。

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また、画像認識システムは二次元バーコードの認識装置に差し替えることが可能で、例えば段積みされたパレットの枚数などを数えさせたりとかいうことも可能。平置きで通常の管理が困難な倉庫などでも大きなメリットが得られるのではないだろうか。

見えるRFIDタグ「スマートタグ」(アイオイ・システム)〕

電子ペーパーを搭載したRFIDタグ。個別の案件ベースで特注され実用化されていたのは知っていたが、一般向けに販売されるのはこれが初めてではないだろうか。電子ペーパー部分は文字だけではなくバーコードも表示させることが出来る解像度の高いもの。無線部分はNFCを使っており通信距離は数センチで、用途としては通い箱用の電子カンバンに特化している。せっかくの電子ペーパー機能なのだから遠距離からの書き換えが出来たほうが面白いと思うのだが、その種の用途は想像するよりマーケットが小さいのだろうか。電池寿命は書き込み1万回で、タグの単価は3,000円。

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2011/06/25

第三回T-Engineフォーラムシンポジウム「RFIDは、今どうなっているのか」

T-Engineフォーラムが開催するRFIDのシンポジウムが6月21に東京大学・山上会館で開催された(プレスリリース)。受け取った案内には「数年前からRFIDの市場が立ち上ると言われて久しい。しかし、最近の国内での報道では、RFIDの市場は盛り上がりが無いという論調が目立つ。しかし、実際には業務用途は着実に拡大しており、海外のスマートフォンではNFCリーダが標準搭載されるなど、RFIDは急速な広まりを見せている」という説明文があり、そういう認識でシンポジウムを開催するのであれば是非聞いておかなければいけないと参加することにした。シンポジウムは2時間強で3部構成。最初に坂村教授が基調講演を行い、続いてT-Engineフォーラムの参加企業が各種事例を発表、最後にパネルセッションという内容になっていた。なお、講演資料はこちらからダウンロードできる。

【基調講演】

実は相当偏向した現状認識が出てくるのではないかと構えて聴き始めたのだが、案に相違して基本的には現状を素直に説明する内容だった。もちろんT-Engineフォーラムとしてのポジショントークもあるのだが(本人が冗談めかして「これからポジショントークを始めます」と言っていた)、基本の知識ベースを共有した上でこの点は触れず別の点は踏み込んだ解釈をしている、というあたりが理解できる。日本からRFIDのビジネス上の動向を追おうという場合、海外ベンダーとの強い接点がある人以外はRFID Journalを丁寧に読むしか方法が無いので、真面目にやればやるほど認識が似てくるのだろう。

講演の要点は以下の通り、

  • 現在RFIDは日本では低調だが、海外では特定の用途で持ち直してきている
  • 世間一般の注目度の観点では、ガートナーのハイプサイクルでは2008年・2009年に幻滅期の谷の一番底にあり、2010年にはハイプサイクルで取り上げられなくなってしまった
  • Wal-Martは2003年にトップ100サプライヤーへのケース・パレットへのタグ付けを義務化し、2006年にはすべてのサプライヤーが対応するロードマップが描かれていたが、これは結局は実証実験であり取り組みは跡形も無く消えてしまっている。その最大の問題はタグのコストを納入業者に負担させるビジネスモデル。またプライバシー反対運動も逆風になった。
  • 一方、同時期に始まった国防総省の導入義務付けはうまく行っている。国防総省は、RFIDの導入により60%の労力削減に成功したと述べている。国防総省の取り組みはアクティブRFIDによるRTLSも含む総合的なものである。
  • 現在RFIDが利用されている分野の中心はアパレル。単価が高いためタグのコストを吸収しやすい。American Apparelなどが代表的な企業で、売上高の14.3%向上、在庫の15%圧縮、20~30%の作業量削減などで多くの企業が半年で投資を回収と発表している。但しこれは業務が未成熟だったためで、現在QRコードが業界内で「発見」されやっぱりRFIDで無くても良いのではないかという意見が出てきている。
  • RFIDの市場規模は日本ではここ数年300億円台(JAISA調べ)半ば、2009年を底に少し回復しているが大企業にとって魅力ある市場規模ではない。全世界での市場規模はIDTechEx調べによると2010年で56.3億ドル、うちアクティブRFIDが6億ドル。
  • 近年NFCの国際標準化がなされ、GoogleがAndroid 2.3でのOS対応や決済サービスの提供を行うなど動きが見られる、またUHFでは日本・EUなどで割り当て周波数変更の動きがある。これらに対応するためにはマルチリーダーライターが必要なのではないか。
  • RFIDは2008年に大きな新技術の種は出尽くした。現在マーケットを変えるインパクトを持つのは口から摂取可能なタグ。これは薬品への貼付が想定されている。
  • RFIDが今後普及していくための課題はクローズドなアプリケーションからオープンアプリケーションへの以降。ターゲットは明確だがどのようなアプローチを取るかが難しい。
  • 先進国ではクローズドなアプリケーションの需要はすでに飽和してしまっている。これに対してはInternet of Thingsの概念を導入し、クローズドなアプリケーションをオープンにつないでいくというのが一つの回答になるだろう。
  • 一方、中国は政府がバックアップしているし市場自体が大きいのでクローズド需要もまだまだ続く。しかしいずれオープン化が課題になるだろう。
  • オープン化にあたっての課題はRFIDデータのオープンクラウド化。書籍の万引き防止タグを蔵書管理に、薬品の流通管理タグを誤投薬防止に、といったことを可能にしていく必要がある。ここで問題になるのがデータのガバナンス。スキャンしたデータは誰のものかをクリアにするため、新たな制度設計が必要。
  • もう一つの今後の課題はコスト。絶対額自体はもはや大きな問題ではなく、どのように分担するかが課題。製品のライフサイクルの中で受益者が単一ならそこが負担すればいいが、今度は複数の受益者が応分負担することが必要になる。中国のような国では国家が貼付を強制できるが、日本のような自由主義経済ではデッドロックに陥ってしまうのではないか。

上記の大筋は同意した上で、個人的な疑問点・反論は以下のようになるだろうか

  • Wal-Martのサプライチェーンでの取り組みが失敗だったことには同意だが、それは経営面での失敗が主原因だったと理解すべきではないか。アパレルで個品管理が有効なのであれば剃刀の替刃でも有効であり、現にジレットなどのサプライヤーはその観点でプロジェクトに期待・支持していたがWal-Martは対応できなかった。コスト負担についてもSam's Club案件の中で修正が図られており、この知見をWal-Mart側のプロジェクトに吸い上げることは可能だったはず。
  • アパレル分野での利用がブームになったのはWal-Martの取り組みがきっかけであり、そこにきちんと触れないのはフェアではない。Wal-Martのアパレル部門が導入を成功させたということは、Wal-Martの現場ではRFIDの有効利用のノウハウが蓄積・咀嚼されてきたことを意味している。
  • 国防総省のRFID導入はアクティブRFIDを中心とした資産管理などのクローズド利用が中心であり、国防総省のMandateは成功したように説明するのはミスリーディング。
  • 先進国でクローズドなアプリケーションの需要が飽和したとは思わない。IDTechExのレポートでも、農業、図書館、生産管理など多くのクローズドアプリケーションで今後5年間にタグ出荷数が何倍にも拡大することが予測されている。
  • 「オープン化にあたっての課題はRFIDデータのオープンクラウド化」というのは昔から言われていた話。いろいろやってみてそのアプローチでは市場が立ち上がらないと分かった後にRFID業界関係者が散々苦労して今のクローズドなマーケットを開発し、特定ユーザー・アプリケーションだけで投資が回収できるようになったものを横展開するという形で次のステップに進もうとしている。そのあたりを無視してデータ共用が必要だと言われてもなぁ。

【各社事例発表】

事例発表を行ったのは下記の6チーム。

  • サトー
  • 大日本印刷
  • 凸版印刷、トッパン・フォームズ(共同発表)
  • 日立製作所
  • 富士通
  • YRPユビキタス・ネットワーキング研究所

各社の発表の持ち時間は10分ほどで、加えて発表の方向性・レベル合わせについても特に合わせてはいなかったようで、自社の単一製品の紹介をしたところもあればRFIDの市場動向全体を説明したところもあった。

その中で特に面白かったのは2社。1社は大日本印刷の万引き防止ソリューションで、店内で即座に万引犯を取り押さえることを望まない企業向けのもの。顔認識技術とRFIDとを組み合わせ、万引犯を検出した際に防犯カメラの顔情報をデータベースに登録し次回来店時に警報を出して警備員に監視させるというソリューション。技術的にもSI案件としても面白いが、よくもそこまで凝ったことを、という気も。

もう一つは富士通で、発表内容は富士通フロンテックのリネンタグや航空機用大容量タグを使ったボーイングとの整備システムなど。どちらも報道で良く知っていた事例ではあるが、本当に海外に目を向けてガンガン展開しているのだなぁというのが印象的だった。

【パネルセッション】

ここまでで時間がかなり押していて、若干慌しい雰囲気が漂う中パネルセッションの開始。坂村教授からいくつかお題が出され、それに答えていく進行が行われた。

最初の議題は「日本ではどれぐらい使われている」というもの。これは、日本ではセキュリティや生産管理の事例が多く、こういった事例では利用方法だけではなく利用していることすら外に見せたくないと言われることが多い。結果として存在感が非常に薄くなっているということがある。また、タグベースで見た場合の金額は知れているが、SI案件の中のツールとして使っているのでその視点からの存在感はあるという指摘があった。

2番目のお題は「高度化・他の技術との結合」。これについては、出席したメーカーの中で量産・標準化を市場攻略の軸にしようという企業は皆無。基本的にどこも大企業であり、タグだけの販売をビジネスにしようとすると1億枚ぐらい出ないと話にならないという規模感を持っている。必然的にSI案件の一部としての売り方になり、そうなると案件を進めていく中で必ずしもRFIDを使うわけではなくバーコードや監視カメラを使った方が良いというものも混じってくる。

最後のお題は「RFID普及にはどうすればいいか」。これについては、日本の事例は確かにそのまま公開できないものが多いが一般化・抽象化すれば外に出せるものも多く、そういったものをきっちりPRしていくことが重要というコメントがあった。また、コストパフォーマンスが上がっているもののソリューションとしてのイニシャルコストが高いため、イニシャルコストを下げて導入しやすくすることが必要という指摘もなされた。

今回は定員100名のところ補助椅子が出るほどの大賑わいだった。このシンポジウムが日本でのRFID再認識のきっかけになればいいが。でも日経BP社が特別協力したのに記事が掲載された様子が無いんだよなぁ…。

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2011/05/14

RFIDソリューションEXPO 2011

今年も5月13日にRFIDソリューションEXPOに出かけてきた(参照: RFIDソリューションEXPO 2010)。会場についてみるとあまりに混雑しているので驚く。ビッグサイトの展示会で男子トイレに行列が出来ているのなんて初めて見た。クラウドやスマートフォンなどのホットなトピックとの共催だったからだろう。RFIDソリューションEXPO自体は講演・展示共に去年よりやや小粒。大手企業の参加が減ったという印象を受けた。

【講演】

RFIDソリューションEXPOとしての講演は2本。事例講演とRFID動向講演がそれぞれ1時間ずつ。大きな講堂がかなり埋まる(おそらく数百人)盛況だったのだが、個人的には不満の残る内容だった。特にRFID動向講演は5年以上前の実証実験と最新の事例をごっちゃに紹介していて、現在RFID業界が取り組むべき課題についてマーケットの視点でも技術の視点でも絞り込めていない。海外の動向を踏まえれば総花的な紹介はもう求められていない段階になっていると思うのだが。

【スマートフォン対応】

今年の展示で一番目を引いたのはスマートフォンを使った展示だった。このアプローチには2つあり、一つがAndroidがサポートしたNFC機能を活用し、NFCタグを利用してAndroid端末(Nexus Sとか)で読み取りを行わせるもの。もう一つがリーダーをBluetooth対応としてスマートフォンに接続させ、従来のハンディリーダでの処理をスマートフォンの側で行わせるもの。

NFCタグとNexus Sを組み合わせたソリューションで面白かったのは、旭テクネイオンが出展していたシステム。試験管に入れた検体の管理にNFCタグを用いるもので、ガラス瓶とプラスチックのミニ試験管の二重構造にし、その間にNFCタグを挿入していた(写真で説明できないのが残念)。

Bluetooth対応のUHFリーダーは何社かが出展していた。おおむね10万円程度の値段で、朝から夕方まで運用が可能な動作時間というのが共通の仕様。特に目を引いた製品はCEYON Technologyが出品していたSKY900BLUという製品。88mm×63mm×9mm、75gというスペックは首掛けの社員証とほとんど変わらない。現場の作業者はどのみちスマホを持つとすれば、このサイズのリーダーを追加するだけでRFIDの読み書きが出来るということになり、新たな利用シーンを考えることが出来るかもしれない。

【金属対応UHFタグ】

UHFの金属タグもさまざまなタイプの製品が出荷されていた。去年も出展していた日油は超小型金属対応Gen2タグTAGATの最新ラインを出荷。Tego社の大容量チップを用いた航空機部品用の製品ライン900G・1089Gがラインナップされていた。最初から航空機部品をターゲットとしていたとのことなので、本丸に対応した製品が出てきたのはめでたいこと。

薄型という点では、大日本印刷が0.5mm厚でラベルプリンターへの直接印字ができるという製品を出展していたのが目を引いた。読み取り距離は最大13mmとのことでほとんど接触読み取りになるが、上に述べたようなハンディタイプのリーダーで読み取るのであればこの距離でも充分でバーコードよりも優位なソリューションは多数あるだろう。

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そして、個人的に一番インパクトがあったのがプロビデント社が出展していたメタルアタッチ。まずは写真を見てもらいたい。

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この手があったかー。ラベルのタグ部を浮かせるというアイデアはすでに多くの製品で実現されているが、こういうシンプルな方法で実現できるとは。頼りなげに見えるが糊が強力でラベル表面もコーティングしてあるため屋外利用に耐えるとのこと。建設資材の管理などにとても有効そうだ。

【その他いろいろ】

新日本電波吸収体が透明な電波吸収パネルを出展。従来も乱反射タイプであれば透明なパネル・シートはあったのだが、これだけタグ・リーダーの感度が上がってくると乱反射が他のリーダーに妙な影響を与えかねない。選択肢が増えるのは助かる。

日立ハイテクは光るICタグを展示していた。昨年はクレスコ・ID・システムズが同様のシステムを出展していたが、日立ハイテクの製品はLFとのこと。日本でRFIDが現場に受け入れられる切り口の一つが動作の可視化だと個人的には思っているので、複数の製品が出てきて「光るタグ」という製品コンセプトが広まることは非常に重要なことだと思う。

富士エレクトロニクスはFRAMメモリを持つGen2チップを用いたセンサータグを出展。この分野で先行するPowerTMPに比べて通信、特に書き込み早いという特徴を持つ。FRAMメモリをうまく使えばもっと面白いことも出来るんじゃないかな。例えば、電子機器に組み込んでファームの設定を物流センターの出荷ラインで書き換えてしまうとか。

DOWAエレクトロニクスはフレキソ印刷を用いたUHFタグアンテナの事例を多数展示していた。先日のエントリ(インレイ不要のスマートラベル製造プロセス)で書いた凸版印刷や大日本印刷の事例はどちらも同社の技術を使っているとのことで、ラベルだけではなくダンボールへの直接印刷のサンプルも展示。特に面白いと思ったのは、チップを埋め込んでタグにするのではなく他のタグのブースターアンテナとして利用させるという利用法。いろいろ面白い使い方ができそうだ。

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