2009/11/16

カード関連ビジネスの現状と将来展望2009 / 富士キメラ総研(著)

富士キメラ総研が作成した調査レポート「カード関連ビジネスの現状と将来展望2009」を読む機会があった。RFID全般ではベンダーの多くが海外企業であり、日本の調査会社はどうしても市場動向全体をカバーしきることは難しいのだが、この調査レポートはテーマがICカードに絞られているということもあってか必要な情報がみっしり詰まり「ここはもっと突っ込んで書いて欲しかった…」と感じる部分がとても少ない出来になっていた。

このレポートがカバーするのは決済サービスから各種のICカードソリューションとその周辺分野であり、特に周辺分野に踏み込んで書かれているのが非常に役に立つ。例えば決済サービスについてはクレジットカードや磁気プリペイドカードなどの競合商品、また利用先としてECサイトやオンラインゲームなどのオンラインビジネスが取り上げられている。企業事例も丁寧にポイントを突いて書かれており、どの企業がどのような戦略を持ちどのような分野に注力しているのが分かる。ICカードの世界は成熟しており、技術的な知識を元に対象分野を横串で見ることが難しいので、このような資料は「ICカード業界」という全体像を把握するために非常に有益だ。

先日のエントリでも触れたNECによる「かざす」ソリューションの中でのICカードと通常のRFIDタグとの利用の融合、また携帯電話用NFC機能の標準化とそれを受けたすべてのNFC規格に対応したチップの登場など、SUICA・Edyやおサイフケータイなどで良くも悪くもガラパゴスと思われていた日本のICカード業界にも動きが始まっているように見える。異分野からの新規参入者を迎え撃つのか、あるいは標準化をバネに外部にうってでるのか、いずれを選ぶにせよ足下の日本の現状を理解しておくことは非常に重要だろう。

10万円という価格は安いものではないが、この種の調査レポートとして入魂の出来だと思う。この分野のビジネスに興味のある方はぜひ目を通して欲しい(詳細な内容説明と申し込み・問い合わせ画面へのリンク)。

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2009/06/26

Location Estimation in a 3D Environment using RFID Tags / Adwitiya Jain (著)

AmazonでRFID関係の洋書を検索していて、RTLS関係らしいタイトルに惹かれて注文した本。到着してびっくり、何と修士論文をそのまま本にしたものだったのだ。「そのまま」とは文字通りの意味で、ぱらっとめくってみたらサインが3つ書いてあったので何かと思ったら指導教官のApproval Pageだった(笑)。

タイトルの通りRTLSによる屋内の3D位置検知をテーマにした論文で、「リーダー3つとリファレンスタグ、TOA方式のRTLSシステムの数値解析」「リーダー4つ、RSSI方式のRTLSシステムの実験結果」の2つを軸にして書かれている。どちらも内容のレベルは修士論文相当のもので、実務家がわざわざ読む内容ではないかもしれない。

調査の部分も正直微妙で、2006年に書かれた論文なのに実用のRTLSシステムとしてはWhereNetもAeroscoutもEkahauも出てこずSpotOn・Landmarcという僕が聞いたことが無い製品がリファレンスになっている(もっとも、大学・研究機関向けに使いやすいキットやライセンスを出している会社かもしれず、実務家の視点で普及度を評価するのはフェアでないかもしれない)。

文献調査の部分では知らなかった資料の存在を知ることもできたし、無料でダウンロードできるのだったら読んでもいいとは思うのだが、68ドル出して買うものじゃないだろというのが正直な感想。だいたい、屋内RTLSの論文なのに表紙が天体観測用のパラボラアンテナというのは詐欺だろう(苦笑)。RTLSの資料を探している人はご注意を。

ISBN-10: 3639074629 / $68.00

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2009/03/29

RFID 100 Success Secrets / Rick Thomas(著)

本書は奇書である。タイトルの通りRFIDに関するQ&Aを100個まとめた本なのだが、内容が極端にぐだぐだなのだ。そもそも100個の記事の間で内容が重複しまくっているし、出てくる話題を確認できるソースも全く付与されていない。事実関係もめちゃくちゃで、プリンテッドタグやサプライチェーンでのアイテムタグ付け義務化が現実の話として書かれていたりする。かといってRFIDについて良くも悪くも何か思い入れがあり、その思い入れに沿って情報の誇張や歪曲が行われている(例えばSPYCHIPS)という訳でもない。全般に5年ほど前のWal-Martがらみのブームの時に世間に流布した俗説を元にしていて(でも出版は2008年なのだが)、RFIDについて特に興味は無いけれど何か意見を述べなければいけないという立場の人が一般紙の記事だけをソースに書き飛ばしたという感じなのだ。

どういうシチュエーションでこういう文章を書く機会があるのか、と思ったが、本には出版の背景とか著者の説明とかもまったく含まれていない。ただ、何となく投資関連の場(業界紙とかセミナーとか)で発表されたものではないかという気がする。固有名詞があまり出てこない中に会社名だけは出てくるのと、投資状況に関する記事が多かったというのがその理由。もっとも、そういう記事をなぜ本にまとめようかと思ったのかという肝心な点は謎のままなのだが…。

そういう訳でこの本には実用性は全く無い(Amazon.comに書評が2つ載っているがいずれも☆1つ)。反面教師としての価値さえないのだが、ただ実は暇つぶしとしては実は結構面白かったのだ。一つ一つのQ&Aは短いのでさらっと読めるし、そういえば昔はこういう風な印象を持たれていたなぁというのも昔の風俗をながめるように楽しめる。マニア向けにはお勧め(笑)。

ISBN 098051360X / $19.95

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2009/02/13

Smart Packaging Technologies for Fast Moving Consumer Goods / Joseph Kerry他(編)

RFID業界で「スマートパッケージ」というとRFIDタグを持つパッケージのことなのでそのつもりで買ったのだが、届いて目次を見てみると高機能パッケージ全般を扱った本だった。全体で300ページ強のうちRFIDを扱っているのは2章・44ページで、残りは酸素や二酸化炭素の吸収体とか発熱するランチボックスとかを扱っている。

だがRFID関係の2章は結構面白かった。一つ目の章はRFID概論で、ミシガン州立大学梱包学部の教授が執筆している。RFIDの専門書ではないのでかなりの部分が一般的なRFID概論になってしまうのは仕方がないのだが、それを差し引いてもタグやリーダーではなくシステムとしての読み取りに注目する視点が新鮮だ。例えば、パレットの上にケースを積んでいくときに、積み方によって読み取り率がどう変わるかをかなり丁寧に説明している。また、章の後半には小売業の環境を想定したテストと結果を載せていて、製品材質やパッケージの材質・形状よりもコンベアの速度が強く効いてくるとしている。結論を当然と思うかどうかは別として、RFIDベンダーが作るレポートでは案外おざなりにされる視点なので面白かった。

もう一つの章はRFIDベンダーAvery Dennisonの社員によるMarks & Spencerの事例説明。食品のプラスチックトレーを13.56MHzタグで管理する事例と、衣料品のアイテムタギングをUHFタグで行う事例とが紹介されている。どちらも既発表の事例だし、特に目新しい情報も含まれてはいないのだが、写真や図表が多く目で見てなるほどと思えるのが良い。

とはいえ、結構高価な本なのでRFID部分のために買ってくださいというほどでもないかなー。本を買うときはしっかり紹介文を確認しましょうということで。

ISBN: 0470028025 / $180

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2009/01/30

RFID Design Principles / Harvey Lehpamer(著)

注文した時点では気が付かなかったのだが、この本は授業で使うことを前提とした教科書だ。各章ごとにきちんと問題が付いているし(但し回答がある類のものではない)、リファレンスもきっちりしている。出版元のArtech Houseは無線関係では定評のあるところらしい。

内容は無線工学の知識を持つ人間がRFIDの製品設計に踏み出すにあたっての知識を提供するもの。特定の規格・仕様は説明はあるが設計の前提としておらず、電波やアンテナ、プロトコルを素の状態で考えて行くことを想定した内容になっていると感じられた。業務への応用についてはさらっとは触れられてはいるが補助的なもので、どういう風に使われているかが分かれば興味が広がる、という程度。

電波工学の知識の無い人間が読み物として読めるかというと、半分ぐらいはそういうレベルの話だし視点が面白い部分も多いが、英語の本に取り組むのなら先に読む本があるのかな、という感じだ。

反面、第4章・第5章を設計を中心とした部分は数式がガンガン出てくる本格的なもの。一般向けのRFID業界紙の技術記事はそこそこは読んではいるが、研究対象としてRFIDを見る場合にはこのあたりが注目されるのか、という記述がぽろぽろ出てくる。タグ・アンテナといったハード部分、電波の利用方法、通信プロトコルなど、対象となる技術の範囲も幅広い。この種の書籍は今まで無かったので価値の高い存在だと思う。

大学で電波工学を専攻していて既に一通りの知識を学び、論文のテーマを探している、というような学生さんが直球ど真ん中の読者だろう。一方、実案件に対峙しているエンジニアだと、具体的に知りたい部分が少なくいささか議論が発散していると感じるのではないだろうか。既存の規格・製品の中での利用というのであれば"Design and Optimization of Passive UHF RFID Systems"や"The RF in RFID"の方が即戦力になるのではと思う。

RFIDで卒業論文・修士論文を書きたいと思っている学生さんにはぜひお勧めしたい。

ISBN: 1596931949 / $99

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2009/01/06

Sam's Club's EPC RFID Tagging Requirements / RFID Journal(編)

Sam's Clubの個品タグ付け義務化に対応するサプライヤーへのサポートを目的としてRFID Journal誌が発行したガイドブック。本書は2008年に開催された展示会EPC Connection 2008の参加者に配布されたものだが、現在は同誌のオンラインストアで購入することができる($999とそれなりの価格であるが)。

タイトルに相違して、このガイドブックはSam's Clubの要求仕様について僅か(2ページ)しか触れていない。Sam's Club自体が発行したのでは無いにせよ公式のガイドブックと言ってよい性質の文書であり、要求仕様の全容を解説することは必要だと思うのだが、同社の秘密主義によるものなのだろうか。あるいは本当に要求仕様が簡素なものであるのかもしれない。Wal-Martの導入義務付けに際しては読み取り距離やベルトコンベアの速度について詳細な仕様が提示されたが、その後製品の多様化・性能向上があり、製品を指定しない仕様の意味は低下している。

このガイドブックの中身は大きく分けて二つ、対応案の導入手順と商品ごとのタグ取り付け方法・留意点である。どちらのセクションも充実した内容になっている。

導入手順のセクションで最初に説明されるのは対応案のオプションである。本書では以下の5種類の方法が提示されている。

  • Slap and Ship (スタンドアロンのシステムでラベルを印刷し、手で貼り付ける)
  • Slap, Verify and Ship (上記に加え、出荷時の検証にRFIDタグを利用する)
  • Integrate and Wait (上記に加え、スマートラベル生成部分を出荷システムと統合する)
  • Automated Tagging (上記に加え、タグの貼り付けを自動化する)
  • End-to-End Integration (EPCISを利用した自動発注など、RFIDデータを全面的に利用する)

RFID Journal誌の立場では当然後者の方法ほど望ましいことになるが、本書については可能な限り各案の得失を公平に論じようとする姿勢が伝わってきて好感が持てる。導入手順についても企業規模や対象商品の特性に応じたプロジェクト管理方法、タグを取り付ける方法(自社でのラベル貼り付けだけでなくタグ入りの段ボール箱の購入やタグ貼り付けのアウトソーシングなど)、また業務システムとの統合方法など、さまざまなオプションが提示されている。個別のオプションの解説はさほど詳細ではないが、カバーされている範囲が広いため「こういう選択肢を忘れているのではないか」という心配に対応するにはうってつけだ。

商品ごとのタグの取り付け方法も実に幅広い品目をカバーしている。こちらも広く浅く式の記述になっていて、定量的な性質を深く掘り下げているわけではない。また、記述が品目ごとに完結するようになっていて、全体を読み通そうとすると重複する部分が目に付く。だが、記述はきわめて実践的なものだ。「木炭は炭素を含むため電波を吸収する」「シリアルの紙パックは読み取りに障害が無いように見えるが内袋がアルミコーティングされていることがあり注意」「スプレー缶はたいていプラスチックのキャップが付いているのでそこにタグを取り付けることができる」といった、実験すれば分かることだが事前に知っていれば無駄な手数を省くことができる知識が満載だ。また、「金属缶は中身が何であろうと読み取り特性に影響は無い」「ビン類ではビンそのものの素材や厚みは読み取り特性にあまり影響せず中身が重要」といった、うすうす判ってはいてもきちんと書いてくれると安心できるという知識も多い。

サプライヤーが実際に導入する際の手がかりとしてもさることながら、Gen2システムのSIベンダーの立場から、全般的な知識を広く浅く付けるにはうってつけだろう。この種の知識をまとめた資料としては現時点で他に類が無いものと評価できる。100ページ強の資料に999ドルは、と思うかもしれないが、値段なりの価値はあると思う。

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2008/12/25

RFID in Logistics / Erick C. Jones他(著)

商売柄タイトルに惹かれて買ってしまった本なのだが、結論から言うとRFIDのロジスティクスへの応用可能性について知りたいという目的は果たせなかった。この本はネブラスカ大学の教授が講義をまとめるという形で書いた本なのだが、単一のクラス向けの統一された教材となっているわけではない。むしろ、テーマがバラバラな複数の単発コースの教材をまとめ、テーマ別に並べ直したのでは、という内容になっている。特定の商品の紹介だとか、ロジスティクスとは関係の無い導入事例とか、そういったものが無造作に並んでいてかなり読みづらい。

そして、唯一理論的にまとまっている部分のテーマはロジスティクス全般ではなくサプライチェーン、それも在庫・発注管理である。紛らわしいことをせず、タイトルに"Supply Chain"と入れれば良かったと思うのだが、"RFID in the Supply Chain"という本が既にあるので被ってしまったのだろう(その本もぱっとしない内容だったが)。この部分は特に目新しい部分は無いものの必要な論点を手際良くまとめていて、目を通しても悪くはないかなという内容なのだが、該当する部分は45ページ(pp109-154)と500ページ強という全体ボリュームの1割以下。

それ以外の記事も部分部分では読むに耐えない、という内容ではないのだが、類書と比べてキラリと光るというわけでもない。わざわざ買うまでもないかな、という結論。余談ながら、この本の前に書いた2つの書評はドイツ人の大学教授が書いた本についてで、この本よりもかなりレベルが高い。ドイツ人の学者というのはさすがに偉いものだと思う。

ISBN: 0849385261 / $119.95

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2008/11/26

RFID for the Optimization of Business Processes / Wolf-Ruediger Hansen他(著)

少し前から取り組んでいた本だったのだが、考えていたより読了まで時間がかかってしまった。B5版で280ページ、本編は250ページ強とさほどのボリュームではないが、良い意味で非常に重厚な内容で速読ができなかったのだ。

本書の内容はタイトルから想像できるとおり総合的なもの。RFIDの技術要素からセキュリティ、業務への応用の可能性や実際の導入事例などがカバーされている。本書が類書から明らかに優れている点は、業務への応用の可能性が丁寧に論じられている点だ。この程度のボリュームの参考書では業務への応用例に割かれるページ数は多くなく、販促パンフレットのような表面的な内容で終わっていることが多い。この部分の内容に見るべき点がある書籍では、現場のリアルな視点が含まれていることがその評価の理由になっていた。本書がそれらの書籍と違う点は、販売やマーケティング、生産管理などを理論と比較して丁寧に解説している点。これらの分野の勉強をした人であれば頷きながら読み進めることができると思う。ちなみに理論解説のモデルケースとして以下の3つの分野が利用されている。

  • Retail and Consumer Goods Industry
  • Packaging Industry
  • Container Systems and Returnable Transport Item Systems

反面、RFIDの技術解説やセキュリティなどは普通の内容。類書に比べてレベルが低いわけではないから一度じっくり読んでおいてもいいが、同様の内容の書籍を読んだことがあればざっと目を通すだけでよいと思う。前半100ページのためだけでも購入する価値はある。

ISBN: 0470724226 / $90.00

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2008/09/24

RFID in Manufacturing / Oliver Gunther他(著)

製造業のRFIDの利用は外部からでは様子が窺い知れない。特に製造現場での利用方法は各社の競争力に直結する企業秘密だという意識が非常に強いのではないかと思う。サプライチェーン業界やヘルスケア業界で行われているような事例のオープンな分析は行われていないし、業界紙の記事を読んでみても技術的な工夫は分かるが業務の中での位置付けがいまひとつ見えてこない。そんな問題意識を持っていたところにこの書籍がRFID Journalの書評で取り上げられているのを見つけ、早速注文した。この本はドイツの大学教授とSAP・HYDRAというソフトウェア会社の研究者の共著になっている。SAPについては説明は不要と思うがHYDRAというのは製造実行システム(Manufacturing Execution Systems, MES)の大手らしい。検索してもあまり日本語の記事が引っかかってこないのであるいは日本では広まっていないコンセプトかもしれないが、ERPと生産制御システムの橋渡しをするアプリケーションのことらしい。

この本はB5サイズで150ページほどと非常にコンパクトにまとまっている。SAPやHYDRAを導入済みの、主に自動車部品業界のドイツの製造業6社のケーススタディーの結果を踏まえて製造業でのRFIDの利用方法を考察する、という構成になっている。上に書いたように製造業でのRFID利用の具体的な動向を知りたいというのが購入の目的だったのだが、その意味では期待が外れた。導入にあたっての具体的なノウハウや、数値に基づくコストや利益の説明はほとんど含まれていない。かなり概念的なコストの構造や導入のメリット、またバーコードについての比較などで、正直なところ読み終わって何か身に付いた、という感覚はなかった。

が、考え直してみるとこういう書籍こそがまさに求められているものではないか、ということに思い至った。現時点では製造業へのRFID導入のメリットは上に述べたようにほとんどオープンに語られておらず、これは言うまでも無く導入の大きな障害になっている。そうであれば、議論のフレームワークをまず作り、その上に公開可能な情報を積み上げていくことが必要なのではないか。この書籍はそのための情報はきちんと提供している。製造業での社内利用が先行していると言われる日本にこそ、本当はこの種の書籍が必要なのかもしれない。

ちなみに、この本が提示している製造業でのRFID導入メリットは以下のようなもの。製造業全体をカバーするのであればやや偏っているかもしれないが、それなりに広い範囲を見ようとする意図は感じられる。

  • 作業対象からのデータ読み取り(スキャン)の高速化
  • 品質改善・作業効率化のためのデータ読み取りの拡大
  • リコール対象の限定のためのデータ読み取りの拡大
  • 紙でのデータ管理の削減
  • アセット位置管理の自動化
  • バックエンドシステムへのアクセスの削減
  • ラベルの統一

ISBN: 3540764534 / $59.95

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2008/08/08

Networked RFID Systems and Lightweight Cryptography / Peter H. Cole他(著)

オートIDラボに属する研究者の論文を集めた書籍。このタイトルだけだとちょっと内容が分かりづらいが、サブタイトルには"Rising Barriers to Product Counterfeiting"とあるように、基本的にはRFID技術を用いて偽造にどのように立ち向かうかがテーマになっている。論文集とは言え、RFIDやEPC Network、セキュリティの基本についての記述もあり、また偽造防止とは表裏の関係にあるプライバシーの問題についても一章が取られている。

Lightweight Cryptographyと言う用語はあまり馴染みの無い用語だが、掲載された論文の一つに定義がされている。リソースの制限が厳しいデバイスでの動作を目的とした暗号で、なおかつ充分な強度を持ったものだという。僕の基礎的な暗号の知識では強い暗号は多くの演算を要求するはずなので、はて手品の種は何だろうかということをまず最初に思った。結局は、ハードウェア処理が簡単な転置処理を多用すると共にソフトウェア的なリソースを消費する要素を小さくすることで、リソース制約下で充分な強度を持った暗号を扱うということらしい。それらしいプレゼンを見つけたので参考に置いておく(pdf)。

もっともこの書籍に掲載されている論文はLightweight Cryptographyのものばかりではない。業務・アプリケーション設計による上位での対策や、ノイズを用いた品質の高い乱数の生成まで、いろいろなソリューションが含まれている。もちろん論文なのでかなり敷居は高いのだが、興味のある技術トピックがあれば最先端の研究者による興味深い世界が広がっているだろう。そこまでの興味は無いという人も、冒頭30ページのサマリーを読むと各論文の内容が手際よくまとめられているので現在のセキュリティー問題を見渡せる有益な知見を得ることができると思う。

ISBN: 3540716408 / $79.95

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