RFID Journal 抄訳 2018/09/28号
今週はいろいろ興味深い記事が並びました。
一番楽しかった記事はフィギュアや絵葉書を使って子どもたちが博物館のコレクションに触れることができるという特集記事。Museum in a Boxというこの製品は、現在Raspberry Piベースの試作機を使ってトライアルを実施しているとのこと。試作機のちょっとレトロな感じが可愛らしいです。
編集後記はAppleのNFC開放の件。RFID業界にとってはとても良いニュースなのですが、記事の筆致がかなり抑えた感じなのは、今までのAppleの迷走に対して思うところがあったのかもしれません。
偏頭痛の電気治療機材の利用管理にICカードを用いる事例。面白いとは思いますがどうも大仰な気がします。何か隠れた要件があるのかもしれません。
なお、元記事はこちらになります。
RFID Controls Headache Pain Treatment
医療機器メーカーのElectroCore社は偏頭痛の治療器材GammaCore Sapphireの利用管理にRFIDを利用します。この器材は薬物投与の代わりに電気刺激で偏頭痛を和らげるもので、過剰利用の防止と課金のために毎月利用回数を購入する仕組みになっています。同社はHFパッシブタグを内蔵したカードを患者に販売することでこの管理を行っています。
Utility Services Company Tracks Construction Tools via RFID
Pike社はアメリカ全土で電力線の保守を行う企業です。同社の作業員はトラックに工具を積み込んで作業現場に向かいますが、作業現場に工具を置き忘れて行方不明になってしまったり、作業現場に到着した際に必要な工具が足りなかったり、という事態が生じていました。同社は工具にUHFパッシブタグを、トラックの荷台にリーダーを取り付けることで、必要な工具が荷台に適切に搭載されていることを確認するシステムを導入しました。
Smartrac Releases New Inlays, Including Retail's Smallest
Smartrac社はUHFパッシブインレーの新製品MiniWebとDogBoneを発表しました。これらのインレーはNXP Semiconductors社のUCODE 8チップを搭載しており、在来製品より20%高い読み取り性能を持っています。MiniWebのサイズは45mm×18mmと小売向けインレーとして最小であり、小さなアパレルや家庭用品向けにデザインされました。これらのインレーはサンプル出荷が始まっており、今年の10月中に正式出荷となります。
Steam Trap Sensor Provides Active RFID Without Battery
バッテリーレスセンサーを開発するベンチャー企業のPsiKickは、蒸気弁の動作状態を監視するアクティブタグを、蒸気による発電とコンデンサを使ってバッテリーレスで動作させる製品を開発しました。このセンサーは独自の2.4GHz帯プロトコルで動作し、メンテナンスを行わずに20年間動作し続けます。
- Tageos社のRFID製品が航空手荷物トラッキングの認証を取得
- Astrocast社とLeaf Space社が陸上基地型のIoTネットワークで提携
- Avnet社がIoT向けのギガビットFMCモジュールを発表
- Hippo Insurance社が顧客にスマートほーうセンサーを提供
- Vodafone社がNB-IoTネットワークの規模を2倍に拡大
- Cubic Telecom社が接続管理や疎通機能を持つIoTプラットフォームの提供を開始
- Taoglas社がマルチバンド対応のNB-IoT向けアンテナを発表
- Siemens社とFlutura社が産業向けIoTソリューションで協業
Apple Unshackles the iPhone's NFC Reader
Apple社はiOSの最新版でNFCタグの自由な読み取りをサポートします。iPhoneがNFCに対応した最初のバージョンではApple Payでしか利用できず、その後は同社が許可した特定のアプリケーションにのみ利用を開放していました。今回の修正により、マーケティングや情報提供などにNFCタグを利用することが容易になります。
How Businesses Prepare Professionals for Industry 4.0
インダストリー4.0の進展やジェネレーションZと呼ばれる20代社員の台頭により、企業が従業員に向き合う方法が変化しつつあります。企業が取るべき対応は、リモートワークへの対応、新技術のサポート、アイデアや経験を自由に交換できるフラットな組織、企業目標の明確な提示などです。
Dozens Piloting NFC-Driven Museum in a Box(有償記事)
ロンドンのベンチャー企業Museum in a Boxは博物館の展示物を訪問者以外に紹介するためのソリューションを提供しています。このソリューションは、展示物のミニチュアや絵葉書にNFCタグを貼付し、NFCリーダーとスピーカーを搭載した箱で読み取ることで、展示物の説明を読み上げるというものです。同社は現在Raspberry Piを使った試作品を用いてトライアルを実施中で、本格的な商業展開に向けてベンダーと話位を行っています。
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