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2016/12/31

2016年RFID十大ニュース

今年はRFIDの各分野で新技術に関わるニュースが目立った。ある技術では実現が困難だと思われていた用途で、利用の広まりを受けどうしてもその技術を使いたいというニーズが出てくることでブレイクスルーが起きることには感動するし、それだけ需要の厚みが増してきたということだと思う。

☆UHFパッシブRFIDの技術開発活性化

近年UHFパッシブRFID技術は読み取り精度や価格などの面で改良余地が飽和したように感じていたが、今年になりセンサー機能搭載チップの新製品が登場したり、三点測量などビームフォーミングとは異なる技術を用いたRTLSシステムの開発事例が報告されるようになった。Internet of Thingsを支える要素技術としての切り口から需要が出てきたのだろう。

☆Bluetoothを用いたRTLSの登場

従来Bluetoothは技術的にRTLSに向かないと言われていたが、スマホへの対応やビーコン利用の普及を受けてRTLSとして利用するための製品が登場し始めている。データ処理で精度を向上させるタイプ、UHFパッシブRTLSと同様のビームフォーミングで位置検知を行うタイプ(こちらは仮想的なビーコンを生成することもできる)などのタイプがあり、既存のRTLSを置き換えるケースが出てきている。

☆アクティブタグのバッテリーレス化

従来は電池を利用した駆動が当然だったWiFiやBluetoothタグで、電池を搭載せずに動作するものが登場しはじめている。太陽光や振動などの環境電池と二次電池を組み合わせたタイプは以前から存在するが、驚いたのは劇的に消費電力を削減させることで受信電波による駆動を可能にした、ほぼパッシブタグと同等といえる技術の登場。実用化にはもう少しかかるようだが。LANとパッシブタグが統合されることでどんなことが可能になるか、とても興味深い。

☆Macy'sのオムニチャネル対応

今年の(在来型の)RFID導入をリードした企業はMacy'sだろう。年初に発表されたオムニチャネル戦略とRFIDとの組み合わせは、定番品を中心とした店頭在庫切れ防止という従来の小売業RFID導入の主要目的からの転換を示すものだった。もちろん店頭在庫切れ防止が主要な導入目標であり続ける業種もあるが、導入目的の広がりを示すものではあったろう。

☆Amazon GoがRFID利用を表に出さず

一方で今年の年末に発表されたAmazonの無人店舗Amazon Goは、コンセプト動画などのプレスリリースで画像認識とディープラーニングを前面に出し、RFIDの利用にはまったく触れないものになった。小売店頭での自動認識技術の利用は、一つの技術があればすべての用途に対応できるという段階を超え、用途ごとに使い分けが始まるのだろう。これはRFIDの普及にとっても望ましいことで、ジェフリー・ムーアのキャズム理論にある通り、ある新技術はそれと同等の能力を持つ対抗技術ができるまでは本格的な普及が始まらないものなのだ。

☆デルタ航空が航空手荷物管理にRFIDを導入

今年のRFID導入のもう一つのビッグニュースはデルタ航空の航空手荷物管理へのRFID導入だろう。同社にとっては再チャレンジとなるが、そもそもIATAが2018年を期限に航空手荷物トラッキングシステムの導入を義務付けており、それへの対応という側面もある。デルタ航空の動きがきっかけで他の航空会社や空港にもRFID手荷物管理の導入が広がるか、2017年に注目したい。

☆NFC ForumでFelicaが必須仕様に

これは非常にめでたい話。日本のFelica関係者の地道な努力が実を結んだ結果と思う(器材の能力向上により従来は過剰スペックと思われていた仕様を標準製品で満たせるようになったという点も大きいが)。海外の非接触決済サービスが日本に入ってくるだけではなく、インバウンドなどで日本のインフラを海外ユーザーが使えるようになるよう、2017年はこの仕様に対応したグローバルモデルのスマホ、タブレットが多数登場してほしい。

☆ApplePayがSUICAをサポート

これも日本にとってビッグニュース。iPhoneの普及によって重要度が下がっていたおサイフケータイサービスの復権、再発展につながることは間違いない。一方でAppleがこのような譲歩を行ったことが同社にとって何を意味していたのかについては注意していく必要があるかもしれない。

☆Impinj社のIPO成功

Impinj社が6千万ドルのIPOに成功したことは、RFID業界の成熟を示す大きなメッセージだったと思う。CCL社によるCheckpoint Systems社の買収など買収による投資は今年も続いているが、IPOの成功はそれとは別の、RFIDをビジネスにする企業が自律的に利益を出していけるということへの投資家の信頼を示すものだと思う。

☆RFIDキャズムは越えたがトルネードには届かず

RFIDマーケット全体で見ると、導入事例や規模は着実に拡大し、アパレル分野などでは導入がメインストリーム市場に広がってきたため、キャズムを超えたとは言えるだろう。ただ、市場が一気に拡大し、ベンダーがそれに対応する製品の投入を迫られるトルネードはまだ始まっていない。マーケットに存在するホールプロダクトの数もまだ少ないし、ましてそのうちの一つがデファクトスタンダードになる様子も見えない。RFIDマーケットにはいつかトルネードが来るのか、あるいは現状のような普及パターンがこのままじわじわ続くのか。2017年にはそのあたりが見えてくるだろうか。

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