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2016/03/27

IoT機材での無線LAN省電力化の新たな試み

最近のInternet of Thingsの無線ハードウェア面での動きとして、現在利用されているWiFiを利用して劇的な省電力化を図ろうというものがある。

その中でも最も衝撃的だったニュースはワシントン大学の研究者チームが開発した技術「Passive WiFi」だろう。必要な消費電力を最大で従来の1万分の1程度まで減らすことが可能で、しかも現時点でIEEE 802.11bに準拠して通信が可能な試作品が完成している(Gigazine:Wi-Fiの消費電力を1万分の1まで減らす新技術「Passive Wi-Fi」でバッテリー長持ち・モノのインターネットが近づくかも)。魔法のようなこの技術の種はバックスキャッター。WiFiの信号波を供給する機材を別途設置し、Passive WiFiの機材は供給される信号を反射するタイミングとしないタイミングを制御することで通信を行う、というものだ。信号供給機材が必要とはいえ、例えば家庭内でワイヤレスセンサーからデータを取得する、というようなユースケースであれば十分以上に利用可能だろう。

また、BluetoothとWiFiを組み合わせ、Bluetoothをエキサイターに使って必要な時だけWiFiを起動させるための仕様、「Transport Discovery Service」がBluetooth SIGから提案された(RFID Journal:New Bluetooth Standards Could Be a Boost to the Internet of Things)。こちらは技術的にはさほど難しくはないはずで、独自実装であればすぐにでも実現できるだろうと思うが、Bluetooth SIGが標準化するというのが肝だ。ルータとして使われるスマホやタブレットなどはBluetoothとWiFiの両方に対応しているのが当たり前なので、標準化さえなされればすぐにでも利用が可能になるだろう。

このようなアプローチは必ずしもスマートなものではない。従来のIoT(あるいはアクティブRFID)の世界では、低消費電力でIP通信を可能にするために全体的・統合的なアプローチが模索されてきた。古くからある取り組みとしては6LoWPANがあり、IEEE802.15.4(ZigBeeと同じ物理層)向けの標準がRFC 4944として2007年に策定されており、Bluetooth 4.2でもIPv6 over Bluetooth LEがRFC 7688として2015年に策定された。WiFiからのアプローチとしても、900MHz帯を利用するIEEE 802.11ah 「Wi-Fi HaLow」がこのアプローチに属するものだろう。

だが、ITの世界ではバランスが良く整合性に優れた技術が普及するとは限らない。特に通信周りの部分はセキュリティが関係してくることを考えると多少無理な使い方であっても既存の技術を使いたい、というニーズも多いだろう。また、新規格に準拠した製品が登場した時点で、通信可能な圧倒的に多いという点も大きなメリットだ。WiFiを利用する省電力技術が普及するかどうか、目が離せない。

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