« 2016年2月 | トップページ | 2016年4月 »

2016/03/29

RFID World Watcher Monthly February 2016

今月の特集記事はIoT向けのWiFiの省電力技術。一つ一つの技術ももちろん興味深いのですが、その技術がIoTの中でどのような部分を狙っていこうとしているかも興味深いです。他の筋の良い省電力技術を押しのけて利用が広がるのでしょうか、それともキワモノとして忘れ去られるのでしょうか。

ニュースは本誌の配信が3回だったので少なめですが、さまざまな技術分野をバランスよくカバーした興味深いものになりました。

RFID World Watcher Monthly February 2016 (PDF形式、346KB)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016/03/27

IoT機材での無線LAN省電力化の新たな試み

最近のInternet of Thingsの無線ハードウェア面での動きとして、現在利用されているWiFiを利用して劇的な省電力化を図ろうというものがある。

その中でも最も衝撃的だったニュースはワシントン大学の研究者チームが開発した技術「Passive WiFi」だろう。必要な消費電力を最大で従来の1万分の1程度まで減らすことが可能で、しかも現時点でIEEE 802.11bに準拠して通信が可能な試作品が完成している(Gigazine:Wi-Fiの消費電力を1万分の1まで減らす新技術「Passive Wi-Fi」でバッテリー長持ち・モノのインターネットが近づくかも)。魔法のようなこの技術の種はバックスキャッター。WiFiの信号波を供給する機材を別途設置し、Passive WiFiの機材は供給される信号を反射するタイミングとしないタイミングを制御することで通信を行う、というものだ。信号供給機材が必要とはいえ、例えば家庭内でワイヤレスセンサーからデータを取得する、というようなユースケースであれば十分以上に利用可能だろう。

また、BluetoothとWiFiを組み合わせ、Bluetoothをエキサイターに使って必要な時だけWiFiを起動させるための仕様、「Transport Discovery Service」がBluetooth SIGから提案された(RFID Journal:New Bluetooth Standards Could Be a Boost to the Internet of Things)。こちらは技術的にはさほど難しくはないはずで、独自実装であればすぐにでも実現できるだろうと思うが、Bluetooth SIGが標準化するというのが肝だ。ルータとして使われるスマホやタブレットなどはBluetoothとWiFiの両方に対応しているのが当たり前なので、標準化さえなされればすぐにでも利用が可能になるだろう。

このようなアプローチは必ずしもスマートなものではない。従来のIoT(あるいはアクティブRFID)の世界では、低消費電力でIP通信を可能にするために全体的・統合的なアプローチが模索されてきた。古くからある取り組みとしては6LoWPANがあり、IEEE802.15.4(ZigBeeと同じ物理層)向けの標準がRFC 4944として2007年に策定されており、Bluetooth 4.2でもIPv6 over Bluetooth LEがRFC 7688として2015年に策定された。WiFiからのアプローチとしても、900MHz帯を利用するIEEE 802.11ah 「Wi-Fi HaLow」がこのアプローチに属するものだろう。

だが、ITの世界ではバランスが良く整合性に優れた技術が普及するとは限らない。特に通信周りの部分はセキュリティが関係してくることを考えると多少無理な使い方であっても既存の技術を使いたい、というニーズも多いだろう。また、新規格に準拠した製品が登場した時点で、通信可能な圧倒的に多いという点も大きなメリットだ。WiFiを利用する省電力技術が普及するかどうか、目が離せない。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016/03/24

RFID Journal 抄訳 2016/03/24号

今回気になった記事はIndoorAtlas社のビーコンを用いないRTLSソリューション。地磁気擾乱を用いるって具体的にはどういう処理をするのかちょっと見当が付きません。ヤフージャパンが契約したとのことでアプリを入れて使ってみたいですね。

今年のRFID Journal Awardsの候補者にBest RFID Implementation部門で島根大学医学部付属病院の手術器材管理システムがエントリーされました。今週の編集後記を見るとアジア枠として選ばれたのかなーという印象も受けますが、それでも素晴らしいこと。あまり日本で話題になっていないのが残念です。

なお、元記事はこちらになります。

MWT Materials Brings RFID Shielding to Fish-Processing Plants, Airports

電波吸収素材を販売しているMWT Materials社はUHFパッシブ分野で利用される電波吸収カーテンの販売を始めました。同社は1990年代から米軍向けに納品を行ってきましたが、ここ数か月の間にラスベガスのマッカラン国際空港や食品メーカーのMarel社など民間向けのビジネスを開始しています。

Reebok, Music Festival Reach Out to Visitors With iGotcha RFID Solution

デジタルサイネージのベンダーiGotcha Media社はNFCを利用した情報提供ソリューションを販売しています。Reebok社は同社のソリューションを本社ショウルームでの商品状況提供に利用し、カナダの音楽フェスティバルGrand Fetes Telusではアクセス管理やSNS連携に利用しました。

IndoorAtlas Vies for Position in RTLS Market

フィンランドのIndoorAtlas社はスマートフォンを用いた位置情報サービスを提供しています。これは地磁気が建物の影響を受けて乱された状態をスマホの磁気センサーを用いて計測するもので、ビーコンなどのインフラストラクチャが不要なのが特徴です。同社の最初の大口顧客は中国の百度で、先月には日本のヤフーとも契約しました。

Publix Plans to Automate Specialty Drug Management Via RFID

アメリカ南東部に980店舗を持つ薬局チェーンPublix社はAmerisourceBergen社のRFID医薬品在庫管理ソリューションCubixxを導入しました。Publix社は冷凍・冷蔵機能を持ったUHFパッシブRFID対応のスマートキャビネットも提供しています。

Finalists Unveiled for 10th Annual RFID Journal Awards

今年のRFID Journal Awardsの候補者が発表されました。Best RFID Implementationの候補にDecathlon社、Delta Air Linesと並んで島根大学医学部付属病院の手術器材管理システムが挙げられています。

RFID News Roundup

  • Omni-ID社が印刷可能な金属タグのシリーズを拡張
  • Tageos社がEOS-220 RFIDラベルのチップをMonza R6に変更
  • Mojix社がシステム構成の自由度を増した新製品STARflex RFIDリーダーを発表
  • Smartrac社がBelt、DogBoneインレーでUcode DNAと7xm ICsを採用したバージョンを発表
  • Hilti社が建設現場向け作業員管理のためのRFIDソリューションを発表
  • Polo Ralph Lauren社のダラスの店舗でOak Interactive Fitting Roomを導入

Automating Craftsmanship(有償記事)

家具業界ではRFIDを仕掛品管理やサプライチェーン管理、出荷後のメンテナンスなど様々な分野で活用しています。

Awards Finalists Highlight the Maturation of RFID

今年のRFID Journal AwardsのBest RFID Implementation候補に選ばれたDecathlon社、Delta Air Lines、島根大学医学部付属病院の3者は、地理的にはヨーロッパ、北米、アジア、業界ではリテール、航空宇宙、ヘルスケアと、それぞれに異なっています。これはRFIDが成熟し幅広い分野で利用されるようになったことを示すものです。

Hard vs. Soft Benefits

RFIDソリューションがもたらす利益には、具体的な金額に換算できるハードな利益と、業務をスムーズに効率よく行えるようにはするが具体的な金額を計算できないソフトな利益とがあります。投資対効果の判断には後者を含めるべきではありません。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016/03/17

RFID Journal 抄訳 2016/03/17号

今週気になったのはEkahau社が買収されるという記事です。先週のCheckpoint Systems社に続く買収報道で、今年はこれからも再編が続いていくのでしょうか。

社説はRFIDベンダーの認知度に関する話。4年もRFIDのリサーチをやっているような人たちがRFIDベンダーを10社も知らないというのは本当かと思うのですが、それは私が業界に毒されているのでしょうね。

なお、元記事はこちらになります。

SportLife Tracks Athletic Shoes, Apparel

コロンビアのアパレル小売SportLife社はSaaSのRFID商品管理ソリューションを利用します。この商品はJungleといい、APES社が開発しました。

Fresh USA Seeks to RFID-Enable Cloakrooms

ロシアのRFID企業Fresh社はRFIDを利用したクロークの管理システムを提供しています。クロークの受付で顧客がコートを預ける際、担当者が渡す預かりカードにHFタグを貼付し、タグのIDと預かったコートをかけた回転ハンガーの番号を記録。返却時にはカードを読み取ることで自動的に回転ハンガーの該当位置がクロークまで廻ってきます。

RFID Brings Customer Shipments into Focus for Eyewear Company

ノルウェーの眼鏡メーカーExtra Optical社は眼鏡のトラッキングにRFIDを利用します。同社が契約している物流号者はバーコードによるトラッキングを提供していますが、一つのバーコードごとにコストが発生するため割高でした。同社は眼鏡にRFIDタグを貼付し、自分自身の拠点で読み取りを行うことで、このコストを回避しました。

Airista Acquires Ekahau's RTLS Division

RTLSベンダーのAirista社は同業のEkahau社のRTLS部門を買収します。製品のEkahauブランドは今後も維持される予定です。

Aerospace, Aviation Leaders to Discuss RFID's Benefits at RFID Journal LIVE! 2016

5月3日~5日にオーランドで開催されるRFID Journal LIVE! 2016には航空業界のキーマンが集まり、プレゼンテーションを行います。参加するのはDelta Air Lines, KLM, Boeing, Airbus, アメリカ空軍などです。

RFID News Roundup

  • Tego社とSmartrac社が悪環境向けのUHFタグで協業
  • Smartrac社がヘルスケア分野向けの湿度計機能搭載UHFパッシブインレーを発表
  • Siemens社が適応分極機能搭載のRFIDリーダーアンテナを発表
  • View Technologies社がRTLS・RFIDソリューションプロバイダー向けのスタータープログラムを発表
  • NeWave社が持ち運びが容易なゲート型リーダーFloor-Mount Portalを発表
  • L-com社がPoint Six社のワイヤレスセンサーを販売
  • Tectus社が複数周波数対応のペン型リーダーを発表

Sustainability and Profit Go Hand in Hand(有償記事)

RFIDを利用した管理を行うと、資源の無駄な利用を押えたり、廃棄物の管理の手間やミスを削減したりすることで、環境への貢献とコストの削減を両立させることができます。

Brand Problems for RFID Vendors

RFID Journalは小売業50社弱を対象にRFIDベンダー40社の認知度の調査を行いました、回答者の83%が4年以上RFIDの調査を行ってきたと応えるなど十分な知識を持つ企業が対象でしたが、RFIDベンダーのうち34社の知名度は半分以下、10社の知名度は5%以下でした。RFIDベンダーにとって潜在顧客の間で認知度を上げることが非常に重要です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016/03/09

RFID Journal 抄訳 2016/03/09号

今週気になったのはCCL社によるCheckpoint Systems社の買収です。RFID業界で名の通った企業の買収のニュースは久しぶりに見る気がします。今後の業界再編の予兆でしょうか。

有識者投稿はEPC対応のソフトウェアでGS1による認証を進めようという記事。ソフトウェアの認証が現在存在しないということは恥ずかしながら意識していませんでした。

なお、元記事はこちらになります。

CCL Agrees to Buy Checkpoint Systems

世界的なラベル・パッケージ大手CCL社はRFIDソリューションベンダーCheckpoint Systems社を買収するための交渉を行っています。CCL社は4.43億ドルを支払う見通しです。CCL社は自社でもRFIDラベルを製造・販売していますが、Checkpoint Systems社の買収により成長市場であるアパレル分野でのシェアを高めることを目指します。

RTLS Stops the Leak of Air Mattress Inventory at Hospital

サンディエゴの病院Zion Medical Centerでは資産管理にAwarepoint社のZigBeeアクティブタグを利用しています。このタグを利用することで、一個2千ドルもする患者移送用のマットが誤ってゴミに出されていたことを発見できました。

C&A Rolls Out RFID to All of Its French Stores

オランダに本拠を置くアパレルチェーンC&A社はドイツとフランスの店舗の在庫管理にRFIDを導入します。同社は2012年からRFIDのトライアルを実施しており、事前出荷予定(ASN)データの処理を含む管理を行っています。同社はCheckpoint社のトンネル型リーダーを採用しています。

Singapore Fashion Company Adopts RFID to Be on the Cutting Edge

シンガポールのアパレルチェーンDecks社は店舗の在庫管理と販売業務にRFIDを導入しました。同社が採用したのはUHFパッシブ技術で、ソリューション開発はサトーが担当しました。

Keynote Speakers to Discuss RFID Deployments Underway at Lululemon Athletica, Oracle and Delta Air Lines

5月3日~5日にオーランドで開催されるRFID Journal LIVE! 2016では、過去のRFID Journal Award受賞者によるパネルディスカッションや、Oracle社のデーセンター器材管理事例、Delta Air Lines社の航空機メンテナンスなどの事例の発表が行われます。

RFID News Roundup

  • Lyngsoe社が物流・海上コンテナ向けのRFIDセキュリティ製品3品を発表
  • Recall社の文書保存センターがTSL社のウェアラブルRFIDリーダーを採用
  • Orbcomm社が貨物のセキュリティ・モニタリングシステムの次世代製品を発表
  • CTC Stade社がPlataine社のIoT対応生産現場最適化システムを採用
  • Bluvision社がBluetoothビーコンを用いたRTLSシステムを発表
  • SAE International社が航空産業向けRFID標準の改定を発表

Resin Supplier Uses RFID to Perfect the Curing Process(有償記事)

合成樹脂メーカーのReichhold Group社は樹脂を加熱して硬化させる工程で、どのような加熱状況になっているかを知るために、RFIDセンサータグを利用しています。システムの開発はPhase IV Engineeringが行い、HFパッシブタグを利用しました。

A Question of Life or Death for RFID Companies

RFIDのような新興技術のマーケティングでは、RFIDを実際に導入してみようと考えている人が参加する展示会で活動を行うことが非常に重要です。

Software Interoperability Certifications

GS1は2006年からEPC Gen2対応ハードウェアの認定を行ってきており、2015年1月からGen2v2への対応認定が始まりました。ですが、ソフトウェアの認定は2007年に導入が表明されたものの対応ベンダーが現れずに中止となりました。標準規格への認定を行うことはソフトウェアでもベンダー・ユーザーの双方に有益です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016/03/03

RFID Journal 抄訳 2016/03/03号

今週興味深かった記事はMonsoonRF社のLED電球ソケットと一体化したRFIDリーダーです。ディスプレイ用の照明レールから給電を受け、読み取り結果はワイヤレスで送信するということで、リーダー設置の手間は大幅に削減されるでしょう。価格にもよりますがスマートシェルフを棚の外側から実現する有力なソリューションになるかもしれません。

イオンリテールのRFID棚卸しロボットの記事が掲載されましたが、イオンの広報担当者は匿名のうえ今後の展開に関する発言もかなり腰が引けていて、へぇと思いました。予想以上に反響が広がることを警戒しているのでしょうか。

なお、元記事はこちらになります。

RFID Helps Aerospace Factories Manage Small Parts

Supplier City Solutions社は航空機メーカー向けに小型部品を管理することを目的としたRFID対応のソリューションを提供しています。同社では部品ケースの引き出しにUHFパッシブタグとバーコードを貼付し、ハンドヘルドリーダーで読み取りを行います。

MonsoonRF Shines a Light on RFID

ベンチャー企業のMonsoonRF社はLED電球のソケットと一体になったRFIDリーダーを開発しました。このRFIDリーダーはImpinj R2000チップを搭載し、ソケットを固定するレールから電源を取って動作、ZigBeeやWiFiで読み取り結果を送信するため、多数のリーダーを目立たない形で迅速に配備することが出来ます。同社は現在注文を受け付け中で、LED電球無しタイプが今年の後半、ソケット一体型タイプが来年に出荷の予定です。

Japanese Retailer Aeon Checks Out Checkpoint's RFID-enabled Robot

イオンリテール社は千葉の旗艦店でRFIDロボットを使った棚卸しとRFIDを利用したEASシステムのトライアルを実施しています。同社は2013年から一部のカテゴリーの商品をRFIDで管理しています。同社の広報担当者は、現在行っているのはプロトタイプを用いた効果測定であり、現時点では本番導入の計画は無いとしています。

German Clothing Retailer Adler Gives RFID Robots a Spin

ドイツの衣料品チェーンAdler Modemarkte社はRFIDロボットを用いて売り場の在庫確認を行うパイロットを実施しています。このロボットはドイツのMetraLabs社が開発したToryというロボットで、UHFパッシブリーダーを搭載しているほか、カメラとレーザーセンサーを用いて特定の商品の所在を確認することが出来ます。Adler Modemarkte社はこのロボットを2台購入し、本社近くの店舗でパイロットを実施しています。

RFID Journal LIVE! 2016 to Feature Three Co-located Events

今年の5月3日~5日にオーランドで開催されるRFID Journal LIVE! 2016では、Internet of Things Conference 2016、IEEE RFID 2016、Last Mile Consortia (LMC) Forumの3つのイベントが同時開催されます。

RFID News Roundup

  • Embisphere社が小売り向け多用途UHFパッシブリーダーを発表
  • GAO RFID社が金属タグの新シリーズを発表
  • ON Semiconductor社とRFMicron社がIoT向けのRFIDセンサープラットフォームを導入
  • Nordic ID社が固定式UHF RFIDリーダーとアンテナの新製品を発表
  • NXP社が次世代アプリケーション向けのNFC RFIDチップを発表
  • Ams社とSTMicroelectronics社が共同でセキュアなNFC決済向けのソリューションを開発

How to Conduct a Successful Proof of Concept(有償記事)

RFIDの概念実証(Proof of Concept, PoC)を成功裏に行うためには以下のような手順が踏まれます。ビジネスプランの確立、クロスファンクショナルチームの設置、テストの実施、結果の評価。

What's the Value of Your RFID Product?

RFIDベンダーの中には、「御社の製品がどのようなビジネス価値を生み出しますか」という質問に答えられない会社がよくあります。製品を販売するためには、自社の製品が生み出すビジネス価値を把握し、それを購入する業界がどのような導入状況があるか(例えば既に類似製品が普及し競合企業が存在するか、あるいはマーケット自体が立ち上がっていないか)について知る必要があります。

The Truth About High Inventory Accuracy

在庫管理精度の上昇は直ちに販売上昇には結びつきません。在庫の状況を把握し販売機会の損失を回避するための業務プロセスの整備が必要になります。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2016年2月 | トップページ | 2016年4月 »