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2016/02/28

Macy'sのRFIDオムニチャネル戦略の背景

アメリカの百貨店大手のMacy'sが2016年1月にRFIDを利用したオムニチャネル戦略プログラム「Pick to the Last Unit」(P2LU)を公表した(RFID Journal Japan:Macy'sがオムニチャネル販売のための「Pick to the Last Unit」プログラムを開始)。このプログラムはRFIDを使って得られる高い在庫管理精度を背景に、店舗在庫が特定のサイズ・カラーで1~2点になってしまったような商品を他店舗やオンラインショップから販売可能にするというもの。通常であれば在庫がこのような虫食いになってしまった商品は特売に廻り、最後には処分されてしまう。Macy'sはそれら商品は全体在庫の15%~20%を占めると述べており、このような商品を値下げせずに売り切ることができれば収益に与える効果は絶大なものになる。

もちろん、Macy'sはRFIDをこのように活用する能力を一朝一夕に獲得したわけではない。同社がRFIDを本格利用すると発表したのは2011年9月のことで(RFID a GoGo!:Macy'sがRFID在庫管理を全店舗に導入へ)、その後の紆余曲折を含めた展開は以下のようになる。2011年発表時点の野心的な契約は予定通り進んだわけではないものの、店頭在庫切れの防止からオムニチャネル対応、そして今回のPick to the Last Unitへの展開と、小売業を取り巻く環境の変化とRFIDのノウハウ蓄積を背景にシステムを進化させてきたのはさすがと感じる。

  • 2008年後半からRFID技術の評価を開始。
  • 2010年からVoluntary Interindustry Commerce Solutions Association (VICS)と共同でBloomingdale'sのSoHo店舗でRFIDによる個品タグ付けのパイロットを実施。
  • 2011年9月にMacy'sとBloomingdale'sの全店舗でRFIDを導入すると発表(詳細は上記リンク参照)。
  • 2011年末にMacy'sの23店舗で他店舗やインターネットからの発注を受けてのピックアップ・発送を可能に。
  • 2013年1月にChief Omnichannel Officer職を設置。他店舗・インターネットからの発注受付を292店舗に拡大。
  • 2014年9月にRFIDの全店舗展開が2015年一杯までかかると計画の修正を発表。
  • 2016年1月にPick to the Last Unitプログラムの開始を宣言。

一口に海外企業と言っても、Macy'sやMarks & Spensorのように着実にRFIDの利用を拡大してきたところもあれば、Wal-MartやJ.C.Pennyのように混乱してしまう企業もある。傍目に見て思うのは、ビジョナリーが明快なビジョンを示しトップダウンで進めようとした計画がうまく行っているわけでは必ずしもないということ。そう考えると日本のような進め方も悪いことばかりじゃないんだな。

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