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2016/02/29

RFID World Watcher Monthly January 2016

今月の特集記事はMacy'sのRFIDへの取り組みの推移。「Pick to the Last Unit」プログラムでオムニチャネル戦略の先端に躍り出た同社ですが、これを可能にしたのは息の長いRFIDへの取り組みでした。

ニュースは本誌の配信が3回だったので少なめなのですが、ほぼUHFパッシブの記事だけで驚きました。昨年はNFCやビーコンにいろいろアンテナを広げていこうという動きがあったのですが、再度路線変更したのでしょうか、それとも偶然なのでしょうか。

RFID World Watcher Monthly January 2016 (PDF形式、350KB)

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2016/02/28

Macy'sのRFIDオムニチャネル戦略の背景

アメリカの百貨店大手のMacy'sが2016年1月にRFIDを利用したオムニチャネル戦略プログラム「Pick to the Last Unit」(P2LU)を公表した(RFID Journal Japan:Macy'sがオムニチャネル販売のための「Pick to the Last Unit」プログラムを開始)。このプログラムはRFIDを使って得られる高い在庫管理精度を背景に、店舗在庫が特定のサイズ・カラーで1~2点になってしまったような商品を他店舗やオンラインショップから販売可能にするというもの。通常であれば在庫がこのような虫食いになってしまった商品は特売に廻り、最後には処分されてしまう。Macy'sはそれら商品は全体在庫の15%~20%を占めると述べており、このような商品を値下げせずに売り切ることができれば収益に与える効果は絶大なものになる。

もちろん、Macy'sはRFIDをこのように活用する能力を一朝一夕に獲得したわけではない。同社がRFIDを本格利用すると発表したのは2011年9月のことで(RFID a GoGo!:Macy'sがRFID在庫管理を全店舗に導入へ)、その後の紆余曲折を含めた展開は以下のようになる。2011年発表時点の野心的な契約は予定通り進んだわけではないものの、店頭在庫切れの防止からオムニチャネル対応、そして今回のPick to the Last Unitへの展開と、小売業を取り巻く環境の変化とRFIDのノウハウ蓄積を背景にシステムを進化させてきたのはさすがと感じる。

  • 2008年後半からRFID技術の評価を開始。
  • 2010年からVoluntary Interindustry Commerce Solutions Association (VICS)と共同でBloomingdale'sのSoHo店舗でRFIDによる個品タグ付けのパイロットを実施。
  • 2011年9月にMacy'sとBloomingdale'sの全店舗でRFIDを導入すると発表(詳細は上記リンク参照)。
  • 2011年末にMacy'sの23店舗で他店舗やインターネットからの発注を受けてのピックアップ・発送を可能に。
  • 2013年1月にChief Omnichannel Officer職を設置。他店舗・インターネットからの発注受付を292店舗に拡大。
  • 2014年9月にRFIDの全店舗展開が2015年一杯までかかると計画の修正を発表。
  • 2016年1月にPick to the Last Unitプログラムの開始を宣言。

一口に海外企業と言っても、Macy'sやMarks & Spensorのように着実にRFIDの利用を拡大してきたところもあれば、Wal-MartやJ.C.Pennyのように混乱してしまう企業もある。傍目に見て思うのは、ビジョナリーが明快なビジョンを示しトップダウンで進めようとした計画がうまく行っているわけでは必ずしもないということ。そう考えると日本のような進め方も悪いことばかりじゃないんだな。

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2016/02/18

RFID Journal 抄訳 2016/02/18号

今週興味深かった記事は小売り用薬瓶向けのRFID内蔵キャップ、その名もeSealです。義務付けによる導入は結局日の目を見ませんでしたが、技術は着実に進んできたのですね。

RFID Professional Instituteの認定試験がインターネット経由で受験できるようになった話も気になります。どこかで時間を作って受験を準備しようかな。

今回の識者投稿はRFIDタグ付けの貼付専門業者の話です。確かにこういうサービスがあってもおかしくはないですが、RFID Journalでも初めて掲載されたと思います。日本でもこういうサービスを提供している会社はあるのでしょうか。

なお、元記事はこちらになります。

Beverage Company Uses RTLS to Turn Skaters Into Artists

ロシアのビール会社Ochakovo社はスケート選手の動きをリアルタイムで絵にする広告キャンペーンを行っています。利用されている技術はQuuppa社のRTLSで、Navigine社とMobecan社がソフトウェアを開発しました。

RFID Helps Land-Surveying Agency Chart an Efficient Course

台湾の地政局は土地台帳の紙の原本の管理をRFIDで行っています。台中市にある倉庫で保管されている20万冊の台帳にUHFパッシブが貼付され、貸出時と棚卸し時にハンドヘルドリーダーで読み取られます。ソリューションはEPC Solutions Taiwan社が開発しました。

RFID Monitors Parking Spaces for the Disabled

ロンドンのウェストミンスター地区では障がい者向けの駐車スペースの管理をRFIDで行うパイロットを実施しています。このパイロットではパイロット参加者に433MHzのアクティブタグを配布し、64ヶ所のパイロット駐車場に駐車された車両がこのアクティブタグを装着したものかどうかを判定します。

Neutraceutical Company to Use eAgile's RFID Solution to Track Its Products

eAgile社は小売り用の薬瓶のキャップに取り付けるRFIDタグeSealを製造しています。この製品は開封すると読み取れなくなるようになっており、トレーサビリティー管理や偽造防止のために利用しています。現在の製品はUHFパッシブタグを利用していますが、今年の後半からEM Microelectronic社のNFC/UHF Gen2v2デュアル対応タグを導入する予定です。

X Games Goes High-Tech

Intel社はスノーボードに取り付けて各種の動きを計測できるセンサーCurieを1月のCESで発表しました。Curieは6軸の加速度センサー、ジャイロスコープ、GPS、気圧センサーと方位センサーを内蔵しており、測定結果をBluetoothで送信することが出来ます。通常は送信結果はコーチやトレーナーが動きを確認することに利用しますが、1月にアスペンで行われたエックスゲームスではデータの一部が観客にも公開されました。

RFID Professional Institute Teams With InstructedU for Certification Exams

RFID認定資格を運営する非営利団体RFID Professional InstituteはInstructedU社と協力して認定試験をインターネット経由で受験できるようにしました。これはWebカメラや画面共有サービスを使うことで不正を防止するものです。インターネットでの受験は既に利用可能です。

Manufacturer Uses RFID to Put a New Face on Cabinet-Making(有償記事)

家具メーカーのAmerican Woodmark社は500種類以上の家具を納品順に製造するため、部品の管理にRFIDを利用しています。利用している技術はUHFパッシブです。

An Integrated RFID Solution for Retail

小売分野でスケーラブルで導入が容易なRFIDソリューションが提供されれば、普及は急速に進むでしょう。例えば天井にリーダーを取り付け、調整無しで在庫商品のタグを完全に読み取れるようなソリューションです。タグやリーダーは単体で見れば改善が進んでいますが、統合ソリューションを作るという観点での努力は不足しているのではないでしょうか。

Creating a Faster ROI for RFID

RFID資産管理システム導入で最も負担になる作業はタグの貼付です。タグ貼付を請け負う専門業者にこの作業を委託することで、プロジェクトのリスクを削減し、費用対効果を改善することができます。

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2016/02/13

RFID Journal 抄訳 2016/02/12号

今週気になったのはスペイン製のRFID棚卸しロボットStockBotの記事です。RFID棚卸しロボットも本格的な量産品が登場する前夜まで来たのでしょうか。価格や性能などを比較した特集記事を読んでみたいですね。

特集記事はセンサーUHFパッシブタグ。メーカーをまとめた表なども含まれています。製品はそれなりに市場に出てきているので、次はこれを使った大規模なアプリケーションがどのようなものになるか、ということでしょうか。

なお、元記事はこちらになります。

Virginia Startup Offers RTLS Solution for Live Shooter Training

アメリカのベンチャー企業Momentum Aerospace Group社は実践射撃訓練を支援するアプリケーションをRTLSを用いて開発しました。部隊がビルに突入するような訓練を行う場合、教官はそれぞれの訓練生がどのような行動をしたかを完全に把握することは困難ですが、RTLSを用いるとそれぞれの行動を記録できるようになります。RTLSにはZebra社のUWB製品が利用されます。

PAL Robotics Rolls Out Tag-Reading Robot

スペインのロボットメーカーPAL Robotics社は2016年後半に棚卸しロボットStockBotの大規模なパイロットを実施します。現在市場に存在する棚卸しロボットの多くは事前のルート定義が必要ですが、StockBotは棚の位置変更などによるルート変更に自分で対応することが可能です。

Kuwait's Ministry of Justice Assesses RFID File Tracking

クウェートの司法省では書類ファイルの管理にRFIDを利用します。同省では従来から器材管理にUHFパッシブRFIDを利用していましたが、書類ファイルの管理のために従来のハンドヘルドリーダーに加え固定リーダーを導入しました。

RFID Ignites Interest in Nazi Explosives Museum

ポーランドの戦争博物館Exploseum Military Technology Centerでは来訪者の所在管理をRFIDを利用して行っています。この博物館は第二次世界大戦中の火薬工場を改装したもので危険な構造物が残っています。そのような状況でも訪問者が館内を自由に見て回れるよう、RFID入館証が利用されます。利用されている技術はHFパッシブとUHFパッシブです。

LIVE! 2016 to Feature RFID Professional Institute Certification Exam, Six RFID Courses

5月3日~5日にフロリダ州オーランドで開催されるRFID Journal LIVE! 2015でRFID4U社が提供する4つの教育コースが開催されます。それぞれのコースの内容は、RFID Professional Institute資格対策、UHFパッシブRFID技術の基礎、NFCアプリケーション開発、UHFパッシブタグ・リーダーのパフォーマンス測定です。

RFID News Roundup

  • HID Global社がタグの新製品Brick Tag CeramicとSlimFlex on-metalを発表
  • GAO RFID社が2.45 GHzアクティブRFIDリーダーの新製品を発表
  • Smartrac社が小売り向けの超小型UHFパッシブRFIDインレーを発表
  • OnlineLabels.com社がRFIDラベルへの対応を開始
  • Datalogic社がCAEN RFID社の株式20パーセントを取得
  • TimBar社がShelfbucks社のPOPディスプレー向けビーコンを採用

Passive UHF RFID Sensor Tags Go Where No Sensors Have Gone Before(有償記事)

近年パッシブ動作するUHFセンサータグの利用が広がりつつあります。センサーの種類や読取距離に応じてさまざまな製品が存在し、アクティブセンサータグや有線センサーでは対応できなかった環境での利用が可能になりました。

More Reflections on NRF

全米小売業協会の年次大会Big Showでは、従来中心だったアパレル分野から他分野への展開を図ろうとするRFIDベンダーの取り組みが多く見かけられました。化粧品、宝石、生鮮食品などの分野ではユーザーの反応も従来より良く、今後の普及が期待されます。

Three Guidelines to Ensure IoT Availability at Industrial Scale

IoT技術を業界全体に広めるためには以下の3点に注意する必要があります。仮想化の潜在的な脆弱性を理解すること、業務技術と情報技術が異なることを理解すること、システムダウンの許容時間を把握し、適切に対応すること。

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2016/02/06

RFID Journal 抄訳 2016/02/05号

今週一番興味深かった記事はMacy's社のオムニチャネル販売戦略、Pick to the Last Unit (P2LU)です。RFID JournalにBOPIS(Buy Online, Pick-up In Store)という言葉が登場してから一年弱、小売業の店舗へのRFID導入の目的は単純な在庫切れ防止からオムニチャネル対応に急速に変わりつつあると感じています。どこかでP2LUを詳しく解説してくれるといいのですが。

もっとも今週は小売店頭での情報提供にRFIDを利用する記事も2件掲載されています。Rebecca Minkoff社が利用を着実に拡大しているのも頼もしいですが、ブランド宣伝の仮設店舗のオペレーションにRFIDを利用するというShopWithMe社の事例も興味深い。店員の習熟(特にオペレーション面での)を期待できないこのような事例でのRFIDの利用には確かにメリットがあると思います。

なお、元記事はこちらになります。

Macy's Launches Pick to the Last Unit Program for Omnichannel Sales

アメリカの大手デパートMacy's社は実店舗の在庫を最後の一個までオンラインで売り切るPick to the Last Unit (P2LU)プログラムを稼働させました。従来はオンラインショップでは実店舗の在庫は安全率を見込んでデータ上は残っていてもオンラインショップに表示することは行わず、同社では在庫の15~20パーセントがこのような区分に含まれていました。現在P2LUプログラムがカバーしているのはファッション分野ですが、同社はこれを他の分野に広げていこうとしています。

Rebecca Minkoff Adds RFID to More Stores, Boosts Sales

高級ファッション小売りのRebecca Minkoff社は店舗でのRFIDの利用を拡大しています。同社は2014年11月にニューヨーク店にRFIDを導入し、スマートミラーを使った情報提供を行ってきました。同社は同様のシステムをロサンゼルス店とサンフランシスコ店に導入し、今後は香港店や韓国店への導入も検討しています。

RFID Pops Up in Mobile Interactive Stores

ShopWithMe社はファッションブランドが商品宣伝のために設置する仮設店舗を運営する会社です。同社はスマートミラーによる商品情報提供機能とセルフレジによる精算機能のためにRFIDを利用しています。利用されている技術はUHFパッシブで、Impinj社のxArrayリーダーが使われています。

Dutch Consortium to Track Steel Plates via RuBee Tags

オランダの鉄鋼資材レンタル会社の組合はレンタル用の鉄板の管理をRFIDで行っています。採用された技術はVisible Assets社のアクティブ長波タグRuBee(IEEE 1902.1)で、鉄板に窪みを作りそこにタグを嵌め込んでいます。

At Reeperbahn Festival, Beacons Helped Music-Industry Pros Do Their Jobs

ハンブルクで開催される音楽フェスティバルReeperbahn FestivalではBluetoothビーコンを使ったコンタクト管理が行われています。このフェスティバルは音楽業界関係者が出演者を評価することが目的のもので、短時間に多くのバンドを見て回るためどのバンドを見たのかの記録を付け忘れることがありましたが、Bluetoothビーコンを使うことでこの作業が自動化されます。利用されているビーコンはKontakt.io社の製品で、システムはGreencopper社が開発しました。

RFID News Roundup

  • Tyco Retail Solutions社は自社のTrueVUEアプリケーションに試着室分析機能を追加
  • Smart Technology Group社のMaster 01 RFIDが「スマートモード」機能を搭載
  • Northern Apex社が小型のRFIDハンドヘルドリーダーを発表
  • Quuppa社のビーコン式RTLS技術が富士通のUbiquitousware製品で採用
  • Cisper Electronics社がInvengo製品のディストリビューター契約を締結

Landscaping Company Keeps Tabs on Tools(有償記事)

オハイオ州の測量会社Environmental Management社は測量器材の管理にRFIDを利用しています。同社は売上を数年で2倍にする計画を立てていましたが、測量器材の管理がボトルネックになっていました。同社は器材管理のプロセスを整備し、器材にUHFパッシブタグを貼付して管理することでこの問題を解決しました。

Reflections on RFID and NRF's Big Show

私は先週全米小売業協会の年次大会Big Showに参加しました。昨年よりもRFIDへの注目度は高まりましたが、本来受けてしかるべき水準には達していません。今年のBig Showの主要テーマは、販売データ分析、店内顧客行動解析、新たな顧客体験などでしたが、これらは全てRFIDが提供する正確なデータを必要とします。

RFID Replenishment Solutions for Medical Supplies

病院の運営コストの20%がロジスティクス関係と言われており、RFIDを用いた在庫管理が広がりつつあります。RFIDの導入を成功させる秘訣は、最初に目標とする投資対効果を設計した後で、それを満たすRFID製品を選定することです。

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