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2014/12/31

2014年RFID十大ニュース

今年もRFID十大ニュースのエントリを書く時期になった。今年は全体的にRFID業界の進路が徐々に変わりつつあるのかな、という印象を感じる一方で、じゃあどの方向に向かうのかということが見えないもどかしさもあった一念だった。来年はもうすこし方向性が見えてくるのだろうか。自動認識からInternet of Thingsへと業界の関心の中心が転換する方向にあるのだとは思うのだが…。

☆Internet of Thingsのブレイク

アメリカではRFID JournalがInternet of Thing Journalを創刊したし、日本では日経BPからムックは出たし、状況的にはInternet of Thingsがブレイクした(というかハイプが始まった)ようなのだが、個人的にはピンと来ないでいる。何か画期的な新技術が登場したわけではないし、Wal=Martの時のような象徴的な案件が発表されたわけでもない。こういう形でハイプが始まることもあるのだな、と思う。

☆AppleのNFC対応

新モデルが発表されるごとに噂だけが流れていたAppleのNFC対応、ようやく今年のiPhone 6で実現した。但し当初の対応はApple Payという独自の決済インフラのみでの利用に限定され、それ以外の機能は特定パートナーに限定して開放予定、現時点では開放が決まったパートナーは発表されていない。NFCの現状の普及状況を考えると正直中途半端な感じは否めないと感じる。Appleはリアル店舗での決済系にはiBeaconと店舗アプリの組み合わせで当初は参入しようとしていたはずで、リアル世界との接点での囲い込みは意図したとおり進んでいないということなのだろうか。

☆NFCの認知度高まる

Appleが現時点で対応していないにもかかわらず、NFC、特に非決済分野での利用の普及は着実に進みつつある。一見マイナーだが一般への普及・認知度拡大を示す事例としてへぇと思ったのがNFC内蔵のジュエリー。日本ではCORE JEWELS社、アメリカではCuff社といったあたりが出している製品は、テックギーク向けのものではなく、普通にジュエリーとして利用することを想定したもの。こういった製品が一般層に受け入れられる日が近づいてきたんだな。

☆Bluetoothソリューションの進化

Bluetoothを採用したアクティブタグ、およびそのソリューションはBluetooth Low Energyの導入によりじわじわ普及が始まり、iBeaconでのサポートで一気にメジャーになったが、今年はさらに普及が加速した気がする。導入事例の増加に加え、今年印象的だったのはソリューションの応用範囲の拡大。スマホの各種センサーと組み合わせた測位ソリューションや環境電池を用いた無給電動作が登場し、Bluetooth4.2ではIPによるインターネット直接接続などがサポートされた。ある技術が標準と認知されるとこれほど技術開発が急速に進むものかと感心する。

☆UHFパッシブ案件の変化

今年を代表するUHFパッシブRFIDの導入案件はZaraだということは多くの人が同意すると思う。導入規模もさることながら、僕にとって一番印象的だったのは導入が株主総会で発表され、それまでは徹底して秘匿されていたことだった。ビジョナリーのCIOがRFID業界カンファレンスで導入を発表する、という時代はUHFパッシブ案件ではもう終わったのだろう。

☆UHFパッシブタグのセンサー化

UHFパッシブ案件が上記のような状況になっている背景には、UHFパッシブタグが従来の基準ではほぼ成熟したということがある。読み取り能力は通常の環境ではソリューションの制約にならなくなって久しいし、価格も近い将来劇的に低下することはないだろう。そんな中で今年気になったのは、パッシブタグのアンテナをセンサーとして利用する技術。これは温度や湿度、圧力などでアンテナの周波数特性が変わるように製造し、その感度の変化で温度を検出するもの。Internet of Thingsの関係で、こういうバッテリーレスのセンサータグで面白い製品・事例が今後も増えていくのだろう。

☆UHFパッシブアンテナのRTLS対応

一方でUHFパッシブのアンテナ側ではRTLS対応の進展が目についた。Mojix StarSystemの鮮烈なデビューの後は、製品発表はあったがなかなか普及が進まなかったが、今年は3DTAC社の同名の製品、Impinj社のxArrayなど廉価な製品が増えてきた印象がある。RTLSよりもリアルタイム性が低い用途を切り開いてくれると面白い。

☆業界再編の進展

今年の業界再編の最大ニュースはZebra社によるMotorola Solutions社の買収だろう。Motorola Solutions社自体が2年前にPsion社を買収したばかりで、海外の業界再編のペースは速いと改めて思う。また、中国のEASメーカー中瑞思創科技がAlien Technology社を買収したニュースも興味深かった。来年にはInternet of Thingsを手掛ける大手ベンダーによる買収が起こるだろうか。

☆900MHz帯周波数移行終盤へ

UHF帯RFIDの旧周波数である900MHz帯での移行が進み、この周波数を利用するソフトバンクモバイルのLTEサービスが地方から開始されつつある。予定より遅れ気味とはいえ、当初の状況を考えるとよくここまで追い上げたと感心する。関係者の方お疲れ様でした。

☆RFIDのキャズム越え近づく

RFID Journal編集長Mark Roberti氏が今年最終号の編集後記で「RFIDはキャズムをほぼ超えた。ベンダーもユーザーも爆発的な普及が始まった時点での問題に備えるべき」と書いていた。彼は業界のインサイダー情報を踏まえてこういう記事を書くことがある。状況的にはいつキャズム理論で言う所の「トルネード」に入っても不思議ではない状態なので、来年早くに何か良いサプライズがあることを期待したい。

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