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2014/06/26

RFID Journal 抄訳 2014/06/20号

今週はいろいろ興味深い記事が多かったです。

Walt Disney WorldでのMagicBand利用の記事、運用自体は事前に報じられていたものとあまり変わらず、その点で新しい情報は無かったのですが、このまま詳細が公開されない事例になってしまうのではと思っていたのでまずは運用状況が公開されたことを喜びたいと思います。事前の報道では2.4GHzアクティブとHFパッシブの他にUHFパッシブも埋め込まれている、となっていたと思いますが、そこが変わったのですね。

スウェーデンのNFCを袖口に埋め込んだシャツ。技術自体はリネンや制服でこなれたものなので、あとはマーケティング。どんな使い方を提案して、それを面白いと思ってくれる人がどれだけいるかだと思います。日本でもこういう事例が出てこないかな。

MagicBands Bring Convenience, New Services to Walt Disney World

オーランドのWalt Disney Worldでは今春からRFIDリストバンドMagicBandの運用が始まりました。MagicBandは2.4GHzアクティブとISO 14443準拠のHFパッシブの2種類のタグを搭載しており、ホテルや売店、アトラクションの入場に利用されます。Webから予約をした場合、アトラクションを1日に3件予約することができるほか、指定した色で名前を彫りこんだマジックバンドが事前に送られてきます。

Swedish Men's Shirts Provide Off-the-Cuff Info

スウェーデンのベンチャー企業Four Levent社はNFCタグを袖口に縫い込んだ紳士用シャツの販売を開始しました。NFCタグにはユーザが自由にデータを書き込めるため、名刺やアクセス管理などの様々な用途に利用できます。シャツの価格は230ドルです。

Omni-ID and Guard RFID Release Open-Standard 433 MHz Technology

Omni-ID社とGuard RFID社はIEEE 802.15.4f-2012に準拠した433MHzアクティブRFIDタグとリーダーを開発しました。これら製品のライセンス料金は無料です。もう一つの433MHzアクティブRFID規格であるISO 18000-7は2014年9月に予定されている改定でIEEE 802.15.4f-2012との互換性を持つようになります。

Applied Materials Inc. Tracks Assets, Protects Intellectual Property

Applied Materials社はUHFパッシブとWiFi RTLSを組み合わせた器材管理システムの利用を拡大しています。このシステムの開発・導入はTagit Solutions社が担当しました。

RFID Journal Unveils Agenda for RFID in Energy, Mining & Construction Conference

8月12日・13日にオーストラリアのパースで開催されるRFID in Energy, Mining & Constructionのアジェンダが公開されました。エネルギー、鉱業、建設業を対象にして多くの講演が行われます。

RFID News Roundup

  • Confidex社が悪環境向けUHFタグSurvivorシリーズを発表。セミパッシブ製品も
  • ABR Industries社がRFIDアンテナケーブルの新製品を発表
  • RFIDを使った猿の生態研究が実施中
  • Entigral社とID Integration社が航空宇宙、政府、製造業向けソリューションで提携
  • Radius Networks社とEM Bluetooth社のビーコンがスタンプラリーに出展
  • Gimbal社とYinzCam社がスポーツファン向け体験ソリューションで提携
  • dentiv社がChannel Alliance Networkプログラムを立ち上げ

RFID Speeds Up Roadway Repairs(有償記事)

オハイオ州デイトン市では道路の舗装の修理の検査のためにRFIDを利用します。アスファルトを張り替える場所にWilliam Frick社のUHFパッシブタブを置いた上にアスファルトを流し込み、工事検査官はハンドヘルドリーダーを持って工事場所のIDを読み取ります。

Just How Big Will RFID Be?

新しい技術はハイプサイクルに沿って普及するのが常ですが、そこで過大評価されるのは企業であり、技術そのものは廃ぷサイクル中であっても過小評価される場合も多くあります。1980年にマッキンゼー社が予測した2000年のアメリカの携帯電話普及台数は90万台ですが、実際には1.1億台でした。同じく80年代にIBMが予測したパーソナルコンピューターの世界の市場規模は年間6万台です。RFIDも同様の過小評価がなされているでしょう。

Three Lessons the RFID Industry Can Learn From Apple

RFID業界がApple社の成功から学べることは3つあります。

  1. ホールプロダクトを作成すること。Apple社は優れたMP3プレイヤーを作っただけでは無く、楽曲をCDから取り込むのではなく直接購入できるソリューションも併せて提供しました。
  2. 製品を利用しやすくすること。RFID機器は以前と比べて大幅に進歩しましたが、まだ直観的に利用できない点が多く残っています。
  3. マーケティングを精力的に行いましょう。ジョブズはApple社を立て直すために製品ラインの絞り込みを行い、見込みのある製品に集中的なマーケティングを実施しました。

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2014/06/19

RFID Journal 抄訳 2014/06/13号

今週は比較的地味な記事が並びました。

カナダの病院でのWiFiタグを使った統合管理ソリューションの事例、患者と資産、スタッフの管理については統合ソリューションの事例があることは知っていましたが、温度・湿度のワイヤレスセンサーを統合した製品があることを初めて知りました。確かに当然あって不思議ではない機能です。

社説ではRFID業界の課題として大量生産能力の不足とソリューション導入を一括して引き受けられるSIerの不足が挙げられています。大量生産能力についてはWal-Mart Mandate時代にずいぶん取り沙汰されたもののその後あまり大きな話題になっていませんでした。そろそろ再考すべき時期に来ているのかもしれませんね。RFIDソリューション導入を一括して請け負えるSIerという面では、日本は面白いポジションにあるのかな?

Middle Eastern Aircraft Services Company Gains Efficiency With RFID

アブダビの航空機整備会社Abu Dhabi Aircraft TechnologiesはRFIDを利用した修理部品の仕掛品管理を行っています。修理対象の部品が到着した時にRFIDラベルを貼付し、その後はラベルをハンドヘルドリーダーで読み取って管理を行います。同社はこのソリューションをAirbus社のRFID Centre of Excellenceで開発しました。

Collingwood General & Marine Hospital Adopts RTLS that Tracks Infants, Assets and Environmental Conditions

カナダの病院Collingwood General & Marine HospitalではWiFiを使った院内統合管理ソリューションAeroScout MobileView softwareを導入しました。このソリューションにより、乳幼児の連れ去り防止、車椅子などの院内の資産管理、ワイヤレスセンサーによる温度・湿度の把握などを統合して行うことができるようになりました。

RFID Improves Efficiency and Transparency at Rehau's Bumper Factory

ドイツの自動車部品メーカーRehau社は製造するバンパーの管理をRFIDを用いて行っています。noFilis AutoID社がソリューションを開発し、バンパーに貼付したUHFパッシブラベルをハンドヘルドリーダーなどで読み取って管理します。

Global Company Tracks Its Corporate Art

NCS Technologies社はUHFパッシブタグを用いて美術品の所在管理を行うソリューションを開発しました。このソリューションではTechnology Solutions (UK) Ltd.社が開発した、iPhoneやAndroidスマホと組み合わせて利用するハンドガンタイプのリーダーが利用されます。

RFID News Roundup

  • フィリピン・マプア工科大学の図書館がCSL社のUHF RFID技術を採用
  • Metalcraft社がNFCタグの新製品を発表
  • Red Cell Innovation社がAndroid搭載のRFIDハンドヘルドリーダーを発表
  • NFLのドラフト会議でFish Technologies社の製品が採用
  • イタリア・サレント大学の研究者が環境発電で動作するセンサータグを開発中
  • NXP Semiconductors社がZigBee Allianceの理事会に加盟

Italian Steel Pipe Manufacturer Tracks WIP Materials(有償記事)

イタリアの鋼管メーカーTenaris社は鋼管の仕掛品管理にRFIDを利用しています。同社は製造中の鋼管を大型のパレットに乗せて工場の中を動かすため、その位置の管理が課題になっていました。同社はパレットと屋内の所定位置にUHFパッシブタグを、パレットのトレーラーにGPSとリーダーを搭載、屋内外問わずどのパレットをどこに置いたかを自動的に記録できるようにしました。

Is the RFID Industry Ready for Growth?

RFID製品の性能は過去10年間にほとんどのビジネスニーズを満たすことができるまでに成長しました。RFID業界にとっての今後の成長の課題は、急激な需要の増加に対応できる生産能力の向上と、ソリューション全体の導入を行えるSIベンダーの育成です。

Our Future: The Real-Time Status of Things

現代の顧客が求めるビジネスニーズを満たすためには、RFIDが発信する情報はクラウド上でパートナーと共有され、かつそのIDと所在地だけではなくさまざまなセンサーデータを含む必要があります。

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2014/06/15

RFID World Watcher Monthly May 2014

今月の特集記事はRFID Journalで発表されたUHFパッシブ用RFIDチップについて。まだインパクトがはっきりとは見えないが今後のInternet of Thingsの普及を考えるといろいろ楽しみな技術。事例記事は様々な技術をバランスよく掲載することができた。

RFID World Watcher Monthly May 2014 (PDF形式、337KB)

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2014/06/10

RFID Journal 抄訳 2014/06/06号

先週はRFID Journalメルマガ本誌がメモリアルデーのために休刊でした。

今週の記事で面白かったのはInternet of Things(IoT)のRFID業界に対する影響をまとめた寄稿記事です。趣旨としてはIoTはRFIDにとってのインターネットのようなもので、標準化とオープンさ、そして規模の大きさにより既存のハードウェアやソフトウェアに大きな影響を与える、一方で巨大なビジネス機会を生み出す、というものでしょうか。奇矯な意見ではありませんがこういう形でまとめられたものを目にしたことはあまり無い気がします。

今週の特集(有償記事)は天井タイプのRTLS機能付きUHFリーダー。Mojix STARが切り開いたこの市場にも複数の製品が出てきましたが、なかなか製品間の違いや適した分野などが分かりませんでした。タイムリーな良記事ですね。

RFID Revs Up Pit-Stop Training for Crews of Two NASCAR Drivers

NASCARのレーシングチームMichael Waltrip Racingはピットクルーの作業の測定・改善のためにZebra社のUWB RTLSシステムを導入しました。Zebra社はMotionWorks Sports Solutionというアプリケーションを提供しています。

Carlsberg UK Expands RFID Keg-Tracking System

Carlsberg社は業務用のサイダー樽の管理にRFIDを利用しています。同社は以前LFタグを使ったソリューションを採用していましたが、現在はKegspertise社が開発したUHFタグを用いたソリューションを利用しています。現在同社は8万個のサイダー樽の管理を行っていますが、今後ビア樽を含む保有60万個の樽すべての管理に展開する予定です。

Hebrew University's Nanotech Lab Tracks Researcher Locations, Emergencies

ヘブライ大学エルサレム校では研究者の実験施設内での所在管理にRFIDを利用します。このシステムは、事故の発生時に研究者がRFIDバッヂのパニックボタンを押すことで危険の発生とその場所を共に通知できるようにするほか、実験施設の課金にも利用されます。採用されているのはLogiTag社の433MHzアクティブタグです。

Santa Rosa Ski and Sports Uses Bluetooth, Wi-Fi Tags to Track Customer Traffic

Swarm社はクラウドでスマホから使えるゲート通過計測ソリューションPortalを開発しました。このソリューションは大型店で行われている動線分析を小売店でも手軽に利用できるようにしようというもので、電池を内蔵した人感センサー付きのタグからWiFiやBluetooth Low Energyでスマホにデータを飛ばし、スマホからクラウドにデータをアップロードするものです。現在同社ではBluetooth Lowe Energy版のPortalをiBeaconとしても利用できるようにしようとしています。Swarm Portalタグの価格は79ドルで、クラウドの利用料は月額39ドルです。

Registration Now Open for RFID Journal LIVE! Brasil

2014年9月24日~25日にサンパウロで開催されるRFID Journal LIVE! Brasilの登録が始まりました。このイベントのコーナーストーンスポンサーはHewlett-Packard Brasilで、他にもHID GlobalやTristar Solutionsなどが出展を申し込んでいます。

RFID News Roundup

  • MAINtag社が航空機向けタグの百万枚出荷を達成、新製品FLYtag skinを販売開始
  • Kit Check社が医療器材ボックスの読み取りステーションの新製品を発表
  • アメリカ国防総省が電子部品調達の偽造防止対応を厳格化。RFIDに商機も
  • Lab ID社がUHFパッシブインレー2製品を発表
  • IDTronic社が組み込み向けUHFパッシブリーダーモジュールを発表
  • NXP社がアンドロイド向けMifare/Icode/NTAG開発環境を提供
  • Smartrac社とConfidex社がアメリカでの流通契約を締結
  • Tecsys社がLogi-D社を買収

What You Need to Know About Overhead RFID Readers(有償記事)

UHFパッシブ向けに、天井に設置し倉庫や店舗にあるタグを一括して読み取り所在を検知するタイプのリーダーはMojix STARが元祖ですが、Checkpoint Systems、Impinj、Sekuraなども製品をリリースし、現在ホットな分野の一つになっています。

Recognizing Kevin Ashton's Contributions to RFID Journal

Kevin Ashton氏はMITのオートIDセンターの共同設立者で、2004年から定期的にRFID Journalに記事を寄稿しています。彼の記事はその時代ごとのRFIDのビジョンを的確に示すものでした。

RFID Stakeholders Need to Prepare for the Internet of Things

Pew Research Centerは2025年のInternet of Thingsがどうなっているかについて2千人の専門家からアンケートを集めました。アンケートの結果、500億個から2000億個のセンサーがインターネットに接続されるという結果になっています。このような市場が急速に立ち上がることで既存のRFID業界には以下のような影響があり、RFID業界は早急に備えるべきです。

  • IoTに含まれる通信モジュールやCPU、センサーなどの価格が急激に低下し、RFIDハードウェアへの価格下押し圧力となる
  • オープンで標準的なハードウェアの活用が進み、RFIDハードウェアに影響を与える
  • IoTで使われる通信プロトコルの改善が進み、既存のプロトコルよりも優位になる
  • IoTのデータを扱うSaaSが立ち上がり、既存のRFID業界のビジネスモデルに予測できない影響を与える。
  • データそのものの販売や分析を行うビジネスが立ち上がる

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2014/06/09

UHFパッシブチップの最近の動向

少し遅くなってしまったが今年のRFID Journal LIVE!ではUHF EPC Gen2チップの今後の進歩についていくつか興味深い発表があった。それについて少しまとめておきたい。

UHFパッシブタイプのタグが登場して以来、チップの感度の向上はずっと大きな課題であり、毎年RFID Journal LIVE!の会場で発表される新しいチップは前年度比での性能の向上を競い合ってきた。だが、ここ数年、UHF EPC Gen2チップの性能は全般的に見ると飽和状態にある。もちろん、国際対応の小型金属タグなどパフォーマンスの向上が今なお有益なアプリケーションもあるのだが、現在のUHF Gen2タグの主戦場であるアパレル個品では、現状のタグで十分以上の読み取り性能が得られており、これ以上タグのパフォーマンスが向上してもリーダー(特にハンディリーダー)が追従できなくなっている。タグの感度が上がり従来より遠距離で返信が可能になっても、リーダーの側でその返信を受信可能な感度が得られない、という状況になりつつある。

このような状態でUHFパッシブチップがどのように進化していくのか、パフォーマンス面での向上はもう求めないのか、とも考えていたのだが、チップ能力の向上を予想していなかった方向に使うソリューションがRFID Journal LIVE!で発表されたのだ。

その一つがImpinj社が発表したMonza R6(RFID Journal:New Impinj Chip Promises Higher Sensitivity, Read Range and Flexibility)。書き込み速度や読取距離の向上など、従来通りの機能も搭載されているが、AutoTunesという機能が新たに搭載されている。これはアンテナの受信感度を読み取りごとに自動的に修正する機能で、リーダーの周波数や貼付先の素材による読取距離の変化を最小化するもの。パッシブタグは貼付する素材によって読み取り距離が大幅に変わる。複数の異なる商品に同一のタグを貼付する場合、特定の商品では必要以上に飛び過ぎて不要な読み取りが発生してしまう場合があるので、そういう場合に受信感度を自動的に落とすことができるのは理に適っているのだ。チップでこのような機能をどのように搭載しているのかは正直僕の理解を超える。以前、チップへのフラグ書き込みによって読取距離を変更できるというタグの解説記事で、無駄な計算を行わせて消費電力を上げることで機能を実現しているというものを読んだことがあるが、そういったコロンブスの卵のようなトリックがあるのだろうか。

アンテナの受信感度の検出を使ったさらに面白い事例として、RFMicron社が開発したUHF RFIDチップMagnus Sがある(RFID Journal:Smartrac Group and RFMicron to Develop Passive Sensor Tags)。Monza R6と同様にアンテナの読み取り状況を元にインピーダンス修正を行って自動的なチューニングを行う機能を持つのだが、それに加え、アンテナに工夫をして湿度や気圧の変化に反応しやすくすることで、アンテナの読み取り状況を元に湿度や気圧の測定が行えるというのだ。UHFパッシブタグにセンサーを搭載するという試みは以前からあったが、このアイデアはアンテナをセンサーにするという逆転の発想。キャリブレーションはどうするのかとかいろいろ疑問点はあるけれど、現実の環境で広く使えるのであればUHFパッシブタグの価値を劇的に変えることになることは間違いない。

あるいは成熟して面白い話は出てこないかと思っていたUHFパッシブタグの世界だが、技術の進歩があればそれを使って面白いことを考える人たちはいるものだと痛感した。この分野での今後の進歩に期待したいな。

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