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2013/09/22

RFID World Watcher Monthly August 2013

今月の特集記事はiBeacon。Apple関係の記事はやっぱり反響が多いが、RFID視点からのまとめなので読者が求めている内容が誤解が無く伝わっているかがちょっと不安ではある。ニュースはAmerican Apparelの店舗内個品RTLSなど。

RFID World Watcher Monthly June/July 2013 (PDF形式、193KB)

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2013/09/16

iBeacon(Appleが選んだBluetooth LEタグ)

先日のAppleの新製品発表で、iPhone 5s/5cにNFCが搭載されないことが判明した。新機種発表前には基板の写真が流出して「ここにNFCのチップが乗っている」という騒ぎになるのは毎回のお約束になったが、去年のiOS 6の発表でPassbook機能が発表されていたしこれで地均しをして次こそはNFCをいう話もあったので、なかなか出さないなぁ、というのが実感。個人的には、NFCのBluetoothペアリング用途での急速な普及を見て、Passbookでのカードエミュレーションを軸にした独自の実装が陳腐化したため対策を練り直しているのではないかと思っている。アップルがNFCをどう捉えているのかという僕の推測は去年書いたので参照して欲しい(AppleのNFC戦略を大胆予測)。

その代わり、というわけなのだろうか、iBeaconという機能が最近メディアに出てくるようになった(例えば、Gigazine:iOS7の隠れキラーコンテンツとなる近距離無線通信「iBeacon」とは?)。Appleからの正式な情報公開が無いので現時点では推測になるのだが、Bluetooth LE機能を利用したアクティブタグ機能らしい。プロAppleな(というかRTLS/アクティブRFIDの知識が乏しい)記事では怪しい煽り文句が付いていたりする。NFCは4cmでしか電波を飛ばせないがiBeaconは10m飛ばせるiBeaconの方が凄い、とか、ちょっと考えてみれば携帯の基地局は何kmも電波を飛ばせるからそっちのほうが偉いのか、とか気づきそうなものだけれど。そして、NFCには専用チップが必要だけどiBeaconはBluetooth LEを搭載していればOKだからハードルが低い、というのには笑ってしまった。NFCに対応しないモバイル機器ってもうAppleぐらいだと思うんだけどな。

実際のところ、スマホをBluetooth LEのタグやリーダーにするというのは非常に魅力的なアイデアで、じわじわと普及が始まりつつある(関連記事:新世代Bluetoothタグの登場)。Appleがこの技術に手を出した理由には、スマホをモノにかざすというNFCのインタフェースと違い、電波を受信後画面での操作が必須になるため自社で囲い込みがしやすいという判断もあったのではないか。

iBeaconの今後を占うにあたって注意すべき点は2つある。

一つは電波の制御の難しさと想定ユースケースとのギャップ。iBeaconを店舗で使う場合のユースケースが掲載されている記事があるが(GigaOM:With iBeacon, Apple is going to dump on NFC and embrace the internet of things)、クーポン配布やインタラクティブサイネージはともかく、店内での顧客の誘導や非接触決済に使える測位精度がBluetooth LEで出せるとは思えない。もちろんiPhoneの高い演算能力と大容量バッテリーを用いて強力な補正演算をやって精度を向上させる余地はあるが、その一方でコンシューマーが自分で持つデバイスとしての難しさもある。例えば、iPhoneを裸で持っている人とアルミ蒸着(電波を反射する)によるデコレーションを多用したケースに入れている人では読み取り距離が全く変わってくるだろう。かといって、間違った読み取りをなくすために極端に出力を下げると、NFCと実質的な使い勝手は変わらない(画面操作が必要な分不利になる)ことになってしまう。

もう一つの問題はプライバシーだ。iBeaconの本質はiPhoneをBluetooth LEのタグにすることに他ならない。現在コンシューマーの間には「誰かが携帯電話を使って自分の行動を監視している」という懸念は(不思議なことに)目立った形では存在しないが、iBeaconはその懸念を可視化することになる。そのときのコンシューマーの反応に耐えられるのだろうか。多くのRTLSベンダーやRTLSを検討したユーザ企業は今まで自分が矢面に立つことは勘弁と思ってきただろうし、iBeaconについて「さすがApple!おれたちにできない事を平然とやってのけるッ。そこにシビれる!あこがれるゥ!」と考えているだろう。地図の騒動も乗り切ったAppleだけに、今回も何とか乗り切ってコンシューマーのRFIDの利用を広げて欲しい。

NFCとBluetooth LEはほとんどの場面で競合する技術ではないし、AndroidがNFCシーンを大きく変えたようにiPhoneもBluetooth LEシーンを大きく変える可能性がある。どちらの技術も今まで以上に普及して欲しいものだ。

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