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2013/03/09

NFC & Smart WORLD 2013

3月8日の午後に東京ビッグサイトで開催されたNFC & Smart WORLD 2013を見に出かけてきた。

今年一番感じたことは展示会場全体の活気。NFC & Smart WORLDとしての展示ももちろんだが、隣接するリテールテックJAPANでもRFIDやNFCを使ったソリューションが多数展示されていた。特に大手ベンダーがトータルソリューションとして力を入れて展示しているものが目立ち、富士通でのビームスの事例、NECの蔦屋代官山店の事例など、現在の日本の代表事例が大きなパネルと説明員付きで展示されているのにはちょっと感動した。この分野でいよいよ勝負をかけられる、と多くのベンダーが考え始めたのだろうと思う。

もっとも、この活気はRFIDへの期待のみが理由ではないことには注意が必要だろう。店頭でのタブレットを用いた接客、顧客によるセルフオペレーション、O2Oなどへの動きなど顧客の現場で起きている大きな動きが背景にあるもので、当然RFID以外の技術要素を用いたソリューションも多数展示されていた。今後この分野で行うソリューション提案はRFID以外の技術要素との競合を意識することが必須になるし、さらに言えば複数の技術要素を組み合わせることで今まで導入に踏み切れなかった顧客に「刺さる」提案が可能になるという側面もある。

以下、個人的に気になったソリューションについて簡単にメモ

【Pastel Plus RFIDソリューション(富士通)】

リテールテックでのRFIDソリューション展示の中で一番目を引いたのは富士通によるビームス事例の紹介だった。ポスターやサンプルの展示だけではなく、多くのビームス側の関係者が出演するソリューション紹介ビデオはとても説得力のあるもので勉強になった。

もう一つ興味深かった点は、ビームス事例でPastel Plus RFIDソリューションという統合ソリューションを全面に出してきたこと。ビームズやユナイテッドアローズなどのセレクトショップ大手が軒並み導入に踏み切り、キャズム理論で言うアーリーマジョリティー層が傍観を止め導入を検討する段階に入っているとすれば、その鍵は実績のある統合ソリューションの存在になる。富士通がこれの横展開に成功できるかにも注目したい。

【NFC PLUG(DNP)】

大日本印刷が出展していたNFC PLUGはシリアルI/Fを持ったNFCインタフェースモジュール(プレスリリース)。名前からはFeliCa PlugのNFC版という印象があるが、FeliCa Plugと違って不揮発のユーザメモリを持っており、これを使ったオペレーションを考えるとImpinjのMonza Z Duraに近いのかもしれない。不揮発のユーザメモリを無線とシリアルI/Fの両方で読み書きできるタグはさまざまな用途が想定されており(参考:ディップスイッチのRFID化)、スマホからアクセスできることで従来よりさらに広範囲な応用が期待できる。会場には最初の対応製品という肌センサーが展示されていたが、ヘルスケアに用途を限らず設備管理などにも販路を広げていきたいとのことだった。

現時点ではISO 15693とISO 14443 TypeBにそれぞれ対応したモデルを用意。普及したときの価格は数百円になるだろうとのこと。

【SMARTICS-V(TOPPAN)】

凸版印刷のブースでに出展されていた製品の中で興味深かったのがSMARTICS-Vという製品。暗号ではなく製造誤差を意識的に利用してチップの偽造を検出するPUF(Physical Unclonable Function)という機能を搭載している。この製品はエアインタフェースはISO 14443 TypeAに準拠している(つまり普通のスマホで読み書きできる)が、アプリケーションレベルで読み書きできる特定のデータが一定の割合で製造誤差によるエラーを返すようになっている。この特定のデータの読み取りをパラメーター付きで行い、その読み取り結果の各ビットが理論値と異なる比率を使って真贋判定を行う。エラーの比率は製造時の設定から計算され、タグそれ自身はエラーの比率に関するデータを持たない。よって、低コストでの偽造はほぼ不可能だし、チャレンジ&レスポンスを用いた判定なのでエミュレーターを使った偽装も困難だ。

チップの物理的特性を使った偽造防止のアイデアは以前からある。例えばアメリカのVerayo社も2008年に同種のコンセプトを用いた製品を発表しており(RFID Journal: PUF Technology Catches Clones)、またNXPもPUFに対応した製品を2014年に投入すると発表している(プレスリリース)。 ただ説明員の方の話によると日本市場への投入はこの製品が最初になりそうだとのこと。チップ価格はセキュリティ機能を搭載しないMifare Ultralightと同等にできるということだが、課題はこの種の偽造防止ソリューションの市場をどのように開拓していくかになるのではないか。

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