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2013/01/26

ディズニーの来園者統合RFID認証システムMyMagic+雑感

2013年は年明け早々にRFID業界今年最大のニュースになりそうな話題が飛び込んできた。ディズニーがRFIDを利用した来園者の統合認証システム、MyMagic+を導入するという話だ。RFIDを離れてもかなり大きなニュースだと思うのだが僕の知る限りでは日本では大手メディアの記事には現時点で取り上げられていない。よくまとまった記事としてNew York Timesのものがあるが(At Disney Parks, a Bracelet Meant to Build Loyalty (and Sales))、内容を簡単にまとめると以下のようになる。

  • フロリダ・オーランドのディズニーワールドではRFIDを内蔵したリストバンド・MagicBandが来園者の統合IDとして利用できるようになる。
  • MagicBandは、通常チケット、ホテルのルームキー、園内での支払いなど、従来別々のIDが必要だった場面で統一して利用できる。
  • 加えて、事前にWebサイトMy Disney Experienceから個人データを登録しておくことで、パーソナルなサービスを受けることができる(例えば白雪姫から「あらジェーン、お誕生日おめでとう」と呼んでもらえる)
  • MagicBandの利用は必須ではないし、My Disney Experienceに個人データを登録しないこともできる。ただし、MagicBandを利用すると、主要なアトラクション3つの事前予約ができるFastPass+というサービスを利用することが可能。
  • ディズニーはMyMagic+から得られた顧客行動情報を分析してサービスの改善に利用する予定。

このMagicBandはFCCの認可を受けており、去年の10月に登場したときにウオッチャーの間で話題になっている(Disney’s Magic Band arrives on the FCC, offers wireless access to the happiest place on earth)。この登録情報によれば、リストバンドはUHFとHF(NFC?)のパッシブタグのほかに2.4GHzのアクティブタグ機能を持っている。電池のオンオフができず電池交換も出来ない仕様になっているため、おそらく高精度なRTLSに用いるものではなく低頻度でビーコンを発信する、例えばエリア内の人数を把握するような使い方をされると考えられるが、MyMagic+の報道ではアクティブタグの用途をうかがわせる内容は今のところ見当たらない。

MyMagic+はテーマパーク運営全体をカバーする非常に巨大なプロジェクトで、その観点から論じることは僕の手に余る。とりあえず、現時点でRFIDウオッチャーの視点から気になる点をいくつか記しておきたい。

・このプロジェクトを構成するユースケースのそれぞれは過去に導入事例が報道されているが、すべてを統合したシステムは少なくとも公開事例には存在しないはず。プロジェクトの本命の目標は顧客情報の収集としても、それぞれのユースケースは業務システムとしてきちんと機能しなければいけないわけで、それを更に統合して動かすというのはかなり大変なことだろう。

・現在このプロジェクトがベンダーから一括で提案されるとしたら、HF/UHF/アクティブという複雑な構成にはしないのではないか。あえてこのような構成にした理由には、それぞれのユースケースを以前から個別に研究しており、MyMagic+として統合される際に技術的な冒険を避け既存の研究済み技術を持ち寄ったという可能性があると思う。

・現在この手のエクスペリエンス系利用で最大のユースケースになっているSNS連携が現時点では報道に現れていない点が気になる。この点は、ディズニーのSNSに対する方針を僕が知らないため自明のことを見逃している可能性があるが…。

・NYTの記事も指摘しているとおりRFID利用に関するプライバシー意識がこのプロジェクトで大きく変わる可能性がある。ディズニーは来園者が素晴らしいと思い納得できるパーソナルなサービスをMyMagic+を利用して提供できるだろうし、そうでなければ導入した意味が無い。利用者にとってメリットがないから良く知らないものはとりあえず却下、という風潮は下火になり、利用者が得失をきちんと考えた上で利用するしないを決めればよい、ということになって欲しいものだ。

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2013/01/12

RFID World Watcher Monthly December 2012

今月の特集記事はMojix StarSystem最新版のレポートと2012年RFID十大ニュースの豪華二本立て。ニュースはハードウェアがらみの記事が普段の月より多かった。
11月の配信が3回だったので若干少なめ。アクティブの事例が少なかったのが気になるところ。

RFID World Watcher Monthly December 2012 (PDF形式、285KB)

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