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2012/07/29

ソフトバンクによるUHF帯RFID移行促進措置の現状

先週の水曜日、2012年7月25日にソフトバンクの900MHz帯サービスが開始された。派手にコマーシャルを打っているので多くの方が目にしているだろう。新たな周波数帯は900-915MHzと945-960MHzで、それぞれ現在はMCA(業務用無線通信)と我らがUHF帯RFIDが利用していることはご存知の通り。この950MHz帯RFIDは2018年4月1日以降は利用できなくなる。そこに至るまでのスケジュールをまずはざっと確認しておこう。

  • 2012年7月25日 - ソフトバンクの900MHz帯サービス開始。この時点では従来RFIDで未利用だった945MHz-950MHzのみが利用され、既存RFID機器との干渉は発生しないとされている(「900MHz 帯を使用する移動通信システムの技術的条件」P150あたり)
  • 2012年9月1日 - ソフトバンクより免許または登録を受けている者にはこの日までに協議の手順が連絡される。
  • 2012年12月31日 - 950MHz帯RFID機器の新規免許・登録申請はこの日まで可能
  • 2013年3月31日 - 周波数帯の移行支援措置(終了促進措置)が全体の4割について実施完了(「3.9世代移動通信システムの普及のための特定基地局の開設計画の認定に係る審査結果」P3でソフトバンクの申請内容として記述されている)
  • 2014年3月31日 - 周波数帯の移行支援措置(終了促進措置)がすべて実施完了
  • 2014年7月 - 950MHz帯RFIDと重なる950MHz-960MHzを利用するLTEサービスが開始。この時点では基地局から2400m離れたRFID機器との間で干渉が発生する可能性がある(「900MHz 帯を使用する移動通信システムの技術的条件」P153あたり)
  • 2018年3月31日 - 950MHz帯RFIDの移行措置が終了。この日以降は950MHz帯RFID機器を利用すると電波法違反になる。

それではソフトバンクモバイルによる移行支援措置はどのようなものになるかについてだが、総務省の資料(電子タグシステムをお使いの皆様へ)には以下のように書かれている

  • 移行費用は、950MHz帯で携帯電話サービスを行うソフトバンクモバイル株式会社が負担します。 負担の対象となるのは、920MHz帯の周波数移行に必要な(1)無線設備・附属設備費、(2)工事作業費、(3)ソフトウェア改修費となります。
  • 実際の費用負担額については、ソフトバンクモバイル株式会社と協議を行い、合意した金額となります。 また、移行費用支払いの対象は周波数の使用期限前までに移行するものに限ります。

ところが、この総務省の資料からリンクされているソフトバンクの広報資料(900MHz周波数移行促進について)には、このような移行負担措置の具体的な内容については全く記載されていない。ベンダーの方何人かに話を聞いたが、現時点で窓口に連絡しても「まずは現状をヒアリングさせていただきます」という対応だとのこと。ソフトバンクが認定時に提出した資料には「RFIDとの協議:認定後4か月(筆者注:2012年7月1日)以内に、移行方法、費用負担の範囲、負担方法(機器代金又は現物)、工事方法、時期等について協議を開始」という項目があるため、まずこれについて約束を満たせていない。また、同資料については「MCAやRFID関係者(製造業者、販売店等、対象免許人等)に対する説明会を各県・総通局ごとに実施」「MCA制御局以外(筆者注:RFID含む)の終了促進措置の合意の契約については、契約書の雛形を作成」という記述もあるが、ソフトバンクの広報資料ではこれらを実施することについても触れられていない。このような状況で来年4月までに全体の4割について移行費用支払いの合意ができるのだろうか。

また、移行支援措置の予算として2100億円が用意されていると言われるが、これはMCAとの合計金額であることに注意しておく必要があるだろう。携帯電話事業者としての自社のメリットを考えるとMCAとUHF帯RFIDのどちらに金を使いたいかは自明だ。まして移行支援措置には機器の現物給付が認められている。一次ソースは確認できなかったが「現在800MHz帯デジタルMCA無線に加入している全ユーザーと、一部のアナログJSMRシステムに加入している全ユーザーへ、ソフトバンク社が新デジタルMCA無線で使用できる端末をユーザーの負担なしで提供する予定です」という販売店の記事が見つかった(800MHz帯JSMR・MCA無線の周波数移行に伴いソフトバンクが無料提供する新端末)。

ソフトバンクが900MHz帯を利用するにあたり既存の利用者に適切な周波数移行の補償を行なうことは、同社と総務省、ひいては国民との約束だ。万が一にもRFID利用者への保障がなし崩しにうやむやにされることはあってはならないと思う。利用者は直接ソフトバンクと交渉することになるためどうしても不利な立場になると思うが、メディアなどによる監視を強く望みたい。

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2012/07/21

リアルいいね!サービスを体験してみた

以前からこのBlogでもRFIDとSNSとの組み合わせはこれから発展する可能性が高い分野だと書いてきたが(例えばRFIDとソーシャルメディア)、実は今まで実際に体験したことがなく、いささか忸怩たる思いでいた。最近SNS連携システムを利用した写真展が開催され、いいチャンスだといそいそと出かけた。表参道ヒルズで行なわれた、アーティストICONIQを3人の写真家が撮影した「ICONIQ UNKNOWN」という写真展だ。

利用されたSNS連携システムは凸版印刷とサイバーエージェントが提携して提供している「リアルいいね!」(プレスリリース)。提携は春に行なわれ販促イベントなどでは実績があるようだが、写真展での利用は世界最初だとのこと。

会場は表参道ヒルズの地下に続く階段部分で入場は無料になっている。リアルいいね!サービスは希望者のみになっていて、入り口のブースで申し込むと利用するチケットが渡される。手の形をしたチケットで、ブースに置かれたPCからtwitterかfacebookにログイン、チケットに印刷されたIDを入力して利用準備は完了。

Dsc_0572

会場内には20枚ほどの写真が展示されており、写真ごとにリーダーを内蔵した台座が置かれている。台座にチケットで触れることでtwitterかfacebookに投稿することができる。僕はtwitterで登録し、生成されたリンクはこちら

Dsc_0571

会場を出る際にはチケットが回収されるのだが、3人の写真家の代表作の大きいポスターのうち、一番気に入った写真家のものに貼り付ける仕組みになっていた。面白いアイデアだと思う。

いいね!の投稿は確かに面白く、自分の行動が即座に反映されるということの可能性を感じた。またトライアル自体もいろいろ考えられたものだと思う。ファッショナブルでちょっとセクシーな女性の写真なのでタッチしてみたいという遊び心が自然に起きるし、チケットの回収方法も気が利いている。

反面、いくつもの課題を感じたことも確か。最大の課題はタッチが気持ちよくないこと。チケットもリーダーの台座もひどく無骨で、良い作品に対し自然と手が伸びるという感じではない。今回の展示写真はオリジナルプリントではなくパネルだったのだからいっそ作品にそのままタッチさせる仕組みでも良かったのではないか。また、リーダーの読み取り感度も鈍く、読み取りまで何度もチケットを当てなおさなければいけなかった。こちらも早急に改善が必要だろう。

また、SNSとのリンク方法も改善が必要。第三者が使うPC上でIDとパスワードを入力させるなんて問題外。スマホが使える人は現場でスマホを利用、そうでない人は事前にWebから作業を行なえるようにしないと、プライバシー関係のトラブルで事業全体が潰れてしまうリスクすらある。

とはいえこれらは実際に試してみないと分からないもの。いろいろ問題があるなかトライアルの実現に漕ぎ付けた関係者の努力に敬意を表したい。使い勝手の気持ち良さを作りこむことは日本企業が得意とする分野だと思うので、世界に飛び出していけるシステムに育てていって欲しい。

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2012/07/01

RFID World Watcher Monthly June 2012

今月号の特集記事は当然AppleのNFC戦略。ブログエントリを書いた後調べた内容を踏まえて加筆した。AppleとNFCとの関わりを決済の面からウオッチしている人は結構いるので他の切り口を狙ってみたのだがあまり成功したとは思えず残念。今後もうちょっと引き出しを増やさなくっちゃなぁ。

RFID World Watcher Monthly June 2012 (PDF形式、195KB)

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