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2012/05/05

RFID普及のためのもう一つのアプローチ

今年のRFID Journal LIVE!も無事に終わった。終了後の報告の中で目に留まったのが、参加者数が2500人ほどで2010年からずっと横ばいだという話(RFID Journal: More Industries Approach the RFID Inflection Point)。この2年の間、アメリカではアパレル個品管理向けに大規模な導入案件が動いているはずだし、実際にABI Researchの調査によると向こう5年間年率20%の成長が続く(The RFID Market Will be Worth over $70 Billion Across the Next Five Years)。

そうであるのにRFID Journal LIVE!の参加者が増えていないということは、RFIDの案件が横に広がっておらず、規模が大きくなりながらも同一の業界、同一の関係者の中でグルグルと廻っている可能性がある。実際、6年前に始まったCompTIAの業界標準RFID資格・RFID+も2011年末で試験実施を終了している(参考記事)。

これは決して悪いことではない。従来は充分な売り上げの立たない小さな案件を廻して食いつないでいたRFID業界人たちがようやく安定したキャッシュフローを得られるようになってきたということでもある。だが、RFIDはもっともっとさまざまな分野で使われて世の中を変えていくはずのテクノロジーで、特定分野の人しか興味を持っていないというのはよろしくない。RFID Journalもそのような危機感を持っているのだろう。少し前はあれほど「Low Hanging Fruits」(すぐに成果を出せるこなれた案件)を強調していたのに、最近はキラーアプリが成熟していない分野を幅広く取り上げるようになっている。今年のRFID Journal Awardでも、従来RFIDの導入を牽引してきたサプライチェーン、アパレル個品、e-ペディグリーなどの案件がほとんどノミネートされなかった。

この問題は日本で活動する僕らにとってはより深刻だ。もしアメリカ内部ですらRFID案件の横展開が起こらないのなら、アメリカから日本への案件の横展開はなおさら起きないのではないか?そうであるならば、RFIDの普及のきっかけになる何か別のアプローチを試みなければならない。

心強いことに実際に日本ではその種のアプローチが動きつつある。今回の記事では2つの動きを紹介したい。

その一つが1月末に八重洲にオープンしたRFID/NFC Real Touch Shop(リンク日本橋経済新聞の紹介記事)。RFID専門のリアル店舗は世界的に見ても非常に珍しいと思うが、より重要なのはこの店舗が小口案件に特化した店舗であるということ。実は以前はRFIDタグを小ロット(数十枚)で買うことは非常に困難で、タグベンダーの担当者と面識を得てサンプル用という名目で入手するぐらいしか方法が無かったのだ。その後、エース工業が小ロットでの通信販売の対応を開始し、その反響を受けてオープンした実店舗がこのRFID/NFC Real Touch Shopということになる。

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必ずしも広くは無い店舗だが、店内には珍しいタグや面白いソリューションがずらりと並ぶ。そのほとんどが自腹で買って遊んでみることができる構成・価格。常駐しているスタッフは並んでいる製品はもちろんのこと国内外のRFID製品やソリューション動向に精通している。彼らが言うには、RFID/NFCの小口のタグを売って儲けを出すことは考えていない、それよりも技術好きの人々が自分で買って試してみたいというニーズに応えたいと言う。始めは扱いやすいNFCから入ることになるだろうが、そのうちより長い読み取り距離、より大きな同時読み取り性能とどんどんニーズが高くなってくる。そうやって企業の中に「RFIDをもっともっと使ってみたい人たち」を増やしていきたいのだと。

Dsc_0306

ここしばらくのNFC対応Android製品の市場投入により、来客数は当初の見込みを超えて増加しているのだとのこと、とても頼もしい。

もう一つはNFCアイデアソン・ハッカソン。AndroidのユーザーグループNFCラボが主催するもので、アンドロイドのNFC機能を使ったアプリケーションのアイデアを出すアイデアソン、それを1日の開催時間で実際に実装してしまう(!)ハッカソンというイベントが、過去に2回行なわれている(日経ITPro: NFCの可能性に挑戦したアイディアソンとハッカソン)。僕も4月13日に開催された第2回のアイデアソンに参加したが、AndroidからNFCの世界に興味を持ったハッカーたちが多数いてとてもとても新鮮だった。

上記のように草の根でNFC/RFIDを面白がる輪を広げRFIDに理解と好意を持つ層を開拓していくのはRFID普及へのもう一つの重要なアプローチだと思う。海外のエンジニアコミュニティで、メンバーが将来性のある技術に向け綺麗に組織・動員されて動いていくのは時々うらやましく思えることがあるけれど、RFIDではどうやらそれは上手く廻っていないようだ。ならば、日本なりのやり方でコミュニティを広げていこうじゃないか。僕もこのブログをもっと頑張ろう。

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