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2012/01/31

RFID World Watcher Monthly December 2011

今年はRFID Journalで十大ニュースが発表されなかったので代わりに独自の視点で選んだものを掲載した。読者のコメントを頂ければ幸い。ニュースはSmartrac社のUPM RFID事業買収やアーカンソー大学によるアパレルサプライチェーンでのRFID利用など。

RFID World Watcher Monthly December 2011 (PDF形式、204KB)

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2012/01/27

2011年RFID十大ニュース(俺版)

毎年この時期には昨年のRFID十大ニュースのエントリを書いているのだが、困ったことに今年はRFID Journalの方でRFID十大ニュースを取り上げていない。まぁ、大盛り上がりというニュースは無かったし、ビジネスとして確実に廻り始めているアパレル関係の事例は業界内で話が完結して外野が提灯をつけるような雰囲気ではなくなっているし、あんまり書くことも無いなぁという気分は分からないでもない。ただ、それもちょっと寂しいよなぁということで、僕の独断と偏見で2011年のRFID十大ニュースを選んでみた。

☆パッシブUHF周波数帯のコンバージェンス
日本でのUHF周波数帯移行の議論に続き、ヨーロッパでも915MHz帯をパッシブUHF利用に開放しようという動きが出てきた(参考エントリ:ヨーロッパにおけるUHF帯RFIDパッシブ周波数変更議論)。この動きを受けて期待したいのはタグ、特に金属などの特殊用途タグの性能の向上。現時点では2バンドならば実用的な性能を出せるとのことだが、1バンドになることで更に思い切った性能向上を期待したい。

☆「5セントタグ」が現実に
アパレル分野での導入成功によりタグの量産規模が拡大し、ウェットインレイの大ロットでの単価が5セントまで低下した。現在ではウェットインレイのままで利用可能な用途、例えば既存の紙ラベルの余白に直接貼り付ける方法なども存在するし、スマートラベルに加工してもインフレを考慮すればブーム当時の5セントに相当する。一方で「5セントまで下がらないと利用できない」と言われていた用途での利用は拡大していない。改めての掘り起しが必要ではないだろうか(参考エントリ:インレイ不要のスマートラベル製造プロセス)

☆MicrosoftのNFC取り組み強化
海外大手ITベンダの多くがRFID関連機能のサポートを表に出さなくなって久しいが(但し戦略レベルの話として。製品レベルの対応改善が地道に行なわれているかまではフォローできていない)、昨年はMicrosoftがNFCサポートを強化するという発表を相次いで行なった。Windows 8でNFCにネイティブ対応すること、またスマートフォン対応のID入力システムMicrosoft TagでNFCに対応したことがそれである。Microsoftの視点で見れば、ネットだけではないリアルとの接点としてGoogleとの差別化、フリックやピンチなどのタッチ系のUIとは違うインタフェースとしてアップルとの差別化の意味でNFCに注目することは非常に理にかなっていると思う。今後取り組みが更に広がっていくかどうか注目。

☆北米でのアパレルRFIDの水平展開成功
2010年にはWal-Martの事例のみ先行して報道され、広がりについて一部で懐疑的な見方もされていたアパレルでの個品RFIDの利用は、アメリカでMacy'sを筆頭に他社事例が報道されることで認知がほぼ確立した。従来のヨーロッパの事例との違いは導入企業の規模の大きさで、従来は中小規模の専業チェーンであったのに文句なしの大企業が大規模導入をしていることが大きい。その割りに日本であまり話題にならないのが不思議な気がする(参考エントリ:アメリカのアパレルRFID導入状況Macy'sがRFID在庫管理を全店舗に導入へ)。

☆標準化活動の息切れ
HF Gen2の制定やTDSの改定など若干の話題はあったが、全体としては2011年はGS1 EPCglobalの活動があまり目立たなかった。ハードやソフトの互換性の確保が一段落して個別企業での導入が廻り始め、その一方で現時点では次世代のハード・ソフトの標準は興味を引かないしアプリケーション標準化や共同トライアルはノウハウの流出を懸念して動けないということであれば、あまりやることが無いのは構造的にやむを得ない。一方でアメリカのアパレル業界はVICSなどを通じた活動に乗り出しており、こちらは久々に見る業界団体主導の標準化の動きになる。

☆Gen2チップのコモディティ化
Gen2チップ各社が毎年RFID Journal LIVE!に合わせて新製品を投入し、感度がどれぐらい上がった、メモリをどれぐらい積んだということが騒ぎになっていた時代は過ぎたようだ。現時点では適切なアンテナを組み合わせてタグを設計すれば多くの用途では妥当な性能、コストのタグを作れるようになり、チップの性能が上がれば今まで出来なかったことが可能になる、という熱気は薄れたように思う。RFID Journal LIVE!に投入されたのは、書き込みの高速化などのニッチな改善、あるいは不要な機能を削除してコストを下げたモデルであった(参考エントリ:RFID Journal LIVE! 2011雑感(Gen2チップとトルネード))。

☆スマートフォンでのNFCサポート
NFCや3Gインターネット接続を標準搭載、ローカルで自由にプログラムを動かせる、そしてもちろん携帯性は抜群ということで、スマートフォンとNFCとの親和性は非常に高い。現時点ではキラーアプリを模索している段階だが、提案されているソリューションや周辺機器はわくわくするものばかり。噂どおりiPhone5にNFC機能が搭載され、さらに面白いアプリケーションが登場することを楽しみにしている。

☆ソーシャル分野でのRFID利用の増大
タグの読み取りデータをソーシャルイベントに結びつけるのはセキュリティへの対応に悩んできたRFID業界にとってコペルニクス的転換だった。現時点では手入力の置き換えに留まる初歩的な利用に留まるものが多いが、複数のNFCタグを読み分けさせるなどの手法が洗練されていけば驚くような事例が出てくるのではないか(参考エントリ:RFIDとソーシャルメディア)。

☆進まないMandate案件
エアバスA350XWBへの貼付が始まる航空部品トラッキングの世界では着実に導入が進んでいるようだが、それ以外の大型Mandate、アメリカのe-ペディグリーや航空手荷物などは導入への動きが聞こえてこない。導入に関してはそれなりの必然性もあるし、技術的な制約は相当部分が取り除かれているはずなのだが。RFIDに限らずこの種の新技術の導入には多数の落とし穴が潜んでおり、Mandate案件ではその落とし穴を現場の工夫で取り除くことが出来ないのが難点なのだろうなぁ。

☆センサータグの立ち上がり見えず
RFID Journalではセンサータグが次のビジネスの種と見ているようで活発に記事を書いているのだが、なかなか大きなトレンドとなるものが見えてこない。確かに「何かに使えないかな」という想像をいろいろ掻き立ててくれるし、ビッグデータというITの世界での主要テーマとも合致する。だが、そこそこの規模のマーケットで「こういう使い方をすれば利益が出せる」という方程式が見えた、というものがまだ存在しない。しばらくは手探りの状態、個別企業や特殊業界での小規模な導入が続くのだろう。

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