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2011/09/29

RFID World Watcher Monthly August 2011

先月早く出したいと言っていたのに結局月末になってしまった。申し訳なし。今月の特集記事は自動認識総合展のレポート。事例集には保険会社の冷蔵品サプライチェーン監視システムやGen2タグを使ったドライブするー支払いシステムなどちょっと面白いものも。

RFID World Watcher Monthly August 2011 (PDF形式、256KB)

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2011/09/04

自動認識総合展2011

8月31日から9月1日まで東京ビッグサイトで自動認識総合展が開催され、初日の8月31日に出かけてきたのでその報告を。

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【セミナー】

初日のセミナーは特別講演として聴講無料(だからこの日に参加した)。かといって埋め草的なものではなく、特に午後のものは外国のUHF帯RFIDの動向をリアルに知ることが出来る良い講演だったと思う。

〔700/900MHz帯の周波数再編について〕

総務省の担当者によるUHF帯RFIDの再編動向に関する講演。このテーマは震災を挟んだこともあり半年ほど動向を知ることが出来なかったので有難かった。講演としては周波数再編の背景の比率が高く、RFID新規格の内容やその導入スケジュールをもっと話してくれたほうが良かったと思ったが、これは人それぞれで感想が違うかな。

パッシブの新チャネルプランは免許局が4チャンネル(916.8、918、919.2、920.4MHz)と、周波数自体は少しずらしたものの欧州の新プランと互換性の高い形に落ち着いた様子(参考エントリ:ヨーロッパにおけるUHF帯RFIDパッシブ周波数変更議論)。ミラーサブキャリア方式をフル活用できるので通信速度が90kbpsから270kbpsへと向上した。この部分別途エントリを立ててフォローしたい。

〔災害非常時におけるRFIDの利活用〕

信州大学の先生による総務省の実証実験の報告。主なテーマは「瓦礫の下に埋もれた人間の位置をRFIDタグを用いてピンポイントで測定できるか」というもので、各種の瓦礫素材を通過してGen2タグがどの程度読めるかという実験の結果が発表のメインだった。大切なテーマだとは思うし、東日本大震災を受けたタイムリーなトピックだが、ちょっと内容が薄めだったかなとは思う、

〔UHF Gen2 RFID: Current use cases and future opportunities〕

ImpinjのCTOによる講演で、マーケット概況、利用アプリケーション、技術的な議論の3点からGen2の現状を説明する内容。この講演だけ聴けば世界でGen2が本格的に普及を始めていることが理解できるのではないだろうか。

マーケット概況としては、UHF Gen2は"Tipping Point"(製品が爆発的な普及に向かう転換点)を超えたと認識を示し、Gen2タグの出荷量が2007年の2億枚から2010年に15億枚に増加。その後2011年には28億枚、2012年に56億枚、2013年に112億枚と毎年倍々ゲームで増えていくことが見込まれているというVDCの調査結果、そのマーケットを牽引するのが個品レベルでのトラッキングであり、RFIDシステムとしての売り上げが2010年から2016年まで毎年30%で市場が拡大、2016年には8.2億ドルに達することが見込まれているというABI Researchの調査結果を紹介した。

利用アプリケーションについては、以下のようなものが紹介された。ほとんどはRFID Journalなどで公開済みの事例で、多くは当サイトのRFID World Watcher Monthlyで紹介している。これだけ数があるので一つ一つ特徴を説明していくと言うよりも幅広いアプリケーションで使われているということを事例全体を通して紹介しようとしたもの。

  • 宝飾店の店頭在庫管理(CLEOR)
  • レンタルパレット管理(日本パレットレンタル)
  • 医薬品向けスマートシェルフ(Terso)
  • 薬剤トレーサビリティ(Hanmi)
  • アパレルインベントリー(Galeria Kaufhof、トライアル?)
  • e-Seal(台湾税関)
  • マラソンタイム測定(ChronoTrack)
  • ビール自動サーバー(DraftServ)
  • 高機能ドリンク自動販売機(Coca Cola Freestyle)
  • 工具管理(CribMaster)
  • クリーニング
  • アイスクリーム店顧客向け在庫表示(Izzy's)
  • 食品トレーサビリティ(Metro)
  • 贈答品詰め合わせ(Gripo Disber)

最後の技術的な議論の紹介では、なんとUHF Gen2 V2.0という新企画の制定が進んでいるというという話が。それも可能性の議論ではなく、今年の10月にワーキングドラフトを公開して年内に最初のIPレビューを終了、2012年の6月には批准というスケジュールで動いているらしい。個人的にはそのような動きがあることを全く知らず、非常に興味深かった。現在のUHF Gen2と互換性を保ちつつ下記の機能が追加されるとのこと。

  • EAS機能 - EASとしてのデータ項目を追加
  • セキュリティ - 真正性の確認、データ読み書きのアクセス制限、データの暗号化をAESを用いて実装
  • ファイル管理 - ユーザデータを分割してファイルとして管理し、アクセス権を個別に付与する。

以前はEPC Gen3として少し噂が出てその後話を聞かなくなった話がこういう形で進んでいたのか。ファイル管理やAES対応の暗号化には相当の処理能力が必要なはずだが技術の進歩で対応できるようになったのだろう。すぐに対応製品が出てくるかどうかは分からないが楽しみだ。

〔欧米/APECでのUHF帯RFID導入最新動向〕

UPM RFIDのアジア担当MDによる講演。Wal-Martの導入プログラム、アパレル個品タグ付け、産業向けタグ、NFCタグの4つの分野のトピックが紹介された。

まずWal-Martの導入プログラムについて。アパレルでの成功を踏まえて他の商品への展開が計画され、ベンダーもそれに合わせて供給能力を拡張していたが、現状は景気の悪化により展開が足踏みしているとのこと。但し、展開計画は放棄・縮小されてしまったわけではなく、今年の第4四半期に電気製品のタグ付けが開始するなど、近いうちに再開されオリジナルの計画に追いつくと判断していると。

アパレル個品タグ付けに関しては、アパレルで使うタグとして紐で結わえるタグとハンガーに取り付けるタグ、そして商品に貼り付けるラベルと3タイプのタグが存在すること、そしてUPM RFIDはその3種類のタグのすべてに対応しているという話があった。

産業向けタグのパートで出てきたのが金属製の商品の個品管理。従来金属製品の管理には専用の金属タグを利用してきたが再利用しなければ中々コストが合わない。そこで、通常のラベルタグでタグ部分を折り曲げて浮かせたFlagタグを適用することで安価に管理が行えるという内容。正しいアプローチであり、またアイデアさえあれば必ずしも特殊・高度な技術は不要なので日本でもこの種のタグは展示会などで多数発表されているのだが、それがまとまって「金属タグでなくてもいいよね」という認識にはなっていないんだよなぁ。事例としては韓国の製鉄会社POSCOのものを紹介。薄板ロールなどすべての製品を対象に年間200万個のタグを貼付しているとのこと。

NFCについては、携帯電話にリーダーが内蔵され一般の消費者と直接繋がれる新しい市場が生まれるというのが主張の中心。2014年までにスマートフォンの20%、3億台がNFC対応になるとの見通しを示した。事例紹介はコンセプト的なものが中心だったが、Angry Birdsという携帯ゲームで関連商品のぬいぐるみにNFCタグを入れる事例が紹介された。

【展示】

今回は展示スペースは一部屋になった。スペースが年々減っていくのは淋しいが、出展している企業はしっかりした展示をしていたので残念と言う感じはしない。全般的にハードをそのまま出展している企業は少なくソリューションと絡めての展示、特にスマートフォンを使った展示が多かった印象。

Touch to Start KIT(クレスコ・アイディー)〕

個人的には今回の出展品の中で一番注目したのがこれ。USB接続NFCリーダーとNFCタグ10枚(EdyやSUICAもタグとして使える)、そしてExcelで開発が可能な可能なミドルウェアManica Excel Toolのセットで4,980円。個別のコンポーネントは従来から存在したものだが、これらを組み合わせてパッケージソリューションにした意義は凄く大きい。RFID業界の外にいる人にはコンポーネントを集めてきて動作検証して…ということ自体が相当の手間がかかるからだ。専用タグやSUICAをかざしてタグに応じたExcelマクロや外部プログラムを起動させるなんてことはノンプログラミングで出来るので、ユーザーの手持ちのSUICAを使ってタイムレコーダーやスタンプカードの置き換えなんていうのはすぐにでも出来るし、タブレットPCに接続すればインテリジェントなデジタルサイネージの出来上がり。個人的に特に使ってほしいと思うのはSNSとRFIDの連携が何か出来ないかと考えているSNS畑の人。SUICAとExcelを使うことで実用環境でのシステムが組めるんだから、アイデアを検証してRFID畑の人にフィードバックしてほしいなぁ。

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なお、パッケージされているミドルウェアManica Excel Toolは他のRFIDリーダーでも利用できる。デモ用のシステムを作ったりするのに非常に便利なので、使ったことが無い方はこちらもぜひ試してみてほしい。

レーザーピッキング(インスピーディア)〕

これはRFIDではなく画像認識システムとレーザーポインタを使った物品管理システム。棚に格納する箱やケースに二次元バーコードを貼付し、天井などに固定したネットワークカメラで棚を読み取ることで箱の位置を認識・記憶、特定の貨物の位置を知りたい場合には同じく天井などにコピーしたレーザーポインタで箱をピンポイント照射する。電子棚札と違って棚に配線を這わせたり棚タグの電池を交換したりといった手間が無いのが素晴らしい。

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また、画像認識システムは二次元バーコードの認識装置に差し替えることが可能で、例えば段積みされたパレットの枚数などを数えさせたりとかいうことも可能。平置きで通常の管理が困難な倉庫などでも大きなメリットが得られるのではないだろうか。

見えるRFIDタグ「スマートタグ」(アイオイ・システム)〕

電子ペーパーを搭載したRFIDタグ。個別の案件ベースで特注され実用化されていたのは知っていたが、一般向けに販売されるのはこれが初めてではないだろうか。電子ペーパー部分は文字だけではなくバーコードも表示させることが出来る解像度の高いもの。無線部分はNFCを使っており通信距離は数センチで、用途としては通い箱用の電子カンバンに特化している。せっかくの電子ペーパー機能なのだから遠距離からの書き換えが出来たほうが面白いと思うのだが、その種の用途は想像するよりマーケットが小さいのだろうか。電池寿命は書き込み1万回で、タグの単価は3,000円。

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