« 2011年1月 | トップページ | 2011年3月 »

2011/02/17

RFIDとソーシャルメディア

先日Web界隈でRFID in Shoesという動画がちょっとした話題になった。Hyper Islandという専門学校の学生のプロジェクトの広告で、スニーカーにRFIDタグを仕込み、マットにリーダーを入れておくことで、マットを踏んだときにウェルカムメッセージを表示し、ソーシャルメディアに連動でメッセージを投稿、さらには来店管理やイベント入退場にも利用できるというもの。ブログやtwitterなどで検索してみると「面白い」「新しい時代を感じる」というポジティブなコメントが並んでいた。

この反応を見て個人的にはちょっとした驚きと感慨もあった。5年ほど前には「スニーカーにもRFIDタグが入ってくる」というのはプライバシー活動家がRFIDを非難する際のお約束の表現だったからだ。もちろん使い方も今回のケースと同じで、店舗の入り口にRFIDリーダーを仕込んでおき、顧客の行動を監視するというもの。それが今では好意的な視線を向けられるようになったというのは、RFID業界での技術改善、啓蒙活動などの効果もさることながら、ソーシャルメディア、特にFacebookの普及が大きいのではないだろうか。5年前、SpychipsなどのRFID批判本が出たときにはRFIDシステムの取得データがインターネット全体にダダ漏れで公開されるという非現実的なモデルに一定のリアリティがあったのだろうが(関連エントリ)、現在のFacebookを使い慣れた人たちにとっては自分のプライバシーデータを自分でコントロールして望む範囲に公開できるというのがごく当たり前の感覚になっているのだろう。

余談になるが、GoogleがFacebookを強くライバル視するのも、単にアクセス数の問題ではなくこの世界観の違いではないだろうか。「データの公開範囲は自分が好きなように決めるのが当然」という考え方はGoogleの理想やビジネスモデルに正面から対立するものね。

さて、RFIDとソーシャルメディア、実はRFID in Shoesが話題になる前からさまざまな事例が存在している。実際に利用された事例はRFIDチケットが多い。スキーリゾートやロックフェスティバル、美術館などが導入先で、RFIDチケットの配布時に顧客のtwitterやFacebookなどのSNSアカウントをチケットにリンクさせ、会場内のリーダーにかざすと「ピカソなう」とか「レッチリなう」とかがSNSに投稿されるというものだ。最初にこの種の記事がRFID Journal誌に掲載されたのは2009年12月のポンピドゥー・センターの事例で(Centre Pompidou Hopes NFC Will Draw Teens to Art)、その後にイスラエルのコカ・コーラ祭りの事例(RFID Helps Make Friends for Israeli Teens)、アメリカのスキーリゾートの事例(Vail Resorts Links RFID With Social Media)などが紹介されている。業界の関心も高く、今年のRFID Journal LIVE! 2011では"RFID-Enhanced Social Networking"なるセミナーが開催されるほどだ(良く見てみると関係が薄いセッションも入っているが…)。

日本でも先日mixiがNFCを用いたmixiチェック・mixiチェックインに対応するなど徐々に動きが出てきている(こちらは携帯電話で位置タグを読み取る方式だが)。要素技術は充分に成熟していると言っていいのでぴったりハマるユースケースが出てきたら一気にメジャーになるのではないだろうか。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011/02/11

RFID World Watcher Monthly January 2011

ここしばらくRFID World Watcher Monthlyの特集記事で2本ペースを継続できていて非常に嬉しい。GAOのコンテナセキュリティ器材レポートとWebsphere Sensor Eventsがテーマのもので、後者については手を入れてすっきり読みやすくなったと思う。
ニュースの方もSKテレコムによるGen2リーダー搭載のUSIMやArkansas Radio Compliance Center(ARC)の解説など面白いものが幾つか。twitterの上で有意義な議論をさせていただいたのだが反映できていないのが残念。今後の課題だ。

RFID World Watcher Monthly January 2011 (PDF形式、202KB)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011/02/03

ヨーロッパにおけるUHF帯RFIDパッシブ周波数変更議論

以前にエントリを起こした(日本のUHF帯RFID周波数の割り当て変更方針決定(2012年より915MHz~928MHzへ))UHF帯RFID周波数変更に関し、新たな報道があった。2月3日の日経朝刊のトップ記事・「次世代電力計100万世帯に-12年度中専用周波数を設定」の中に「情報通信審議会(総務相の諮問機関)は2月からスマートメーターに利用する専用周波数帯の割り当ての議論を始め、6月にも結論を出す。欧米と同じ915~928メガヘルツ帯を割り当てる方針で、省令改正を経て12年夏から利用できる見通しだ」という記述がある。このブログの読者には今さら言うまでもなくこの周波数はUHF帯RFIDと同じもので、この記事が正しければRFIDの周波数改正もこのスケジュールにそって進んでいくことになる。ちなみに「12年夏」のスケジュールの詳細については、現在915MHz~925MHzを利用しているauのCDMA 1Xが2012年7月24日までにサービスを停止することが参考になるだろう(参考: 800MHz帯の周波数再編に伴う「CDMA 1X」などのサービス終了等のお知らせ)。

なお、本稿の趣旨からは離れるが「『欧』米と同じ915~928メガヘルツ帯」というのは記者の勘違いではないだろうか。現在利用されているZigBeeやZ-Wave、そして最近スマートグリッド用規格として制定されたIEEE 802.15.4gのいずれもが、欧州では標準のSRD周波数860MHz帯を利用している。

さて、上記の記事を読んで何か引っかかりはしなかったろうか?見出しには「12年度中『専用』周波数を設定」とある。現在950MHz帯のアクティブタイプの周波数はパッシブタイプと共用になっている。この状況が周波数割り当て変更によって変更になるのだろうか。

本件について参考になる議論が欧州で行なわれている。欧州においてもUHF帯パッシブRFID周波数の割り当てを変更しようという動きがあるのだ。その理由は、今後15年の間にRFIDやSRDの利用が活発になると混信により利用が困難となるため、パッシブRFID用に新たな周波数を割り当てて移行し、アクティブRFID・スマートメーター用の周波数から分離すべきというもの。2008年にETSIが本件に関する報告書ETSI TR 102 649-2(pdf形式)を提出し、今年の4月に欧州郵政・電気通信主管庁会議(CEPT)の電気通信委員会(ECC)が周波数分離の必要性を審査するワークショップを開催するという(参考: RFID: Is RFID "Choking" On Its Own Success? - RFID Connections)。日本と違い現時点では具体的な移行スケジュールが議論されている段階ではないが、日本の周波数割り当て議論に影響を与える可能性があり、注目が必要だ。

なお、パッシブRFIDの移行先として想定されているのは915MHz~921MHz。チャネル幅400kHzの4つのチャネルが送信専用で1.2MHz間隔で配置され、ミラーサブキャリア方式の利用が可能となる。イラストにするとこう↓。

New_eu_uhf

見て分かるとおり、日本の新たなRFID割り当て周波数の中にすっぽりと納まる。国際協調という意味ではアメリカ規格だけではなくこちらも意識しておく必要があるだろう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2011年1月 | トップページ | 2011年3月 »