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2010/12/23

Wal-Martの三度目の正直(Gen2マーケットのブレイク)

早いもので2010年もあと一週間。RFID分野で2010年のもっとも注目すべき出来事はGen2マーケット、特にワンウェイ用途での急速な立ち上がりである。だがこの動向、僕が目にする範囲では日本でほとんど報道されていない。先のエントリで書いた日本でのUHF帯RFID周波数割り当てにもかかわってくる話なので、簡単に解説しておきたい。

RFID Journalの10月の記事がこの動向をコンパクトにまとめている(Sales of EPC RFID Tags, ICs Reach Record Levels)。Gen2タグの数量については調査会社ABI Research社の調査を引用する形で、2010年のGen2チップの出荷数が10億個を超えること、そして売上高については2010年が前年比125パーセント増、2011年は前年比105パーセント増としており、倍々ゲームで市場が拡大していることになる。出荷数量についてはBaird社のRFID Monthly 2010年8月号に記述されており、2010年は前年比125~150パーセント増、2011年は300パーセント増としており、2009年から2011年の2年間で9~10倍になる。有力ベンダーの見通しはこれらよりやや弱めだが、タグ・リーダーのどちらの分野でも生産が販売に追いつかない状態が続いており、新興ベンダーが勢力を伸ばしていると考えられるので、これらの見通しはあながち荒唐無稽ではない。

実はこの急成長は業界では全く予期されていなかった。RFID Monthlyも2010年4月号では2010年の成長率を40パーセント程度と見積もっている。急成長をもたらしたのは7月に開始されたWal-Mart社の男性用アパレル分野での個品タグ付け。Wal-Martはグループ企業のSam's Clubも含めRFIDを活用したビジネスモデルを長く模索してきたが、今回のアパレル分野での個品タグ付けプロジェクトは他社事例・学術研究を踏まえた非常に柔軟なもの。タグ費用をWal-Martが負担し、RFID利用でメリットを得ることに納得したパートナーから順次立ち上げていくというもので、アパレル分野でのタグ貼付のビジネスケースがほぼ固まっていることを考えると、ようやく無理のない取り組みになったと言ってよい。さらに特筆すべきことは、Wal-Martは今回の案件ではハードウェアについても柔軟な運用を行っていること。例えばタグ/ラベルのRFID化を求めず、ウェットインレーを既存のラベルの近くに貼ればそれでよしという条件にしている。これにより協力を行う企業が急拡大し、結果としてGen2マーケットが一気に立ち上がった。

Wal-Martはアパレル分野での成功により個品タグ付けを他の高額商品に展開しようとしており、また同業の大手アパレル企業もWal-Martに倣った本格導入の検証を開始している。これはキャズム理論で言うところのボウリングピン反応が廻り始めたことを意味する。2011年のGen2マーケットが調査会社の予測どおりに展開するならば、2011年にはGen2ソリューションパッケージで高いシェアを持つベンダーが登場し、本格的なトルネードに突入することになるのではないだろうか。来年はWal-Martに並ぶ導入事例、そして導入が容易で汎用性の高いGen2ソリューションパッケージに着目したい。

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