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2010/01/19

American Apparel店舗内RFIDシステムの現状

American ApparelはアメリカのSPA業態のアパレルメーカー、って日本にも店があるからそのあたりは説明する必要はないか。2008年に店舗内RFIDシステムの大規模導入を発表し、RFID Journal誌を中心にRFIDメディアの大きな注目を集めるようになった。RFID Journalに最初の記事が取り上げられたのは2008年4月(American Apparel Makes a Bold Fashion Statement With RFID)、この時点ではRFID Update誌にも取り上げられている(American Apparel Going to Item-Level RFID in Stores)。この年には8月にRFID in FASHION、9月にRFID Worldという大きなイベントで導入状況の発表が行われ、RFID Worldのプレゼンテーションで同社のプレゼンテーターが発表した状況は以下のようなものだった。

  • リーダーはMotorola社のものを利用、ポータル用はXR440、ハンドヘルドはMC9090
  • タグはAvery Dennison AD222を利用
  • ソフトウェアはTrueVUE Essentialsを利用、将来的にERPと統合
  • 全米240店舗のうちニューヨークエリアの20店舗とサンタモニカの1店舗にはRFID設備を導入済み
  • 2008年10月には全米の残りの店舗への導入を開始

ところが、先日開催された全米小売業協会のテクノロジー展示会NRF 100th Annual Convention & EXPOで行われた発表を受けたRFID Journalの記事によると、現在RFIDが導入済みの店舗は全米10店舗であると(American Apparel Adds RFID to Two More Stores, Switches RFID Software)。1年半前の発表から減っている!また、ソフトウェアはTrueVUE社のものからXterprise社のClarity Advanced Retail Solution (ARS)システムに切り替たというのだが、その理由は従来のRFIDシステムとPOSシステムとを独立して管理しており、POSでRFIDとバーコードを二重で読むなどの手間が発生していて、それを改善するためとのこと。次のステップは全米への展開ではなく、フロリダ地区の6店舗に対するRFID-EASシステムの試験導入であるという。

そんなことになっていたのか、とRFID Journalの記事を読み返してみたが、本件についてはひっそりと2008年12月に続報が出ていた(American Apparel Expands RFID to Additional Stores)。この記事によると導入済み店舗はニューヨーク7店舗、サンタモニカ1店舗。加えてニューヨーク10店舗はリーダー取り付け済みで数ヶ月以内に利用開始となっている。つまり現状はここからほとんど進歩していない(リーダー取り付け済みの店舗がまだ8店舗残っている計算)ことになる。全米への展開計画の具体的な日程は記載されていない。また、Xterpriseのシステムの評価を次のRFID導入店舗から行うということもここに記載されている。2009年8月に開催されたRFID in FASHIONでもAmerican Apparelの責任者がキーノートスピーチをしていたが、その紹介記事では改善効果には触れていたが導入スケジュールには触れられていなかった。

この期間の景気悪化に加えてアプリケーションの変更を意図していたのであれば導入が進まないのは当然で、これをアパレル分野でのRFIDの利用状況に直接結びつけるのはやや牽強付会ではあると思う。ただ、American Apparelの事例は非常に筋の良い事例であるとRFID業界では考えられてきていて、僕もいろいろなところで取り上げた。先日のP&GとWal-Martでのプロモーション用パレットのときにも思ったが(エントリ「プロモーションパレットビジビリティの挫折」を参照)、RFID業界では成功していると言われている事例についてもしっかり裏を取る必要があることを改めて感じる。

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2010/01/14

2009年RFID十大ニュース(RFID Journal版)

毎年このBlogではRFID Update誌の年度の十大ニュースを取り上げてきたが(2008年RFID業界の主な出来事, 2007年RFID業界10大トレンド, 2006年RFID業界10大トレンド)、以前に書いたとおり(エントリ「RFID Update誌廃刊」を参照)去年の9月に同誌は廃刊になってしまった。そんなわけで2009年はエントリのネタにできる十大ニュースが無かったのだが、RFID Journalの社説でこのテーマを取り上げていた(The Top 10 Stories of 2009)ので簡単に触れておきたい。とはいえ、ニュースの少なかった2008年度より更に地味な年だったというのが実感で、記事自体も十大ニュースとして正面から取り上げるのではなく印象に残った記事を並べたという程度のものだった。

Texas Instruments Reorganizes RFID Business (1月)

テキサス・インスツルメンツ社が堅い商売ができているLF製品を除くRFID分野から撤退。

Sam's Club Provides Clarity on EPC RFID Plans (1月)

Sam's Clubが遅れていた個品タグ付けの条件を明確化。スケジュールの変更よりも、タグ未着用パレットに対する徴収額を2.5ドルから12セントという実費以下の額に引き下げたのが大きい。詳細はエントリ「Sam's Club Mandate続報(未着用パレットへの罰金の取り下げ)」を参照。

End Users Plan to Invest Strategically in RFID in 2009 (2月)

RFID Journal誌がユーザ企業100社を対象に行った調査では、多くの企業がRFID分野への投資を戦略的に継続すると回答。

Procter & Gamble Halts Tagging of Promotional Displays (2月)

P&G社がWal-Martへのプロモーション商品パレットのタグ付けを中断。サプライチェーンビジビリティの成功事例として喧伝されていたものだったので衝撃は大きかった。詳細はエントリ「プロモーションパレットビジビリティの挫折」を参照。

Charles Voegele Group Finds RFID Helps It Stay Competitive (4月)

スイスのアパレル小売Charles Voegele社がRFIDシステムを導入。規模としては大きくないのだが、このソリューションを元にアパレル向け統合サプライチェーンソリューションがマーケットに出てきたので、そちらを踏まえてのことだろうか。詳細はエントリ「統合サプライチェーンRFIDシステムMerchandise Visibility Solution」を参照。

Hong Kong Airport Says It Now Uses Only RFID Baggage Tags (5月)

香港国際空港が航空手荷物タグを完全にRFID化。2010年は航空手荷物分野でのRFID利用が本格的に始まるだろうか。

Airbus Issues RFID Requirements, Expands RFID Usage (7月)

こちらも昔から出る出るといわれていた航空部品のサプライチェーンで、Airbusがいよいよ利用を開始したというもの。詳細はエントリ「Airbusによる部品サプライチェーンRFID利用開始」を参照。

DOD Tests, Buys New ISO 18000-7 Tags From Four Companies (10月)

アメリカ国防総省が長く利用していたSavi社製の433MHzアクティブタグをISO標準 18000-7に切り替え、それに基づいて複数購買に切り替えた。Saviは現時点でこの動きに反対しているわけではなく、むしろ業界団体DASH7アライアンスを設立して積極的に拡販に打って出ている。DASH7の概要についてはエントリ「DASH7アライアンス(ISO 18000-7の普及団体)」を参照。

Motorola Embeds RFID Tags in Its Handheld Computers (11月)

モトローラ社が自社のハンドヘルド製品にRFIDタグを添付。個人的にはそれほど大きなニュースとも思えないが。

University Researchers Say RFID's Worth Is Proven When Deployed Enterprise-wide (11月)

大学の研究でRFIDを企業全体で導入した場合の価値が証明された。そりゃそうだよなぁ。

なお、Baird RFID Monthlyが取り上げた2009年の重要ニュースはConair社のコンシューマ向け製品への大規模タグ付け(エントリ「ConairのRFID戦略」を参照)、およびContainer Centralen社による園芸用台車のオープンループでのアセット管理(エントリ「オープンループでのリターナブルアセット管理(Container Centralen)」を参照)。個人的にはこちらのセンスに一票かな。

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