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2009/08/29

Coke FreestypeシステムはGen2利用のメルクマールになるか?

ソーダ・ファウンテンでのRFID利用と聞いてどのような印象を持たれるだろうか。カップ式の清涼飲料水の自動販売機。どことなくのどかなイメージもあるし、ちょっとまじめに考えてみても用途が限定されたクローズドなシステムなんだないう印象を僕は持った。コカ・コーラ社が自社の新しいソーダ・ファウンテン器材でRFIDの利用を始めるというニュースを最初に読んだのは6月のRFID Journalの記事だったのだが(RFID Journal: RFID to Revolutionize Coca-Cola's Dispensers)、上に書いたような理由でその時はあまり注意を払っていなかった。が、その後Baird RFID Monthlyで取り上げられ、確かに大きなランドマークになる可能性があると考えを改めたのでエントリを残しておくことにした。

最初にこのシステム、Coke Freestyleの概要を説明しよう。Coke Freestyleは100種類以上の風味のドリンクを提供できる自動販売機で、そのために器械当たり30本の原液のカートリッジを利用する。このカートリッジの管理にRFIDが利用されるのだ。その利用シーンは以下のようになる。

  • 原液のカートリッジを製造するボトラーは製造時点でカートリッジにGen2タグを取り付ける。このGen2タグを用いて工場からの出荷検品が行われる。
  • 店舗に設置された自動販売機のカートリッジ挿入口のそれぞれ及び扉にはアンテナが設置されている。空になったカートリッジを交換する際には新しいカートリッジを扉のアンテナにかざし、それが交換対象のカートリッジである場合にのみ扉が開いて交換するカートリッジのランプが点灯する。間違った種類をかざした場合、あるいはカートリッジが偽造品であった場合には扉が開かない。
  • カートリッジ挿入口のリーダーは挿入したカートリッジを読み取り、それが適切であることを二重チェックする。
  • もしカートリッジのリコールが発生した場合、すでに自動販売機に挿入されたカートリッジは利用できなくなる。

このシステムは現在アトランタと南カリフォルニアでパイロット実施中であり、10月から本格導入が始まる予定。7年から10年かけて最大80万台の自動販売機が導入されることになる。RFIDベンダはリーダー・タグ共にImpinj。

Bairdがこのシステムを重要とみなした理由はいくつかある。一つはGen2技術の成熟を決定的な意味を知らしめるということ。清涼飲料水の自動販売機が水分・金属というGen2が苦手とされてきた環境であることが言うまでもない。更に、数メートルの読み取り距離を必要とする出庫検品と、おそらく10センチメートル以下に読み取り範囲を管理しなければならない機会の中のボトルの識別とでタグを共用するには、far-fieldとnear-fieldの技術の厳密の使い分けが必要となる。Gen2技術の困難な環境での利用に苦労していた先進ユーザーにとってはそんなことが可能になったということは衝撃だろう。

もう一つは、コカ・コーラ社にとって社運がかかるこのシステムを、RFIDの定石である「小さく生んで大きく育てる」ではなくビックバンで導入しようとしていること。アパレル分野やメディケア分野ではビックバン的な導入を可能とするパッケージが登場しつつあることは僕も何度か書いたことがあるが、このコカ・コーラ社の事例ではその種の先行事例は非常に限定されており、ほぼぶっつけでの開発になる。コカ・コーラほどの大きな会社がそれだけの信頼をGen2技術に置くに足ると判断した事実は重い。

果たしてBairdの見立てどおりこのシステムはGen2アプリケーションのメルクマールの一つになるのだろうか。期待しつつウオッチを続けようと思う。

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