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2009/07/24

オープンループでのリターナブルアセット管理(Container Centralen)

RFIDの業界紙を読んでいると何年も前に読んだような事例と見分けが付かないものが出てくることが多くて悲しくなってしまうのだが、時には「時代が動いたな」と感じさせる事例が出てくることがある。今回紹介するContainer Centralenでのリターナブルアセット管理は間違いなくそういう事例の一つだ。この事例は前回も紹介したBaird RFID Monthly July 2009号で特集されている。

Container Centralenはヨーロッパで園芸業界用のカゴ車のプールを管理する企業。同社が管理する台車は350万個で、同社の顧客は育苗業者・卸・物流業者・小売店などヨーロッパ40ヶ国で2万5千社に達する。同社がカゴ車の管理で悩んでいる内容は他のリターナブルアセット案件で目にするものと同じで、カゴ車の紛失や粗悪品との入れ替えなどによるもの。

CC社はこの問題を解決するためにRFIDの導入を決め、短期間での普及のために思い切った手段を取った。カゴ車にGen2タグを取り付けて管理を行うのだが、カゴ車を利用する企業にタグデータの読み取りを義務付け、読み取り履歴が存在しないカゴ車は返却を受け付けないことにしたのだ。つまり、CC社のカゴ車プールを利用する顧客はGen2タグ対応のリーダーを導入する必要がある。その導入期限は2010年2月。RFID Monthlyの記事によると最終的には25,000台のリーダーがこのプログラムにより導入されることになる。ちなみに、システムを開発したのはIBM、タグはConfidex社のものが使用される。

この導入プログラムでは、不正なカゴ車の混入を防ぐことを主要な投資対効果の源泉としており、CC社が管理するカゴ車の太宗を占めるオーナー4社に既に了解を取っている。加えて、カゴ車がユニークなIDを持ち、それが業界内で利用することで、誤配送の防止、紛失の予防、トラッキング情報の提供、検品作業の効率化などのメリットを得ることができる。

この種のオープンループのリターナブルアセット管理では、導入が成功「した後は」多大なメリットを参加者全員が得られるということは既に長い間議論されてきている。だが、どうやって導入を成功させるかについては現実的なアプローチが示されて来なかったと言ってよい。CC社のモデルでは、タグを取り付けることでオーナー単独でも投資を回収できるというモデルを提示し、それを梃子にオーナーを動かしたということが画期的なのだ。もちろんこのプロジェクトはいきなり立ち上がった訳ではなく、長期間の実証実験が行ってきた。その最終段階のものが台車を対象としたパイロットで、パイロットとはいえ使用した台車は30万個。僕が昨年参加したRFID Europeでそのパイロットの結果が報告されていた(RFID Europe 2008 (Day 1))。

業界が限定されるとはいえ、数百万個のオーダーのアセットを対象に40ヶ国・2万5千社のエコシステムの中でRFIDによる管理を行うという事例が出てきたのは重く、従来からこの分野をウォッチしていた人間としてはいよいよここまで来たのかという感慨がある。このプロジェクトでは専用のサイトを立ち上げており(リンク)、興味のある人はぜひチェックしてみてほしい。

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