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2009/03/18

プロモーションパレットビジビリティの成功: Walgreensの場合

先日のエントリでWal-MartとP&Gが進めていたプロモーションパレットの管理案件が挫折した、という話を取り上げた(プロモーションパレットビジビリティの挫折)。そのエントリの中で、プロモーションパレット管理をRFIDで行うこと自体に問題があるのではなくドラッグストア大手のWalgreensは同様のプロジェクトを進めているという、という内容に少し触れた。最近になって関連するニュースが幾つかアメリカのサプライチェーン・RFIDの業界紙に掲載されている(SupplyChainDigest: Is Walgreens the US Retail Leader in RFID Deployment?)、(RFID Journal: Walgreens, Revlon Affirm Value in Tagging Promotional Displays)。SupplyChainDigest誌の記事のほうは「アメリカ小売業界のRFIDユーザーの新しいリーダーはWalgreensか?」というなかなか刺激的なタイトルになっている。

前回のエントリではやや説明不足だったので、まずはプロモーションパレットのおさらいを。プロモーションパレットとはクリスマスや新製品発売などのイベントにあわせた特売商品を載せたパレットのこと。アメリカではこのような特売商品はパレットの上に商品が飾り付けと共に配置され、そのまま店頭に出して展示ができるようになっている。当然いつ店頭に出すかが非常に重要であり、事前に指示があるのだが、アメリカの小売店舗では指示が守られないことが頻繁にある。店頭に出すタイミングが早すぎたり遅すぎたり、ひどいときには飾り付けを外して通常の商品補充に使われてしまうことも。ある調査結果では特売商品パレットが想定したタイミング・展示方法で店頭に並ぶ比率は30パーセント以下とちょっと信じられない数字が出ている。

Walgreensは以前からこの問題に取り組んでおり、先日の発表でプロモーションパレット管理のためのシステムを導入可能な全店(5000店以上)に導入を終えたと公表した。同社が利用しているシステムはGoliath Solutions社が開発した低価格なRTLSシステム。このシステムについても以前にエントリで取り上げたが(RTLS価格破壊(Goliath Solutions))、独自規格のUHFセミパッシブタグ、タグの単価が2ドルでリーダーの価格が500ドルという低価格なもの。Wal-Martは汎用のインフラとして設置したバックヤードドアのGen2リーダを利用しており、もちろん価格は圧倒的に安いもののプロモーションパレット管理のために専用インフラを設置したことには覚悟を感じさせる。実はこのプロジェクトは同社が8年かけてじっくり取り組んできたもので、何年ものテストの結果投資対効果が確認されたので導入に踏み切った。同社のパートナーの一つ化粧品会社のREVLON社の案件では、プロモーションによる売上が200%から400%向上したとのことで、この数字はWal-Mart案件で語られてきたものとほぼ整合性がある。

Walgreensの事例とWal-Martの事例とを比べると、成否を分けたのはやはりRFIDシステムによるビジビリティの精度ではないかと以前の考えを改めた。Wal-Martのシステムでは「プロモーションパレットが店頭に出ていない」ということしか判らないが、Walgreens社のシステムではプロモーションパレットの現在の位置が大体判る。本部で問題を発見し店舗に作業を指示する際にどちらが効果的かは明らかだ。事例の効果の評価というのは、限られた情報で軽々に論じると落とし穴があると痛感した。

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