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2009/02/20

プロモーションパレットビジビリティの挫折

従来から「サプライチェーン・ビジビリティの代表的な成功事例」として喧伝されていたProcter & Gamble(P&G)とWal-Martによるプロモーションパレットのプロジェクトが中止されたことが報道された(RFID Update: RFID Leader P&G Steps Back from Promotions Tracking)(RFID Journal: Procter & Gamble Halts Tagging of Promotional Displays)。

このプロジェクトについては日経ITPro Webで書いたことがあるので詳細はそちらを参照してほしい(RFID World Watch: 改めて考えてみたサプライチェーンのビジビリティ)。記事を読むとずいぶん囃しているが半年も経たずに中止になったのかよと言われれば不明を恥じるほかはない。ただ、この記事が出た時点ではWal-MartもP&Gも、そして両者が所属するEPCglobalもこのプロジェクトが大成功であると積極的に広報していたし、サプライチェーン・ビジビリティに懐疑的な論者すらこの事例が成功していることはほぼ認めていたのだ(「インフラ投資に見合ったメリットが出ているわけではない」「実際の商品に適用できるのか」という批判は当然あった)。

P&Gはこの終了について「Wal-Martとの間での評価作業を終了したから」としか述べていないが、RFID JournalとRFID Updateの記事をつなぎ合わせてみると背景が見えてくる。システムの機能としては問題は無く、プロモーションパレットが正しく扱われていない状況はP&Gから見えているのだが、それをWal-Martに伝えても満足な対応が取られなかったようなのだ。

一般メディアにはこのプロジェクトの失敗をRFIDの失敗と捉えるものもあるかもしれないがその誤解は大きな問題ではないと思う。RFID業界に突きつけられた課題は、企業間連携の難しさという昔ながらのテーマだ。技術的な問題は無い、データには厳密性は影響されない、得られる利益はゼロサムではなくWin-Win、これほどユルい条件でなおコラボレーションが成立しないのか。いやそれはWal-Martが駄目すぎるんだよ、という考え方もあるだろう。確かに駄目すぎる。だが、駄目なことを前提としてどういう協業モデルを組むのか。正しくアクションを取らなければ罰金を払うことにする?だが、それはWin-Winモデルを崩すことになるし、Wal-Martにはデータを隠すインセンティブが生じる。その下で協業が成立するのか?僕には分からない。

なお、これはプロモーション管理がRFIDのマーケットとして不適ということを意味しているわけでもない。店舗とプロモーション管理者が同じ組織であれば上記の協業の問題は発生しないのだ。例えばドラッグストア大手のWalgreenは社内でRFIDを用いたプロモーション管理を2005年から行っている。

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