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2009/01/26

Sam's Club Mandate続報(未着用パレットへの罰金の取り下げ)

Sam's ClubのMandateへの取り組みについてはちょうど1年前の発覚時にエントリを書いた(Wal-Mart Mandateの新たな動き(Sam's Clubでの未着用パレットへの罰金化))し、その後もエントリの中でちょこちょこと触れてきた。ここしばらくは続報が無く、業界にも「このままフェードアウトするのでは」という観測が流れ始めていたのだが、Sam's Clubが取り組みの修正を行うというレターをサプライヤーに出したという記事がRFID Journalに掲載された(Sam's Club Provides Clarity on EPC RFID Plans)、(Sam's Club Reduces Tagging Fee)。これらの記事によると、このレターは2009年1月15日付けのもので、掲載された内容はおおむね以下のようなものだ。

  • Sam's Clubは全ての販売単位へのタグ付けへのコミットを変更していない。この取り組みはサプライヤーにとって新次元の価値を提供するものになるだろう。
  • Sam's Clubの599箇所の全店舗において、荷受ドア・店頭への移動エリア・包装廃棄エリアにRFIDリーダーが導入され、そこで読み取られたデータはRetail Link経由でサプライヤーに提供されている。
  • パレットへのタグ着用義務付けは、従来の計画の2009年1月30日から2010年へと変更された。
  • ケースへのタグ着用は義務付けが外れオプションであることが明示された。これは、現在ケースへのタグ付けを行っているサプライヤーの実績を分析した結果、ケースへのタグ着用による可視性の向上が販売単位に比べて小さいことが理由である。Sam's Clubは今後もケースへのタグ付けはサポートし、サプライヤーがケースにタグを付けた場合にはケースレベルでのビジビリティ情報を提供する。
  • 販売単位へのタグ着用義務付けは、従来はDesoto物流センターで2009年10月31日から開始される予定だったが、「見直し中」として開始日が明示されなくなった。
  • タグ未着用パレットについてサプライヤーから徴収する費用を12セントに引き下げる。従来の計画では2009年1月1日から3ドルになる予定だった。Sam's Clubによるとこの費用はタグ取り付けにかかる実費であり、物流センターで自社用に使っているラベルプリンターをスマートラベル対応のものに交換したため実費がスマートラベルの原価まで下がったとのこと。なお、2010年の本格導入時には徴収金額を見直す可能性がある。

上記の内容のうち、スケジュールの遅延は業界の想定の範囲内であり、これをきちんと発表したことはむしろ正直であるのかもしれない。全店舗にRFIDリーダーの展開を完了しているというのは言うまでもなく良いニュースである。

一方、タグ未着用の際の徴収額を12セントに引き下げたことは非常にネガティブなニュースである。スマートラベルが1枚12セントというのはラベルの原価、それもSam's Clubが調達する場合の原価であり、この値段であればほとんどのプロバイダは自分でタグをつけるより手数料を払った方が安くなる。つまり罰金としては機能しない。タグ情報をフルに業務システムに統合してメリットを享受したいという少数の積極的な企業以外は、自社でのタグ貼り付けではなく12セントの支払いを選ぶだろう。

これでは罰金3ドルというのを信じてSlap-and-Shipでの対応を整えてきたサプライヤーは浮かばれない。このようなシステムでは自社の業務メリットが無く、せっかくの投資が丸損になってしまう(先述のようにスマートラベルの原価が12セントより高くなるので自社でラベルを貼る意味が全く無い)。こんな目に合わされたサプライヤーは今後Sam's ClubやWal-Martの要求はギリギリまで様子を見ることになるだろう。

ある意味、Mandateによる導入モデルの完全な破綻といって良いのではないだろうか。今後はサプライヤーとの間で完全にWin-Winになる範囲で導入を少しずつ進めるという形になるのだろうが、それが果たして成立するのかどうか。引き続き注目していきたい。

(追記: 2008/01/27)

RFID Update誌にもこのニュースが取り上げられた(Sam's Club Letter Outlines Changes to RFID Requirements)。内容は上記と同じで、変更による影響の論評は控えられている。この変更に関する情報がWal-MartやSam's Clubのサイトには存在しなかったこと、同社に対してコメントを求めたけれど返事が届いていないことが書かれており、実は結構腹を立てているのではないかと思う。RFID Journal誌の問い合わせにはEPC/RFID担当取締役のSimon Langford氏が応対しており、このお友達体質はいかがなものかと僕も思う。

なお、サプライヤーに出したレターがEPCglobal USのサイトに掲載されているそうで、そのリンクが掲載されている(Electronic Product Code (EPC) / Radio Frequency Identification (RFID) Labeling Update PDF形式)。

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コメント

いつも興味ある情報、ありがとうございます。
¢12のタグ付きパレットが増える、もしくは¢12のタグをSamsClubがまとめて供給してくれるのならば、サプライヤーはネットワーク投資のみでメリットが享受できる?
なので、強制的な拡大展開から自然拡大へと拡がってくれると素敵なんですけど。
また、¢12って、破格値では。

投稿: Lucky_0_0v | 2009/01/31 09:57

>Lucky_0_0vさん、

コメントありがとうございます。12セントというのはご指摘のとおり破格値で、僕の知る範囲では現在かなり大口のスマートラベルの注文をしても15セントを切ることは難しいようです。スマートラベルの原価そのものではなく通常のラベルとの差額なのかもしれませんね。
サプライヤーがベンダから割引価格でラベルを買えるよう包括契約を結ぶとか、あるいはSlap-and-Ship用に作成したラベルをサプライヤーに提供するサービスを提供するとか、ソースタギングの拡大のためにできることはいろいろあるはずなのですが。

投稿: Koi | 2009/02/02 10:35

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