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2008/12/19

2008年RFID業界の主な出来事

例年RFID業界10大トレンドを発表していたRFID Update誌が2008年分の発表を見送った。今年は今後のトレンドを決めるような大きなニュースが無かったというのがその理由。個人的にも同じ印象を持っていたのでこの判断には納得できる。ただ、年末の締めくくりの記事を何も書かないというのも寂しいと思ったらしく、"9 Things RFID Will Be Remembered for in '08"として9つのトピックスを取り上げている(Part 1: #9-#7)(Part 2: #6-#4)(Part 3: #3-#1)。確かに十大ニュースにしなかっただけあり、地味な項目が並ぶ。個人的には発表時に目をつけてこのBlogで取り上げたテーマとほとんど重なっているのがちょっと嬉しい。

#9 - UWB Grows Up Fast
 2008年初めの時点ではUWB技術を使ったRTLS(エントリ「UWB RTLS」を参照)はニッチ技術だと考えられてきたが、この一年で大きく成長した。特に、Cisco SystemsやMotorola、AeroScoutといった既存のベンダーがUWB RTLS製品への対応を行ったことが大きい。現時点ではUWB RTLS製品を提供するベンダーはほんの数社であり、製品に互換性が無いことを考えると、これは驚くべき結果である。

#8 - Not Even Metal Blocks UHF Progress
 Gen2製品のパフォーマンスは2008年を通じて向上し続けた。特に注目すべき点は、金属環境で利用しても充分な性能を発揮するタグが登場した点である。その代表はOmni-ID社の製品であるが、他のベンダーの製品も独立したテストにより金属環境でのパフォーマンスの向上が確認されている(エントリ「メタルはイケてるぜ!!(even if you employ Gen2 technology)」を参照)。

#7 - Near Field Communication Get Nearer
 近距離無線通信規格(NFC)の大規模な普及はまだ実現していないが、普及に向けての障害は着実に取り除かれつつある。業界団体であるSmart Card AllianceとNFC Forumは活動を進めているし、AIRTAG社はアプリケーション開発キットをリリースした。また、RFIDタグ大手ベンダUPM Raflatac社はNFC製品のサポート拡大を公表した。

#6 - Startups Broaden RFID Spectrum
 今年は多くのベンチャー企業が興味深い製品を開発した。もっとも注目を集めたのはGen2タグを長遠距離から読み取るシステムを市場に投入したMojixだろう(エントリ「Mojix STAR System (超遠距離Gen2タグ読み取り+高精度位置情報)」を参照)。その他にも、Omni-ID社はスペーサーに頼らず金属・水分に強いタグを投入、セキュリティ強化タグや印刷タグの分野でもベンチャー企業の新製品が目立った。

#5 - Funding Flow Slows
 RFID業界のベンチャー企業への資金の流入が細っている。2008年のベンチャーキャピタルのRFID企業への投資は平均毎月970万ドルで、それに先立つ18ヶ月の平均毎月2410万ドルから大幅に低下した。この低下は9月の金融危機の前から観測されていたもので、目下の経済状況が2009年に改善される見込みがないこととあわせ、2009年はRFID企業の資金調達はこの10年間で最低レベルにまで落ち込むだろう。

#4 - Vendors Position Through Acquisition
 2008年には多くの買収が発生した。ImpinjによるIntelのGen2リーダーチップ事業の買収など、水平的な事業の統合案件もあるが、特に目立ったのは特定業界向け総合ソフトのベンダーが提供サービスを拡大するためにRFIDベンダーを買収するもの。小売向けシステムの分野において、Checkpoint Systems社がOATSystems社を、Sensormatic Electronics社がVue Technologyを、それぞれ買収したのがその代表例である。

#3 - Providers Proactive About Security
 RFIDのセキュリティーに関し、問題の先手を打って行動するベンダーが増えてきた。セキュリティーについての協業を目的とした業界団体RFID Security Allianceの立ち上げはその代表である。反面、海外の多くの公共交通機関で利用されているMIFARE Classicのセキュリティーが破られてクローンが作成されたり(エントリ「スマートカードMIFARE Classicのクラック」を参照)、RFID機器の医療機器への干渉が報告されたりという問題も発生した。

#2 - Trends on a Treadmill
 Mandate案件として業界の注目を集めてきた案件では、トピック的なニュースは報道されるものの実際の導入開始にはつながらないという繰り返しを今年も続けている。e-ペディグリーについては連邦議会決議やFDAの決定があったが、それは導入に影響を与えていない。Sam's Clubの案件(エントリ「Wal-Mart Mandateの新たな動き(Sam's Clubでの未着用パレットへの罰金化)」を参照)は業界で大きな注目を集めたが、多くのサプライヤーは罰金を払ってさえ様子見を続けている。国防総省の大規模な調達計画もマーケットには影響を与えなかった。

#1 - It's the economy...
 今年の秋からの景気悪化にも関わらず、経営破綻したRFIDベンダーは無いし、ほとんど全ての市場予測はRFID業界の2009年の成長を予測している。現在RFIDの主なソリューションは短期間で確実な投資回収が見込めるものであり、現在不況の真っ只中にある金融や小売セクターですら導入が増加する可能性があるというのがその理由(エントリ「金融危機のRFID業界への影響」を参照)。
 一方、足元の景気は市場予測が作成された時期よりさらに悪化しており、個人的な会話では来年のRFIDマーケットについて不安をもらす市場関係者も多い。来月末に10-12月四半期のレポートが出れば現状がいくらかクリアになるだろう。

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