« RFID Europe 2008 (Day 1) | トップページ | EPC Connection 2008 (Day 1) »

2008/10/03

RFID Europe 2008 (Day 2)

RFID Europe 2008の2日目のレポート(1日目のレポート)。2日目はセッションが2トラックに分かれる。どちらもベンダーの発表が中心で魅力的なセッションが両方のトラックに分散しており、選ぶのに苦労した。

Coronis / Essensium

ヨーロッパ系のRTLSソリューション関係ベンダー2社。Wavenis Open Standardization Allianceに所属しており、共同でソリューションを提供している。購入してそのまま使える製品から、センサーとの組み合わせや特定のサイズにカスタマイズするものまで同一のプラットフォームで扱えるのが売り物のよう。
利用する技術はLOSTテクノロジーといい、在来型Active RTLSシステムと同じアンテナの数でUWBと同等の精度を出せるというのが売り。高い精度を求める場合には10cmまで狙うことができ、アンテナ間隔を大きくしたい場合には500mまで広げることができる。利用する電波は2.45GHzの独自プロトコル。WhereNetなどと比べると性能が高すぎるような気もするが、電波分野の技術の進歩は素人には分からない。本当であれば凄いと思う。

Ekahau

WiFiベースのRTLSを提供するベンダ。WiFiベースのRTLSはWiFi自身がネットワークインフラになること、Ekahau製品は位置精度向上のためのインフラが不要で既存のアクセスポイントだけで利用できることを強調していた。僕はWiFi RTLSというジャンルはまだ勉強中なので、この主張がどれほど妥当性があるのかは判断しきれない。一般論としては、RTLSである以上三点測量のためにタグが複数のアクセスポイントと通信できることが必要で、通信だけのインフラよりもアクセスポイントを増設しなければならないのだが。
タグとしては病院内部での利用を想定した、警報ボタンや双方向テキストメッセージ機能を付けた製品を発表していた。

Ingecom

スイスに本拠を置くアクティブタグのベンダ。Siemenceでの導入事例を発表した。Siemenceの研究機関ではプロジェクトの間で器材を共有しているのだが、必要になったときに器材のありかが分からず、探し回って時間をとられたり重複して購入してしまったりと無駄が発生していた。この問題を解決するためにRTLSで器材を管理することになった。RTLSとはいえ、測量ではなく部屋ごとに配置したコントローラーの読み取り範囲に存在することで所在を把握する。プロトコルは2.45GHzの独自プロトコル(WiFiではない)。出力電波が弱いため隣の部屋には電波が飛ばず、また2秒ごとにビーコンを発信して電池が7年持つ。ハードウェア・ミドルウェア・ユーザアプリケーションのすべての費用の合計は4万ユーロで、1年で投資を回収できたと。

Loc8tor Ltd

本日の発表の中ではちょっと毛色の変わった、コンシューマー向けのアクティブタグ製品。タグの電波が来ている方向をリーダーで判別することができ、タグがリーダーから一定距離離れたときに警報を鳴らすことができる。タグの重量は5gで、最大200m先から読み取ることができる。リーダーとタグ2個のセットが£45から。もともとコンシューマー向けの製品だったのだがマスコミでの報道を受けて業務分野でも多くの問い合わせがある。
この製品は数年前にRFID Journalで記事になっていたが、その後の報道が無く忘れていた。着実に売り上げを上げているようでなにより。追加のタグを買えば一つのリーダーで最大24個まで識別することができるそうで、これで済んでしまう用途も多いのではないか。

PowerID

シート状の電池を持たせることでラベル形状に加工ができるセミパッシブタグ。Gen2対応であり、パッシブでは読み取れないが、アクティブでは値段が高いし形状が合わない、という分野にアプローチしている。別トラックから移動したらすでにプレゼンが途中まで進んでいて十分話を聞けなかったのが残念。

Sonitor Technologies

名前の通り超音波を使ったRTLSシステムのベンダ。超音波を使ったRTLSシステムでは、アクセスポイントが多数必要になる(通常15m間隔)ものの、電波に比べて特性が素直でサイト設計がしやすく(たとえば壁をほとんど通過しないので部屋ごとの位置を確実に把握できる)、また精度が最大3cmと非常に高い。
病院での利用を想定した事例説明を行っていて、これが測位精度の高いRTLSで何ができるかについて非常に示唆に富むものだった。たとえば、洗面台の前をレンジとして設定し、看護士が手を洗ったかどうかを確認する。三次元測位が行えることを利用し、一定の高さより低ければ転倒したものと判断する。共用PCで、権限のある人間が近づいてきたらその人のIDでログイン、離れたらログアウト、など。精度の高い位置情報を使って何ができるかということは他の業界でももっとオープンかつ大規模に研究されて良いと思う。

IDTechEx

ここから3つはNFC携帯電話に関係するセッション。このセッションはIDTechExの研究員によるもので、NFC携帯電話の市場動向を説明していた。NFC携帯電話の用途としては、交通機関の支払い、小額決済、アクセス管理、クーポンやチケットの配布の主要な4用途があると説明し、パイロット事例をいくつか紹介していたが、日本ではすでに普及が進んでいるか二次元バーコードの優位が固まった分野であり、正直「何でいまさらそんな議論をしているの」という印象だった。
導入の遅れについては「NFC携帯電話のラインナップが揃わない」「事業者の間で便益に応じた費用の分担が決まらない」とあるが、どうなのだろう。現在の携帯電話であれば追加ハードウェアが不要なはずの2次元バーコードのソリューションすらほとんど立ち上がっていないので、何か他に問題があるのではと思うのだが。

London Oyster Card

ロンドンのOyster Cardの現状についての発表。今まで十分な知識が無かったのだが、延べ発行枚数が1,600万枚、アクティブな枚数が550万枚、毎週10万枚を新規に発行する巨大な利用者ベースを持つシステムで、ロンドンの市営交通のほか国鉄などにも利用を広げているという。新しい取り組みについてもいくつか聞くことができた。まずはキャッシュカードとの複合カード。イギリスの大手銀行Barclaysと共同で発行するもので、Oyster機能は単体カードと同じ、非接触支払いはキャッシュカード側のVisa Cash機能を使う。また、NFC携帯への組み込みについても大手携帯電話会社O2と共同で昨年トライアルを行い、良好な結果を得た。
面白かったのはOysterは非接触支払い分野への進出に消極的なことで、むしろクレジット会社系の非接触支払いシステムを直接チケットにできるようにする取り組みを行っていること。SUICAや香港のOctopusは非接触支払いでも広く利用されているのになぜ、と質問したら、古いMifare Classicカードを使っているのでセキュリティに不安があるからという答えだった。

NEXPARTS

調査会社によるNFCの発表。IDTechExとかぶる部分が多く、あまり参考になる内容ではなかった。

Traak Systems Ltd,

Complex Event Processingのベンダ。Comprex Event ProcessingとはRFIDシステムのように随時データが発生するシステムでリアルタイムにデータを処理していき分析情報やアラームを生成するというもの。以前にエントリを書いたことがある(CEP (Complex Event Processing))。この会社の製品Traak 1000はEPCIS QueryとEPCIS Captureレベルで動作し、ALEインタフェースに準拠しているとともにSAPやOracleのERPのデータも参照することができる。各種のアラームを生成して通知するほか、システムの状態をリアルタイムで表示する。
Complex Event ProcessingはRFID分野での利用は進んでいないのかと思っていたが実際に導入事例が出ていたのを見て感心した。ちなみに出ていた事例は空港システムと油田・ガス田システム。

IATA

IATAによる航空機部品メンテナンス履歴のGen2タグによる管理についての現状報告。非常に率直で興味深い内容で、多分これもRFID Journal系のイベントでは聞けない話だろうなー。
IATAがやりたいことは人間がそのまま読み取れる(文字列として格納した)メンテナンス関連データをそのままGen2タグのユーザメモリに書き込むこと。航空機の複雑なサプライチェーンではデータを関係各社のバックエンドシステムに持たせるなんてことはありえない。整備エンジニアがハンドヘルドリーダーだけ持って使えるようなシステムが必要だということ。
こういう割りきりができるというのは標準化を長く進めていた航空業界の強さであり見識であると思う。

|

« RFID Europe 2008 (Day 1) | トップページ | EPC Connection 2008 (Day 1) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: RFID Europe 2008 (Day 2):

« RFID Europe 2008 (Day 1) | トップページ | EPC Connection 2008 (Day 1) »