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2008/10/30

長射程Gen2ハンドヘルドリーダーCSL CS101(読み取り距離7メートル)

しばらくエントリの間隔が開いてしまったので軽めのネタを。RFID Update誌に読み取り距離が7メートルというGen2ハンドヘルドリーダーの記事が掲載された(New RFID Handheld Provides Range, Price Breakthroughs)。製造元はConvergence Systems Limited (CSL)という香港のメーカーとのこと。Gen2のハンドヘルドリーダーの読み取り距離はせいぜい1mちょっとという印象があったのでまず驚き、実験室レベルの製品だろうと考えたのだが、SimplyRFIDなど何社かのSIベンダが入手して実際にその程度が出ることを確認したとのこと。「ならハンドヘルドとは名ばかりの大型の製品ではないのか」と思って調べてみると、重量は1.2kg、電池の持ち時間は連続読み取りで1.5時間と常識的なもの。価格も1,950ドルから2,500ドル(購買ロットによる)であり、こちらもGen2ハンドヘルドとしておかしなものではない。プレスリリース製品案内を見る限りは他の機能も高機能Gen2ハンドヘルドリーダーとして一般的なものだ。送信出力がどこにも書いていないのが非常に怪しいが…。

この製品の特徴的な機能として、特定のタグIDを入力しておくとそのタグを読み取ったときに音を出す「ガイガーカウンターモード」がある。プログラムを作成せずにこの機能を使うだけで意味があるというユースケースも結構あるのではないだろうか。他にも、部屋単位でのアセット管理(部屋タグを付けておけば、部屋ごとにリーダーを振り回すだけでその部屋にあるアセットと部屋の情報とを取得できることになる)、あるいはもちろん店頭での在庫管理などにも面白く使えそう。

プレスリリースを見る限りはTELECの認証を通っている模様。興味のある方はコンタクトしてみてはいかがだろうか。

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2008/10/17

EPC Connection 2008 (Day 3)

EPC Connection 2008の最終日のレポート(1日目)(2日目)。結論を先に言ってしまうとかなりしょぼい展示会で、見に来るまでもなかった。トラックが4つと言うのは欲張りすぎで、僕が目当てにしていた防衛産業のトラックなどはセッションの内容が重なっている上に自由質問をセッションにするなどしていて(そういうのはブースを出してそこでやれよ)、1日だけで十分だったはず。

General Session: How EPC Creates Opportunities for New Ways of Working Together

Coca-Cola、Kraft、P&Gという大手企業によるパネルセッション。EPCglobalが提案する協業のフレームワークをこれらの企業がどう評価するかというもの。議論の中で僕がまさに聞きたいと思っていた質問、「リテールサプライチェーンでは、協業による全体効率化の取り組みとしてECR(Efficient Consumer Response)やCFPR(Collaborative Forecasting, Planning, and Replenishment)といったコンセプトが従来も提起されてきたが、業界全体に十分定着しているとは言えない。EPCのコンセプトがこれらと違う点は何か」というテーマが取り上げられた。パネリストの回答は「ECRというコンセプトが出てきた20年前と比べるとIT環境が大きく変わっている」「これらのコンセプトは決め事が多すぎて参加者のハードルが高すぎたが、EPCのコンセプトの元では各企業の取り組みに自由度が高い」などのそれなりに納得できるものだった。ただ、EPCの技術体系に完全にコミットするというわけではなく、現在の資産やビジネス体系を生かしつつ、メリットが出るものについては積極的に採用していくという方針のよう。

EPCISが提供するビジビリティーについては、リテーラーの物流センターから先の部分がサプライヤーに見えることは非常に大きな意味があるが、そのコストを負担する人にきちんとメリットが出るような利益分担の仕組みが必要と。また、このようなビジビリティーのメリットはリテールサプライチェーンだけでなく多くの業界に共通するので、EPCglobalのような業界横断の組織で議論することには大きな意味があるという優等生的な発言もあった。

General Session: The Value of an EPC Standards for Data Centers

データセンターでのIT器材のアセット管理がテーマで、Bank of Americaの部長と金融業界の技術団体FSTC(financial services technology consortium)のプレゼンテーション。FSTCはデータセンター、書類袋、書類そのもののトラッキングの3つのRFIDプロジェクトを進めている。

現在金融機関のデータセンターではIT器材のアセット管理をバーコードとハンドヘルドリーダーで行っている。読み取り精度が60-70%で手作業による補正が必要なのに加え、器材を納品したときにバーコードを作成、貼り付けする作業、そして器材台帳に登録する作業が必要となる。バーコードを使っての業務改善も検討したのだが、読み取り制度が90%に達しないほか、納品時の作業が改善しないためRFIDの導入に踏み切ることにした。
器材管理の対象となる製品について、ベンダーがGen2タグを取り付けて納品(将来は製造時に組み込むことを視野に)。タグIDは納品情報の一部としてEDIで送られる。読み取り条件としては、ハンドヘルドで3フィート、固定リーダーで6フィートを条件としている。
導入のメリットとして、盗難や不正アクセスの防止、棚卸作業の省力化、ロケーション管理への対応といったわかりやすいもののほか、SOX法への対応、減価償却データの管理など見落としやすいものも含まれていた。

General Session: Printed Silicon Electronics - A New Paradigm in item-level intelligence

Dscn0326 プリントタグのベンチャー企業KOVIO社の発表。ベンチャーキャピタルのほか事業パートナーとしてパナソニックとトッパンフォームズが出資している。長めのムービーを流すなど派手なプレゼンテーションだったのだが、内容はかなりハイプ臭い。プリントタグのマーケット予測などにほとんどを費やし、自社の製品の説明は少ない。既存のリーダーと互換性のあるタグのアルファ版サンプルの出荷を開始し、来年の第2四半期に商業出荷を開始すると発表していたが、彼らはブースの展示を行っていないしプレゼンの中で実物を見せることもしなかった。「Compatible With Standard HF Readers」という表現が微妙で、「ISO-15693準拠」と表現しないということは、ISO-15693の一部の機能だけに対応しているのではなかろうか。彼らのプレゼンの中に「RFIDバーコードは1,000トランジスタ」という表現があったが、ISO-15693のトランジスタ数は確か8,000個、先日のEPC Europeで見た最低機能のFriendly RFIDでも2,000トランジスタであることを考えると、その疑いが濃厚だ。

2010年にGen2タグ、2011年にはセンサーや表示領域を持ったタグを印刷で作れると発表していたが、その辺もちょっと怪しい。

EPC RFID from the DOD Supplier Perspective: Beyond the Mandate

ロッキード・マーティン社のAIT部長。同社は言うまでもなく大手の軍事メーカーで、アメリカ国防総省から毎週13,500の注文を受注し、そのうちのいくつかは前線(イラクやアフガニスタン)の補給拠点まで96時間以内での配送を要求される。

それほどのメーカーの自動認識技術への取り組みなのであるが、プレゼンとしてまとまった内容ではなく、2004年からの同社の取り組みを抽象的なレベルで説明していくというもの。発表の意味が無いというわけではないけど、一見の客が聞いて何かお土産を持って帰れるというものではなく、同社の経営方針や情報システムアーキテクチャを知らないと評価をしようがない。

Informal Q&A With Key Defense Industry RFID Leaders

Defenceトラックの最後のセッションは質問セッションということで、事前のテーマも無いもの。ここまでネタが無いのであればトラックの作成を引き受けなければ良かったのに。このトラックが目的で参加したのでかなりがっかりだった。質問の中で「今回このトラックを引き受けたのはサプライヤーの生の意見を多く聞きたかったから」と述べていたけれど、あまり効果が無かったのではないかと思う。

質問に対する回答も論点がぼけて抽象的な、まるで役所の答弁みたいなもので(いやアメリカ国防総省はれっきとした役所だが)あまり面白い内容は無い。その中で興味を引いたのは、国防総省のRFIDプロジェクトの最大の挑戦はRFIDシステムが生成するデータを既存のレガシーシステムに引き渡すこと、というもの。民間企業にとっては当然の話なのだが、軍隊のような苛酷な環境でもやはりここが問題になるのか。

How New Zealand Fruit Company Cut Costs with EPC

Defenceトラックが終わってしまったので最後のコマはRetailのトラックに。ニュージーランドのキウイフルーツ取り扱い業者Eastpack社の倉庫管理システムの事例。倉庫から適切なパレットを取り出すため、パレットへのGen2タグの取り付けと天井に2次元バーコードを張るロケーションシステムを導入し、大きな効果を得たというもの。

ニュージーランドではキウイフルーツの輸出は規制されており、Zespri Internatinalという認可業者を通す必要がある。このEastpack社とZespri社との間には厳しいオペレーション契約があり、パレットの出荷を間違えた場合には400-500NZ$という罰金が、逆に直前のオーダーを適切に処理できた場合には200NZ$のボーナスが出る。これが高い投資対効果の理由かと思ったら、実際には省力化やフォークリフトの削減、また商品ロス(盗難、オペレーションミスによる破損・劣化などを含む)の削減など、大きなメリットが他にも出ていた。倉庫自体はさほど複雑なものにも見えず、ちょっと効果が派手過ぎないか、と思ったのだが、低賃金の臨時工を短期間だけ雇用するという労働環境が大きな理由だったのだろう。

2次元バーコードを使った測位システムはRFIDの床タグのようなものだと思っていたのだが、実際にはカメラが複数のバーコードを写真に取ることで任意の平面位置を取得できるというものだった。倉庫内は棚が無い平置き(パレットは2段積み)という条件だからできることなのかも知れないが、これは予想外の内容だった。

展示ブース

Dscn0330 今回の展示ブースは9つ。しかもうち2つはEPCglobal NAとRFID Journalなのでベンダー数は7つという寂しいもの。展示エリアでのミニセッションは当然無く、それどころか休憩・昼食時以外には誰もいないので展示エリアを閉めてしまうという状態だった。まぁ、たった1ヶ月前にRFID World 2008が開催されたばかりなので、無理も無いのかもしれないが。

Dscn0327 出展しているベンダーも大した展示品を持ち込んでおらず。見るべきものがほとんど無かった。唯一見てきたのはプレカンファレンスでインレー組み込みの段ボール箱HIDE-PackのプレゼンをしたDOMINO社。サンプルの段ボール箱を貰ってきた。日本に提携している(技術を提供している)段ボール箱メーカーがあるかと聞いたら無いとのこと。また、この技術は汎用の段ボール箱に使うものなのか、電気製品などで種類ごとに用意する比較的小ロットの製品にも対応できるものなのかと尋ねたら、それは段ボール箱メーカーの製造ラインの方に依存するので答えられないとの回答だった。

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2008/10/16

EPC Connection 2008 (Day 2)

EPC Connection 2008の2日目のレポート(1日目のレポート)。本日からがメインで、サブトラックはManufacturing、Supply Chain、EPC in Defense Industry、Retail Supplyer Implementationの4つになる。僕は基本的にEPC in Defense Industryのトラックに参加。事前にRFID Journalの記事などで「国防総省のMandateの現状が報告される」という内容だったためだが、初日にはその部分への言及はほとんど無し。Closed-Loopアプリケーションの導入報告がほとんどだった。興味深い内容ではあったが…。

General Session: Where is EPC Adoption Today, and Where Is It Going?

EPCglobal本体とEPCglobal North Americaのそれぞれの代表による発表。二人ながらもパネルディスカッション形式で、スライドが表示されるわけでもないし話が飛ぶのでいつもの通りついていくのが辛い。現在の各地での活動の説明、GS1とEPCglobalの関係、EPCglobalの構造(HAG、SAG、IAG、JAGなどの各Action Groupの関係など)などの説明があった。
アメリカの現状としては、リテールサプライチェーンでの利用は事前の予想ほど進んでいないものの、航空宇宙、化学品、石油/ガスなどの産業での利用が活発になっているとのコメントがあった。アパレルについてのコメントが無かったのが興味深いところ。また、HF Gen2について、規格の策定作業がほとんど終了しており承認待ちの状態になっていると。

General Session: A Taking EPC to the Limit and Beyond

Mojixによるプレゼンとデモ。どちらもRFID in FASHIONの時のものよりは良くなっていた。Gen2技術のトレンドとして、チップの感度の改善や金属対応タグ、セミパッシブタグ、大容量メモリーなどのタグの改善があり、それを使ったRTLSがあるとのこと。また、将来のMojix Starsystemの拡張として、センサータグへの対応と、e-Node(送信用アンテナ)の改良を挙げた。後者は柔軟な素材と折り曲げ可能なアンテナを持ち、ポストイットのようにどこにでも取り付けて使えるようにしたいというもの。また、IBMをソリューションプロバイダーとして契約したとのこと

デモは会場の半分(10mx20mくらい)で段ボール箱に付けたタグを動かしてトラッキングする様子を画面で見せるというもの(写真撮り忘れました。すみません…)。アンテナ1個にe-Nodeが4個、タグは高感度タイプではない普通のもの。画面を見る限り位置がふらついてちょっと追従性は悪いが、そこそこトラッキングはできている。ふらつき補正をしていない生データを出しているならまずまずの制度か。記事では精度が30cmとなっていたが、実際には50cm~1m弱ぐらいではないかと思う。タグの数が1つだったが、多数のタグを出すことはできるが画面がごちゃごちゃしてしまうので1個でデモを行ったとのこと。正直もう少し派手なデモになることを期待していたのでちょっと肩透かしではあった。

General Session: EPC Update - The Benefits Archieved by Early Adopters

DODとWal-MartのRFID導入責任者によるセッション。1つ目と同じくパネル形式だったので要点をあまりつかめなかった。
Wal-Martが語る現時点での導入から見たRFIDのメリットはプロモーション品の適切な店頭への配置などおなじみのもの。今後Sam's Clubのような販売単位へのタグ付けはありうるか、カナダ以外の外国への展開予定はあるかという質問にはいずれも予定は無いという解答。
DODの発表は軍全体でのRFIDの取り組みについてのもので、内容はアクティブタグが中心、残りのパッシブタグについても修理器材の管理を目的としたClosed Loopアプリケーションに重点が置かれていて、いわゆるDOD Mandateについての説明はほとんど無かった。

DOD RFID Update - The Future Vision of Asset Visibility

Dscn0324 アメリカ戦略輸送軍・USTRANSCOMのAsset Visibility Division主任による発表。USTRANSCOMは米軍の戦略輸送を担当する統合軍の一つであり、他の統合軍司令官に対して輸送を提供する責任を負っている。具体的には、USTRANSCOMは戦域間の移動を担当し、戦域内での移動・配給は他の統合軍の兵站部が担当する。
米軍の兵站業務の巨大さを述べた後、その中で自動認識技術が果たす役割を説明した。パッシブタグについては説明は少なく、上に述べたDoD Mandateについては「以前と変わっていない」と述べ、アクティブなサプライヤーの52パーセントが対応している、扱い高は2007年から110パーセント増加したと述べるにとどめた。上でも書いた海軍の修理部品管理プロセスは、現時点ではパールハーバーとサンディエゴ、そしてアラスカの施設を結ぶもの。

アクティブ技術についてはパキスタン国内を経由するアフガニスタンへの補給線PAKGLOC(Pakistan Global Line of Communication)の説明が中心。これはSavi社のe-シールではなく、MATTSのようなデバイス(衛星電話+GPS+開封センサー)であり、この導入によりコンテナノビジビリティーが大幅に改善、輸送業者ごとのパフォーマンスが評価できるようになったと共に、盗難もなくなったと。このデバイスは軍が直接調達したものではなく、海運会社Americal President Line (APL)がパキスタンで提供しているものを必要に迫られて1年前に契約したとのこと。

Item Tagging Is Ripe for 2009

このコマは国防総省の発表が無かったのでAlien社によるアイテムタギングのプレゼンを受講。前半は技術的な説明、後半はアパレルを題材にしたビジネスケースの説明で、後半はすでに耳にしたことの多い内容だったが前半は面白かった。アイテムタギングは材質に依存するため難しいという通念に対し、金属については貼り付け対象をアンテナにできる特殊なタグが出てきているし、水分についてはNear-Fieldタグや特殊なチューニングをしたFar-Fieldタグが出てきているからすでに対応できるようになっていると。チップの感度についても、2008年リリースのHiggs 3の読み取り距離は2006年のMonzaと比べて1.6倍、2003年のGen1タグQuarkに比べると5.5倍になっている。リーダーのパフォーマンスも改善しているので、昔の通年にとらわれるべきでないという内容。

Benefits Archieved through Navy RFID Implementations

海軍のRFID利用についての詳細な報告。基本的には前の発表で出たハワイとサンディエゴに入っている修理部品管理システム。当システムはGlobalRanger社のミドルウェアを使い、2011年に導入予定のSAPシステムとも、それまで使い続けるレガシーシステムとも、どちらともデータ交換ができるようになっている。導入方法について細かな説明をしていたのだが、耳慣れない略称が多発してあまり意味を取れなかった。

Business Improvement Opportunities using Passive RFID

米軍の視点から見たパッシブRFIDシステムのメリットを述べたプレゼン。本日一番刺激的なものだった。米軍では、Gen2システムが生成するビジビリティデータと業務システムが生成するトランザクションデータが一致することは求めず、むしろ差異があることを前提とし、リーダーを通った時間と業務システムが生成したトランザクションの時間とを比較することで業務改善に役立てるというもの。例え結果として適切な時間に間に合ったとしても途中に無駄な作業があるのであればそれは過剰在庫を意味する。ビジネスに必要十分なターゲット時間を設定し、分散が小さくなっていくようにプロセス改善を行っていく。

ある意味非の打ち所の無い真っ当なビジネスプロセスで、軍関係者からこういうアイデアの説明を受けたことが逆に不思議な感じだった。「ビジビリティデータ」というコンセプトを世間に理解してもらうためにこれ以上のきれいな説明はないだろう。

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2008/10/15

EPC Connection 2008 (Day 1)

Dscn0323 シカゴで開催中のEPC Connection 2008に参加している。この展示会はEPCと名前はついているしRFID JournalEPCglobal North Americaとの共催なのだが、EPCglobalメンバー対象のイベントではない。参加者は一般ユーザーを対象としているし、セッションのテーマや発表者がEPCglobalに偏っているわけでもない。その意味でRFID in FASHIONとかに比べて今ひとつ対象がはっきりしないのだが、毎年春に開催されるRFID Journal LIVE!のちょうど中間になること、Wal-Martや国防総省のMandate関連を一つの目玉にしているあたりが特徴ということになるのだろうか。

14日はPreconferenceということで展示ブースも開いておらず特定テーマに絞ったセッションのみの内容。EPC Compliance & Benefits Training, RFID in Packaging & Labeling, RFID Journal Universityの3つの専門に分化したトラックが用意されている。本日の参加者は100人ほど。なぜか韓国からの参加者が目立って多い。30人ぐらいいた。

僕はRFID in Packaging & Labelingセッションに参加。他のセッションに比べて参加者が少なく、平均して10人を切っていただろうか。結構面白く、今まであまり取り上げられていないテーマが多かっただけにもったいない。

General Session: RFID Basics

本日は朝一番のこのセッションだけが全体セッション。タイトルの通り、内容はRFID in FASHIONのRFID Universityで行われたものと全く同じだった。

Putting RFI Inside the Box

スマートボックス技術HIDE-Packの説明。段ボール箱の製造プロセスで「のりしろ」に当たる部分にインレーを直接挿入する製造プロセスで、以下のような特徴を持つ。

  • ラベルに加工する費用が不要で35%以上のコスト削減になる。インレーの挿入にかかる作業コストは低く、製造スピードも下がらない
  • ラベルが露出しないのでダメージに強い
  • ユーザはスマートラベルを用意する必要が無く、生産ラインごとにスマートラベルプリンタを用意する必要は無くなる(カートン・パレット用のラベルプリンタは必要)
  • インレーは廃棄時に取り出すことができるのでリサイクルにも問題が無い
  • 現在は段ボール箱への対応だが将来は通常の厚紙にも対応できるようになるだろう

僕は中期的なスマートボックスの可能性には肯定的なのだが、今回出てきたのは調子の良い話ばかりで短期的な課題についてあまり触れてなかったのが気になった。リサイクルの問題は本当に大丈夫なのか、とか、のりしろ部分にしかタグを取り付けられないということはタグの性能が十分出せない場合があるのでは、あたりがとりあえずの疑問。ブースに展示を出すそうなのでもう少し情報を取ってみたい。

The RFID Label and Package Making Process

ドイツの印刷機械製造業大手Leuze社のグループ企業、bielomatik社によるスマートチケット・スマートラベルの製造プロセスの説明。いろいろなステップを説明してくれて面白かったのだが、特に興味深かったのが近い将来のタグの製造プロセス。チップと電磁誘導アンテナとを切手サイズにまとめたコア部品を作成し、それをアンテナに取り付けてUHF Far Fieldタグを作成するというもの。この場合コア部品の製造プロセスは量産に向いた単純なものになる。また、アンテナについては、取り付けはチップをインレー上でアンテナに取り付けるのと比べて極端に必要精度が変わる(ミクロン単位がミリ単位に)上、アルミ箔の打ち抜きという一番安い素材・製造プロセスになる。コア部品と外部アンテナは電磁誘導で通信するそうで、読み取り距離も従来の製造プロセスと変わらないらしい。春にニュースになった村田製作所のマジックストラップのようなものか。単に製造コストが安くなるだけではなく、アンテナの製造方法を柔軟に変更できるため(たとえば伝導インクとか、飾りの金属箔と共用するとか)、いろいろなブレイクスルーにつながりそうな気がする。

Overcoming Symmetry Challenges in RFID Packaging

ミシガン州立大学RFID Labの教授によるセッション。ミシガン州立大学は独立した梱包学部(School of Packaging)を持つこの分野で世界有数の研究機関だが、独立したRFID Labを持っているとは知らなかった。セッションの内容は結構刺激的なもので、物流を輸送・保管という観点だけから捉えると梱包は積載効率やオペレーションの自由度が高いSymmetricなものになるが、RFIDの適用を考えると効率・自由度ゆえにタグが読めない積載がなされてしまう場合がありうる。タグ情報を読むことの価値が輸送・保存のコストより相対的に高い場合には、あえて効率を落としたAsymmetricな梱包を考える必要があるのでは、というもの。

The Value of Laser Printers Encoding RFID Tags

プリンタメーカーLexmark社のプレゼン。物流現場でRFIDといえばサーマルプリンタで出荷ラベルというのが通り相場だが、汎用のレーザープリンタにRFIDモジュールを組み込むことで機器を統合しつつ柔軟性を高めましょうというもの。話している内容は理解はできるのだが、それが本当に物流現場で価値を生むのかということについては正直アイデアが無い。わかる人にわかれば良い製品なのだろうが。

Building on RFID with the EPCglobal Network

最後のコマはRFID Journal Universityトラックだけで開催していたのでそちらに参加。トラック名の通り一般的な知識を提供するもので、EPCglobalが提供する規格体系をTag Data Standard、Air Interface Protocol、LLRR、ALE、ONS、EPCISなどの各要素について相互の関係も含めて一通り説明し、EPCISについてはさらに詳細な説明を加えた。

これらすでに知られている要素については必要十分なレベルの良くまとまった説明だったが、Discovery Servicesについては議論が始まっていることだけが説明された。議論中のものについてどうこう言えないのかもしれないが、もう少し踏み込んで欲しかったところ。

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2008/10/03

RFID Europe 2008 (Day 2)

RFID Europe 2008の2日目のレポート(1日目のレポート)。2日目はセッションが2トラックに分かれる。どちらもベンダーの発表が中心で魅力的なセッションが両方のトラックに分散しており、選ぶのに苦労した。

Coronis / Essensium

ヨーロッパ系のRTLSソリューション関係ベンダー2社。Wavenis Open Standardization Allianceに所属しており、共同でソリューションを提供している。購入してそのまま使える製品から、センサーとの組み合わせや特定のサイズにカスタマイズするものまで同一のプラットフォームで扱えるのが売り物のよう。
利用する技術はLOSTテクノロジーといい、在来型Active RTLSシステムと同じアンテナの数でUWBと同等の精度を出せるというのが売り。高い精度を求める場合には10cmまで狙うことができ、アンテナ間隔を大きくしたい場合には500mまで広げることができる。利用する電波は2.45GHzの独自プロトコル。WhereNetなどと比べると性能が高すぎるような気もするが、電波分野の技術の進歩は素人には分からない。本当であれば凄いと思う。

Ekahau

WiFiベースのRTLSを提供するベンダ。WiFiベースのRTLSはWiFi自身がネットワークインフラになること、Ekahau製品は位置精度向上のためのインフラが不要で既存のアクセスポイントだけで利用できることを強調していた。僕はWiFi RTLSというジャンルはまだ勉強中なので、この主張がどれほど妥当性があるのかは判断しきれない。一般論としては、RTLSである以上三点測量のためにタグが複数のアクセスポイントと通信できることが必要で、通信だけのインフラよりもアクセスポイントを増設しなければならないのだが。
タグとしては病院内部での利用を想定した、警報ボタンや双方向テキストメッセージ機能を付けた製品を発表していた。

Ingecom

スイスに本拠を置くアクティブタグのベンダ。Siemenceでの導入事例を発表した。Siemenceの研究機関ではプロジェクトの間で器材を共有しているのだが、必要になったときに器材のありかが分からず、探し回って時間をとられたり重複して購入してしまったりと無駄が発生していた。この問題を解決するためにRTLSで器材を管理することになった。RTLSとはいえ、測量ではなく部屋ごとに配置したコントローラーの読み取り範囲に存在することで所在を把握する。プロトコルは2.45GHzの独自プロトコル(WiFiではない)。出力電波が弱いため隣の部屋には電波が飛ばず、また2秒ごとにビーコンを発信して電池が7年持つ。ハードウェア・ミドルウェア・ユーザアプリケーションのすべての費用の合計は4万ユーロで、1年で投資を回収できたと。

Loc8tor Ltd

本日の発表の中ではちょっと毛色の変わった、コンシューマー向けのアクティブタグ製品。タグの電波が来ている方向をリーダーで判別することができ、タグがリーダーから一定距離離れたときに警報を鳴らすことができる。タグの重量は5gで、最大200m先から読み取ることができる。リーダーとタグ2個のセットが£45から。もともとコンシューマー向けの製品だったのだがマスコミでの報道を受けて業務分野でも多くの問い合わせがある。
この製品は数年前にRFID Journalで記事になっていたが、その後の報道が無く忘れていた。着実に売り上げを上げているようでなにより。追加のタグを買えば一つのリーダーで最大24個まで識別することができるそうで、これで済んでしまう用途も多いのではないか。

PowerID

シート状の電池を持たせることでラベル形状に加工ができるセミパッシブタグ。Gen2対応であり、パッシブでは読み取れないが、アクティブでは値段が高いし形状が合わない、という分野にアプローチしている。別トラックから移動したらすでにプレゼンが途中まで進んでいて十分話を聞けなかったのが残念。

Sonitor Technologies

名前の通り超音波を使ったRTLSシステムのベンダ。超音波を使ったRTLSシステムでは、アクセスポイントが多数必要になる(通常15m間隔)ものの、電波に比べて特性が素直でサイト設計がしやすく(たとえば壁をほとんど通過しないので部屋ごとの位置を確実に把握できる)、また精度が最大3cmと非常に高い。
病院での利用を想定した事例説明を行っていて、これが測位精度の高いRTLSで何ができるかについて非常に示唆に富むものだった。たとえば、洗面台の前をレンジとして設定し、看護士が手を洗ったかどうかを確認する。三次元測位が行えることを利用し、一定の高さより低ければ転倒したものと判断する。共用PCで、権限のある人間が近づいてきたらその人のIDでログイン、離れたらログアウト、など。精度の高い位置情報を使って何ができるかということは他の業界でももっとオープンかつ大規模に研究されて良いと思う。

IDTechEx

ここから3つはNFC携帯電話に関係するセッション。このセッションはIDTechExの研究員によるもので、NFC携帯電話の市場動向を説明していた。NFC携帯電話の用途としては、交通機関の支払い、小額決済、アクセス管理、クーポンやチケットの配布の主要な4用途があると説明し、パイロット事例をいくつか紹介していたが、日本ではすでに普及が進んでいるか二次元バーコードの優位が固まった分野であり、正直「何でいまさらそんな議論をしているの」という印象だった。
導入の遅れについては「NFC携帯電話のラインナップが揃わない」「事業者の間で便益に応じた費用の分担が決まらない」とあるが、どうなのだろう。現在の携帯電話であれば追加ハードウェアが不要なはずの2次元バーコードのソリューションすらほとんど立ち上がっていないので、何か他に問題があるのではと思うのだが。

London Oyster Card

ロンドンのOyster Cardの現状についての発表。今まで十分な知識が無かったのだが、延べ発行枚数が1,600万枚、アクティブな枚数が550万枚、毎週10万枚を新規に発行する巨大な利用者ベースを持つシステムで、ロンドンの市営交通のほか国鉄などにも利用を広げているという。新しい取り組みについてもいくつか聞くことができた。まずはキャッシュカードとの複合カード。イギリスの大手銀行Barclaysと共同で発行するもので、Oyster機能は単体カードと同じ、非接触支払いはキャッシュカード側のVisa Cash機能を使う。また、NFC携帯への組み込みについても大手携帯電話会社O2と共同で昨年トライアルを行い、良好な結果を得た。
面白かったのはOysterは非接触支払い分野への進出に消極的なことで、むしろクレジット会社系の非接触支払いシステムを直接チケットにできるようにする取り組みを行っていること。SUICAや香港のOctopusは非接触支払いでも広く利用されているのになぜ、と質問したら、古いMifare Classicカードを使っているのでセキュリティに不安があるからという答えだった。

NEXPARTS

調査会社によるNFCの発表。IDTechExとかぶる部分が多く、あまり参考になる内容ではなかった。

Traak Systems Ltd,

Complex Event Processingのベンダ。Comprex Event ProcessingとはRFIDシステムのように随時データが発生するシステムでリアルタイムにデータを処理していき分析情報やアラームを生成するというもの。以前にエントリを書いたことがある(CEP (Complex Event Processing))。この会社の製品Traak 1000はEPCIS QueryとEPCIS Captureレベルで動作し、ALEインタフェースに準拠しているとともにSAPやOracleのERPのデータも参照することができる。各種のアラームを生成して通知するほか、システムの状態をリアルタイムで表示する。
Complex Event ProcessingはRFID分野での利用は進んでいないのかと思っていたが実際に導入事例が出ていたのを見て感心した。ちなみに出ていた事例は空港システムと油田・ガス田システム。

IATA

IATAによる航空機部品メンテナンス履歴のGen2タグによる管理についての現状報告。非常に率直で興味深い内容で、多分これもRFID Journal系のイベントでは聞けない話だろうなー。
IATAがやりたいことは人間がそのまま読み取れる(文字列として格納した)メンテナンス関連データをそのままGen2タグのユーザメモリに書き込むこと。航空機の複雑なサプライチェーンではデータを関係各社のバックエンドシステムに持たせるなんてことはありえない。整備エンジニアがハンドヘルドリーダーだけ持って使えるようなシステムが必要だということ。
こういう割りきりができるというのは標準化を長く進めていた航空業界の強さであり見識であると思う。

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2008/10/01

RFID Europe 2008 (Day 1)

RFID Europe 2008に参加している。これは調査会社IDTechExが主催する展示会であり、RFID Journal LIVE! Europeと並ぶヨーロッパ最大のRFID展示会とされている。去年の参加者は300人ほどだったそうだが、本日講演ホールにいた聴衆は150人ほど、展示会の会場にもある程度の人数がいたので、今年も同程度の人数の参加だったのだろうか。

会場はイギリスのケンブリッジ。ケンブリッジ大学の講堂を借りてのものでちょっとミーハー心がくすぐられる。IDTechExがケンブリッジに本社を置いているのでこういうことができるのだろう。

セッション

Dscn0291 初日の講演のテーマはEnd Users。エンドユーザの立場で25分づつの持ち時間を使って発表を行っていく。持ち時間がやや短めで、多くの発表者が自社や業界の説明にも時間を使ったため、「もうすこし詳しい話を聞きたい」と思うものが多かった。

BGN (Boekhandels Groep Nederland)

オランダの書店チェーンによる店舗内でのアイテムレベルRFID導入事例。有名な事例で日本語のメディアでも何回か取り上げられていたのでシステムの概要は知っていたが、今回の発表では導入の裏側にあるコンセプトまで踏み込んでいたのが面白かった。BGNはリアル店舗でオランダ1位、インターネット販売でも2位の会社で、リアル店舗とインターネットを統合した顧客経験("brick and click"というちょっと変わった用語を使っていた)を融合していきたいと考えており、リアル店舗ではソファーでコーヒーを飲みながら目に付いた本を読むという体験を通じ、インターネットでは高度な検索機能を通じ、それぞれ購買意欲を刺激したい。それを統合するためには、インターネットからリアル店舗での本の所在を検索できたり、リアル店舗内のキオスクに本をかざすことで各種の検索が行える機能が必要であり、そのためにはRFIDによるリアルタイムの位置情報が極めて重要になる、というのが彼らの主張。
非常に面白いコンセプトだと思ったが、それを店舗内のオペレーションにどのように落とし込むかの部分がちょっと説明が足りなかったのが残念。

Container Centralen

デンマークの園芸用陳列棚のレンタル会社。顧客が店頭で使う陳列棚および一般的なリターナブル器材(ドーリー、トートなど)をレンタルしている会社であり、オペレーションに問題を抱えている。器材の棚卸に人手が取られる、年率5%~8%のシュリンケージが発生するというのは良く聞く話だが、安物の偽の器材を代わりに返却されるというのは今まで気づかなかった問題だった。そのほか同社がレンタル業者からロジスティクスプロバイダに業態を変更したいということもあり、2年間パイロットを実施した結果が良好だったので本格導入を決めたとのこと。

Laing O'Rourke

建設業バリューチェーンの研究報告。Swansea大学との産学協同事業ということで、産学協同プログラムKTP(Knowledge Transfer Partnership)の説明から入った。RFIDの利用テーマは二つで、最初はプレキャストコンクリートの識別。従来の紙ラベルでの識別に比べ、はがれてなくなってしまうことが無い、取り付け後も読み取ることができてトレーサビリティーの確保に役立つ。UHFタグを用い、取り付け成功率98%、読み取り率100%を達成したとのこと。もう一つはアセット管理であり、工事現場で紛失しやすい小型の工具をRFIDを用いて管理するというもの。従来アクティブタグで管理していたものをUHFパッシブタグに置き換えることで読み取り精度が上がったとのこと。
他の用途も含め、建築業界はRFIDの導入により改善できる業務が多数あると報告していた。

Scanology BV

ユーザ企業ではなくRFID・バーコードソリューションのSIベンダである。RFIDのニーズはセクターごとに多様化し、Gen2システムでは対応しきれないといことでいくつかの技術の説明を行った。
HF Magellan PJMは13.56MHz帯の新しいエアプロトコル。読み取り速度が毎秒500個に達し、スケーラビリティーや信頼性も向上した。ISO 18000-3 Mode 2やEPCglobal HFとしての標準化も進み、ダイヤモンドのトラッキングやドキュメント管理などの用途が想定されている。
I-PXは複数の周波数帯で利用されている独自プロトコル。UHF版はMarks & Spencerのアパレル案件で使われている。特定の業界、たとえばスポーツのタイム記録や自動車の電子ナンバープレートなどにフォーカスを当て、導入実績を積み重ねている。
アクティブタグ業界は成長しており、タグの価格の低下や電池寿命の向上(5年以上に)などの改善が見られる。現在の主要な用途はクローズループでのアセット管理であり、その一例としてPelican Case Solution社がIngecom社の2.45GHz製品を採用しているものがある。
RFIDとセンサーの組み合わせでは、GPS・温度・ショック・湿度などを組み合わせた製品が広がりつつある。データ形式は製品間で標準が無いため、Smart Active Label ConsortiumやISOなどの場で議論が行われている。また、リアルタイムでのデータ取得が重要視されるようになり、携帯電話(GPRS)のほか価格が低下している衛星電話ネットワークを利用する製品も増加している。将来はRFIDの応用という枠組みを離れて成長していくだろう。

Marshall Aerospace

世界最大の航空機整備会社。ケンブリッジ郊外に広大な飛行場併設の工場を持っている。この施設内でUbisenseのRTLSシステムが利用している。燃料タンクのテスト用設備が2つあり、その設備の間でテスト器材を共用しているのだが、30個ある器材がどちらのテスト設備(あるいは製造設備)にあるのかがわからず、作業効率が落ちていた。RTLSシステムを導入してどの器材がどこにあるのかをリアルタイムで把握できるようになったということ。
導入エリアは限られており、テスト設備は30m×54mにリーダーが10個、製造設備は35m×15mにリーダーが6個とのこと。トライアル的な位置づけなのだろう。

University of Cambridge, The Intelligent Airport

産学官連携によるWirelessテクノロジーの空港での利用に関するプロジェクト。RFID技術というよりも無線・有線を統合した通信インフラの話が中心だった。空港内で発生するデータ通信は、ビデオカメラ1500台、高解像度ディスプレイ500台、生体スキャナ500台がそれぞれ10GByte/secという莫大な通信データを生成し、他のデータを合わせると平均で66GByte/sec、ピーク時には100GByte/secに達するとのこと。現行のイーサネットインフラでは破綻するためMOOSE(Multilayer Origin-Organized Scalable Ethernet)というMACアドレスベースのスイッチング処理をするインフラを開発した。MOOSEではスイッチにぶら下がった機器のMACアドレスを付け替えることでMACアドレスベースでのヒエラルキーを構成し、ネットワーク内に8,000個のスイッチをサポートできるそうだ。

Lyngsoe Systems

香港・ミラノ・リスボンにRFIDを用いた手荷物処理システムを導入したベンダ。手荷物のハンドリングは簡単なものではなく、近接してリーダーを通った貨物の識別(Singulation)、金属製ケースへの対応などが必要とのこと。同社はこの問題に取り組むため、デンマークに本物の器材を設置した専用のテストセンターを持っているとのこと。読み取り精度は2000年の94%から今日の99%まで着実に向上している。

Progressive Gaming International Corp.

カジノ向けRFIDシステムのベンダー。カジノでのRFIDの利用の中心はテーブルゲームである。スロットマシンの管理は完全にネットワーク経由の集中管理になっているが、テーブルゲームはそうではない。リアルタイムのデータは取れないし、勝ち負けはディーラーのテクニックに依存する。さらにチップのやり取りも主導であるため盗難や騙しが入る余地がある。現在カジノの成長市場であるアジアではテーブルゲームの人気が高いため、この分野へのRFIDの導入が急務。
テーブルゲーム用のチップには15年前から長波帯(125kHz)の規格があるが、テーブルでの利用には向かない。テーブル上には1000個~2000個のチップが置かれており、それが重ねられるので、読み取り速度が遅く重なりにも弱い長波帯製品では対応できない。そのためにHF Magellan PJM技術を利用したチップを開発し、すでに商用導入が始まっている。不正の防止や業務の自動化などを通じ、6ヶ月で投資を回収できるとのこと。

Academic Medical Centre

先日大きなセンセーションを呼んだJournal of American Media Association (JAMA)への投稿、RFID製品のEMIがエマジェンシールームの機材に干渉するケースがあるという論文を書いた研究者。この人選はさすがというかRFID Journal系のイベントだと無理だろうなーという気がする。実際に自分で導入を検討する段になって先行研究が無かったので自分で調査した、一般の病室ではなくエマジェンシールームでの試験の結果である、過剰に騒いだのはメディアであって研究者に矛先を向けないで欲しい、その一方で標準の作成は必要でありRFID業界の中に試験結果を無視しようとする動きがあるのは残念だ、という内容の話をしていた。個人的にはどれももっともな話だと思う。

Royal Alexandra Hospital

病院内で利用する器材管理用のRTLSシステムの導入レポート。Gen2製品はEMIのリスクが大きいのでWiFi製品を選らんだということで、病院系のRTLSにWiFi製品が多いのはこの理由もあったのかと改めて腑に落ちた。CiscoとAeroscoutの製品を利用して、制度は+/- 5m程度とのこと。

St. Olavs Hospital

病院で利用する衣類のクリーニングの管理をRFIDで行う事例。従来の管理では回転が遅く衣類を返却しないところも多かったため、それぞれの衣類にRFIDタグを取り付け、衣類棚をスマートシェルフ化、返却口にリーダーを取り付けた。管理対象と比べて重装備に見えるが、投資対効果は出ているとのこと。

MBBS SA

過酷な環境で動作するRFIDタグということで、金属ケースに格納した長波タグ(30kHz-135kHz)製品を紹介していた。この会社はチップ・タグ・リーダー・ソフトウェアのすべてを自社開発しているとのこと。病院での器材管理やコンクリート埋め込みの事例を説明。

U.S. Navy

弾薬類の寿命管理をRFID・センサーで行う事例。軍需品は苛酷な環境で輸送・保存されるが、そのような環境の下では劣化が早く進む。従来は劣化の影響を大き目の物流単位ごとに見ていたのだが、その場合には影響を硬めに見ると使える製品を廃棄するリスクが、甘く見ると誤動作のリスクが、それぞれ高まってしまう。
よって、弾薬自身にセンサーとRFIDタグを持たせ、弾薬自身が自分の寿命を管理できるようにするというSSMD(Self-Sensing and Moniroring Devices)コンセプトの導入を検討している。現在の最大の課題は弾薬の寿命である25年間動作し続ける電池を開発すること。
非常に面白いコンセプトであり、民間への影響も含めて注意しておく必要があると思う。また、バッテリーの開発などの関連技術も民間器材への応用があるだろう。

展示

Dscn0292 ブース数は20個と少なめだったが、全般に活発な商談が行われていた印象。展示の中で一番面白かったのがFriendly RFIDというイギリスのベンチャー企業。従来のパッシブRFID技術とアクセス方法を変え、「自分のIDが呼ばれた場合にだけ返答する」というタグを利用することで、プライバシーの問題を極小化しようというもの。一見無茶に見えるが、多くのユースケースではタグIDがASNなどで事前に送られてくるわけで、これはこれで意味がある方法ではある。
このアプローチのキモはもうひとつあり、この機能を持つタグは2,000トランジスタで作成できるため、13.56MHz帯で動作する場合には印刷による製造が視野に入ってくること。既存のタグと全く互換性がないためすぐに導入が始まるとは思えないが、Printed RFIDの適用事例としては実現性が高いのではないだろうか。

Networking Gala

Dscn0298 参加者の懇親イベントとして夕食会が開催された。場所は会場よりもちょっと古めのカレッジの広間。とても雰囲気のある場所で楽しかったのだが、席についてコースが出てくるスタイルだったのでネットワーキングにはどうだったかな。まぁ、食前に長めのバータイムが取られていたのだが。

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