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2008/10/17

EPC Connection 2008 (Day 3)

EPC Connection 2008の最終日のレポート(1日目)(2日目)。結論を先に言ってしまうとかなりしょぼい展示会で、見に来るまでもなかった。トラックが4つと言うのは欲張りすぎで、僕が目当てにしていた防衛産業のトラックなどはセッションの内容が重なっている上に自由質問をセッションにするなどしていて(そういうのはブースを出してそこでやれよ)、1日だけで十分だったはず。

General Session: How EPC Creates Opportunities for New Ways of Working Together

Coca-Cola、Kraft、P&Gという大手企業によるパネルセッション。EPCglobalが提案する協業のフレームワークをこれらの企業がどう評価するかというもの。議論の中で僕がまさに聞きたいと思っていた質問、「リテールサプライチェーンでは、協業による全体効率化の取り組みとしてECR(Efficient Consumer Response)やCFPR(Collaborative Forecasting, Planning, and Replenishment)といったコンセプトが従来も提起されてきたが、業界全体に十分定着しているとは言えない。EPCのコンセプトがこれらと違う点は何か」というテーマが取り上げられた。パネリストの回答は「ECRというコンセプトが出てきた20年前と比べるとIT環境が大きく変わっている」「これらのコンセプトは決め事が多すぎて参加者のハードルが高すぎたが、EPCのコンセプトの元では各企業の取り組みに自由度が高い」などのそれなりに納得できるものだった。ただ、EPCの技術体系に完全にコミットするというわけではなく、現在の資産やビジネス体系を生かしつつ、メリットが出るものについては積極的に採用していくという方針のよう。

EPCISが提供するビジビリティーについては、リテーラーの物流センターから先の部分がサプライヤーに見えることは非常に大きな意味があるが、そのコストを負担する人にきちんとメリットが出るような利益分担の仕組みが必要と。また、このようなビジビリティーのメリットはリテールサプライチェーンだけでなく多くの業界に共通するので、EPCglobalのような業界横断の組織で議論することには大きな意味があるという優等生的な発言もあった。

General Session: The Value of an EPC Standards for Data Centers

データセンターでのIT器材のアセット管理がテーマで、Bank of Americaの部長と金融業界の技術団体FSTC(financial services technology consortium)のプレゼンテーション。FSTCはデータセンター、書類袋、書類そのもののトラッキングの3つのRFIDプロジェクトを進めている。

現在金融機関のデータセンターではIT器材のアセット管理をバーコードとハンドヘルドリーダーで行っている。読み取り精度が60-70%で手作業による補正が必要なのに加え、器材を納品したときにバーコードを作成、貼り付けする作業、そして器材台帳に登録する作業が必要となる。バーコードを使っての業務改善も検討したのだが、読み取り制度が90%に達しないほか、納品時の作業が改善しないためRFIDの導入に踏み切ることにした。
器材管理の対象となる製品について、ベンダーがGen2タグを取り付けて納品(将来は製造時に組み込むことを視野に)。タグIDは納品情報の一部としてEDIで送られる。読み取り条件としては、ハンドヘルドで3フィート、固定リーダーで6フィートを条件としている。
導入のメリットとして、盗難や不正アクセスの防止、棚卸作業の省力化、ロケーション管理への対応といったわかりやすいもののほか、SOX法への対応、減価償却データの管理など見落としやすいものも含まれていた。

General Session: Printed Silicon Electronics - A New Paradigm in item-level intelligence

Dscn0326 プリントタグのベンチャー企業KOVIO社の発表。ベンチャーキャピタルのほか事業パートナーとしてパナソニックとトッパンフォームズが出資している。長めのムービーを流すなど派手なプレゼンテーションだったのだが、内容はかなりハイプ臭い。プリントタグのマーケット予測などにほとんどを費やし、自社の製品の説明は少ない。既存のリーダーと互換性のあるタグのアルファ版サンプルの出荷を開始し、来年の第2四半期に商業出荷を開始すると発表していたが、彼らはブースの展示を行っていないしプレゼンの中で実物を見せることもしなかった。「Compatible With Standard HF Readers」という表現が微妙で、「ISO-15693準拠」と表現しないということは、ISO-15693の一部の機能だけに対応しているのではなかろうか。彼らのプレゼンの中に「RFIDバーコードは1,000トランジスタ」という表現があったが、ISO-15693のトランジスタ数は確か8,000個、先日のEPC Europeで見た最低機能のFriendly RFIDでも2,000トランジスタであることを考えると、その疑いが濃厚だ。

2010年にGen2タグ、2011年にはセンサーや表示領域を持ったタグを印刷で作れると発表していたが、その辺もちょっと怪しい。

EPC RFID from the DOD Supplier Perspective: Beyond the Mandate

ロッキード・マーティン社のAIT部長。同社は言うまでもなく大手の軍事メーカーで、アメリカ国防総省から毎週13,500の注文を受注し、そのうちのいくつかは前線(イラクやアフガニスタン)の補給拠点まで96時間以内での配送を要求される。

それほどのメーカーの自動認識技術への取り組みなのであるが、プレゼンとしてまとまった内容ではなく、2004年からの同社の取り組みを抽象的なレベルで説明していくというもの。発表の意味が無いというわけではないけど、一見の客が聞いて何かお土産を持って帰れるというものではなく、同社の経営方針や情報システムアーキテクチャを知らないと評価をしようがない。

Informal Q&A With Key Defense Industry RFID Leaders

Defenceトラックの最後のセッションは質問セッションということで、事前のテーマも無いもの。ここまでネタが無いのであればトラックの作成を引き受けなければ良かったのに。このトラックが目的で参加したのでかなりがっかりだった。質問の中で「今回このトラックを引き受けたのはサプライヤーの生の意見を多く聞きたかったから」と述べていたけれど、あまり効果が無かったのではないかと思う。

質問に対する回答も論点がぼけて抽象的な、まるで役所の答弁みたいなもので(いやアメリカ国防総省はれっきとした役所だが)あまり面白い内容は無い。その中で興味を引いたのは、国防総省のRFIDプロジェクトの最大の挑戦はRFIDシステムが生成するデータを既存のレガシーシステムに引き渡すこと、というもの。民間企業にとっては当然の話なのだが、軍隊のような苛酷な環境でもやはりここが問題になるのか。

How New Zealand Fruit Company Cut Costs with EPC

Defenceトラックが終わってしまったので最後のコマはRetailのトラックに。ニュージーランドのキウイフルーツ取り扱い業者Eastpack社の倉庫管理システムの事例。倉庫から適切なパレットを取り出すため、パレットへのGen2タグの取り付けと天井に2次元バーコードを張るロケーションシステムを導入し、大きな効果を得たというもの。

ニュージーランドではキウイフルーツの輸出は規制されており、Zespri Internatinalという認可業者を通す必要がある。このEastpack社とZespri社との間には厳しいオペレーション契約があり、パレットの出荷を間違えた場合には400-500NZ$という罰金が、逆に直前のオーダーを適切に処理できた場合には200NZ$のボーナスが出る。これが高い投資対効果の理由かと思ったら、実際には省力化やフォークリフトの削減、また商品ロス(盗難、オペレーションミスによる破損・劣化などを含む)の削減など、大きなメリットが他にも出ていた。倉庫自体はさほど複雑なものにも見えず、ちょっと効果が派手過ぎないか、と思ったのだが、低賃金の臨時工を短期間だけ雇用するという労働環境が大きな理由だったのだろう。

2次元バーコードを使った測位システムはRFIDの床タグのようなものだと思っていたのだが、実際にはカメラが複数のバーコードを写真に取ることで任意の平面位置を取得できるというものだった。倉庫内は棚が無い平置き(パレットは2段積み)という条件だからできることなのかも知れないが、これは予想外の内容だった。

展示ブース

Dscn0330 今回の展示ブースは9つ。しかもうち2つはEPCglobal NAとRFID Journalなのでベンダー数は7つという寂しいもの。展示エリアでのミニセッションは当然無く、それどころか休憩・昼食時以外には誰もいないので展示エリアを閉めてしまうという状態だった。まぁ、たった1ヶ月前にRFID World 2008が開催されたばかりなので、無理も無いのかもしれないが。

Dscn0327 出展しているベンダーも大した展示品を持ち込んでおらず。見るべきものがほとんど無かった。唯一見てきたのはプレカンファレンスでインレー組み込みの段ボール箱HIDE-PackのプレゼンをしたDOMINO社。サンプルの段ボール箱を貰ってきた。日本に提携している(技術を提供している)段ボール箱メーカーがあるかと聞いたら無いとのこと。また、この技術は汎用の段ボール箱に使うものなのか、電気製品などで種類ごとに用意する比較的小ロットの製品にも対応できるものなのかと尋ねたら、それは段ボール箱メーカーの製造ラインの方に依存するので答えられないとの回答だった。

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