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2008/09/10

RFID World 2008 (Day 1)

Las Vegasで開催されているRFID World 2008に参加している。RFID WorldはもともとはRFID Journal LIVE!をしのぐほどの業界最大級のカンファレンスだったのだが、Wal-Mart・国防総省によるMandateブームとその失速をうまく乗り切ることができず、ここ数年は低迷していた。今年はイベントの創立者のTimothy Downs氏をアドバイザーに迎えて立て直しを図ったという。余談ながらこの事実からもアメリカでのRFIDマーケットの拡大を感じることができると思う。

会期は3日間なのだが、初日の昼間はプレセミナーという位置付けて3つのセッションが開催されている。テーマはRFID for Managers、Food Traceability、LF and HF RFID Payoffという3つ。どれも面白そうなテーマなのだが、出張で来ているもので個人的な興味で業務に関係ないテーマを選ぶわけにも行かず(苦笑)、RFID for Managersを選択した。

RFID Success: how a fighter pilot's principles can help you succeed

Dscn0275 マネージャー向けセミナーということでRFIDのプロジェクト管理戦略の紹介。なぜ「fighter pilot's principles」かというと、アメリカのパイロット出身の戦術理論家John Boyd氏の戦場での意思決定理論OODAを基にしているから。OODAとは、敵の行動を監視し(Observe)、行動の方針を定め(Orient)、具体的な対策を決定し(Decide)、実際に行動するというサイクルを回していくというもの。管理サイクルとして有名なPDCAと比べ、流動的な状況で相対的な優位を占めることに目的が置かれている(参考: Wikipediaのエントリ(英語)ジョン・ボイドのOODAループ - 海洋戦略研究)。

直接RFIDに関係のあるネタでもなく、ユーザーのRFID導入戦略の説明に使うにはあまり適切ではないと思うのだが(ベンダーの戦略には実にマッチしている)、そういうネタをうまくプレゼンに使うあたりがアメリカのこの種のセッションらしい。

RFID Ecosystem: what you will see at the show, what you need to know

RFIDベンダーにどのようなタイプが存在するかをツーリストとスペシャリストという例えを用いて説明。ツーリストは、RFIDは導入候補の中の上位製品の一つであり、製品分野に特化している。RFIDを専門に扱い技術を売り物にするスペシャリストに比べ、導入例の幅や件数が少ないため付き合うべきではないと。
ベンダーの選び方については、常識的な内容の他に、お金をもらっている顧客の数が50以上であること、第3者によってパフォーマンスの評価を受けていることなど、興味深いコメントが含まれていた。

RFID 101: the types of RFID and flavors that apply to different projects

RFIDアプリケーションの種類とカバー可能な技術、それを提供するベンダーを表にして比較したもの。アプリケーションの種類としてはRTLS/Long Range Event Monitoring/Short Range Event Monitoringの3種類、技術としてはUWB、WiFi、その他アクティブ、セミパッシブ、UHF、HFの6種類。この組み合わせをさらにベンダーごとに細分化し、読み取り距離は標準の存在、技術の成熟度や価格などの項目ごとに比較したもの。あいにくスライドの文字が小さく記録に残せず、このあたり内容を詰めきれていないと感じる。

RFID Essentials: how it works and what training can deliver benefits

RFID Revolutionという小さなRFID教育会社が、同社の提供するe-ラーニングの教材を用いてアンテナの極性を説明するというもの。教材はわかりやすいもので、アニメーションを使って直感的にわかりづらい部分のある極性をきちんと説明していたのだが、教材自体の説明とごっちゃになってちょっと冗長になったのが残念。

RFID Systems Architectures and Sofware Applicatoins

RFIDミドルウェアの動向についての説明。RFIDミドルウェアの機能をWorkflow and Application/Shared Services/Device Management/User Interfaceの4つに、製品の志向をWorkflow/Integration/Device Control/Networkの4つに分類し、現在IntegrationとNetworking志向の製品はWorkflowに統合されて2極化しつつあると。
ミドルウェアの導入に成功するためには、プロセスとハードウェアのスコープをきっちりしておくこと、ユーザインタフェースのガイドラインを作成しておくこと、ソフトウェアデザインのワークショップを行うこと、ミドルウェアベンダーのサイトを確認すること、パフォーマンスを基にした契約を行うことの4点だった。

RFID Use Cases: how you can learn from previous RFID success

RFIDの現在の導入事例について報告。導入事例が多量にある分野は、サプライチェーン、アセット管理、仕掛品管理、セキュリティーおよび偽造防止、社員・車両のアクセス管理とのこと。

Building the RFID Business Case

RFIDを用いて実際に導入効果を出すための設計方法。目的を明確にした後に物理的な制約(取り付け対象の詳細、読み取り距離、読み取りの間隔、チョークポイントかフリーロケーションか)などを確認する。その後に物理特性やサイトのレイアウトなどを詳細化していく。
費用の見積もりの失敗例として具体的な内容が挙げられており、ハードウェアについてはリーダーだけを見てアンテナやモーションセンサーを忘れること、設計費用についてはネットワークや電気配線、ゾーンの設定、ワークフローの再設計を見逃すこと、タグについては単価の安さに目がくらんで必要な個数をきちんと把握しないこと、ソフトウェアについては課金単位がリーダーやCPUになることや、ライセンスの更新・保守費用を見逃すことが挙げられている。

RFID Support: how to keep the system working and optimized

RFIDに関係するサポートがどのようになるかを説明したもの。サポートの種類を、事前に計画して実施するもの、監視者が見つけて対応するもの、利用者が見つけて対応を求められるものの3種類に分け、それぞれの詳細な種類と内容を説明した。

Getting Started: how to build an RFID project plan for implementation

RFID開発で陥りがちな罠を避けるというもの。アプリケーションの難易度別に問題点を例示し、購入パッケージをそのまま利用するレベルでは、実績の無いベンダーを避けること、データフォーマットなどの微妙な違いを見逃さないこと、アプリケーションの統合とサポートを軽視しないことの3点。標準ソリューションをカスタマイズする場合には、業務をソリューションにあわせるために無理に変更しないこと、デザイン段階を軽視しないこと、計画されたマイルストーンをきっちり守ってプロジェクトを進めること。最後に新しい技術を使った難易度の高いプロジェクトでは、使用をはっきりと文書化すること、利用者からのフィードバックを早く頻繁に行うこと、仮定にもとづいてプロジェクトを進めないことであった。

全般に興味深いテーマを追いかけているものの、スポンサーのODIN社やRFID Revolutionの説明と、教科書的に進めるべき内容がごっちゃになって、やや散漫な印象を受けた。それなりに時間のあるセッションだったので、内容を分けることでメリハリのあるセッションにできたと思うのだが、惜しい。

The Annual RFID Awards

6つの分野に対して授与されるもの。今回の対象分野と受賞者は以下のとおりであった。

Excellence in RFID Implementation
PM J-AIT (Saviによるアメリカ国防総省および同盟国向けのトラッキングシステム)

Excellence in RFID Pilot
Kimberly-Clark Yard Management System (PINC社の製品を用いたGen2利用のRTLSシステム。以前にエントリを書いた)

Excellence in RFID Technology
Sensormatic iREAD (EASとRFIDを統合した小売業向けポータル)

Most Inovative RFID Application
SkyeTek Secure RFID Reader (目の不自由な人向けのRFID利用情報読み上げ器)

Protecting the Environment
Hawaii State Department of Administration Quality Assurance Division (RFIDによる食品トレーサビリティー)

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