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2008/09/03

中国の農民工居住カードプロジェクト

RFID Journal誌の社説で、SCIENTIFIC AMERICAN誌にCASPIANのKatherine Albrecht氏の記事が載ったと編集長氏が怒っていた(An Unscientific Article on RFID and Privacy)。やーキャシー元気かしかし何でこのタイミングでSCIENTIFIC AMERICANにと思いながら該当の記事How RFID Tags Could Be Used to Track Unsuspecting Peopleを読んでみたが、どうも校正が入って事実に反する部分が修正されたまま無理やりオリジナルの原稿を掲載したような感じで、論理展開が良く分からない文章になっている。記事前半の、カナダ/メキシコ国境通過用の運転免許証にGen2タグを利用するプロジェクトは誰に聞いても不適切だと言う話なので、その線で押していけば良かったのに。

とまぁ、これは前置き。この記事の中でNew York Times誌に中国の国民IDカードプロジェクトの記事が載ったということを知り、検索してみたら記事が見つかった(China Enacting a High-Tech Plan to Track People)。SCIENTIFIC AMERICANの記事には「国民IDカードには職歴、病歴、出産記録、宗教、民族、雇用状況、大家の連絡先まで記録されている」と書いてあったのでええっと思ったのだがNYTの記事を見るとこれは正しくない。国民IDカードのチップに確認されているのは名前と生年月日ぐらいらしい(ついでだが全ての中国国民はこのカードの携帯を義務付けられているとのこと)。

だが、この情報が嘘というわけではない。上記の記事にある項目は、深セン市の居住カードに登録されているのだ。このシステムは深セン市単独のものではなく、国家公安部のパイロットプロジェクト。2008年8月に深セン市の港頭地区から開始され、3年かけて全市に展開、最終的には全国の大都市に展開し、恒久的な都市部の戸籍を持たない出稼ぎ農民を管理するために利用するとのこと(Computer Business Review: China Public Security Technology wins Shenzhen card system contractも参照)。

これほどの個人情報をICカードの中に持たせるというのはちょっと信じられない。いくら中国でもこれはセキュリティ・プライバシーの観点から異常だろうし、その認識があるからこそ国民IDカードの登録情報は常識の範囲に収まっているのだろう。対象は全国民ではなく農民工だけだから良い、ということなのだろうか(NYTの記事では1億5千万人とある)。うーん。

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