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2008/04/21

The Great RFID Game

RFID Journal誌にアメリカのアクティブタグベンダHi-G-Tek社がカザフスタンとリトアニアにe-Sealシステムを納入したという記事が載った(RFID Seals Provide Border Security in Eastern Europe)。この案件はHi-G-Tek社からプレスリリースも出ている(Hi-G-Tek and NTC Design Wireless RFID Cargo Security System for Customs Control Agency of Kazakhstan, Hi-G-Tek and INTA Provide Wireless Trade Lane Security Solution for Lithuanian Customs Authority)。単なるRFID事例として見たなら変わったことをやってるな、という感じだろうが、RFIDと安全保障との関係に興味を持っている僕としては非常に面白いので関連情報をメモしておく。

まず、RFID案件としては以下の通り。どちらのシステムもトランジット貨物を対象にしたもので、密輸や盗難を防ぐことを目的としている。Hi-G-Tek社が納入しているのは433MHzアクティブと125kHzパッシブの両対応のe-Seal。カザフスタンではe-Sealを取り付けるのはロシアと中国の国境。高速道路に433MHzのリーダーが50km間隔で設置されており、e-Sealが壊されていた場合にはアラーム信号を検知して国境警備隊に連絡するようになっている。

リトアニアではチェックポイントはベラルーシとロシア(カリーニングラード飛地)の国境に4箇所ずつある検問所になる。リトアニアはこのほかポーランドとラトビアとも国境を接しているのだが、これら3ヶ国はEU加盟国なので厳重な国境管理がないのであろう。これら8箇所の検問所ではベラルーシ⇔ロシア間のトランジット貨物に対してe-Sealを取り付ける。輸送中のトラックが不自然に停止した場合には振動センサーが動作し始め、異常な振動が続いた場合には無線で警報を送信してパトロール中の税関職員に通知されるようになっている。

これらは国境警備システムとしてはかなり重装備だ(安定した治安システムを前提にできる先進国の案件との単純な比較に意味は無いが)。素直に考えると、記事にもプレスリリースにも触れられていないが何らかの援助を基にしているということになる。Hi-G-Tekは成立の経緯や提供サービスで非常にアメリカ政府、特に米軍との縁が深い。カザフスタン・リトアニア共にアメリカが戦略的に重視するエリアだ(麻生前外相が唱えた「自由と繁栄の弧」に含まれるエリアでもある)。これらの国のアンダーグラウンドな組織(反政府組織や犯罪組織)が貨物の横流しによって利益を得ることも密輸によって武器・麻薬などが持ち込まれることも、アメリカにとってとても歓迎できる話ではない。税関・国境警備システムを援助によって強化するというのはとても理に適った政策だ。中国やロシアは外交上は面白くないだろうが、一方で彼らも盗難や密輸の被害者でもあり、それを取り締まるということは好都合な面もある。この種の綱引きがRFIDという舞台で行われているということにちょっとワクワクする。

で、RFIDの話に戻ると、僕はe-Sealやスマートコンテナの導入は主要海上貿易国間の利用状況で決まると思っていた。が、これらの分野での導入は経済面のインパクトも多く関係者がすぐに身動きが取れる状態には無い。むしろ、今回の事例が示すように物量の少ない不安定な国々に国境警備の一環として導入されることでデファクトが先に固まってしまう、という可能性がありうるのではないか、という可能性を考えさせられた。

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