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2008/04/16

Mojix STAR System (超遠距離Gen2タグ読み取り+高精度位置情報)

世の中にブレイクスルーというのはあるものだ、と思う。アメリカのベンチャー企業mojix社が、Gen2タグを従来の20倍以上の超遠距離から読み取る能力を持ち、なおかつRTLSとしても利用できる高い測位精度を持つシステムを開発したというニュースがRFID Update誌とRFID Journal誌で取り上げられた(RFID Update: Startup Touts 600-foot Read Range for Passive RFID, RFID Journal: Mojix Takes Passive UHF RFID to a New Level)。Mojix社からのプレスリリースにもリンクを張っておく(Mojix Inc. Launches Company and Unveils Revolutionary New Class of RFID System)。

Mojix社はNASAの深宇宙探査プログラムで働いていたエンジニアがスピンアウトして設立した企業だそうだ。このシステム、Mojix STAR 1000で利用されている技術は、アンテナとしてフェーズドアレイアンテナを採用し、受信信号の増幅とノイズの除去を高いレベルで行えるようにする。さらに、信号受信用のアンテナであるSTARと電力供給用のアンテナであるeNodesを分離し、電力供給によるノイズが信号受信に干渉しないようにする。この2つの技術の組み合わせにより、一つの受信用アンテナSTARにより、600フィート(180メートル)先から一般的なGen2タグを読み取ることができ、250,000平方フィート(23,000平方メートル)のエリアをカバーできるとしている。同社によるとテストでは1,000フィート(300メートル)を超える距離でも読み取りはできたとのこと。これほどの広域を1台のリーダーで読み取るとなると読み取り速度も気になるが、同社のサイトでは1秒に700枚のタグを読み取ることができる、となっている。

このシステムの凄みは、RTLSシステムとしても動作する点にある。もともとフェーズドアレイアンテナはイージス艦のレーダーに使われている技術であり高い測位能力を持つのだが、Mojix STAR Systemではタグの3次元位置情報を半径30センチという精度で取得できる。前回のUWB RTLSの記事で触れたが、通常のアクティブタグの測位誤差はその10倍である。

さらに、Gen2タグを使うという特性を使い非常に面白い用途を提案している。例えば、Gen2タグ付きのパレットの上にこれまたGen2タグ付きのケースを載せてラップしたものに対し、各タグの3次元の位置関係を取得してデータにできるのだ。この機能をeGroupsという。eGroupsを使うと、例えばパレット上のタグのすべてを読み取ることができなくても読み取れたタグの位置情報を元に正しくパレットを受け取ったと推定できる、逆に位置情報がおかしくなっていることでラップが途中でバラされて再梱包された、という状況を推定してアラートを出すこともできる。

これほどの技術なのにすでにモノはできているようで、現在開催中のRFID Journal LIVE! 2008(2008/04/16~18)にデモが出展される。RFID分野のSI大手Xterprise社の施設でテストを行い、すでにFortune 50に属する大企業でのトライアルも行われているという。

正直なところ、セキュリティ・プライバシーに関する議論など導入の周辺も含めてのインパクトがまったく読めない。RFID Journal LIVE!での発表後の動向をウオッチしていきたい。

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コメント

受信側のシステムは、なかなかすごそうですね。
確かに、タグの3次元位置が測定できると、いろいろ
応用がありそう。
(ただ、100m*100mエリアに送信機を高密度設置するのは、
難しそうだから、10m*10m空間が現実的なのかな。)

投稿: Lucky_0_0v | 2009/01/31 10:09

>Lucky_0_0vさん、
コメントありがとうございます。一つのeNodeがカバーする範囲は3m~10mとのことで、倉庫の全てをカバーする使い方をしてコストが合うかは微妙ですね。先行導入企業ではドックドアなどの作業エリアだけをカバーする戦略をとっているところもあるようです。
Mojixのデモは数回見たことがあるのですが、デモで見る限りはカタログどおりの性能(読み取り速度とか)が出ているかは怪しいのですよ。一方でP&GやKraftの人に聞くと「確かに動いているよ」と言っていて、それが本当なら結構チューニングが難しいシステムではないかと思います。
なお、RF Controls社が、eNodeを使わずに電力供給も単一アンテナで行えるシステムを開発しているそうです(RFID Journal情報)。現時点では商業化のレベルは不明ですが、ひょっとしたら4月のLIVE!に出展してくるかもしれません。

投稿: Koi | 2009/02/02 10:54

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受信: 2008/04/16 23:29

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