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2007/12/23

2007年RFID業界10大トレンド

RFID Update誌が2007年RFID業界10大トレンドを発表した。(Part 1: #10-#7)(Part 2: #6-#4)(Part 3: #3-#1)。今年のニュースを眺めていると、データ交換規格EPCIS(#9)・MicrosoftのミドルウェアBiztalk Server 2006(#7)・Intelの決定版Gen2リーダーチップR1000(#6)と、インフラ周りの大きな進歩があったことに気づく。

#10 - The Time is Now for Real-Time Location Systems
 2007年にはRTLS技術の導入率が高まり、それ以上に期待が高まった。絶対的な導入率はまだ低いが、潜在的なRTLSのユーザーがこの技術の存在を意識し、導入によってメリットを得られると具体的に感じており、来年も期待と実績がともに高まる展開となるだろう。
#9 - EPCglobal Ratifies Data-Sharing Standard
 RFIDデータを企業間で交換する規格EPCISが批准された。EPCISは当初からEPC技術の中核の一つとみなされており、この批准はEPCの大きなマイルストーンになることは間違いがない。
#8 - Who Says There's No Such Thing as Bad Publicity?
 Wall Street JournalやMotley Foolなどの一般メディアにおいて、Wal-MartでのRFID導入のもたつきやRFID売り上げの不振などに着目した記事が取り上げられた。実際のところ、RFID業界は成熟しつつあり、特定の導入分野や特定のベンダに着目して業界の動向を語ることはできないのだが、一般メディアはしばしばその点を誤解している。
#7 - PMicrosoft Offers Embedded RFID Support
 Microsoftは同社のミドルウェア製品BizTalk Server 2006 R2でRFIDの対応を標準機能として組み込んだ。これにより、同社はミドルウェア製品でRFID対応を標準機能とした最初のベンダになった。この製品は大手企業の大多数で使われており、外部のミドルウェアを必要とせずにRFID機能を利用できるということで、RFID利用の拡大に大きなインパクトを持つだろう。
#6 - Intel Introduces Chip That Could Commoditize RFID Readers
 IntelはGen2リーダー用の統合チップR1000を開発した。これはリーダーの価格を半額に引き下げうるという現実のメリットに加え、IntelがRFID分野に強くコミットしているということを業界に印象付けた。
#5 - Wal-Mart: Price Leader, Yes; Thought Leader, ?
 Wal-MartはMandateのペースを従来より緩め、今年発表したRFIDの新たなプログラムはニッチ的で大規模導入に関係しないものであった。METRO社が野心的な導入計画を示し、また小売サプライチェーン以外の分野でのRFID利用が伸びている中で、Wal-Mart社のRFID分野での地位は低下している。
#4 - Vendor Focus Shifts from Broad to Deep
 Wal-Martによるブームの中で出てきた多くのRFID企業は、一部は淘汰され、残りは特定の応用分野に特化することで生き残りを図りつつある。また、業界の中での話題も、タグの単価や一般的な機能の改善(アンチコリジョンアルゴリズム)から、個別の利用分野でのソリューションに移りつつある。
#3 - METRO Moves Ahead
 METRO社は2007年のRFID導入のリーダーであった。RFID導入対象の店舗およびサプライヤを拡大するという実際的なプロジェクトを進めつつ、個品タグ付けや海外拠点からのトラッキングなどのトライアルにも精力的に取り組み、さらに幅広いベンダから調達を行いつつEPCglobalの標準技術を利用している。
#2 - Strong European Innovation & Adoption
 METROを中心として、2007年の意欲的な導入やイノベーションはヨーロッパのものが目立った。
#1 - Cautious Optimism Emerges
 RFID業界には、慎重ではあるものの今後の成長に対して楽観的な見方が広がっている。ベンチャーキャピタルのRFID事業への投資は足元で急拡大しており、RFIDプリンタの売り上げは前年比60パーセント増でのコンスタントな成長が見込まれている。足踏みしていると思われているGen2製品の分野ですら、2007年は前年の倍の売り上げとなり、来年も同程度の成長が見込まれている。

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2007/12/01

HF Version 2 (a.k.a. HF Gen2)

HF(13.56MHz)帯を利用し、EPC Gen 2と同じプロトコルで動作する規格の開発が進んでいる、ということは知っていたが、この1年ほどは商業メディアでは進展が取り上げられず、ちょっと僕の視界から外れていた。この10月にそのプロトコルの開発を担当していたEPCglobalのHAGがヨーロッパで実験を成功させ、いくつかの業界紙に続けて取り上げられた(RFID Journal:Tagsys Introduces HF V2 Reader, Readying for Upcoming EPCglobal Tag Standard, RFID Update:TAGSYS Announces Pre-Standard HF Gen2 Suite)。

現在、TAGSYS社が動作するHF V2のリーダーを既にMedio L400という型番で発表しており、タグはNXP Semiconductorsがサンプル出荷の準備を整えている。これにIBMのアプリケーションを加えたものがトライアルキット(Serialization Pilot Kitと呼ばれている)として12万5千ドルで提供されることになっている。ここまで状況が具体化しているのなら標準の批准も早いはずで、BairdはEPCglobal内での批准が来年の1月、ISOでの批准(ISO 18000-3 Mode 3と似た扱いでの)は2009年の半ばから後半と推定している。

満を持して出てきた新しいプロトコル、ということでパフォーマンスが気になるが、TAGSYSがMedio L400のパフォーマンスとして発表した内容によると、読み取り距離が最大40パーセント増し、速度は最大6倍となっている。特に速度は現在HFのUHFと比較した大きな弱点であり、マーケットサイズから見た主戦場である医薬品分野での競争力に大きく寄与するだろう。

だが、個人的には、プロトコルがEPC Gen2 UHFと揃うことが最大のメリットだと思う。現時点では作りこむか高価な商用ミドルウェアがきめ細かく対応してくれる部分であるためあまり有り難味を意識することはないだろうが、今後RFIDの利用が進みアプリケーションの層が分厚くなってくるとEPC系のプロトコルだけをサポートする、といったアプリケーションがどんどん増えてくるだろう(ちょうど携帯電話のネットワークサービスがIP技術をベースにしたものに変わって行ったように)。使い道が違うから最適なプロトコルは違う、というのは一面の事実だが既存のアプリケーションの厚みの差が開いてくるとほとんど意味がなくなることは歴史が証明している。

その意味で、次のステップはアクティブRFID技術へのEPC Gen2プロトコルの導入であるはずなのだが、さてどのような形になるものか。

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