« An e-Seal in Container Security Program: How to maximize the benefits of e-Seal in the battle against terrorism | トップページ | Design and Optimization of Passive UHF RFID Systems / Jari-Pascal Curty他(著) »

2007/09/12

Cancer Chips

先週に「動物に埋め込むチップが肉腫を誘発している疑いがある」というニュースをAPが配信し(Chip Implants Linked to Animal Tumors)、それを受けた一般誌の記事も多数書かれてアメリカではちょっとした騒ぎになっているらしい。これは、「識別用のチップを埋め込んだ実験用のマウスで高い肉腫の発生率が見られた」というレポートが10年ほど前にいくつか作成されていたが、ご存知VeriChipも認可を出したFDA(連邦食品医薬品局)もこれらレポートに触れていなかった、というもの。VeriChipはこのニュースを受けてプレスリリースを出している(VeriChip Corporation Comments on Associated Press Article)。

レポートの現物を読んでいないため判断は留保するが、この記事および関連記事を見る限りは分析は疫学的なものであり、対照実験を行ってのものではない。肉腫の原因がRFIDチップとしての性質にあるのか、それともガラス粒を体内に埋め込んだことが原因でRFIDチップとしての動作には原因がないのか、はたまた特定のロットで発癌物質が表面に残っていたのか、その究明は今後の課題となる。なお、同じ原理のチップはこの15年間に数百万頭のペットに対しても利用されてきているが、ペットでの肉腫の発生率の増大に関するレポートは現時点では存在が確認されていない。

いずれにせよ、このようなレポートの存在に触れていなかったのはVeriChipの手落ちであり、存在を隠していたのか、と非難されても仕方ないだろう。上で述べたような厳密な試験を早急に行い、利用者の不安を払拭することを望みたい。

これらのレポートを発見し、APに持ち込んだのはご存知CASPIANのKatherine Albrecht氏である。飼っていたブルドッグに肉腫ができた飼い主が、肉腫の原因が埋め込みチップではないかと考えてCASPIANに接触し、CASPIANの研究員が裏づけとなる論文を探した、ということらしい。このあたりの裏話がCASPIANのサイトに載っていて(French Bulldog is Catalyst for Investigation of Microchip-Cancer Connection)、そこから肉腫の切除手術についての獣医の報告書へのリンクも張られている。なお、CASIPANの記事を見る限りはこのブルドッグは肉腫が原因で死んだように読めるが、獣医の報告書には2004年4月の手術から2006年の報告書作成時までは健康で肉腫の再発も見られない、と書かれている。

APにこの記事を載せたことをAlbrecht氏が支持者に知らせるメールがWebでも公開されており(VERICHIP IS FINISHED?)、この浮かれた調子はどうなのかなぁ、という気はする。これは別に僕がPRO RFIDの人間だからと言うわけではなさそうで、この一連の騒動を批判的に見る記事もいくつか出てきている。New York TimesのBlog記事がその代表例で(A Debate We Don't Need: Do RFID Chips in Humans Cause Cancer?)、CASPIANに対してあんたらは肉腫を引き起こすからRFIDチップに反対してたんだっけ?と問う結びは真っ当なものだろう。反対活動そのものが自己目的化すると思わぬところで足をすくわれそうに見える。健全な批判勢力はRFIDのいっそうの普及に不可欠なのだが。

|

« An e-Seal in Container Security Program: How to maximize the benefits of e-Seal in the battle against terrorism | トップページ | Design and Optimization of Passive UHF RFID Systems / Jari-Pascal Curty他(著) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/163335/16427854

この記事へのトラックバック一覧です: Cancer Chips:

« An e-Seal in Container Security Program: How to maximize the benefits of e-Seal in the battle against terrorism | トップページ | Design and Optimization of Passive UHF RFID Systems / Jari-Pascal Curty他(著) »