RFID For Dummies / Patrick J. II Sweeney他(著)
タイトルを日本語に訳すとさしずめ「サルでもわかるRFID」というところだろうか。このシリーズはアメリカでは人気シリーズで、ITから投資から観光ガイドからあらゆるジャンルの本が含まれている。そんなわけであまり内容に確信が持てず、今まで買う気になれなかったのだ。有力RFIDベンダODINのCEOが執筆したという話を聞いて読んでみて、独自性のある良い本だという事が分かった。
この本が対象とする読者の範囲は狭い。取り上げている技術は事実上UHF帯パッシブだけだし、対象とする用途は流通分野でのケース・パレット単位でのタグ付けだ。つまりWal-Mart Mandateを求められたサプライヤが手に取ることを想定した本なのである。
そこまで読者層を絞り込んで何が書きたかったのかというと、それは電波関係の実務的なノウハウだろう。この本に書かれている内容のレベルは類書を圧倒している。設置場所の電波環境の測定方法や必要とする機材、はたまた干渉する可能性のある既存の機材など、実務的なノウハウが満載されている。僕はこの本で始めてAmbient Electromagnetic Noise (AEN)やFull Faraday Cycle Analysiといった用語を知った。
プロジェクト管理や投資対効果などにもさらっとふれてあるが、それら項目の内容的は通り一編のものである。電波に関する詳細すぎるほどの記述と比べるとバランスが悪いかな、とも思ったのだがこの本の想定読者や用途を考えるとこれで良いのだと思い直した。企業内のMandate対応チームがプロジェクト管理や投資効率の計算方法にまったく無知であることはありえないだろう。RFIDシステムで必要な管理項目をさらっと触れれば十分なのだ。半面、会議室でのデモでは100%読み取れたタグが倉庫に持って行くと読み取りエラーが多発するのはなぜか、という問題こそ想定読者が知りたいことだろうし、それらに関連する記述についてはチームメンバーにほとんど知識がないことを前提とする必要がある。
日本では今のところMandate対応に切羽詰まっているという状況の企業は少ないと思うが、この本にある電波関係のノウハウは魅力的だ。あなたがユーザ企業勤務なら、この本に乗っている内容を一通り押さえておけばSI企業の担当者から一目置かれるだろう。
ISBN: 076457910 / $24.99
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