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2006/03/10

海上コンテナでのRFIDの利用(2 of 6)

RFID Journalの海上コンテナでのRFIDの利用に関する記事、2回目です。先に(1 of 6)をお読みください。但し、まだRFIDの具体的な利用の話は出てきません(笑)。このあたりの内容については以下の記事が参考になるでしょう。

関税局「国際貿易のセキュリティ強化に向けた国際的な取組みについて」
http://www.mof.go.jp/finance/f1704h.pdf

今回翻訳分の記事のURLはこちら↓
http://www.rfidjournal.com/article/articleview/2120/2/82/

9/11以降のアメリカの4つの取組み

9/11以来、アメリカ政府は自国の管轄下での規制の基準を整備すると共に、他の政府と共同して国際的な基準の整備を行なってきた。

税関組織はこのような規制の適用で中心的な役割を果たしている。世界税関機構(World Customs Organization, WCO)は最近「国際貿易の安全確保及び円滑化のための『基準の枠組み』」を策定した。この『基準の枠組み』では各国政府に対し、自国のセキュリティガイドラインを満たす荷主や輸送会社をオーソライズドオペレーター(authorized economic operator, AEO)として認める仕組みを作るよう要求している。AEOとその取引企業は「信頼済み」とみなされ、貨物の通関作業の簡略化が認められる。この仕組みにより、各国の税関は信頼度の低い貨物の調査に重点的に取り組むことができる。

WCOの取組みに合わせ、アメリカでは国土安全保障省の税関国境保護局が以下のような4つの取組みをはじめた。(1)C-TPAT(Customs-Trade Partnership Against Terrorism)、これは輸入貨物を対象とした船社・フォワーダー・荷主の任意ベースでの取組みである。(2)海上コンテナ安全対策(Container Security Initiative, CSI)。これは港を中心とした税関と税関の間での取組みである。(3)Smart Box program。これは海上コンテナのセキュリティを高める技術を支援する取組みである。(4)Advanced Trade Data Initiative(ATDI)。これは荷主に対し船積書類を船積み前に提出することを義務付ける取組みである。これらの取組みが組み合わさって、サプライチェーンにかかわる企業や貨物の内容を詳細に知ることが出来る。税関国境保護局は高度な分析ツールを用い、これらの情報を元に危険性の高い貨物を把握することが可能になる。そして、X線やガンマ線のような非破壊検査技術を用いてそれら危険な貨物を調査することが出来るのである。また、貨物のトラッキングや封印技術の高度化により、危険物の混入を防ぐことも出来るようになる。

12月のeyefortransportの会議では参加者の関心はC-TPATに集中した。企業は自社と取引先のサプライチェーン関連業務が標準的な評価基準を満たすことによりC-TPATに参加することができる。必要な業務の一つは海上コンテナに取り付けるコンテナシールをC-TPATが指定したものにすることだ。現時点ではこれらコンテナシールは物理的なもので、新しい電子的なシールは指定対象になっていない。だが、税関国境保護局は電子シールの利用を促しており、将来は利用を必須にするかもしれない。

C-TPATに参加するメリットは何か?

C-TPATの参加条件を満たすためには、世界中から情報を集めなければならず、プロセスや取引先の変更も記録しなければならない。これらはどれもかなりの費用のかかる作業である。カナダの物流企業H&R Transport社の副社長Stephen Evans氏は、コンファレンスの席で、最近の調査によるとカナダの物流企業だけで4億ドルをC-TPAT対応のために支出していると述べた。

それでは、C-TPATに参加するメリットは何だろうか?税関国境保護局によると最低4つのメリットがある。輸入貨物の検査回数の減少、「グリーンレーン」を利用できることによる国境・港湾での迅速な手続き、災害時に閉鎖された港湾での再開時の優先的な取り扱い、そして書類のペーパーレス化。現時点で実現しているのは検査回数の減少のみである。

検査回数の減少が輸入業者の費用の削減に繋がることは疑いがない。RFID技術による国際物流分野でのセキュリティシステムを提供するContainer Security社によると、ある大手小売業者では貨物の非開封検査を受けないで済んだ場合、コンテナ当たり300ドルのコスト削減になるとしている。これは貨物が早く到着すること、および検査に対応するための人件費が節約できることによる。開封検査を受けないで済む場合には、コスト削減額は1,000ドルになる。この小売業者では全体の20パーセントのコンテナが調査の対象になっている。

だが、実際にC-TPATへの参加は検査の減少に繋がるのだろうか?いくつかの企業はそうだといい、他の企業は確信が持てないとした。だが、全ての企業は、グリーンレーンが広く利用可能になった場合にははっきりとした違いが出てくるだろうことに同意した。しかし、現時点では、グリーンレーンは何ヶ所かの国境で利用できるに過ぎず、港湾には一つも設置されていない。既に多くの国境や港湾は非常に混雑しており、そこにグリーンレーンを導入するには多額のインフラへの投資を行なうか、何か考えつかないようなアイデアを捻り出して既存の貨物と共存させるしかない。国土安全保障省の元高官は「グリーンレーンは高校生にとってのセックスのようなものだ。誰もが話題にするが誰も実際にどうやるかは知らない」と語った。続いて壇上に立った税関国境保護局の担当者は、グリーンレーンをすぐに設置する予定はないと述べた。

連邦議会を通じて改善の動きがあるかもしれない。Supply Chain Operations Preparedness Education SCOPE)の代表であるIrvin Varkonyi氏は、North River ConsultingのMichael Wolfeが作成した「グリーンレーン会場貨物セキュリティ法」の現状に付いて述べた。この法案はワシントン州選出の民主党議員Patty Murray氏と、メイン州選出の民主党議員Susan Collins氏により昨年11月に上院に提出された。「議会はグリーンレーンの控えめな導入でさえも予算の割り当てが必要なことを理解している」と彼は述べた。「法案は正しい道を進まなければならない。業界が実際に投資できないような分野で何かを約束してはならないし、メリットなしで規制に従うことを要求することもできない」。彼は、この法案が「何らかの形で」今春に可決されると予言した。

(3 of 6に続く)

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