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2006/02/05

Spychips / Katherine Albrecht (著)

RFID技術への反対を目的とするプライバシ団体CASPIANの代表が書いた書籍。そこそこ名の通った団体なのでさぞかし耳が痛いながらも示唆に富む考察が入っていると思って読んでみたらトンデモ本だったのでブッ飛んだ。なんせ、RFIDリーダが街中に無尽蔵に配備され、タグのユニークIDがGPS情報と共に通信衛星に送付されて、個人の識別情報と組み合わされた上でインターネットに公開されるのだ。はっきり言って頭がクラクラする。

そりゃあね、そんなことが将来にわたって技術的に不可能とは言い切れないかも知れない(現在の公衆電話回線の規格を設計した人間は将来50Mbpsオーバーの通信に利用されるとは夢にも思っていなかったろう)。だが、他の技術分野で積み上げられてきたセキュリティ・プライバシーへの対応を全く無視しているのはいかがなものか。もし技術的に可能なセキュリティ侵害は必ず行われていると言うのであれば、携帯電話でも同様のトラッキングが行われていることを心配すべきだ(電源を切る?そんなことでトラッキング機能が無効になるわけはないでしょう?w)。あるいは、駅や空港などに導入されると言われている、通行者の顔を録画してテロリストの発見に利用すると言うシステム。電波の発信はタグをアルミ箔でくるめばカバーできるが、普通の人間は街中をサングラスとマスクで歩けないだろう。

結局のところこの種のプライバシ問題は社会全体なり業界なりでの各種のレベルでのルール作りで和らげるべきものであり、技術そのものを槍玉に挙げても仕方がない。ただ、この問題の背景には、どうも個人に識別番号が「(焼印のように)押される」ということに宗教的な嫌悪感があるようなのだ。SSNという国民総背番号制度を導入し、小額の買い物にもクレジットカードを利用するアメリカで、なんでRFID技術の乱用ばかりを過剰に気にする?と日本人には思えてしまうのだが、理由が体感できないのがもどかしい。この本は売れているし、アメリカのRFID関連業界は火消しに躍起でいくつもの反論記事が出ているのだが、この宗教的嫌悪感の部分で議論が微妙に噛みあっていない気がする。

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