2012/01/31

RFID World Watcher Monthly December 2011

今年はRFID Journalで十大ニュースが発表されなかったので代わりに独自の視点で選んだものを掲載した。読者のコメントを頂ければ幸い。ニュースはSmartrac社のUPM RFID事業買収やアーカンソー大学によるアパレルサプライチェーンでのRFID利用など。

RFID World Watcher Monthly December 2011 (PDF形式、204KB)

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2012/01/27

2011年RFID十大ニュース(俺版)

毎年この時期には昨年のRFID十大ニュースのエントリを書いているのだが、困ったことに今年はRFID Journalの方でRFID十大ニュースを取り上げていない。まぁ、大盛り上がりというニュースは無かったし、ビジネスとして確実に廻り始めているアパレル関係の事例は業界内で話が完結して外野が提灯をつけるような雰囲気ではなくなっているし、あんまり書くことも無いなぁという気分は分からないでもない。ただ、それもちょっと寂しいよなぁということで、僕の独断と偏見で2011年のRFID十大ニュースを選んでみた。

☆パッシブUHF周波数帯のコンバージェンス
日本でのUHF周波数帯移行の議論に続き、ヨーロッパでも915MHz帯をパッシブUHF利用に開放しようという動きが出てきた(参考エントリ:ヨーロッパにおけるUHF帯RFIDパッシブ周波数変更議論)。この動きを受けて期待したいのはタグ、特に金属などの特殊用途タグの性能の向上。現時点では2バンドならば実用的な性能を出せるとのことだが、1バンドになることで更に思い切った性能向上を期待したい。

☆「5セントタグ」が現実に
アパレル分野での導入成功によりタグの量産規模が拡大し、ウェットインレイの大ロットでの単価が5セントまで低下した。現在ではウェットインレイのままで利用可能な用途、例えば既存の紙ラベルの余白に直接貼り付ける方法なども存在するし、スマートラベルに加工してもインフレを考慮すればブーム当時の5セントに相当する。一方で「5セントまで下がらないと利用できない」と言われていた用途での利用は拡大していない。改めての掘り起しが必要ではないだろうか(参考エントリ:インレイ不要のスマートラベル製造プロセス)

☆MicrosoftのNFC取り組み強化
海外大手ITベンダの多くがRFID関連機能のサポートを表に出さなくなって久しいが(但し戦略レベルの話として。製品レベルの対応改善が地道に行なわれているかまではフォローできていない)、昨年はMicrosoftがNFCサポートを強化するという発表を相次いで行なった。Windows 8でNFCにネイティブ対応すること、またスマートフォン対応のID入力システムMicrosoft TagでNFCに対応したことがそれである。Microsoftの視点で見れば、ネットだけではないリアルとの接点としてGoogleとの差別化、フリックやピンチなどのタッチ系のUIとは違うインタフェースとしてアップルとの差別化の意味でNFCに注目することは非常に理にかなっていると思う。今後取り組みが更に広がっていくかどうか注目。

☆北米でのアパレルRFIDの水平展開成功
2010年にはWal-Martの事例のみ先行して報道され、広がりについて一部で懐疑的な見方もされていたアパレルでの個品RFIDの利用は、アメリカでMacy'sを筆頭に他社事例が報道されることで認知がほぼ確立した。従来のヨーロッパの事例との違いは導入企業の規模の大きさで、従来は中小規模の専業チェーンであったのに文句なしの大企業が大規模導入をしていることが大きい。その割りに日本であまり話題にならないのが不思議な気がする(参考エントリ:アメリカのアパレルRFID導入状況Macy'sがRFID在庫管理を全店舗に導入へ)。

☆標準化活動の息切れ
HF Gen2の制定やTDSの改定など若干の話題はあったが、全体としては2011年はGS1 EPCglobalの活動があまり目立たなかった。ハードやソフトの互換性の確保が一段落して個別企業での導入が廻り始め、その一方で現時点では次世代のハード・ソフトの標準は興味を引かないしアプリケーション標準化や共同トライアルはノウハウの流出を懸念して動けないということであれば、あまりやることが無いのは構造的にやむを得ない。一方でアメリカのアパレル業界はVICSなどを通じた活動に乗り出しており、こちらは久々に見る業界団体主導の標準化の動きになる。

☆Gen2チップのコモディティ化
Gen2チップ各社が毎年RFID Journal LIVE!に合わせて新製品を投入し、感度がどれぐらい上がった、メモリをどれぐらい積んだということが騒ぎになっていた時代は過ぎたようだ。現時点では適切なアンテナを組み合わせてタグを設計すれば多くの用途では妥当な性能、コストのタグを作れるようになり、チップの性能が上がれば今まで出来なかったことが可能になる、という熱気は薄れたように思う。RFID Journal LIVE!に投入されたのは、書き込みの高速化などのニッチな改善、あるいは不要な機能を削除してコストを下げたモデルであった(参考エントリ:RFID Journal LIVE! 2011雑感(Gen2チップとトルネード))。

☆スマートフォンでのNFCサポート
NFCや3Gインターネット接続を標準搭載、ローカルで自由にプログラムを動かせる、そしてもちろん携帯性は抜群ということで、スマートフォンとNFCとの親和性は非常に高い。現時点ではキラーアプリを模索している段階だが、提案されているソリューションや周辺機器はわくわくするものばかり。噂どおりiPhone5にNFC機能が搭載され、さらに面白いアプリケーションが登場することを楽しみにしている。

☆ソーシャル分野でのRFID利用の増大
タグの読み取りデータをソーシャルイベントに結びつけるのはセキュリティへの対応に悩んできたRFID業界にとってコペルニクス的転換だった。現時点では手入力の置き換えに留まる初歩的な利用に留まるものが多いが、複数のNFCタグを読み分けさせるなどの手法が洗練されていけば驚くような事例が出てくるのではないか(参考エントリ:RFIDとソーシャルメディア)。

☆進まないMandate案件
エアバスA350XWBへの貼付が始まる航空部品トラッキングの世界では着実に導入が進んでいるようだが、それ以外の大型Mandate、アメリカのe-ペディグリーや航空手荷物などは導入への動きが聞こえてこない。導入に関してはそれなりの必然性もあるし、技術的な制約は相当部分が取り除かれているはずなのだが。RFIDに限らずこの種の新技術の導入には多数の落とし穴が潜んでおり、Mandate案件ではその落とし穴を現場の工夫で取り除くことが出来ないのが難点なのだろうなぁ。

☆センサータグの立ち上がり見えず
RFID Journalではセンサータグが次のビジネスの種と見ているようで活発に記事を書いているのだが、なかなか大きなトレンドとなるものが見えてこない。確かに「何かに使えないかな」という想像をいろいろ掻き立ててくれるし、ビッグデータというITの世界での主要テーマとも合致する。だが、そこそこの規模のマーケットで「こういう使い方をすれば利益が出せる」という方程式が見えた、というものがまだ存在しない。しばらくは手探りの状態、個別企業や特殊業界での小規模な導入が続くのだろう。

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2011/12/30

RFID World Watcher Monthly November 2011

今月号は元メールが11月分の配信が3回しかなかったので内容が薄め。特集はTRONSHOW 2012。来月号は2011年のRFID十大ニュースになるはずなのだが、果たしてどんなランキングが出てくるだろうか。

RFID World Watcher Monthly November 2011 (PDF形式、132KB)

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2011/12/23

TRONSHOW 2012

先週東京ミッドタウンで開催されたTRONSHOW 2012を見てきた。今回は会社帰りに立ち寄ったので講演は聴けず、展示ブースをを見学して帰宅。去年と比べて出展者が減り、出展しているブースも展示の内容が去年と同じ所が多く正直かなり寂しい。それでもハードウェアを中心に幾つか面白い製品を見つけることができた。

【富士通フロンテック】

リネンタグが好調な同社が出展していたのは書類管理用のラベルタグと検体容器用のタグ。いずれもGen2製品。書類管理用のタグは以前から商業化されていたもので、今回はシェルフリーダーと組み合わせた展示が行われていた。興味深いソリューションだと思ったが、実際のところはハンドヘルドを使ったソリューションが多く、シェルフリーダーを使った事例はあまり無いのだとか。

もう一つの展示品は検体容器用のタグ。小型のタグがピペットを巻くように貼り付けられている。イメージとしてはペットボトルのラッピングに近く、作業現場ではなくピペットの工場出荷時に貼付されると思われる。血液などの検体が入った状態でピペットを150本入りのトレイにセットし、専用の読み取り台で一括読み取りが行えるというもの。デモを見た限りでは読み取りが確実にできていることに加え、ピペットへの貼付がとてもしっかりしていることが印象的だった。このあたりのモノとしての作りこみの確実さが日本メーカーの強みだと思う。リネンタグと同様に国内外で成功してほしい。

【日立化成】

日立化成は各種のGen2特殊タグを展示していた。特に印象に残ったのがネジ型タグと溶接対応の金属タグ。ネジ型タグは名前の通りM8(ネジ径8ミリ)サイズのネジの形をしたタグで、ネジ穴にねじ込んで使う。僕の知る範囲では世界で初めての製品だと思う。金属部品にタグを付けたい、だが突起が出るのは避けたいという場合に非常に有効だと思う。通信距離は近接となっているがハンドヘルドリーダーで10cmぐらい離れた距離でも充分に読み取りできていた。現在はサンプル出荷の段階で、量産時の目標価格は500円とのこと。

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もう一つの溶接対応の金属タグはステンレス製の外装のもの。海外メーカーにも類似の製品はあるが、過酷な環境で利用する製品だけに日本メーカーの製品は安心できると思う。通信距離は50cm程度。量産時の目標価格は300円という。

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【SATO】

SATOは独自仕様のバーコード2種類を出展していた。1つはカラービットコード。ビーコア社が開発した技術をSATOがソリューション販売しているもので、提携自体はかなり前から行っていた。当初は本棚の書籍の一括棚卸をソリューションの目玉にしていた記憶があるが、今回出展されていた展示では反物の管理のデモを行っていた。反物のロールの断面にカラービットコードを貼付し、それをAndroidスマートフォンのカメラで読み取ることで対応する反物の柄を表示するというもの。リアルタイムで表示させることが可能で、ちょっとセカイカメラのようなARの世界が実現されていた。

もう一つはデジタルマーク。アメリカのデジマーク社が開発した電子透かし技術で、英数字10桁のシンボルをイメージの中に埋め込むことができるもの。画像・デザインに目視では分からないように埋め込むことができるというのは電子透かしの性質上当然だが、欠損やゆがみ、汚れ。特に煤の付着や表面の炭化に耐えられるというのが非常に面白い。カタログには1000℃まで耐えられるという耐熱ラベルとの組み合わせで製鉄所で利用する事例が紹介されていた。

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2011/11/18

RFID World Watcher Monthly October 2011

今月の特集記事は先週のアメリカアパレル業界RFID事情。2号連続でこのテーマになった。今月は事例記事が結構多く、HF Gen2の承認などの規格系のトピックスも入っているのでそちらの方を期待して下さる方にも有益な内容になったのでは。

RFID World Watcher Monthly September 2011 (PDF形式、186KB)

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2011/11/12

アメリカのアパレルRFID導入状況

Wal-Martと国防総省のサプライチェーンRFID案件が尻すぼみに終わって以来、パッシブRFIDの「面白い」事例をはヨーロッパが先導する状態が続いてきた。ここで「面白い」と書いたのは比較的オープンだったり業務を変える事例が多いと言うことで、アメリカの事例は規模や金額は大きいもののどうしても手堅く内輪なものばかりという印象があった。

この状況が変わったのはこのブログでも何度も取り上げたWal-Martのアパレル個品RFID導入からになる。他にも大手企業が追従したり、業界団体での活動があったりというニュースは目にしていたが、今回RFID JournalがアメリカのアパレルRFID導入動向を取り上げた記事を掲載し(U.S. Apparel Retailers Drive RFID Adoption)、その広がりに改めて感嘆した。記事で紹介されていた動向は以下のようなものだ:

【導入済】

  • Wal-Mart(年商4320億ドル) - ジーンズと定番品の個品管理を全店舗で実施
  • JCPenny(年商180億ドル) - ブラジャー・ジーンズ・靴の個品管理を全店舗(1,100店舗)で実施。4年以内に全品目に展開
  • Banana Republic (親会社Gapの年商150億ドル) - 100 店舗に展開済

【導入中】

  • Macy's (年商260億ドル) - 来年中に全店舗(850店舗)に導入予定
  • American Apparel (年商5.3億ドル) - 100店舗に展開予定

【パイロット実施中】

  • Dillard's (年商60億ドル)
  • Jones Apparel (年商37億ドル)
  • Lord & Tailor (年商16億ドル)

これに対し、ヨーロッパでアパレルRFIDを導入したのは、大手でもCharles Vogele(年商16億ドル)やGerry Weber(年商6.9億ドル)で、アメリカと比べるとWal-Martは別格としてもJCPennyやMacy's、GAPなどとは規模が一桁違う。そして他に導入成功事例として報道されてきた企業はほとんどがブティック的な小規模企業だ。

これら大企業の参加に加えて、というか、複数の大企業が参加しているからこそ、本気の標準化も進みつつある。アメリカの流通標準化団体VICSによるRFID個品管理プロジェクトVILRI(VICS Item-Level RFID Initiative)には上記のほとんどの企業が参加している(参考エントリ: Macy'sがRFID在庫管理を全店舗に導入へ)。これら企業が本気で取り組んだ結果による標準規格は信頼の置けるものになるだろうし、そういうものが出来たのなら導入を考えても良いという企業が出てくるはず。そう、キャズム理論で言うレイト・マジョリティが参入する状況がアパレル分野において整いつつあるのだ。残念ながらヨーロッパのアパレル個品RFIDにはそのような組織が存在しない。

先のMacy'sのエントリでも書いたが、アメリカでのアパレル分野RFID導入の現状、アパレル業界の視点からの分析を読んでみたいものだ。

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2011/10/18

RFID World Watcher Monthly September 2011

今月は特集記事がちょっと短いのに加えて事例がやや少ない。9月に原因不明で一回メルマガの配送が抜けたのが効いている。Macy'sの件は日本でちゃんとしたメディア(できればIT系やアパレル業界系)でフォローしてほしいものだけど。

RFID World Watcher Monthly September 2011 (PDF形式、167KB)

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2011/10/10

Macy'sがRFID在庫管理を全店舗に導入へ

久々に日本でも知名度のある大手企業でのRFID導入のニュースが流れた。アメリカの百貨店チェーンMacy'sが、同社のMacy'sおよびBloomingdale'sブランドの全店舗でRFIDによる個品管理を導入する(RFID Journal: Macy's Inc. to Begin Item-Level Tagging in 850 Stores, RFID24-7: Macy's expands item level tagging; will tag $8B worth of inventory by Q3 2012)。その明細は以下の通り。

  • 導入目的は店頭在庫切れによる販売機会損失の防止。現在現品棚卸は毎年1回しか実施できていないが、RFIDシステム導入により毎月数回実施できるようになり、店頭在庫切れを迅速に発見できるようになる。
  • 対象となる店舗数は全米850箇所のすべての店舗
  • 2012年度第3四半期にシステムが稼動。この時点で対象となる商品はすべての商品ではなく売上の30パーセントを占める定番商品のみ。これら定番商品は色柄やサイズ別に在庫が管理され、自動発注が行われている。
  • 2013年秋にすべての商品を対象にシステムを拡張する計画。
  • 利用する技術はGen2とハンドヘルドリーダ、EPCによるID付与
  • ベンダーによるソースタギングを想定しており、現行のラベルをスマートラベルに置き換えられるようベンダーを支援する予定。

Macy'sは以前からRFIDによる個品管理に取り組んできた。2008年にはBloomingdale'sの複数店舗でバーコード管理の対照群を置いた13週間の大規模なトライアルを実施、バーコード管理と比べて在庫精度が27パーセント向上するという結果を報告している(RFID Journal: Bloomingdale's Tests Item-Level RFID)。また、今年の前半には6ヶ所の物流センターで家具・ベッドを対象とするRFID個品管理システムを導入している(RFID24-7: Macy's extends RFID to six DCs for tagging furniture and bedding supplies)。

Macy'sはアメリカの流通標準化団体VICS(Voluntary Interindustry Commerce Standards Association)によるRFID個品管理プロジェクトの中核メンバーとして活動しており、物流担当上級副社長がプロジェクトの共同議長を務めている(RFID Journal:VICS Item-Level RFID Initiative Enters Phase II)。最近のアパレル個品管理を中心としたRFIDリバイバルとも言うべき動きはユーザによるプレスリリースの無い地味な形で行われてきた。今回の発表はMacy'sが標準化プロジェクトに関わっているために行われたもので近年の事例としては珍しく、アメリカのIT・流通メディアではそれなりに取り上げられている様子だ。

一方、僕の見かけた限りでは現時点ではほとんど報道を見かけない。このニュースをきっかけに日本でも海外のRFID動向に目を向けてほしいと思うのだが…。

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2011/09/29

RFID World Watcher Monthly August 2011

先月早く出したいと言っていたのに結局月末になってしまった。申し訳なし。今月の特集記事は自動認識総合展のレポート。事例集には保険会社の冷蔵品サプライチェーン監視システムやGen2タグを使ったドライブするー支払いシステムなどちょっと面白いものも。

RFID World Watcher Monthly August 2011 (PDF形式、256KB)

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2011/09/04

自動認識総合展2011

8月31日から9月1日まで東京ビッグサイトで自動認識総合展が開催され、初日の8月31日に出かけてきたのでその報告を。

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【セミナー】

初日のセミナーは特別講演として聴講無料(だからこの日に参加した)。かといって埋め草的なものではなく、特に午後のものは外国のUHF帯RFIDの動向をリアルに知ることが出来る良い講演だったと思う。

〔700/900MHz帯の周波数再編について〕

総務省の担当者によるUHF帯RFIDの再編動向に関する講演。このテーマは震災を挟んだこともあり半年ほど動向を知ることが出来なかったので有難かった。講演としては周波数再編の背景の比率が高く、RFID新規格の内容やその導入スケジュールをもっと話してくれたほうが良かったと思ったが、これは人それぞれで感想が違うかな。

パッシブの新チャネルプランは免許局が4チャンネル(916.8、918、919.2、920.4MHz)と、周波数自体は少しずらしたものの欧州の新プランと互換性の高い形に落ち着いた様子(参考エントリ:ヨーロッパにおけるUHF帯RFIDパッシブ周波数変更議論)。ミラーサブキャリア方式をフル活用できるので通信速度が90kbpsから270kbpsへと向上した。この部分別途エントリを立ててフォローしたい。

〔災害非常時におけるRFIDの利活用〕

信州大学の先生による総務省の実証実験の報告。主なテーマは「瓦礫の下に埋もれた人間の位置をRFIDタグを用いてピンポイントで測定できるか」というもので、各種の瓦礫素材を通過してGen2タグがどの程度読めるかという実験の結果が発表のメインだった。大切なテーマだとは思うし、東日本大震災を受けたタイムリーなトピックだが、ちょっと内容が薄めだったかなとは思う、

〔UHF Gen2 RFID: Current use cases and future opportunities〕

ImpinjのCTOによる講演で、マーケット概況、利用アプリケーション、技術的な議論の3点からGen2の現状を説明する内容。この講演だけ聴けば世界でGen2が本格的に普及を始めていることが理解できるのではないだろうか。

マーケット概況としては、UHF Gen2は"Tipping Point"(製品が爆発的な普及に向かう転換点)を超えたと認識を示し、Gen2タグの出荷量が2007年の2億枚から2010年に15億枚に増加。その後2011年には28億枚、2012年に56億枚、2013年に112億枚と毎年倍々ゲームで増えていくことが見込まれているというVDCの調査結果、そのマーケットを牽引するのが個品レベルでのトラッキングであり、RFIDシステムとしての売り上げが2010年から2016年まで毎年30%で市場が拡大、2016年には8.2億ドルに達することが見込まれているというABI Researchの調査結果を紹介した。

利用アプリケーションについては、以下のようなものが紹介された。ほとんどはRFID Journalなどで公開済みの事例で、多くは当サイトのRFID World Watcher Monthlyで紹介している。これだけ数があるので一つ一つ特徴を説明していくと言うよりも幅広いアプリケーションで使われているということを事例全体を通して紹介しようとしたもの。

  • 宝飾店の店頭在庫管理(CLEOR)
  • レンタルパレット管理(日本パレットレンタル)
  • 医薬品向けスマートシェルフ(Terso)
  • 薬剤トレーサビリティ(Hanmi)
  • アパレルインベントリー(Galeria Kaufhof、トライアル?)
  • e-Seal(台湾税関)
  • マラソンタイム測定(ChronoTrack)
  • ビール自動サーバー(DraftServ)
  • 高機能ドリンク自動販売機(Coca Cola Freestyle)
  • 工具管理(CribMaster)
  • クリーニング
  • アイスクリーム店顧客向け在庫表示(Izzy's)
  • 食品トレーサビリティ(Metro)
  • 贈答品詰め合わせ(Gripo Disber)

最後の技術的な議論の紹介では、なんとUHF Gen2 V2.0という新企画の制定が進んでいるというという話が。それも可能性の議論ではなく、今年の10月にワーキングドラフトを公開して年内に最初のIPレビューを終了、2012年の6月には批准というスケジュールで動いているらしい。個人的にはそのような動きがあることを全く知らず、非常に興味深かった。現在のUHF Gen2と互換性を保ちつつ下記の機能が追加されるとのこと。

  • EAS機能 - EASとしてのデータ項目を追加
  • セキュリティ - 真正性の確認、データ読み書きのアクセス制限、データの暗号化をAESを用いて実装
  • ファイル管理 - ユーザデータを分割してファイルとして管理し、アクセス権を個別に付与する。

以前はEPC Gen3として少し噂が出てその後話を聞かなくなった話がこういう形で進んでいたのか。ファイル管理やAES対応の暗号化には相当の処理能力が必要なはずだが技術の進歩で対応できるようになったのだろう。すぐに対応製品が出てくるかどうかは分からないが楽しみだ。

〔欧米/APECでのUHF帯RFID導入最新動向〕

UPM RFIDのアジア担当MDによる講演。Wal-Martの導入プログラム、アパレル個品タグ付け、産業向けタグ、NFCタグの4つの分野のトピックが紹介された。

まずWal-Martの導入プログラムについて。アパレルでの成功を踏まえて他の商品への展開が計画され、ベンダーもそれに合わせて供給能力を拡張していたが、現状は景気の悪化により展開が足踏みしているとのこと。但し、展開計画は放棄・縮小されてしまったわけではなく、今年の第4四半期に電気製品のタグ付けが開始するなど、近いうちに再開されオリジナルの計画に追いつくと判断していると。

アパレル個品タグ付けに関しては、アパレルで使うタグとして紐で結わえるタグとハンガーに取り付けるタグ、そして商品に貼り付けるラベルと3タイプのタグが存在すること、そしてUPM RFIDはその3種類のタグのすべてに対応しているという話があった。

産業向けタグのパートで出てきたのが金属製の商品の個品管理。従来金属製品の管理には専用の金属タグを利用してきたが再利用しなければ中々コストが合わない。そこで、通常のラベルタグでタグ部分を折り曲げて浮かせたFlagタグを適用することで安価に管理が行えるという内容。正しいアプローチであり、またアイデアさえあれば必ずしも特殊・高度な技術は不要なので日本でもこの種のタグは展示会などで多数発表されているのだが、それがまとまって「金属タグでなくてもいいよね」という認識にはなっていないんだよなぁ。事例としては韓国の製鉄会社POSCOのものを紹介。薄板ロールなどすべての製品を対象に年間200万個のタグを貼付しているとのこと。

NFCについては、携帯電話にリーダーが内蔵され一般の消費者と直接繋がれる新しい市場が生まれるというのが主張の中心。2014年までにスマートフォンの20%、3億台がNFC対応になるとの見通しを示した。事例紹介はコンセプト的なものが中心だったが、Angry Birdsという携帯ゲームで関連商品のぬいぐるみにNFCタグを入れる事例が紹介された。

【展示】

今回は展示スペースは一部屋になった。スペースが年々減っていくのは淋しいが、出展している企業はしっかりした展示をしていたので残念と言う感じはしない。全般的にハードをそのまま出展している企業は少なくソリューションと絡めての展示、特にスマートフォンを使った展示が多かった印象。

Touch to Start KIT(クレスコ・アイディー)〕

個人的には今回の出展品の中で一番注目したのがこれ。USB接続NFCリーダーとNFCタグ10枚(EdyやSUICAもタグとして使える)、そしてExcelで開発が可能な可能なミドルウェアManica Excel Toolのセットで4,980円。個別のコンポーネントは従来から存在したものだが、これらを組み合わせてパッケージソリューションにした意義は凄く大きい。RFID業界の外にいる人にはコンポーネントを集めてきて動作検証して…ということ自体が相当の手間がかかるからだ。専用タグやSUICAをかざしてタグに応じたExcelマクロや外部プログラムを起動させるなんてことはノンプログラミングで出来るので、ユーザーの手持ちのSUICAを使ってタイムレコーダーやスタンプカードの置き換えなんていうのはすぐにでも出来るし、タブレットPCに接続すればインテリジェントなデジタルサイネージの出来上がり。個人的に特に使ってほしいと思うのはSNSとRFIDの連携が何か出来ないかと考えているSNS畑の人。SUICAとExcelを使うことで実用環境でのシステムが組めるんだから、アイデアを検証してRFID畑の人にフィードバックしてほしいなぁ。

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なお、パッケージされているミドルウェアManica Excel Toolは他のRFIDリーダーでも利用できる。デモ用のシステムを作ったりするのに非常に便利なので、使ったことが無い方はこちらもぜひ試してみてほしい。

レーザーピッキング(インスピーディア)〕

これはRFIDではなく画像認識システムとレーザーポインタを使った物品管理システム。棚に格納する箱やケースに二次元バーコードを貼付し、天井などに固定したネットワークカメラで棚を読み取ることで箱の位置を認識・記憶、特定の貨物の位置を知りたい場合には同じく天井などにコピーしたレーザーポインタで箱をピンポイント照射する。電子棚札と違って棚に配線を這わせたり棚タグの電池を交換したりといった手間が無いのが素晴らしい。

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また、画像認識システムは二次元バーコードの認識装置に差し替えることが可能で、例えば段積みされたパレットの枚数などを数えさせたりとかいうことも可能。平置きで通常の管理が困難な倉庫などでも大きなメリットが得られるのではないだろうか。

見えるRFIDタグ「スマートタグ」(アイオイ・システム)〕

電子ペーパーを搭載したRFIDタグ。個別の案件ベースで特注され実用化されていたのは知っていたが、一般向けに販売されるのはこれが初めてではないだろうか。電子ペーパー部分は文字だけではなくバーコードも表示させることが出来る解像度の高いもの。無線部分はNFCを使っており通信距離は数センチで、用途としては通い箱用の電子カンバンに特化している。せっかくの電子ペーパー機能なのだから遠距離からの書き換えが出来たほうが面白いと思うのだが、その種の用途は想像するよりマーケットが小さいのだろうか。電池寿命は書き込み1万回で、タグの単価は3,000円。

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