2016/12/31

2016年RFID十大ニュース

今年はRFIDの各分野で新技術に関わるニュースが目立った。ある技術では実現が困難だと思われていた用途で、利用の広まりを受けどうしてもその技術を使いたいというニーズが出てくることでブレイクスルーが起きることには感動するし、それだけ需要の厚みが増してきたということだと思う。

☆UHFパッシブRFIDの技術開発活性化

近年UHFパッシブRFID技術は読み取り精度や価格などの面で改良余地が飽和したように感じていたが、今年になりセンサー機能搭載チップの新製品が登場したり、三点測量などビームフォーミングとは異なる技術を用いたRTLSシステムの開発事例が報告されるようになった。Internet of Thingsを支える要素技術としての切り口から需要が出てきたのだろう。

☆Bluetoothを用いたRTLSの登場

従来Bluetoothは技術的にRTLSに向かないと言われていたが、スマホへの対応やビーコン利用の普及を受けてRTLSとして利用するための製品が登場し始めている。データ処理で精度を向上させるタイプ、UHFパッシブRTLSと同様のビームフォーミングで位置検知を行うタイプ(こちらは仮想的なビーコンを生成することもできる)などのタイプがあり、既存のRTLSを置き換えるケースが出てきている。

☆アクティブタグのバッテリーレス化

従来は電池を利用した駆動が当然だったWiFiやBluetoothタグで、電池を搭載せずに動作するものが登場しはじめている。太陽光や振動などの環境電池と二次電池を組み合わせたタイプは以前から存在するが、驚いたのは劇的に消費電力を削減させることで受信電波による駆動を可能にした、ほぼパッシブタグと同等といえる技術の登場。実用化にはもう少しかかるようだが。LANとパッシブタグが統合されることでどんなことが可能になるか、とても興味深い。

☆Macy'sのオムニチャネル対応

今年の(在来型の)RFID導入をリードした企業はMacy'sだろう。年初に発表されたオムニチャネル戦略とRFIDとの組み合わせは、定番品を中心とした店頭在庫切れ防止という従来の小売業RFID導入の主要目的からの転換を示すものだった。もちろん店頭在庫切れ防止が主要な導入目標であり続ける業種もあるが、導入目的の広がりを示すものではあったろう。

☆Amazon GoがRFID利用を表に出さず

一方で今年の年末に発表されたAmazonの無人店舗Amazon Goは、コンセプト動画などのプレスリリースで画像認識とディープラーニングを前面に出し、RFIDの利用にはまったく触れないものになった。小売店頭での自動認識技術の利用は、一つの技術があればすべての用途に対応できるという段階を超え、用途ごとに使い分けが始まるのだろう。これはRFIDの普及にとっても望ましいことで、ジェフリー・ムーアのキャズム理論にある通り、ある新技術はそれと同等の能力を持つ対抗技術ができるまでは本格的な普及が始まらないものなのだ。

☆デルタ航空が航空手荷物管理にRFIDを導入

今年のRFID導入のもう一つのビッグニュースはデルタ航空の航空手荷物管理へのRFID導入だろう。同社にとっては再チャレンジとなるが、そもそもIATAが2018年を期限に航空手荷物トラッキングシステムの導入を義務付けており、それへの対応という側面もある。デルタ航空の動きがきっかけで他の航空会社や空港にもRFID手荷物管理の導入が広がるか、2017年に注目したい。

☆NFC ForumでFelicaが必須仕様に

これは非常にめでたい話。日本のFelica関係者の地道な努力が実を結んだ結果と思う(器材の能力向上により従来は過剰スペックと思われていた仕様を標準製品で満たせるようになったという点も大きいが)。海外の非接触決済サービスが日本に入ってくるだけではなく、インバウンドなどで日本のインフラを海外ユーザーが使えるようになるよう、2017年はこの仕様に対応したグローバルモデルのスマホ、タブレットが多数登場してほしい。

☆ApplePayがSUICAをサポート

これも日本にとってビッグニュース。iPhoneの普及によって重要度が下がっていたおサイフケータイサービスの復権、再発展につながることは間違いない。一方でAppleがこのような譲歩を行ったことが同社にとって何を意味していたのかについては注意していく必要があるかもしれない。

☆Impinj社のIPO成功

Impinj社が6千万ドルのIPOに成功したことは、RFID業界の成熟を示す大きなメッセージだったと思う。CCL社によるCheckpoint Systems社の買収など買収による投資は今年も続いているが、IPOの成功はそれとは別の、RFIDをビジネスにする企業が自律的に利益を出していけるということへの投資家の信頼を示すものだと思う。

☆RFIDキャズムは越えたがトルネードには届かず

RFIDマーケット全体で見ると、導入事例や規模は着実に拡大し、アパレル分野などでは導入がメインストリーム市場に広がってきたため、キャズムを超えたとは言えるだろう。ただ、市場が一気に拡大し、ベンダーがそれに対応する製品の投入を迫られるトルネードはまだ始まっていない。マーケットに存在するホールプロダクトの数もまだ少ないし、ましてそのうちの一つがデファクトスタンダードになる様子も見えない。RFIDマーケットにはいつかトルネードが来るのか、あるいは現状のような普及パターンがこのままじわじわ続くのか。2017年にはそのあたりが見えてくるだろうか。

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2016/12/29

RFID World Watcher Monthly November 2016

今月の特集記事はMacy'sとAmazon Goの2本。小売店舗でのRFIDの利用が、技術よりもビジネスの理由で変わり始めていることが興味深い。ニュースは先月と同様に製品紹介がやや少な目で事例中心。

RFID World Watcher Monthly November 2016 (PDF形式、433KB)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016/12/27

RFID Journal 抄訳 2016/12/27号

今週興味深かった記事は有償記事ですがJames Stafford氏へのインタビュー。Marks & Spencer社のRFID導入を率いた人だけあり、派手ではありませんが小売業でのRFID導入プロジェクトにたいする深い洞察が感じられます。

識者投稿はエナジーハーベスティング技術と大容量コンデンサーの組み合わせでIoTデバイスの風景が変わる、という話。個別の事例としては馴染みのある話なのであまり意識してはいませんでしたが、俯瞰するとどういった風景が見えてくるのか、しっかりしたレポートを読んでみたいですね。

なお、元記事はこちらになります。

Hospitality Door System Pairs BLE With RFID for Mobile Room Access

dormakaba社はBluetoothに対応したホテル向けのドアの鍵を提供しています。ホテルでは従来利用されてきた磁気マグネット式の鍵をNFCカードに切り替える動きが進んでいますが、同社はこれに加えて鍵の状況をZigbeeで集中管理するソリューションを提供、さらに今回BLEを利用して専用アプリをダウンロードしたスマホを鍵として利用できるようにしました。スマホのBLE機能を鍵として利用するソリューションはMarriottや Hiltonなどのチェーンで採用が始まっています。

Blockchain Secures Document Authenticity With Smartrac's dLoc Solution

Smartrac社はNFCタグとブロックチェーン技術を用いた書類の偽造防止ソリューションdLocを開発しました。このソリューションはNFCタグのIDをキーとしてクラウドにブロックチェーンを格納し、秘密鍵データを搭載したNFCリーダーにのみクラウドのブロックチェーンへのアクセスを許可するというものです。

NFC Tags Take to the Slopes on Ski Jackets

アパレル企業のSpyder Active Sports社はU.S. Ski Teamオフィシャル製品にNFCタグを貼付しています。タグはロゴの部分に埋め込まれ、スマホやタブレットで読み込むことで、U.S. Ski TeamのWebサイトや各種SNSにアクセスすることができます。採用されたのはSmartrac社のDuraタグです。

Kiremko Adds RFID to Potato-Cutting Machinery

オランダの食品加工機器メーカーKiremko社は、ジャガイモ切断機のカッター部品の管理をRFIDで行います。同機材は複数のカッター部品を交換することでジャガイモを異なる形に切ることができますが、カッター部分にHFタグを、本体側にリーダーを設置することで、現在どのカッターが装着されているかを判別できるようになりました。

RFID News Roundup

  • AutomationDirect社はRFIDで設定可能な非接触スイッチを発表
  • Idesco社が自社のIDカードプリンタにRFID書き込み機能を追加
  • D-Tech International社が学校図書館向けのRFID対応セキュリティシステムを発表
  • STAR Systems International社が自動車用吊り下げタグの新製品を発表
  • Elatec社がTWN4 MultiTechリーダーを発表

Smart Cities Challenge

IEEEとRAIN RFID Alliance、RFID Journalの3者は共同で、都市インフラの問題をUHFパッシブRFIDで解決するアイデアを募集する、Smart Cities Mega-Challengeを実施することになりました。これは来年のIEEE RFID 2017イベントのプログラムの一部で、学生を対象としています。

Why Batteries Are Ripe for Disruption

エナジーハーベスティングと大容量コンデンサーの技術進歩により、従来は一次電池を利用していたIoTデバイスを電池不要で駆動させられるようになりつつあります。これにより、電池がボトルネックになっていた各種のIoTデバイスの普及が加速することが期待されます。

Communication Is the Key to Success(有償記事)

Marks & Spencer社のRFID導入を率い、現在はAvery Dennison社の小売り向けシステム部門に転じたJames Stafford氏へのインタビューです。同氏によると、RFIDソリューションの導入には十分なコミュニケーションが必須であり、社内ではクロスファンクションのチームで導入に当たり、社外ではサプライヤーなどの関係先に不意打ちが起こらないようにすることが重要です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016/12/25

Amazon GOとレジ無し決済のコンセプト(とRFID)

Amazonが発表したレジ無し決済のコンビニ、Amazon Goが波紋を広げている。内容については既に報道されているとおりで、画像認識や各種センサー、そしてディープラーニングなどの技術を用いてレジ精算が不要なコンビニエンスストアだ。現在はAmazon本社内で社員のみを対象にテスト営業をしていて、2017年前半には一般に開放されることになっている。Amazonが提案するイメージは同社の動画を見てもらうのが手っ取り早い。

RFID業界の人間が見て気になるのは、RFID技術を用いて進められてきたこの種のレジ無し決済の店舗の評価、あるいはトライアルや実用化との関係だ。この記事では、このようなレジ無し決済の店舗の実現が進んでいない理由は何か、そこに進出しようとするAmazonの意図は何か、について語ってみたい。

まず、このようなレジ無し決済ができる店舗のコンセプトは「新しい」のだろうか。昔からRFIDに馴染みがある人間なら「コンセプトは新しくない」ことは知っているはずだ。これについては、IBMがRFID事業に関連して10年前に作成した動画(その筋の人には懐かしい)を見ていただこう。

いや、レジ無し決済店舗はコンセプトこそ古くから存在するが技術的(もしくはコスト的)に実現が困難だった、Amazon Goはそこに対するブレイクスルーだ、という意見もありうるだろう。だが、これも事実に反する。例えばアパレル分野では、商品個品へのUHFタグ付けを行い、出入口にゲート式のRFIDリーダーを(現在は盗難検知用に)設置している店舗が既に多数存在する。このような店舗ではアプリケーションさえ対応させれば容易にAmazon Goスタイルのレジ無し決済の実施が可能だ。

このような店舗でレジ無し決済が導入されていない理由は、単純に十分な投資対効果が得られなかったからだ。最初に目が向きがちな人員削減効果については、店舗の清掃、商品補充、トラブル対応などがあり、レジが無くなっても店員が不要になることはありえない。そうであれば、意味のある規模の導入メリットは、売上の向上、つまり、顧客がレジを通らずに商品を持ち出せるという気楽さを顧客に訴求し、それによる来客数の増加、客単価の上昇しかない。

現時点ではRFID業界は、というか小売業全般は、レジ無し決済による顧客体験の変化を売上の向上に結び付けられていない。レジを無くす方向性は違うが、アパレル分野で顧客にレジ無し決済を提供しようというコンセプトが破綻したJ.C.Pennyが代表的な失敗例だろう(RFID a GoGo!:J.C.Pennyの全店舗・全商品RFIDタグ付け)。同社が参考にしたAppleストアのセルフチェックアウトというコンセプトもあまり広まっていない(こちらは自分でバーコードを読み取るという手間が発生するが)。現在利用されているのは、レジ無し決済店舗というよりは高機能汎用自動販売機といった趣の無人サンドイッチスタンドが挙げられるだろう(RFID Journal:PantryLabs' Vending Machine Dispenses Fresh Foods Via RFID)。あるいはB2B向けの消耗品を販売する無人店舗など、限定的な事例に留まる。

Amazon Goは今までの小売店が失敗してきたレジ無し決済による売上向上を可能にするのか。あるいは可能かもしれない。同社はネット購買という全く新しい購買体験を作り出した実績がある。将来は、商品を自由にピックアップしてそのまま店の外に持ち出せば勝手に決済されるという仕組みを当たり前にできるのかもしれない。いったんそうなってしまえばレジに並ぶことが億劫で考えられなくなるような世の中になるだろう。

だが、Amazonが今この時点でAmazon Goを開始しようとする理由は、そのような長期的なビジョンだけなのだろうか。

興味深い指摘がある。Amazonが自動店舗の運営方式として申請した特許には、RFIDを用いた識別が含まれている(GeekWire: How 'Amazon Go' works: The technology behind the online retailer's groundbreaking new grocery store)。考えてみれば当たり前の話で、世の中には衣類のサイズ違い品など画像認識だけでは識別不可能な商品が多数存在する。

そういった点を表に出さず、画像認識とディープラーニングを前に押し出したコンセプトビデオを作製したのはなぜか。これは、顧客の行動の画像を大量に取得することに対する隠れ蓑ではないだろうか。同社の本当の目的は、人間が物を購入するときの身体の物理的な動き、表情や視線などを多量に収集し、オンラインも含むマーケティングに役立てることではないかと思う。そうであれば、すぐには事業として成立しなくとも、同社は粘り強く取り組みを続けるだろう。

最後に、Amazon GoはRFID業界の脅威になるのだろうか。これについてはRFID Journal誌のMark Roberti氏が的確なコメントを書いている(RFID Journal:Amazon Aims to Revolutionize Brick-and-Mortar Shopping)。RFIDには棚卸しの正確化・高速化や衣類のサイズ違い品の識別など画像認識では実現困難な機能を提供できる。レジ無し店舗の一部の機能が画像認識などでカバーされるとしても、そのコンセプトが普及することはRFIDにとってビジネスチャンスになると。正論だと思う。Amazon Goがどの方向に進んでいくのか、RFIDがどうやって食い込んでいくかという視点からもしっかり見極める必要があるだろう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016/12/21

RFID Journal 抄訳 2016/12/21号

今週印象に残った記事はMark Roberti氏の編集後記。Amazon Goのコンセプトの普及は、画像認識ではカバーできない部分に対してRFIDのビジネスチャンスとなると。その通りと思います。

事例紹介についてはBluetoothタグを用いたRTLSの記事が気になりました。先日の記事でも触れましたが、必要は発明の母、Bluetoothの普及につれて技術的な障害が乗り越えられ、用途が広がりつつあるんですよね。

なお、元記事はこちらになります。

Stanley Healthcare Brings Managed Services to RTLS Customers

Stanley Healthcare社はヘルスケア業界向けに提供しているRTLSソリューションにつき、タグのメンテナンスサービスを開始します。同社が提供するのは、年に一回タグのキャリブレーションを行うサービス、電池の交換などを行うサービスの2種類です。

Tamper-Detection Capsule Brings Security and Marketing to Wine Makers

Amcor Capsules社はNFCを用いたワイン向けのセキュリティ製品InTactを提供します。これはワインのコルクの上にNFCタグを貼付するもので、NFCタグには2つのアンテナがあり一つはボトルのIDを返すために、もう一つはワインが開封されたか(ワインが開封されると片方のアンテナは壊れる)を示します。これはセキュリティ目的に利用されるだけではなく、ワインがどう流通しどこで開封されたかを知るためにも利用されます。

Beacons Drive Sales for Don Chalmers Ford

自動車ディーラーDon Chalmers Ford社は販売車両の駐車場内での所在管理にBluetooth Low Energyビーコンを利用します。このソリューションはMobile Dealer Data社が開発し、測位には三点測量を利用しています。

Fans Go Ape for NFC RFID at Monkey Week

スペインのイベントチケット会社Ticketea社はNFCリストバンドを用いたイベント向けソリューションを開発しました。このソリューションは来訪客のアクセス管理とイベント内での支払い管理を可能にするもので、10月13日~15日にエル・プエルト・デ・サンタ・マリア市で開催された音楽フェスティバルMonkey Weekでも利用されました。

NFC Gets in the Ring at UFC Fan Village

オタワで行われた格闘技イベントUltimate Fighting ChampionshipではNFCを用いた来訪客へのエクスペリエンス提供が行われました。来訪客はNFCリストバンドを使い、ゲームへの参加や写真の撮影、SNSへの投稿を行うことができました。ソリューションを提供したのはXOLUTION社です。

RFID News Roundup

  • Kathrein RFID社が長距離読み取りリーダーの新製品を発表
  • HID Global社が来訪者管理ソリューションを発表
  • Ubisense社がAngleID製品の北米代理店としてTransTech Systemsと契約
  • A.C.C. Systems社が複数のプロトコルに対応したUHFデスクトップリーダーを発表
  • オーバーン大学のRFIDラボがTegos社の製品を認証

Amazon Aims to Revolutionize Brick-and-Mortar Shopping

Amazon Goがどのような技術を利用しているのか、RFIDが含まれているのかどうかは現在は分かりません。ですが、アパレルなど画像認識でSKUを区別できない(サイズ差など)商品を扱う業種では、RFIDの利用は必須になるはずです。Amazon Goがもたらす顧客体験の変化は、RFIDにとっても大きなチャンスになります。

Asset Valuation With RFID

多くの企業は棚卸しをアウトソーシングし、バーコードを用いて年に一回行わせることが費用対効果が高いと考えています。ですが、RFIDを用いて棚卸しを行うことで、常に正確な在庫を把握できるようになり、結果をごまかせないため監査人の立ち合いも不要になることで、大きなメリットを得ることができます。

RFID Journal LIVE! Europe 2016 Report(有償記事)

11月10日にロンドンで行われたRFID Journal LIVE! Europe 2016は200名ほどの参加者を集めました。そこで行われたプレゼンテーションをご紹介します。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016/12/16

RFID Journal 抄訳 2016/12/16号

今週気になった記事はTapestry Solutions社の統合IoT管理ソリューションEnterprise Sensor Integrationです。ボーイング社の組み立て工場で用いられていたソリューションがベースとのことで、どういう機能を持っているかが気になります。

識者投稿はシュリンケージの話。RFID導入議論の当初にはシュリンケージを防止できるという話が有識者によるものも含めずいぶんあったのですが、最近はあまり見かけませんでした。この記事によると内訳の実際(外部盗難、内部盗難、正当な廃棄・処分に付随する処理のミス)がきちんと理解されないまま議論されていたとのことで、なるほどと腑に落ちました。

なお、元記事はこちらになります。

Stainless Steel NFC Tag Tracks Safety Device Maintenance

エンジニアリング企業のProcess Systems Engineering社はNFCタグを用いた危険環境での機材管理ソリューションを拡販中です。同社は機材に取り付けたNFCタグで機材のメンテナンス契約の内容や管理作業の履歴を確認することができます。

Tapestry Solutions Commercializes Enterprise-wide IoT System

Tapestry Solutions社はボーイング社の組み立て工場で用いられていたIoTソリューションEnterprise Sensor Integrationの一般向け販売を開始しました。ボーイング社の現場で利用されていたのは、UHFパッシブ、HF、アクティブ、WiFiと各種センサーを統合した大規模なソリューションで、Enterprise Sensor Integrationはそれぞれの現場に応じて必要な技術だけを取り出して利用できます。

PillDrill Uses RFID to Bring Peace of Mind

PillDrill社は医薬品の服用を確認するための製品を開発しました。この製品は大型の表示部とRFIDリーダーを搭載しており、薬品の服用後に薬品が入っていた薬瓶をリーダーにかざすことで服用を記録します。この製品はWi-Fiで通信が可能であり、服用記録をスマートフォンで見ることができます。製品と一週間分の薬瓶のセット価格は199ドルです。

Idaho Researchers See Growing Opportunity for RFID-enabled Robot

ノースウェストナザレン大学の研究者は農場作業を支援するためのRFID対応ロボットを開発しました。このロボットはSuperdroid社のキャタピラー型ロボットキットをベースに開発されたもので、噴霧器を搭載しておりワインのそれぞれの木に貼付されたRFIDタグを読み取って必要な肥料や農薬などを散布します。

RFID News Roundup

  • RFID鍵カードの合鍵製品Keysyが出資を受付中
  • Turck社がスマートフォン向けUHF RFIDリーダーを発表
  • Voyantic社とBrotech社がRFID性能テスト用機材を発表
  • iDTRONIC社が業務用RFIDリーダーCylindricalを発表
  • Smartrac社がSafeguard社とUSFI社を特許侵害で提訴

Smart Guns Should Be an Option

アメリカ法務省は発砲時に正当な持ち主であることを確認するスマートガンについてのガイドラインを発表しました。このガイドラインにはRFIDという用語は直接は出てきませんが、動作原理はRFIDのものと同じです。敵対者からのハッキングなどの課題はありますが、スマートガンは銃器による犯罪を減らすことに役立ちます。

Introducing Total Retail Loss: Can It Offer a More Meaningful ROI for RFID?

近年の研究により「シュリンケージ(流通段階での商品減少)」については企業や調査機関ごとに定義が異なっており、かつその内訳(外部盗難、内部盗難、正当な廃棄・処分に付随する処理のミス)などについての明細の情報が得られていないことが判明しました。このため、RFIDの導入効果の算定に「シュリンケージ」の値を利用することは非常に問題であることが分かります。

Fort Lauderdale Tracks Building Permits(有償記事)

アメリカのフォートローダーデール市は建物の建築認可に係る書類の管理にRFIDを利用しています。利用しているのはUHFパッシブタグを用いたソリューションです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016/12/08

RFID Journal 抄訳 2016/12/08号

編集後記にMark Roberti氏によるEmerald Expositions社への会社売却についての記事が出ていました。創業時から支えてくれた投資家に報いるためだった、あと数年経ってRFIDがブレイクしてから売却すればもっと好条件だったろう、といった正直な感情が出ていたことにとても共感しました。本誌のGeekっぽいところがとても好きなのですが、洗練されていくことでRFID業界により貢献できるようになるというのも事実でしょう。今後のさらなる発展を祈ります。

記事の中ではUwinloc社のUHFパッシブRTLSの記事が興味深かったです。従来この分野はフェーズドアレイアンテナによるビーミングで位置測定を行っていましたが、この製品はビーコンを使った三角測量。EPCではない独自仕様のタグを使うというのも興味深いです。記事よりもう少し詳しい背景や、従来のフェーズドアレイアンテナを使った製品との具体的な比較についても知りたいですね。

なお、元記事はこちらになります。

SML Group Plans Additional Solution Innovation Center and Pop-Ups to Fuel Growth

SML社は2017年に6箇所目のRFID Solution Innovation Centerを開設します。これは小売、アパレル向けのRFIDソリューションの実演を行うためのもので、同社は中国、ドイツ、テキサスなど世界各地にRFID Solution Innovation Centerを開設してきました。同社はイベントなどに出店する仮設施設も用意しています。

Airbus Testing Low-Cost RTLS from Uwinloc

Airbus社はUHFパッシブタグを使ったRTLSの評価を実施中です。このRTLSはフランスのベンチャー企業Uwinloc社の製品で、EPCではない独自仕様のUHFパッシブタグがビーコンから給電を受けて電波を発信し、その電波を元に三角測量を行って位置を測定します。測位制度は30センチです。

Valmet Mining Introduces RFID-Enabled Filter Cloths

フィンランドの産業用フィルターのメーカーValmet Technologies社は自社フィルターにRFIDタグを貼付し、顧客側での入れ替え時期の判定に利用します。利用している技術はUHFパッシブです。

HitchHike Tag Bums a Ride from Wi-Fi Access Points

スタンフォード大学の研究チームが外部電源無しで動く超小型のWi-FiタグをHitchHikeを開発しました。HitchHikeは受信電波で駆動し、切手程度の大きさで量産時にはUHFパッシブタグ程度の価格になる見込みです。受信した電波のWi-Fiチャンネルと異なるチャンネルで返信することでコリジョンを予防する仕組みを持っており、現在は複数のタグが同時に返信するときに信号が衝突することを避けるための機構を開発中です。HitchHikeのパイロットは来年中に実施される見込みで、ヘルスケア産業での採用を目指しています。

RFID Journal LIVE! 2017 to Host IEEE RFID 2017

2017年5月9日~11日にアリゾナ州フェニックスで開催されるRFID Journal LIVE! 2017ではIEEE RFID 2017が共催されます。

RFID News Roundup

  • Smartrac社がHF/UHF両対応の交通機関向けインレーを発表
  • Suprema社がRFID対応のアクセス管理機器を発表
  • アメリカのRTLS市場は2020年までに45%拡大。Technavio社がレポートを発表
  • NFC市場は2024年に470億ドルに拡大
  • OTI, Vend Access, Card Access Servicesの3社がオーストラリアでキャッシュレス決済のソリューションを提供

A New Day for RFID Journal

RFID Journal社はイベント運営大手Emerald Expositions社の傘下に入ることでRFID業界によりよく貢献できるようになります。Emerald Expositions社の知見を利用することができ、他のイベントとのシナジーが見込め、調達規模が大きくなることでコストが低下するからです。

How to Conquer Fear of "Things" in "Internet of Things"

IoTには多くの誤解があります「IoTの世界ではデータは保護されない」「IoTは将来生じるものである」「IoTはコンシューマー機材を対象にしている」といった誤解を解くことで、企業はIoTに向き合うことができるようになります。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016/12/04

小売業でのRFIDソリューション導入目的の変化

今年のRFID業界をリードした企業を一つ上げるとするとMacy'sだろう。1月に1月にRFIDを利用したオムニチャネル戦略プログラム「Pick to the Last Unit」(P2LU)を公表し(参考:Macy'sのRFIDオムニチャネル戦略の背景)、その後も業界のカンファレンスなどで活発な発信を続けている(まぁRFID Journal誌が注目して取り上げている、ということかもしれないが)。少し前の話になるが、彼らが発信した情報でちょっと気になることがあり、備忘として記載しておこうと思う。

10月に開催された今年のRFID in Retail and Apparelの席上で、Macy'sの物流・オペレーション担当のSVPであるBill Connell氏が同社のRFID導入の進捗状況について述べた(RFID Journal:Macy's to RFID-Tag 100 Percent of Items)。全店舗・全商品へのRFIDタグの貼付を2017年末までに実施し、2016年末の時点での進捗率が60パーセントになるという話だったのだが、その背景として、同社が最初にRFIDを導入した目的は定番商品の自動補充だったが、その後オムニチャネルコマースへの動きが強まったため、店頭在庫の正確な管理によるマークダウンの防止が重要になり、自動補充を行わないファッション商品にもRFIDの貼付を拡大するという選択がなされたという背景が説明された(RFID Journal:A Conversation With Macy's Bill Connell)。

当然ではあるのだが、同じRFIDを利用した小売ソリューションであっても、導入目的が違えばオペレーションの内容が変わってくるのだ。

オペレーションが変わる例としては、上記のタグ付け対象の違いの他に、棚卸時の読み取り漏れの扱いなどもあるだろう。定番商品の自動補充が目的なら。、まずは商品を補充することが第一で理由の調査や読みとれなかった商品を探すことは二の次だ、という判断もありうるだろう。次回の棚卸し時に読みとれるかもしれないし、その商品はいつかは売れる(定番商品なので)。

だが、マークダウン前の売り切りを考えるなら、一時的にでも商品の所在が不明になることは大きな損失になる。所在が不明な間に貴重な販売チャンスを逃すわけだから。

小売業でのRFIDの導入メリットとしてはさまざまなものが挙げられてきたが、定番商品の自動補充による店頭欠品(販売ロス)の防止はその中でもLow Hanging Fruitsとして広く語られてきたものだ。そして、オムニチャネルコマースへの対応もやはり導入メリットの主流として広く認知されている。どちらのメリットを主な導入目的とするかで、オペレーションを含むソリューションの全体像は大きく変わる。実際、RFIDの利用目的の変化を理由とした既存のRFIDシステムの入れ替えも報告されるようになってきている。

RFID技術(特にUHFパッシブ)の成熟が進む一方で、上記のような導入目的ごとのソリューションの分化が進むと、RFIDソリューション導入にあたって一番重要な知識はRFIDの技術的な知識ではない、という時代になるのだろう。そういう時代に、より技術的に困難な分野に進むことでRFID技術の専門性を生かすのか、あるいはコモディティ化を受け入れて業務ノウハウの強みを磨くのか。まずはアメリカでどのような動きになるのか、今後の動向を見守っていきたい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016/11/26

RFID World Watcher Monthly October 2016

今月の特集記事はBluetoothを利用したRTLSシステム。ニーズさえあれば技術的な突破口は必ず出てくるとはよく言われることだが、こういうソリューションを見ると本当にその通りだと実感する。ニュースは先月と同様に製品・事例紹介ともに幅広い技術や業種が取り上げられている。

RFID World Watcher Monthly October 2016 (PDF形式、329KB)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016/11/24

RFID Journal 抄訳 2016/11/24号

今週驚いた記事は何といってもRFID Journal誌がビジネス展示会運営会社Emerald Expositions社に買収されるというものです。主要スタッフは継続するようなので運営スタイルは当面変わらないのでしょう。同誌にとっても、そしてMark Roberti氏にとっても良い方向への動きでありますように。

今週はUHFパッシブRTLS製品の記事が2件掲載されました。最近このジャンルの製品がじわじわ増えている気がします。背景となる技術的なブレイクスルーがあったりしたのでしょうか。今後の普及にはむしろ新しいユースケースを作り出すことが必要かもしれません。

なお、元記事はこちらになります。

Tire Industry Works Toward Global RFID-Tagging Standards

タイヤ業界がISOでのRFIDタグ関連の標準整備を進めています。ISO 20909から20912までの4つの標準で、UHFパッシブタグの取り付け方法やデータ構造、機能・性能要求などを定めるものです。こらら標準は2015年10月に新業務項目(NP)として提案されました。標準作業はミシュラン社と中国Mesnac社が中心に行っています。

Amcor Uses NFC RFID for S.M.R.T Pill Dispenser

包装メーカーのAmcor社は薬瓶に出し入れする錠剤の数をNFCで確認するソリューションS.M.R.T Bottleを開発しました。これは薬瓶の口に錠剤のカウンターとNFCタグとを取り付け、医師がスマホで出し入れの結果を確認できるようにするものです。

RFID to Help Consumers Know if Olive Oil Is Really Extra-Virgin

イタリアのトスカナ地方の複数のオリーブオイル生産者はThinfilm社のNFCラベルを採用します。NFC対応のスマホで読み取ることにより、偽造品でないことの確認と、そのオリーブオイルの情報とを得ることができます。このラベルを付けたオリーブオイルは来月から店頭に並びます。

PervasID Releases RFID Readers for RTLS, Portal Applications

ケンブリッジ大学が設立したイギリスのベンチャー企業PervasID社はRTLS機能を持つUHF RFIDリーダーSpace Ranger 9100を開発しました。この製品は1台で商品棚のような高密度エリアでは40平方メートル、低密度エリアでは400平方メートルをカバーできます。

RFID Journal Announces Acquisition by Emerald Expositions

RFID Journal社は大手のビジネス展示会運営会社Emerald Expositions社に買収されました。RFID Journal誌とWebサイト、そして各種のRFID Journal LIVE!イベントはEmerald Expositions社が運営するようになります。編集長のMark Roberti氏と主要編集メンバーはEmerald Expositions社で業務を継続します。

Registration Now Open for RFID Journal LIVE! 2017

2017年5月9日~11日にアリゾナ州フェニックスで開催されるRFID Journal LIVE! 2017の登録が開始されました。今回のコーナースポンサーはZebra Technologies社で、8つの分野別トラックを実施、事前・事後セミナー12件などの規模で開催されます。

RFID in Aerospace and Defense 2016 Report(有償記事)

RFID in Aerospace and Defense 2016が10月20日にカリフォルニア州ロングビーチで開催されました。当日の発表スライドとビデオを公開します。

On the Road to Secure, Standardized Tolling

有料道路の料金徴収システムには従来独自ソリューションが多く使われてきましたが、最近はUHFパッシブタグの費用が国際的にもアメリカの中でも広がりつつあります。従来はセキュリティ機能の不足が問題となっていましたが、Gen2v2仕様の制定によりこの課題も解決されました。

Precisely Monitoring Livestock-and More

Clairvoyant Technology社はアメリカ農務省の支援プログラムを利用して高精度のUHFパッシブRTLSの研究を進めています。このRTLSは市販のUHF RFIDリーダーを利用してタグの位置を5cmの精度で測定できるもので、受信した信号の周波数、位相シフト、信号強度を元に位置を計算します。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

«RFID Journal 抄訳 2016/11/18号