2016/08/31

RFID Journal 抄訳 2016/08/31号

今週興味深かった記事は輸送機材レンタル会社の器材管理の事例です。完全に成熟してしまい、あまりニュースバリューも無い分野と考えていて、実際にしばらく記事を見かけなかったのですが、久しぶりに見かけて嬉しかったですね。

寄稿記事のNB-IoTは今までチェックしていませんでした。IoT用途に特化した携帯通信仕様なのですね。既存のテレメトリングをどう超えていくのか、注意して見ていきたいと思います。

なお、元記事はこちらになります。

RFID Helps Greek Rail Service Save Money

ギリシャの鉄道会社TrainOSE社は貨車の管理にRFIDを利用しています。同国には鉄道が接続する近隣国から貨車が入ってくるのですが、これら貨車は一定の日数以内に国外に送り返さないと延滞料金が発生します。同社は車両にRFIDタグを取り付け、リーダーを要所の線路沿いに取り付けることで貨車の所在を管理します。利用されているのはUHFパッシブタグです。

VarodaRent Uses RFID to Manage Rented Moving Equipment

オランダの輸送機材レンタル会社VarodaRent社はRFIDを用いて機材の管理を行っています。同社は100種類・50万個の機材を保有しており、それらをUHFパッシブタグで管理しています。同社はRFIDの利用により貸出・返却にかかる人件費を半減させました。

IoT Platform Creates Single Interface for South African Meat Company

南アフリカの精肉会社Cavalier Group社は冷蔵庫の温度センサーや監視カメラ、入退室のバイオメトリックチェックなどのさまざまなセンサー類を利用して来ましたが、管理が複雑になっていたことに悩んでいました。同社は自国のベンチャー企業IoT.nxt社のソリューションを導入し、これらのセンサー機材を統一したプラットフォームで扱えるようにしました。

San Diego Airport Uses RFID, Sensors to Manage Taxis

サンディエゴ国際空港ではRFID技術を利用してタクシー利用者の混雑の計測を行っています。同空港が導入したのはBlip Systems社のBlipTrackというソリューションで、利用者のスマホが出すWiFiやBluetoothのMACアドレスを利用します。タクシー待ちエリアにBlipTrackのリーダーを配置し、MACアドレスごとに最初と最後の読み取り時間を計測することで、乗客の待ち時間がどれくらいかを知ることが出来ます。

RFID News Roundup

  • 富士通がGlobalRangerブランドの製造業向けIoTソリューションをBaker Hill Industries社に提供
  • ABI Research社がBLEビーコンの産業別の成長可能性に関するレポートを発表
  • HID Global社が汎用のRAIN UHF RFIDタグを発表
  • SML社はRFIDアプリのプラットフォームにiOS、Android、Windows 10 mobileを追加
  • NFC支払対応のNFC RingがInfineon社のチップを搭載

Spain's Hospital de la Vega Gets Connected(有償記事)

スペインの病院Hospital de la VegaはBluetoothを利用して院内での患者や機材の所在を管理しています。同病院が導入したのは MySphera社のIoTプラットフォームです。

My Wall Street Journal Op-Ed on RFID

私(Mark Roberti編集長)がWall Street Journal誌に投稿した ”How Tiny Wireless Tech Makes Workers More Productive”というOp-Ed(専門家による署名記事)が掲載されました。過去数年間Wall Street JournalやThe New York Timesに5~6本の署名記事を投稿してきたのですが、掲載されたのは今回が初めてです。このことはメインストリームの新聞の編集者の間でもRFIDに対する肯定的な認識が広がりつつあることを示します。

NB-IoT Standards Are Final: Now What?

2016年6月に携帯電話の標準化機関3GPPはNB-IoT(Narrowband Internet of Things)の仕様を確定しました。これにより、携帯電話網をIoTに利用する様々なアプリケーションの普及の促進が期待できます。

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2016/08/28

RFID World Watcher Monthly July 2016

今月は特集記事に手が回らず(面白そうなネタが無かったこともあります)、事例紹介記事のみの掲載となりました。ニュース記事は事例・製品紹介ともに特定分野には偏っておらず、どの分野に軸足を置いていこうか模索しているような印象を受けます。

RFID World Watcher Monthly July 2016 (PDF形式、290KB)

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2016/08/25

RFID Journal 抄訳 2016/08/25号

今回興味深かったのはオムニチャネルコマースを扱った社説です。Macy'sが実店舗100店を閉鎖し、Wal-Martが通販大手のJet.comを買収するという動きは、消費者がまだオムニチャネルコマースのネットで買って店舗で受け取りというビジネスモデルを信頼していないからだとのこと。確かにそういう側面もあるかと思います

インドのLCCでビーコンを使ったチェックインという話も興味深かったです。スマホは今後も今まで専用端末が扱っていた分野にどんどんリーチを広げていくのでしょうね。

なお、元記事はこちらになります。

RFID Makes Managing Hospital Porters More Efficient

インド第3位の医療グループManipal Hospitalsは、傘下の病院へのRFIDシステム導入を、器材管理ではなくポーター(院内作業員)の所在管理から始めることにしました。ポーターは病院の中で車椅子を押したり書類や薬品を運んだりする仕事を担当しており、従来は呼び出しに30~40分かかっていましたが、RFIDシステムの導入により5~6分に短縮されました。採用されたのはEkahau社のWiFiタグです。

SpiceJet Uses Beacons, NFC RFID to Automate Check-in

インドのLCC航空会社SpiceJet社はハイデラバード空港でBluetoothビーコンとNFCを用いたチェックインシステムを導入しました。乗客はスマートフォンに対応アプリをダウンロードし、空港ロビーでビーコンを受信して内容を確認するか、ロビー内のNFCタグにスマートフォンをタップすることで、チェックインを行うことができます。

In Illinois, RFID Makes Its Easier for Residents to Pay as They Throw

イリノイ州ウィートン市ではゴミの回収にRFIDが用いられています。同市はゴミの回収をLakeshore Recycling Systems社に委託しており、同社はゴミ箱にUHFパッシブタグを貼付してどの家庭がどれだけの量のゴミを出したかを計測、課金に利用しています。

Density Sees Health-Care Applications for its Foot-Traffic Sensors

サンフランシスコのベンチャー企業Density社はある場所を通過する人間の数を数えるためのソリューションを開発しました。通常この用途には水平の赤外線ビームが腰の高さで遮られることを検出するセンサーが用いられますが、これは複数の人間が同時に通過することを検知できません。同社は代わりに、赤外線ビームを円錐状に発信する手法を用いて誤検知を解決しました。

RFID News Roundup

  • SML RFID社が小売り在庫向けの新インレー7種類を発表
  • U Grok It社とtagMonkey社が共同で中小企業向けRFIDソリューションを提供
  • Trimble社の小型RFIDリーダーThingMagic Sargasが出荷開始
  • Confidex社がネジ型のUHFタグX-Boltを発表
  • L'Oreal社がシール型のNFC対応紫外線センサーMy UV Patchの正式出荷を開始

London's CityPoint Modernizes Building Security(有償記事)

ロンドンの大規模オフィスビルCityPointでは、作業員による館内の見回り作業の記録を自動化するためにRFIDを利用します。同社はHID Global社のNFC対応セキュリティーソリューションMyTag.ioを導入し、館内の数百か所にNFCタグを貼付、作業員が訪問した際にNFC対応のタブレットでタッチするようにしました。

The Changing Nature of Retail

アメリカでは多くの小売業がオムニチャネルコマースの立ち上げに苦しんでいます。これは多くの消費者が「オンラインで注文したものを店舗で受け取る」ことが実際には上手く行かなないだろうと感じているからです。この消費者の意識が変わるためにはRFIDを利用したリアルタイムの店舗在庫が広がる必要があります。

What Does Brexit Mean for the Internet of Things?

イギリスのEU離脱はビジネス環境に大きな不確実性を作り出します。これはベンチャー企業にとっては脅威ですが、同時に新たなビジネスチャンスを生む可能性もあります。

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2016/08/19

RFID Journal 抄訳 2016/08/19号

今週の記事は地味なものが多かったです。

編集後記はRFIDのティッピング・ポイントに関するもの。「ティッピング・ポイント」って、一般名詞ではなくMalcolm Gladwell氏の著書で広められた概念なんですね。編集長のMark Roberti氏はキャズム理論が好きなので、今回の様な文脈だと「ティッピング・ポイント」ではなく「トルネード」という表現をしそうだったのでそこがちょっと意外でした。

事例で興味深かったのはHeinekenのGPSとBluetoothビーコンを組み合わせたロイヤリティプログラム。Pokemon GOで位置情報ソリューションが注目されていますが、ビーコンやNFCとの組み合わせで更に面白いユースケースが出てきそうな気がします。

なお、元記事はこちらになります。

Armed With RFID, Star Trek Exhibit Boldly Goes into Museums

EMS Entertainment社はオタワとニューヨークの博物館にRFIDを利用したスタートレックの展示を導入しました。これは、来訪者にRFIDブレスレットを配布し、展示エリア内で見た展示品の情報や撮影した写真を後で利用できるようにするものです。

Heineken New Zealand Uses Beacons to Beckon Consumers

Heineken社はニュージーランドでバーでの顧客とのコンタクトのためにBluetoothビーコンを利用します。同社が配布するHeineken LIVEというスマホ向けの優待プログラムアプリは、GPS情報を元に近隣にある提携バーを開催中のイベント情報と共に表示し、ビーコン情報で入店を確認して優待プログラムのステータスを上昇させます。

Gophr Uses Wireless Sensors to Map Pollution

イギリスのバイク便会社Gophr社はロンドンの輸送担当者の作業環境管理のためセンサータグを利用します。担当者は排気ガス濃度を示す一酸化炭素センサー付きのBluetoothタグを持ち、計測データがスマートフォン経由でクラウドに送信されます。

Avocado Farmer Senses a Way to Cut Costs

アボカドは多量に水を必要とする植物です。900本のアボカド農園を営むKurt Bantle氏は、湿度を管理し給水を最適化するために湿度センサーのネットワークを導入しました。氏は当初ZigBeeのメッシュネットワークを検討しましたが通信ボトルネックが発生するために諦め、LoRaを利用することにしました。

Wireless Sensors Help Oyster Farmer Cope With Growing Threat

気候変動に伴って貝類の養殖の条件が変化しつつあります。ワイヤレスセンサーがこのような変化の研究の中で利用されています。

Community Hospital Finds RFID Is a Good Fit(有償記事)

オハイオ州の病院Wayne HealthCareはIT資産と患者の所在管理にRFIDを利用します。利用しているのはUHFパッシブタグで、患者の所在を直接把握するには適さなかったため、代わりにベッドと紐付けての管理を行うことにしました。

RFID's Tipping Point

RFIDが爆発的な普及期に入った(ティッピング・ポイントを超えた)とはまだ言えません。着実に普及が進むアパレル分野でもタグが付いた商品の比率は全体の1%以下に過ぎません。ですが、その瞬間は着実に近づいています。

Commercial Behavior of an Emerging Technology (RFID) in a Secondary Emerging Market

先進国の大手企業はリスクを取って最新技術からの利益を得ようとしますが、新興国の企業は実績がありパッケージ化されたソリューションを導入してコスト削減などの確実な効果を得ることを好みます。RFIDベンダーもこの点を理解してマーケティングを行うべきです。

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2016/08/09

RFID Journal 抄訳 2016/08/09号

今週面白かったのは個人経営の食肉店がワイヤレスセンサータグとクラウドを使って冷蔵庫の動作を監視していた話。日本でも何か出来そうな気がしますが、事業としての収益モデルを作るのが難しいかな。

病院での手洗い励行ソリューション、経営層の継続的なサポートが無いと改善効果が消えてしまうというのは興味深いというか、「気付き」を与えるソリューションなんで、それを無視していいという雰囲気が出てしまうと効果が消えてしまうのが当然ですよね。

なお、元記事はこちらになります。

Researchers Say RFID-Related Process Improvements Require Managerial Commitment

RFIDバッヂを利用して病院での手洗い励行を促すソリューションの効果を大学の研究者が分析しました。その結果、導入直後は手洗いの順守率が最大20%改善されるもののの、経営層の継続的なサポートが無い場合には改善効果は消えてしまうことが判明しました。

Wireless Sensors Help Ye Ol' Geezer Stay Cool

ユタ州の個人経営の食肉店Ye Ol' Geezer Meat Shopではセンサータグを利用して冷蔵庫が正しく動作しているかどうかを監視しています。同店の13個の冷蔵庫に取り付けられたセンサーは10分ごとに温度を計測して店のWi-Fi経由で結果を送信、異常があれば店主の携帯にSMSで通知します。同店はMonnit社のクラウドベースのソリューションを利用しています。

Manure-Processing Equipment Maker Employs NFC

農業向け廃棄物処理器材のメーカーNutrient Control Systems社はNFCを使ったユーザー支援システムを導入しました。同社は自社製品にNFCタグを貼付して出荷し、顧客はNFC対応のスマートフォンでタグをタップすることでマニュアルを読んだりユーザーサポートを呼び出したりできます。一方で同社はどんなマニュアルがどのような状況で読み取られたかを知ることができます。

WestLotto Hopes to Get Lucky With BLE Technology

ドイツでロトを販売するWestLotto社は来店者に対してBluetoothビーコンでプロモーションを行います。同社は店舗ごとに2台のビーコンを設置し、一つは店頭に設置してユーザーにQRコードでクーポンを送信し、もう一つは売り場に設置してクーポンの受信者が来店したかを判断します。また配信したQRコードを読み取ることでさらに詳しい来店者情報を記録できます。

RFID News Roundup

  • Century RFID社がIT資産向けとバーコードラベル置き換え向けのUHFパッシブタグを発表
  • デンソーウェーブ社がアメリカでUHFハンドヘルドリーダーを発表
  • STMicroelectronics社がams社のNFC/UHF RFIDリーダー事業を買収
  • オーバーン大学のRFIDラボがPLUS Location Systems社のRTLSを導入
  • Infinite RF Holdings社がL-Com社を買収
  • GS1オーストラリアがアパレル・フットウェア向けの導入ガイドラインを発表

Believe What You Read About RFID

RFIDの導入による業務改善効果はしばしば劇的なものになります。トライアルの結果そのような劇的な効果が得られた場合には、過剰に懐疑的になることなく導入を進めましょう。

Middleware Finds a Home

RFIDミドルウェアをサーバ側とリーダー側のどちらに置くかについては一長一短があります。リーダーに置く側の大きな短所の一つはカスタマイズが困難な点でしたが、AndroidやLinuxで動作するRFIDリーダーが増えてきたため、この短所は解決されつつあります。

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2016/08/05

RFID Journal 抄訳 2016/08/05号

今週気になった記事はNXP社のRFIDナンバープレートの読み取り試験の話です。UHFパッシブタグによるナンバープレートの読み取りは既に実用化されていていくつかの国で導入されていますが、今回の様な悪環境でのテスト、またGen2v2に準拠した暗号化というのはさらなる普及のために重要な意味があります。今後はETC分野でもUHFパッシブを利用することが当たり前になっていくのでしょうか。

編集後記はImpinj社のIPOが成功裏に完了した件について。従来はRFID専業のベンチャー企業は大手企業に買収されるしかエグジットの方法が無かったので、今回のIPOの成功は業界にとって大きな意味を持つ、という指摘はなるほどと思いました。

なお、元記事はこちらになります。

Minnesota Vikings Take Fans on an RFID-enabled Voyage

NFLチームのMinnesota Vikingsは本拠地スタジアムに来場者向けの体験施設を設けました。その中の一つに選手と同じフィジカルチェックを受けられるジムがあり、参加者は結果をNFCリストバンドに記録できます。

Tonnjes, Kirpestein and NXP Complete Yearlong Vehicular ID Field Trial

NXP社は車両登録システムのTonnjes社、ナンバープレートメーカーのKirpestein社と共に1年間のRFIDナンバープレート読み取り試験のトライアルを終えました。これはRFIDナンバープレートが困難な環境でも利用できることを示すものです。利用されたのはNXP社のUHFパッシブチップ、UCODE DNAを搭載したタグで、Gen2v2に準拠した高いセキュリティ機能を持っています。

Sharp Chula Vista Uses RTLS to Locate Patients, Manage Beds

カリフォルニア州のSharp Chula Vista病院はTeleTracking Technologies社のRTLSアプリケーションを導入しています。同病院では患者の所在をリアルタイムで把握し、またベッドが空いたらすぐにベッドメイキングを行うなどの業務改善にも利用しています。RTLSとして利用しているのはCenTrak社の赤外線/ビーコン複合タグです。

Nextbike Uses RFID to Simplify Bicycle Rentals

ドイツ・ライプツィヒ市で自転車レンタルを行うNextbike社はNFCで自転車の識別を行います。車体にNFCタグを埋め込み、駐輪ステーションの固定部にリーダーを埋め込むことで、正しい自転車が返却されたかどうかを判定すると共に、貸出時間を自動的に計算できます。

RFID News Roundup

  • Vizinex RFID社がSentry UltraSlim 270 RFIDタグを発表
  • Global Tag社がRFIDタグMetallyとFiberyを発表
  • Champion Healthcare Technologies社とVueMed社が医療器具のトラッキングで提携
  • 参考書RFID for the Supply Chain and Operations Professionalの改訂版が発売
  • New York & Company社の店舗でShopkick社のアプリとビーコンを導入

Belgian Company Gets an ROI from Its Warehouse-Management Solution(有償記事)

ベルギーの設備会社ENGIE Fabricom社は8ヶ所の物流拠点にある9万個の器材をRFIDで管理しています。同社が利用しているのはHFパッシブタグです。

Impinj's History-Making IPO

7月にImpinjのIPOが行われ、初日に売出価格から28%上昇する成功を収めました。従来RFIDベンチャー企業が一定以上の規模に拡大する経路は大手企業による買収に限られていたことを考えると、同社のIPOの成功はRFID業界の発展という面で大きな意味を持ちます。

Wearables Bring Back the Golden Age of Travel

ウェアラブルデバイスは、フライトチケットの表示、飛行経路の最新の状況の通知、手荷物受取場所での荷物の場所の表示など、フライトに関係する様々な情報を通知することで、旅のエクスペリエンスを大きく変化させます。

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2016/07/30

RFID World Watcher Monthly June 2016

今月はRFID Journal LIVE!の報告や出展製品・サービスの解説も終わり、ちょっと地味な紙面になりました。特集記事はNFC ForumでのFelica対応義務付けの話です。

RFID World Watcher Monthly June 2016 (PDF形式、354KB)

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2016/07/28

RFID Journal 抄訳 2016/07/28号

今週は比較的地味な記事が並びました。

ボローニャ空港でのビーコンとNFC・QRコードを組み合わせた情報提供ソリューション。単に複数の通信手段に対応しているというだけではなく、読み取り距離やプッシュとプルの違いなどを踏まえた上で提供する情報を変えているのが興味深いです。この種のソリューションの特徴を完全に生かすためにはスマホの側でBluetoothビーコンとNFCの両方に対応する必要がありますが、徐々に環境が整備されていくことを期待したいものです。

喘息患者の発作を事前に予知するデバイス。LTE通信なのでタグとはちょっと違いますが、こういう分野でのセンサータグの利用には大きな可能性があると思いますので、広がっていってほしいですね。

なお、元記事はこちらになります。

TSA Hopes to RFID-enable 60 Security Lanes This Year

アメリカ運輸保安局(TSA)はRFIDを用いた航空手荷物検査を全米60レーンに拡大することを計画しています。これは手荷物を入れるカゴにRFIDを貼付して管理を行うもので、5月にアトランタ国際空港でパイロットが実施された際に処理効率が30%上昇することが確認されました。

Beacons and NFC RFID Take Off at Bologna Airport

イタリアのボローニャ空港ではBluetoothビーコンとNFC、QRコードを使って利用客に情報を提供するソリューションを導入しました。情報はプッシュとプルのいずれで提供することが望ましいかなどで区分され、それに適した方法で利用客のスマホに配信されます。

NFC Speeds Up Authentication for Race Car Drivers

FIAの世界耐久選手権に参加するチームのレーサーが正しい装備を身に着けていることの確認にNFCが利用されます。これらのレースではClimacoolスーツなどAdidas社の製品が採用されており、劣化による事故を防ぐため利用期限も定められています。装備を各チームに販売するFyshe社はNFCタグを装備に縫い込み、スマホで読み取ることで利用条件を満たしていることを確認します。

Wireless Sensor Listens for Troubling Coughs

イギリスのベンチャー企業Quvium社は、喘息など呼吸器系の病気の患者が咳の発作を起こす予兆を通知するデバイスCoughAwareを開発しました。このデバイスは装着者の呼吸音を分析することで発作の6~8時間前に予兆を検知することができ、搭載するLTE通信モジュールを用いて通知することが出来ます。

RFID News Roundup

  • Avery Dennison社がアパレル向けのRAIN RFID対応インレーを発表
  • Impinj社の株価がIPO初日に26パーセント上昇
  • Omni-ID社が薄型・印刷可能なUHF金属ラベルタグの新製品を発表
  • Bluvision社が製造業向けセンサーソリューションにSiemems社の技術を統合
  • A.C.C. Systems社が複数プロトコル対応のUHF RFIDリーダーを発表

A Gem of a Solution(有償記事)

カナダのGolden Environmental Mat Servicesは屋外工事で利用する保護マットのレンタルを行っています。同社のマットは2.5m×4mほどの大きさで重さは約1トン、単価は600ドルほどです。同社はマットの貸出先での紛失を解決するため、マットにUHFパッシブタグを貼付して管理するようにしました。

Customer References Are Critical

RFID Journal LIVE!の多くのスピーカーがユーザー側の人間なのは、ユーザーが技術の導入を決める最大の決め手が他のユーザーの成功事例だからです。ベンダーの一部には顧客が業界イベントに参加することを競合他社にチャンスを与えると嫌うところもありますが、愚かなことです。

Embedding RFID Tags Into Wearables

ウェアラブルデバイスの認証・接続には、美観を損ねず自動的な処理ができ、偽造防止にも利用できるRFIDタグの利用が適しています。

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2016/07/24

NFC ForumでFelicaが必須仕様に

7月14日に開催されたNFCフォーラムジャパンミーティングの席上で、Felica(ISO/IEC18092)がグローバルモデルのスマートフォンでサポートされるという発表があった(マイナビニュース:iPhoneでモバイルSuicaが使えるようになる? - NFC対応スマートフォンにFeliCa搭載という流れ)。事実関係については日本語で良くまとまった記事が出ているので付け加えることは無いのだが、備忘のために整理しておきたい。

従来グローバルモデルのスマートフォンでサポートされてきたNFC-A/BとFelicaは、どちらも13.56MHz帯で動作するICカードの通信規格だが、Felicaは読み取り距離や処理速度に対する要求がNFC-A/Bよりも厳しく(Felicaが読み取り距離が85ミリ、処理速度が200ミリ秒なのに対し、NFC-A/Bでは20ミリ、500ミリ秒)なっている。NFC-A/Bではセキュリティチップ(セキュアエレメント)をSIMカードに実装するためFelicaが求める処理速度を満たすことは難しく、そもそも海外の事業者はFelicaのような高いスペックを必要としなかったため、FelicaはISO/IEC18092、NFC-Fとして標準化されつつもグローバルモデルのスマートフォンには実装されない状況が続いてきた。

だが、標準化の動きが決済分野から公共交通分野に広がることで動きが変わった。店舗決済用としては過剰なFelicaのスペックも日本の改札処理では実際に必要とされているものだし、JR東日本の公共交通分野での存在感は日本の金融機関の決済分野での存在感を大きく上回る(JR東日本の輸送人員数は世界最大)。加えてNFCチップの性能向上によりFelica準拠の処理速度を達成する目途が付いたこともあり、今回の標準化につながったのだろう。

今回の標準化の内容について原文で確認しておきたい。プレスリリースはNFC ForumとGSMAが2016年5月2日に出した共同ステートメントになる。該当する部分は以下の通り。

"Generic NFC mobile devices which are designed, tested and certified according to NFC Forum specifications can be used as a platform for fare media and card reader systems according to ISO/IEC14443, ISO/IEC18092 (FeliCa) and with NFC-tags."

NFC Forumに準拠する汎用的なNFCモバイルデバイスはFeliCaの標準規格ISO/IEC18092を用いた運賃支払メディア・カードリーダーのプラットフォームとして利用できなければならない、という記述になっている。確かに必須仕様であり、オプション扱いではない。

一方で、これはあくまでハードウェアの対応であることには注意しておきたい。AppleでモバイルSUICAが使えるのか、Androidのグローバルモデルで「おサイフケータイ」アプリをダウンロードすれば利用可能になるのか、は今後の課題になる。

個人的にはAppleでの利用についてはあまり楽観視していない。今までのNFCやBluetoothビーコンでの動きを見ると、何らかの形でApple独自のエコシステムを作ってユーザーを囲い込みたいと考えるほうが自然だ。だけど例えば「Apple Commute Japan」といった独自の交通系ICサービスを立ち上げて相互利用ネットワークに加入するというのも不自然だろう。これから日本の事業者との間でのせめぎ合いが本格化するのではないだろうか。

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2016/07/21

RFID Journal 抄訳 2016/07/21号

先週がアメリカ独立記念日でお休みだったため、今週は普段より多めの記事が並びました。

今週面白かった記事はIKEAの食品・食器店舗での木製スプーンを使った購買体験です。機能的に同じようなことは、例えば商品カードを使うなどしても実現できるはず。これによって得られる購買体験のどこを評価してトライアルをしてみようと思ったのか、その効果はどうだったのか、とても興味があります。

今週はBluetoothとUHFパッシブの複合タグの記事が二つ並びました。ミドルウェアが吸収してくれるのであればタグが複数の通信手法を持ってもまったくおかしくないんですよね。スマホだって、NFC、Bluetooth、LTE、2.4GHzと5GHzのWiFiといくつもの通信手法を持っている訳です。この分野はソリューションの厚みが増すにつれていろいろなアプローチが増えてくるのではないでしょうか。

学術系の不定期連載の記事は、体内で分解・吸収されるNFCセンサータグ!ほとんどSFの世界ですね。こういうことが出来るのかと驚きました。

なお、元記事はこちらになります。

EECC Benchmark Study Finds UHF Tag Performance Better Than Ever

ドイツの調査機関European EPC Competence Center (EECC)はUHFパッシブタグのパフォーマンスレポートUHF Tag Performance Survey (UTPS)の2016年版を出版しました。今年で10年目になるこのレポートでは、361種類のタグのパフォーマンスを22種類の基準で測定しています。今年は小型の金属タグや中国製の低価格ラベルタグ、またセンサータグなどが目玉になっています。

Ikea Canada Engages Customers With RFID at Pop-up Store

IKEAがカナダの仮設店舗でRFIDを利用した新たな購買体験のトライアルを実施しました。食品と食器を扱う仮設店舗では、来店者はRFIDタグを埋め込んだ木製のスプーンを渡され、それで商品横の棚を叩くことで購入を指示、最後にレジでスプーンと引き換えに商品を受けとります。利用された技術はLFパッシブです。

Beacons, App Help Patients, Employees Navigate Huge Clinic

アメリカ最大の病院の一つNational Institutes of Health Clinical Centerは2,500名のスタッフが年間1万名の患者を治療します。加えて同病院では改装工事が行われ部屋番号のルールが変更されたため、位置の把握が非常に困難になっていました。この問題を解決するため同病院はBluetoothビーコンを導入しました。スタッフや患者はスマホを持ち、Bluetoothビーコンを読み取ることで現在位置や状況に応じた情報を受け取ることが出来ます。

U.S. Malls, Hospitals Use Senion's Beacon-based Solution

スウェーデンのSenion社はBluetoothビーコンを用いた位置測定ソリューションを販売しています。このソリューションでは顧客のスマホに建物内の正確な位置を送信するだけではなく、動線分析を行うこともできます。このソリューションは10ヶ所以上の病院や大手のショッピングモールに導入されています。

Venture Research Adds More Intelligence to Its Surface Reader

Venture Research社はUHFパッシブとBluetoothの両方に対応した棚型リーダーSurface Readerの新製品を開発しました。この製品は棚の上に管理対象が全て載っているかどうかを側面のLEDでユーザーに通知することが出来ます。また、Bluetoothタグについては、リーダーが3個以上存在する場合にはRTLS機能を用いて棚の上に無い物品の位置を検知することが出来ます

McDonald's, Other Companies Test TAG Sensors' RFID Temperature Loggers

ノルウェーのTAG Sensors社はプリント形成の電池を搭載した低価格の温度センサータグを開発しました。この製品にはNFC搭載とUHFパッシブ搭載の2つのバージョンがあります。この製品はマクドナルド社の欧州部門など複数の企業でトライアルが実施されています。

Inventor-e Launches Hybrid Auto-ID Solutions

イギリスのInventor-e社はUHFパッシブ、NFC、Bluetoothビーコンを搭載した複合タグを用いるソリューションを提供しています。同社の製品は病院や倉庫、造船所などさまざまな分野で利用されています。

Startup to Pilot Low-Cost Wireless Sensor Technology

ベンチャー企業のC2Sense社は特定のガスの存在を検出する低価格なセンサータグを開発しています。このタグは有毒ガスや食品の腐敗時に出るガスを検知することが可能で、タグ部分はNFCとUHFパッシブのものが開発中です。

RFID Journal to Hold 12th Annual LIVE! Europe Conference in London on Nov. 10

第12回のRFID Journal LIVE! Europeが11月10日にロンドンで開催されます。今回はアパレルと公理に重点を置いた内容となります。

RFID News Roundup

  • SMARTRAC社が動物用RFIDタグの注射キットを発売
  • HID Global社が帳面取り付け用のUHFパッシブタグTapMarkを発表
  • Sionic Mobile社が会員プログラムアプリにiBeacons対応を追加
  • CSL社が経営陣によるバイアウトを完了、Seveco社からの投資を受け入れ
  • Impinj社がIPOビッドに4600万株を発行
  • Estimote社がNFC経由で設定可能なBluetoothビーコン製品を発表

RFID Gets to the Root of Surgical Services Problems(有償記事)

フロリダ州の病院Celebration Healthでは手術手順の改善の為にRFIDを利用しています。同病院ではAeroScout社のWiFiリストバンドタグを患者とスタッフに装着し、手術前からの一連の作業の流れを記録、かかった時間や人員が適切であったかの分析を行っています。

Managing Uncertainty

イギリスのEU脱退やドナルド・トランプの躍進など、世界は不確実性に満ちていますが、これが今の時代の当たり前です。不確実性がなくなるまで新技術に投資しないと言いはじめたらいつまで経っても投資のチャンスはやって来ないでしょう。

Cutting Human Bottlenecks

病院のベッド管理にRFIDを利用する場合には、医師や看護師の立会いの必要性や清掃スタッフの勤務パターンなど、ボトルネックとなり得る部分をあらかじめ潰しておかないと十分な効果を得られません。

Sensors Could Eliminate Second Brain Surgeries

脳の外科手術を行った後には頭蓋骨内部の温度と湿度を図るためにしばらく頭蓋骨内部にセンサーを埋め込んでおく必要がありますが、必要が無くなった時点で取り除く手術は患者に大きな負担をかけることになります。この問題を解決するため、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校の研究者は頭蓋骨の内側で分解・吸収されるNFCセンサータグの開発を進めています。

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